八陣・暗無6
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「さて、それでは今日は・・・・・・、」

「では、任務達成&特別ボーナスにかんぱーい!。」

「イェーイ!」

「こらっ!勝手に飲み始めるな!」

 軽部を抹殺し、特別ボーナスが30億入ったため、こうしてパーティーを開いていた。だがパーティーといっても、場所は風間の部屋なのだが。

「ケチるなよ。共に任務をやった仲間じゃないか。」

「そうよ、未来のハゲ。」

 飲むから付き合えという言葉に素直に従い、場所を提供し、酒も風間のお金だというのにこの二人は感謝の志が一ミリも無い。

「誰が未来のハゲだ!それに恭平。君はヘリコプターから降りてもないだろ。」

「てへ。」

 可愛らしく自分の頭を叩く恭平のポーズは、見ている者に不快感を与える。

「え!?それって、神海一人で任務に行ったってことだよね?」

「てへ。」

 同じポーズを二回やりながらワイングラスを傾ける。恭平は見た目以上に器用らしい。

「・・・・・・全く、何がてへ、だ。確かに私が来なくてもいいとは言ったものの、ヘリコプターに乗るだけでボーナスが入るなんて・・・・・・・。」

「ハゲ。」

 三度目のポーズをとるが、微妙に頭をぺチンと叩いていた。

「誰がハゲだっ!この華麗なオールバックが見えんのかっ!」

「だって和泉ちゃんが言ったんだもん。」

「・・・・・・君は小学生か。」

 呆れて、ワインを喉に通そうとしたが、

「ワックスでがちがちに固めると、頭皮を損傷。」

「・・・・・・。」

 フリーズ風間。

「やがてデコがどんどん広がり、次第に髪が全体的に薄くなります。」

「・・・・・・。」

 無言で自分のデコに手を当てる。

(・・・・・・想像以上に、広い。)

「抜け毛が目立ち、最終的にはハゲになります。ちなみに私が見たなかで白髪が少ない人程この現象は当てはまると思います。」

(私の自慢の一つ。白髪が一本も無い。)

「・・・・・・。」

「お、白髪発見。」

「ほ、本当か!?」

 以外にも嬉しかったりする自分が可愛い。

「・・・・・・ほれ。」

 プチ。

 恭平はワックスで固めた髪に手を伸ばすと、それをおもむろに引っ張った。

「・・・・・・黒いではないか。」

「ハゲに一歩前進。」

 和泉は何でもないようにただただ赤い液体を飲み続ける。

「帰れっ!」

「きゃあっ!」

「うわっ、お前、ちょっ・・・・・・っ!」

「帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ!」

 強引に二人を部屋の外に投げ、部屋にロックをかける。

 ドンドンドンドン!

 ドンドンドンドン!

 この部屋は防音対策は万全なので、何を叫んでも外からは聞こえない。

《ブ―――》《ブ――――》《ブ――――――――――――》

 カチャ。

 ブザーのスイッチを切り、完全にこの空間は無音になる。

「まったく、小学生共が。」

 そうは言ったものの、こういう時間は嫌いではない。むしろ大好きだ。

「・・・・・・そう。これは楽しい時間だ。」

 仕事を(人を殺)し、酒を飲み、幼馴染と遊ぶ。これはまさしく天国だろう。

「・・・・・・。」

 そう。まだ何も終わっていない。いや、それどころかまだ始まってもいないのかもしれない。

「・・・・・・いや、5年前に始まったな。」

 忘れない、あの月の夜。

 ハプネスの最高の医者、八陣キナラの手によって、傷は一つも残らないから古傷という言葉はない。だが、今は傷が欲しいと心から思う。

「ここまで上手くやられては、忘れてしまいそうだからな。」

 スーツの中に隠されているナイフを握ると、それを強く、強く握りしめた。

(さあ・・・・・・一体誰かな?)

「この茶番劇の黒幕は。」

 そうは言っても、現段階では何も分からない。とりあえず、有力候補の所に足を運ぶことにした。

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