東方亡郷録 イ
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東方亡郷録 イ

 

時代設定もまともに出来ておらず、割と思いつきとかそういうもので書いています。

突っ込みどころ、矛盾等々ある場合、ご指摘頂ければ幸いです。

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幻想郷には人里がある。

 

強者、弱者に関わらず、妖怪は人を襲うのが常だ。ここ幻想郷においてもその摂理と成り立ちは残っており、未だ古い風習としての祭り、儀式もわずかに存在する。

 

幻想郷に住む人間は、大きく分けて二種類に分類される。

 

幻想に降りた人と、幻想に生まれた人の二種類だ。

 

幻想に降りたとは、外の常識から逸脱し、あるがままを保つことままならず、非常識と常識の堺を超え、幻想と現実の堺をさ迷う存在が、幻想郷の特性に惹かれ訪れることを指す。

 

幻想に生まれたとは、そうして幻想に降りた人が現象としての妖獣、魔法、神仏の現れを理解し、またそれを受け入れ、自身の存在と成り立ちを変えることなく住み着いて子を成した時、その親子を指して言う。

 

妖怪変化の類ならばあるべき住処を手にし、自身の維持が出来れば幻想郷で生きていくことが可能だ。しかして人はそうではない。人には人の文明と習わしがあり、幻想の規則に則ることままならぬ存在は捨て置かれる。

 

そして私も、幻想に降りた人の一人と相成った。

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ここはどこだろうか。とにかく逃げ続けていたことしか思い出せない。思い出そうとすれば頭が痛むほど、がむしゃらだったように思う。

 

鬱蒼と茂る木々、青く艷めいた苔。群生しているのは何の茸なのだろうか。危険色のような禍々しい色と小さな可愛らしい形が、どこか絵本の世界を彷彿とさせる。

 

しかし空気の淀んだ森だ。鼻が曲がる。一度大きな木に登ってあたりを確認すべきだろうか。ダメだ。目立ちすぎる。思い出せ。私は追われている。

 

そうして歩き回っていた頃、不思議な少女を見かけ、とうとう己の頭にも焼きが回ったと核心した。

 

紛れもなくその出で立ちは魔法使いであり、まだ年端もいかぬ少女だった。

 

「おいどうした、そんな真っ青な顔で歩いてると妖怪に食われても文句は言えないぜ。おい、大丈夫か。おい!」

 

可愛らしい女の子だな、なんて思いながら、意識を手放した。

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……

 

「目は醒めたか?」

 

木造の天井。寝かされているのはベットだろうか。

 

「聞こえるか?」

 

はたと声をかけられているのが自分だと気づき、とうとう捕まったと思った。

 

「好き放題バラしてくれていいよ。どうせ私にはもう逃げる気力もない。この世にさよならしたい気分になりかけていたところだし、具合もいい」

 

「残念だが幽霊魂魄の管理者が飲み友達なもんでな、わざわざ仕事を増やして苦労させてやる無粋は持ちあわせてないぜ」

 

おかしい。会話がかみ合わない。ぐっと身を起こしたら、拘束もされておらずゆるく起き上がれた。傍らに座ってカップを煽っているのは先程見た魔法使いらしき少女だった。

 

「はじめまして、だぜ」

 

「あ、あぁ。はじめまして……」

 

「新顔だな。人里でも見ない。私は霧雨魔理沙。魔法使い。ここは幻想郷。あんたは流れの人って所だ。魔法の森でぶっ倒れたから、拾ってとりあえず寝かせておいた。人間にしてはよく耐えたと思うが、あそこに長居すると瘴気に当てられる、今後は控えるべきだぜ」

 

突然少女はまくしたてた。魔法使い?幻想郷?魔法の森?なにもかもわからないだらけだが、この少女の人がいいということだけしっかりわかった。

 

「とりあえず、助けてくれてありがとう。私は……」

 

「無理に名乗らなくてもいいぜ」

 

「……」

 

「魔法の森の森での形相、さっきの反応。大方何かに追われてたか何かだろう。まぁこの幻想郷にお前を追っていた何かが入ってこれるとも思えないけど、安心できないうちは名乗らなくていい」

 

「……すまない」

 

「ま、コーヒーを飲むのくらいつきあってくれれば文句はないんだぜ」

 

すこしぬるくなったカップを受け取って、コーヒーを飲んだ。これまで飲んだどれとも似つかない味で、甘ったるく、魔法使いの少女のような味だと思った。

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もうすこし書き足すかも。

説明
幻想郷に生きる人々のお話ってあまりみないなと思って。

ゆっくりめに書いていきます。
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