恋姫のなにか 18
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やっとの事で合コン編です。いきなり其処から書き出せば到達しないなんていう不手際が無くなる事にやっと気付けました。もう夏ですね。

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「なーせんせー。うきっちゃん怒ってたなー」

「ネオの相手とか俺でもゴメン被る」

「あー、ゴメンね気ぃ使わせたみたいで・・・」

 

とある喫茶店で、同じ制服に身を包んだ男が三人たむろしていた。

 

「及川くんが謝ることねぇっしょ」

「あぁ、普段からストレスやらなんやら溜め込んでるんだから、今日は目一杯リフレッシュして、ついでに彼女作ってこれからの青春を謳歌して欲しい!」

「心遣いは有り難いんだけどさ・・・なんか心苦しくて・・・」

 

于吉くんにも悪い事したなぁ・・・と俯いてしまった及川を見て、やれやれと嘆息する華佗と一刀。

合コンに行く事に最初は否定的だった一刀だが、全ては及川くんのリフレッシュのタメと聞かされては参加せざるを得なかった。

 

「なぁせんせー、そろそろ時間なんじゃね?」

「そうなんだが・・・于吉のヤツ遅いな・・・」

「ねぇ、やっぱネオも連れて行ってあげればいいんじゃないかな・・・?」

「「それはダメだろJK」」

「そ、そっか・・・」

 

計画を立てたのは華佗で、一刀が参加するならと于吉も参加を表明したが、此処で困ったのが中二病患者・左慈の存在である。

いつもいつも一刀に絡み于吉に殴られ、そのフォローを及川がするという図式が成り立つのだが、尻拭いをする及川くんが主役とあっては放置する訳にもいかない。

 

「よし、うきっちゃんが来るまでに作戦内容を確認しとこう。

まず及川くんが目を付けた女の子以外の、手馴れてそうな三人をウチのイケメン二人が相手する」

「「うん」」

「んで、残った二人のうち、ちょっととろそうな子をフツメンの俺が相手する。年上なら猶良し」

「お前、何故か年上の(女性の)相手は得意だもんな」「特技、になるのかな。凄いよね」

「俺もう及川くん持って帰るわ」

「いきなり計画を破綻させるな。あと、くれぐれも今日の事は焔耶さんには内緒だぞ」

「そ、そういや華佗くんは彼女居るんだよね・・・こんな事してて平気なの?」

「あぁ、一刀と于吉が嘘八百吹き込まなければな・・・」

 

何度破局の危機を乗り越えた事か・・・と遠い目をして窓の外を眺める華佗だったが、聞き役の一刀と及川はタッグを組む予定なので綿密な打ち合わせをしていて聞いてなかった。

 

「んで、及川くんの好みってどんなのよ?」

「えー・・・あんま考えた事ないな・・・あ!あの人は昔良く見てたよ、白蓮ちゃん」

「おーマジで?俺も俺も!あの胸でトップアイドルとかマジぱねぇよな」

「そ、それは言い過ぎだと思うけど・・・実際凄いよね。顔とかも普通だったし」

「存在感皆無なのに何時の間にか一位取ってて、しかも話題に上がらないという伝説」

「お、于吉が来たな」

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からんからん。と良くあるアレが響いて、疲れきった顔の于吉がうーす。と挨拶をしながら一刀の横に座る。

 

「巻けたの?」「いんや、無理」

「ちょ、どうするんだよ」

「ありゃりゃ・・・」

「でーじょぶでーじょぶ。祭先生にとっ捕まって厳重な監視下の元校内清掃してっから」

 

それを聞いた途端三人の、特に一刀の顔が「うわぁ・・・」と言いたげに歪んだ。

 

「アレキツいんだよなぁ・・・」

「異論はない・・・」

「み、みんなやった事あるの・・・?」

「お前、一刀は常連だぞ?」「何故か宿直室が多い。但し祭せんせーが泊まりの時に限る」

「実際一刀はパシらされてるだけだろ・・・お前等のとばっちりで俺は校内全体の草むしりだぞ」

「お前なぁ、アレ買って来いコレ買って来いとパシらされて、帰ってきたらセクハラ三昧だぞ?」

((それは完全に誘われてるだろ・・・・))

「セ、セクハラって・・・」

「あんま話すと実家に帰りたくなるからこの辺りで止めとこう。んじゃうきっちゃんも来た事だし、行きますか?」

「だな」「おう」「よ、よろしくね」

 

四人が一斉に立ち上がったのを見て、眼鏡をかけた看板娘・亞莎がスマイルを浮かべながらヒョコヒョコ寄って来た。

 

「お愛想ですか?水一杯の一刀さん?」

「うわ何この看板娘嫌味言ってきた」

「お友達が気を使ってあれやこれや注文してくださってるのに、平然と水一杯で三十分粘った一刀さん何か文句でも?」

「先に出てんぜー?」「ごちー」「み、みんな可哀想じゃない?」

 

いーからいーから。と于吉と華佗に両腕を掴まれてズルズルと店の外に連れ出される及川。

 

「うっわマジありえねぇ・・・」

「お客様、こちら伝票です」

「ツケで」「やってません♪」

「なー頼むよー」「ダーメーでーすっ!」

 

えー。と言いながらも財布をポケットから出した一刀を見て、ちょっと意地悪かなぁと反省する亞莎だったが、「いくら好きでも締めるトコは締めないとダメ」と雑誌やら友達やらバイトの子やらに吹き込まれた情報を頼りにしてしまうのが恋する乙女。

 

「別にツケでも良いんですけど・・・バイト代悲惨な事になりますよ?」

「だよなぁ・・・三千円・・・」

 

千円札を三枚握って、うーむと唸りながらもまさかバイト先で食い逃げする訳にもいかない。

 

「コレで今月生きてくのか・・・」

「あ、あの・・・キツいようでしたら、またお弁当作ります、け「マジで?!」わ、私の様な者でよければ!!」

「亞莎、俺が卒業したら籍入れよう、二人でこの店の経営建て直そう」「傾いてません」

「亞莎がにらむー」「失礼な事ばっかり言うのはこの口ですかー?」

 

頬っぺたをグニグニと抓ると、一刀はゴメンゴメンと誤り、全くもう。と言いながらも楽しげな亞莎は御代を戴く。

 

「あ、それじゃ、行ってらっしゃい」

「ん。弁当頼むなー」

 

そう言うと一刀は表で待っていた三人と合流し、亞莎はそれを見送るとレジにお金を入れるべく踵を返す。

 

(ねぇ・・・沙和言いなよ・・・)

(や、やだよ!!C子ちゃん言ってよ!!)

(アタシに死刑宣告なんて出来る訳ないでしょ・・・)

(((一刀くんきちくー)))

 

以上、一刀が何処に向かうのか知らない亞莎と、知っているバイト三人組の反応でした。

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「風、この店で良いんだよね?」

「そだよー。えっと、良い時間だしもう入って待ってる?」

「んー。でもそれって感じ悪くない?イケメン来るんでしょ?」

「まぁそれで怒る様ならそれまでの器量ってことで!私喉渇いたー」

「猪々子はしたないよー?」

「いーじゃん!普段お嬢様のお世話で気ぃ使ってんだから!」

 

ありゃりゃ。と苦笑して合コンの話を持ってきた―――便宜上Y子ちゃんと、その友達のV美ちゃんの顔を見ると二人も揃って苦笑していた。

 

「あ、でも明命ちゃんがまだ来てないね?」

「うーん・・・あの子真面目だし、掃除にも時間掛かるか」

「場所分かってんでしょ?それに冥琳さんが送迎つけない訳がないし、大丈夫だって」

「そういや、こっちの面子増えたの言ってるの?」

「うん。向こうは四人だけど、それでも構わない「ちょっとごめん。二人は先に入ってて」

 

そう言うと風は猪々子の腕を掴んでツカツカと、合コン会場である店の近くに止められた黒塗りのジ○ガーに足を運んだ。

 

「お嬢様!!」「ありゃ、バレちゃった」「よ」

「・・・えーとすいません。私急用思い出し「猪々子、正座」はい・・・」

 

車内に乗り込むと、先ほど会話に上がっていた冥琳も居た。アンタそんな暇ねぇだろ。

 

「お嬢様、何で此処にいるんですか?」

「えー、だって猪々子も風も、大事な大事な玩具(舎弟)だし、変な男に眼をつけられないか心配で・・・」

「私は妹が心配でな。月に情報をリークする代わりに会談場所を少々変更してもらったという訳だ」

((アンタの所為か))「で、ですけど冥琳さん。冥琳さんも社会勉強の一旦として、今回の合コンに明命ちゃんが参加するのは賛成だったはずじゃ?」

「猪々子?姉の愛は理性で御しきれる物じゃないんですよ?」

「そう言われると・・・」

「それにー風と猪々子の方が先に彼氏ゲットとか主としては情けないしー面白そうだしー」

「「絶対コレが本音だ!!」」

「風?猪々子?」

「「私達黙ります」」

「見事な統率力だ。私も見習わねばならんな」

((やめてあげてください・・・))

 

と、その時風のケータイが鳴ってあわあわと確認するとV美ちゃんからだった。

 

「はいはい風ですよー」

『あ、風?もう男の子達きちゃったよ?』

「へ?!す、直ぐ行きます!!   あのお嬢様・・・」

「うん、行ってらっしゃい」

 

適度に頑張ってね〜とヒラヒラ手を振る月と、妹は平気かなぁと先の心配をする冥琳を置いて車から降りる風と猪々子。

 

「なぁ風・・・どーする?」

「まぁ元々今日は壁の花になるつもりでしたし・・・」

 

V美ちゃんに素敵な出会いを。という何処かで聞いたような目的で今回開かれた合コン。

リフレッシュ出来れば二人としてはそれで良かったのだが、まさか月が出張ってくるとは思っても見なかった。

 

(一刀さんの通ってる学校の人だって聞いたから、ちょこっとだけ下心もあったけど・・・)

(現実は上手くいかねぇなぁ・・・まぁお嬢様に餌与えないように、トス役に専念するか・・・)

 

まさかこれから地獄が待ち受けているとも思わず、番人不在の嘆きの門をそうとは知らずに潜る風と猪々子。二人ともそこから逃げて!!

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「いやー風ちゃん居てくれて助かったわー」

「そ、そうですね〜。ゆっくりお話出来る機会なんて、中々無かったですし〜」

 

席についていた友達二人の迎い側、一番右端に座っていた一刀を見た瞬間風と猪々子は全力で逃げ出したくなった。

 

「あ、それと・・・初めまして猪々子さん。いつも姉が迷惑かけてるみたいで」

「い、いえお気になさらず!?」

 

そう言うとドリンクをゴッキュゴッキュと飲み干すとテーブルにダン!と叩きつける猪々子。

 

(風、風!お前に任せていいかな?)(死なば諸共)

「えーっと、猪々子さんだっけ? あの桃香さんの友達やってるとかすげぇな」

「うん、俺身内じゃなかったら絶対知らないフリするね」

(YESっ!)「う、于吉さんでしたっけ?桃香さん知ってらっしゃるんですか?」

「昔アバラ折られた事がある」「ソレは未遂だろ。身内として断固抗議だコラ」

「ちなみに二つ上にいる恋さんには本気で殺されると思った」「否定しない」

 

上手い事于吉の話に乗っかった猪々子はそのまま于吉と話を繰り広げ、猪々子は肘でコツコツと風に合図を送る。

 

(ほら風!一刀さんあぶれちゃうだろ!相手してさしあげろって!!)(アンタマジいつか売る)

「あ、そういえばさ風ちゃん」「な、なんでございますかね?!」

「もう一人増えたって聞いてたけど、その子は都合悪くなっちゃったの?」

「あ、あぁ〜!!一刀さん驚きますですよ〜!!」(お願い早く来て明命ちゃん!!!!!)

「そなの? あ、そういや風ちゃんさ、猫飼ってたよね?元気?」

「え? えぇ、それはもう。すっかり外怖がっちゃいましたけどね」

「そっか。また会いたいなーとか思ったりするんだけどさ、疲れてる時とか。毛並み超気持ち良かった」

「あれ、美以ちゃんが撫でさせたんですか?」

「ん?うん、こうさ、『構え〜』って感じで膝の上乗ってきたり、歩いてると足にぶつかってきたり」

「はへー・・・一刀さん凄いですねぇ・・・美以ちゃん人見知りなもので、知らない人には心開かないんですけど」

「あー・・・似たようなのの相手してっからかも。人間だけど」

「え、そんな方が・・・ちょっと失礼」

 

話し方が上手いのか聞き上手なのか、それとも飼い猫を褒められたからなのか。留まる事の無かった風と一刀の会話を遮った一通のメール。

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『Sub:ちっと便所こいや

   :コロス       』

 

(Go To Hell)「あ、あぁ〜、そう言えば遅いな〜。ちょっと電話してみますね〜」

「う、うん」(何で泣きそうなんだろ・・・)

 

風は涙目になりながら辺りをキョロキョロ見回すと、お手洗いを発見してソコに小走りで駆け込む。

 

「あ、あの〜」

「随分良い雰囲気だったわね〜♪」

(やっべ超切れてる)「言い訳を聞いて戴きたいのですが!」

「えー?どうしよっかなー?勝ち組に昇っちゃっ「猪々子が投げたんです絶好のパスをっ!!」

「続けて?」

「猪々子はですね、一刀さんが日頃思ってる「姉がお世話になっています」というお礼の言葉を受け取らない所かですね!あろうことか」

「うん、わかった。猪々子に三席離れたテーブルに来いって伝えて?」

 

そう言うと月は鏡を見ながら身嗜みのチェックを整える。

その様子を見守りつつ、失礼しまーす・・・と弱弱しく断りを入れて風は手を洗うと洗面所からソソクサと出て行った。

 

(猪々子、お嬢様が三席離れたテーブルに来いって)(・・・アンタいつか天罰が下るぞ)

「お待たせしま・・・・・・明命ちゃん、来てたの?」「は、はい!本日は御招きいただき、あ、ありがとごじゃましゅ!」

「そんな畏まらなくていいから。そして、俺の膝の上に座るの間違ってるから」

 

風が何とか生還すると、明命が一刀の膝の上に座っていた。

 

「一刀、ちょっといいか」「ん? よっと!」「ひゃわ?!」

 

華佗が一刀に耳打ちし、一刀が何の断りも無く明命の脇に手を当てて持ち上げ、急に触られた明命は声を上げる。

三つ離れたテーブルからけたたましい音が響いたが、風は気にしない、してはいけない。

 

「なぁ、風さんだっけ?」

「はい、なんでしょう?」

 

ちょいちょい。と手招きされて不信に思いながらも顔を寄せると、内緒話をする様に于吉は風に耳打ちする。

 

(実はよ、あの及川くんとV美さんとをくっ付けたいんだよ)

(おやおや、それはまた楽しそうな謀で)

(んで、Y子さんとは華佗が話付けたみたいなんだけど、V美さん的には及川くんの事どうなの?)

(んじゃ確認してみますね〜)

 

チラ。と風がY子に目配せすると、うん。と頷いてちょっとゴメンね〜とY子はV美を連れて席を立つ。

そして一刀と華佗、何だか疲れた表情の猪々子も帰ってきて、Y子とV美を除いた皆が顔を付き合わせる。

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「えーっと、話伝わってない人ー?」

「明命ちゃんは分からんのじゃないか?」

「明命にいらん事吹き込むと後が怖いから問題無し。んじゃ全員に伝わってるって事で。

こっからどーすんのがベターorベスト?」

 

はーい。と手をあげて先陣を切ったのは猪々子だった。あぶれた明命はぷーっと膨れてオレンジジュースを飲んでいた。

 

「二人きりするのがベスト、それっぽい雰囲気を作るのがベターだと思います」

「異論無しだな。といっても、及川くんはなぁ・・・」

「奥手だしな・・・」「ご、ごめん・・・」

「いえいえ、今入ってきた情報によると、V美ちゃんも満更じゃないみたいですし、切欠さえ作って差し上げれば上手く行くと思われます」

 

風がそう言うと、及川を除く男性人はよっしゃあ!とガッツポーズを取る。明命はお皿に残った料理をちょいちょいと摘んでいた。

 

「良かったなぁ及川くん!」「もう告れ!!そしてキスしろ!」「いや、ここはアドレス交換ぐらいがベストな気がするぞ?」

「「余裕ぶっこいてんじゃねーよ彼女持ち!!」」「何で俺はこんな扱いなんだ・・・」

 

そうして騒いでいると店員さんが「お客様・・・」と軽く注意を促しにきて、その後Y子とV美も帰ってきた。

明命は?と思いながらも、コレからが合コンかーと期待に胸を膨らませていた。

 

「あ、ごめん!俺この後バイトあんだ!」「えーマジかよ一刀ー」

((一刀さん、棒読みが過ぎます))「え?!か、一刀先輩帰っちゃうのですか?!」

 

ワザとらしい一刀のアドリブと、それに乗っかった于吉の大根演技に素直に騙されたのは明命ただ一人だった。

 

「ごめんな明命」「残念なのです・・・」

「しかし、助かりました。私もこの後用事があるもので」

「あ、そうなの? ならついでって言うとアレだけど、送るよ」

(死んだぁぁぁぁぁ!!!)「い、いえいえ!猪々子も一緒ですから!ね?」「私は用事なんてないけど?」

(アンタマジぶっとばす)(先に売ったの風でしょうが!!)

「女の子一人で歩かせるの危ないし、送るよ」

「私も用事が・・・今日は無かったのです・・・残念です・・・」

 

風と猪々子が熾烈な抗争を繰り広げている中、予定を思い出して(´・ω・`) な顔になってしまった明命の頭をナデナデして慰める一刀。

 

「それじゃ、二次会には俺と于吉と、及川くんで良いのかな?」

「そっちは?都合悪いの他にいんの?」

 

Y子とV美、それに猪々子に明命が互いに確認して、おっけーと返事を返す。

 

「んじゃ、風ちゃん行こっか?」

「はい・・・」

 

こんな筈じゃなかった。そんな気持ちで胸一杯の風は財布からワリカンの御代を置くとゆるゆると立ち上がった。

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帰り道、ゲーセンの表に設置されたクレーンゲームの景品に目を奪われた風。

 

(可愛いなぁ・・・でも苦手だしなぁ・・・)

「アレ欲しいの?」

「は、はい・・・変な趣味だと思いますよね・・・」

「何のオブジェかは分からんが、任せな」

「へ?」

 

そう言うと一刀はツカツカと両替機に向かって札を崩すと、何のためらいも無く五百円硬貨を投入する―――のだが。

 

「ありゃりゃ・・・残念でしたね」

「コツは掴んだ」

 

負け惜しみでも何でもなかった。次の五百円で見事にオブジェなんだか人形なんだか分からないモノを一発で持ち上げると、そのまま穴に落とす。

 

「わー!凄い凄い!」

「いや、あんま凄くないよ。うきっちゃんなら最初の五百円で取れるし」

 

苦笑いしながら景品を差し出され、風はわぁ。と喜びながら奇妙な物体を手に入れて喜ぶ。

 

「ありがとうございます!!  あ!お金お金」「いや良いって。今日手伝ってくれたお礼」

「いえでもそういう訳には・・・」「あ、もう一個取って猪々子さんにお礼しとかないと」

 

そう言うと一刀は店内に入って、店員を呼ぶと商品の補充をしてもらう。

その後姿を見守りながら、風は取って貰った人形を眺めてにへへ。と微笑んでいたのだが―――

 

「ごめん風ちゃん!!時間マジでやばかった!!」

「え、ええ?!アレ嘘じゃなかったんですか?!」

「マジ。ちなみに後五分しかない」

「ヤバいなんてもんじゃないじゃないですか!!」

「つーわけで猪々子さんには申し訳ないけどお礼は今度!!走るよ!!」

 

そう言うと一刀は風の手を掴んで、道どっち?!と声を上げながら風を運ぶ。

 

「あ、あの!私なら本当に平気ですから!!」

「んな訳にいかないって!!」

 

そんな会話を繰り広げながら道を進み、風は一番近かった社宅への道筋を思い出しながら道案内をしながら走り―――

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・・・・じゃ、俺行くから・・・」

「ぜぇ・・・・はい・・・お疲れ様でした・・・」

 

息も絶え絶えになった頃、何とか一刀は風の案内するマンションへ到達できた。

 

「こ、このおれ「んじゃまた!!」

 

お礼も聞かず、一刀は全力で走り出した。

呼び止めようとした時に上がった手を何となくブラブラさせて、そういえばさっきまで手を繋いでいたんだなぁと思い出すと、なんだか頬が熱くなる。

熱を持ったホッペを触ろうとして、急ぐ原因になった奇妙なオブジェをしっかりと持っている事に漸く気付いた。

 

「・・・・・・コレだもんなぁ」

 

あの人ズルイ。そんな事を思いながら、さてお嬢様にどう言い訳したものか。と頭を悩ませる事に没頭しようとするのだけど。

 

「ズルいなぁ・・・」

 

上がった口元は、中々降りてはくれなかったとさ。

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ごじつだん

 

「やっぽー!合コンとか超テンションあがんね!!」

「おう来たか華琳。まぁソコに座れ」

「お久しぶりです華琳さん!!」

 

お高い感じの喫茶店、というよりバーの個室に招かれた華琳に迎いの席を勧める周姉妹。

 

「んでんで?何で急に合コンなんて開く気になったの?」

「いや、この間明命が始めて合コンを経験してな」「楽しかった!!」

「とまぁこんな感じなんだが、一刀がその時直ぐに帰ってしまってな」

「あー、なるへそ」

 

華琳としては何であの日一刀が寝落ちしたのかを解き明かす納得だったのだが、冥琳は話が早いと言わんばかりに話を続けた。

 

「とはいえ、私にお前に月に明命が参加する合コンなんて、参加希望者は履いて捨てる程いるだろ」

「あれ、雪蓮は仲間はずれ?」

「参加者を告げる前に電話を切ったからな、私の所為じゃないさ」

「それじゃあしょうがないねぇ。あ、明命ちゃん何食べてるの〜?」

「ここのプリンパフェはプリン一杯で美味しいのです!!」

「そかそか♪んじゃ〜私もそれにしよっと!」

 

すいませーん!と元気良く手をあげて従業員を呼ぶ華琳に、冥琳は溜息を隠さない。

 

「お前な、もうちょっと上品に振舞えんのか?」

「えー、だって肩凝るし」「賛成なのです!」

「やれやれ・・・反面教師を期待してるんだがな」

「んで、結局相手はどーすんの?あと日程は?」

「ウチでやろうと思ってな、相手は言わなくても分かるだろう、恥ずかしい」

「ごめん、恥ずかしがるポイントが全くわかんない」「一刀先輩なのです!」

「それで日程だが・・・」

 

冥琳が伝えた日程を聞くと、華琳はえ゛と声を上げた。

 

「・・・それ一刀知ってんの?」

「いや、まだ伝えていないが?」

 

冥琳の返事を聞くと、華琳は「良かった・・・」と胸を撫で下ろした。

 

「あのさぁ・・・言い難いんだけど、その日一刀無理だと思うよ?」

「は?」「へ?」

「その週の頭にお姉さん達連れて旅行行くって」

「なん・・・」「だと・・・?」

「その旅行のタメにバイトしてお金溜めてたらしいし、絶対無理だよ」

「・・・・・・そうか。まぁ、事前に確認していなかった私達が悪い。諦めるとしよう」

「残念なのです・・・」

 

心底残念だったのだろう、明命はグスッと鼻を鳴らすとパフェを小さく取って俯いて食べる。

悪い事したなぁと思わずには居られないその光景だったが、浅い傷で済む内に伝えられたと思うことにした華琳だった。

 

「そういや、前に言っていた旅行の相談と言うのはこの事か?」

「へ? うん、そうだよ?」

「何処に行くのか聞いてみても良いか?」

「えー、絶対月と雪蓮に伝わって邪魔するからダメ」

「だよなぁ・・・」

 

ふぅ。と溜息を溢すと冥琳は眼鏡を外して眉間を揉む。

そうしている内に華琳の分のパフェが届いたが、心底落ち込んだ様子の二人を見ているとどうにも気分が上がらない。

 

「わ、わー!豪華なパフェだー!」

「なんだかしょっぱいのです・・・」

(悪気はない!悪気はないの!)「ね、ねー冥琳!この後どうするー?カラオケでも行く?」

「今そんな気分じゃない・・・」

(落ち込んでるだけだから!!悪気はないから!!)「・・・いただきまーす」

 

もそもそとパフェを食べ始めた華琳だったが、全く持って味がしない。

この後ニコニコ顔の月が乗り込んで、三人分のフォローに回る事が予想できたなら直ぐに華琳は席を立っただろう。

 

 

「ねぇ華琳ちゃん、八つ当たりしていい?」「直球?!」

「華琳さん、さっぱりしたいので髪切らせてください」「私の?!」

「なぁ華琳、生爪はがしていいか?」「なにゆえ?!」

 

華琳逃げて!!胃に穴が空く前に逃げて!!

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言い訳

 

合コン編なのにオチが華琳様担当なのは仕様です。

いつもいつも風ちゃんには苦労を押し付けていますので、今回は良い目を見させてみました。今回限りでしょうけど。

 

いつもいつもワンパターンな華琳逃げて!!なので、今回はちっと捻ってみました。あんまり逃げて!!感がないですけど。

何事も挑戦するのが大事ですよね、うん。

 

言い続けていた合コン編も一応書けましたので、これで残すは水着選びとプールだけになりましたね。

たった二作なのに、萌将伝までに終わりそうにありませんね。それも仕様です。

 

登場キャラが大分固定されてきたので、此処に書くことが段々無くなってきました。どうしよう。

 

あ、白蓮を登場させてみたよ!!名前だけだけど!!

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お礼感想(なにか 17)

 

Will-Co21様  諦めんなよ!!俺だってこのマイナス(ry

       自分の勝手な妄想で、正規華琳を見たときの違和感が酷そうです。まずい。

 

Kito様    真っ赤になったほっぺたと、少し出た鼻水が装備されればそのままルート突入ですね。

 

景様     雪蓮はともかく、どうして秋蘭はこうなったのか、自分の脳味噌に問い詰めたい。

 

jackry様   今回は奇跡的に(肉体的には)無傷です。心の被害がどうかは知りませんが。

 

zero様    思春と華琳は全く持って予想外の人気でした。別世界の翠は完全に私の好みです。ヤバイかてねぇ。

       合鍵はもう既に秋蘭にはバレてます。かーなしみのー

 

asf様     華琳は動かし易い良い子です。可愛いのは元がいいんですよ。

 

HIRO様    その原因はドSな作者にありますね。ごめんよ皆。

 

風籟様    つ【天国へのパスポート】

 

はりまえ様  そんな、明るく楽しい馬鹿SSなのにっ!!

 

裕様     桃香の出番はこの後です。書くかどうかと聞かれたら鼻歌歌ってごまかしますけど

 

poyy様   ホントに何でこんなに華琳人気あるんだろう。

 

リョウ流様  個人的には雪蓮にはブラ○ル水着を着て戴きたい。此処で書くと追放されますががが

 

happy envrem様  ファンの数+好感度=死亡フラグ  新しい方程式北!これでかつる!!

 

ルーデル様   セ○ム(の意味)、ありますか?

 

Ocean様   そろそろ華琳様はセレブ組から飛び出て武者修行の時期にさしかかりますね。

 

達様    順番前後しました。月と風が出ました。あれ、作文?

 

宗茂様   お薬ないですねー

 

tyoromoko様  華琳様大活躍。コメディ色を与えても輝ける辺り、流石は奸雄ですね!!

 

masa様   俺には、待ってくれている人がいるっ!

 

samidare様  そんなに褒めてもさいどめにゅ〜が増えるだけだぞぅ?

 

叢 剣様   多大な評価、有り難く受け止めます。いや額面通りに受け止めるほどツラの皮厚くありませんよ?

 

悠なるかな様  どの子にも共通してますが、ルート突入=小姑五人確定です。息つく暇もありゃしない。

 

カズト様   終わりの始まり、始まりの終わり。

 

ちきゅさん様  きっと華琳様は「なにか」におけるメタ○ラ的な存在なんです。無論今考えました。

 

2828様   お嬢に有るまじき耐久性!!そこに痺れる憧れるぅ!!

 

よーぜふ様  セレブ組一同「どこへ行こうというのかね?」 ですね!わかりません!!

 

t-chan様   いい加減対抗馬作らないと華琳ルートが正式ルートになりそうです。

 

武中様    素直クールな美人姉さんとか、他に付け足す要素が必要ないです

 

mighty様   秋蘭にはもう少し本編で一刀にデレて欲しかった。少しでいいから嫉妬して欲しかった・・・

 

kurei様   秋蘭に暴走を加えると雪蓮になり、雪蓮に姦計を持たせると秋蘭になる。うん、違和感ゼロだ。

 

 

 

私事を此処に書くのは恐縮ですが、「半挿し伝」と「設定とか」を投稿した所、(私的にですが)凄い数のお気に入り登録を戴きました。

こんな作者の作品でも読んでいただけるだけで大変嬉しいのですが、お気に入りに登録してでも読もうと思って下さる方があれだけいらっしゃったという事をとても嬉しく思ってます。

 

コメント下さる皆様にはお礼コメントを書く度に感謝しております。

読んでくださってる皆様にも感謝しています。本当に読んでいただいてありがとうございます。

いつも投稿遅くて申し訳ないです。

説明
言い続けていた合コン編。もはや恋姫SSと名乗ってはいけない気がします。どうしよう
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コメント
さすがは1級フラグ建築士。そこにシビれる、あこがれるー(happy envrem)
この「なにか」シリーズで、おいしいところを持って行っているはずなのに、でもなんだか可愛そうな目にあうそんなちょっと不憫なキャラに心惹かれるようになりました。えっ?何が言いたいかって?つまり、風可愛いよね風って話。(Will-Co21)
さすがは特級フラグ建築士・・・・全員から八つ当たりされる華琳に安定したオチの称号を(ry いやいや、額面道理に受け取ってください所詮は自己満の作品ですから(叢 剣)
フラグ無双ですね!!(HIRO)
一刀のフラグ乱立無双が止まらないwそして我らが安心(?)の華琳様オチw(kurei)
待ちに待った合コン編 まさか猪々子もいようとは 宝ケイの出所を知った月が風を…(asf)
トップアイドルさんを笑うしかないのか…。デス鬼ごっこを応援するしかないのか…。(ちきゅさん)
くそーー!一級プラグ建築士の名は伊達じゃないってか!!べ、別に羨ましくなんて無いんだからね!勘違いしないでよね!!(mighty)
あと忘れてたwww猪々子も逃げてえええええええええええwww桃香姉さんにバレたらリアルに三途の河を渡りかねないよwww(zero)
あいかわらずブレないオチ担当の華琳逃げてー!!!そして風ちゃんも逃げてえええええ!!!宝慧をプレゼントされたのが月にバレたらマジで死兆星が落ちちゃうwwwしかし姉妹一緒に旅行ですかwww恋姉ちゃんの暴走と稟姉ちゃんのドジっ子スキル、そして桃香姉さんのはっちゃけぶりで霞姉ちゃんの疲労がストレスでマッハな予感が・・・(zero)
流石は一級フラグ建築士・・・いや、一級以上では・・・。(tyoromoko)
あれよあれよという間にフラグが・・・(風籟)
合コン、来たっ!! 遂に風にもフラグ立った!! 何気に一刀のスケジュールを把握してる華琳……何も悪くないのに……(Ocean)
どこまでオチ担当なの華琳さん・・・・・悲劇から喜劇までなんでもござれってか・・・・(黄昏☆ハリマエ)
なんか及川がいい人すぎるww やっぱりオチは華琳担当ですね^^;(スーシャン)
もはや恒例w華琳さん逃げて〜〜〜w(2828)
一刀君は一体何本フラグをたてれば気が済むんだ?(poyy)
え〜、ん〜・・・キャラ設定からして既に落としまくってんのに、さらにここでも・・・ 華琳、成仏してね? (よーぜふ)
ここに来てさらにフラグ乱立とかどんだけジゴロですか!!そして、華琳さんの逃げてフラグも凄まじいですね(悠なるかな)
月あいかわらず怖!!(弐異吐)
ここの華琳は相変わらず不憫だ(KU−)
あれ?風にもフラグ立った?さすが一級フラグ建築士。白蓮はトップアイドル・・・でも一位とって話題にならないって、さすが白蓮。(景)
白蓮すごwwwやはり影は薄いのかwww猪々子と風はお疲れ様、大変だろうけど頑張って。つかGo To Hellって・・・憐れ。でもプレゼントもらえてよかったね風(*^ヮ^*)(水上桜花)
相変わらず、華琳は無自覚の被害者でサンドバッグ(ロンギヌス)
おい 白蓮さんディスってんのか!? と、んなこたどうでもいいんだけど 俺が言いたいのは周姉妹wwかわいいぞ! んで華雄姐さんは?(武中)
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恋姫のなにか 恋姫†無双 またおまえか やっぱり此処でも華琳逃げて!! 玩具と書いて舎弟と読む 

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