真・恋姫†無双〜破界演義〜 第一章 一幕
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この外史には、オリジナルキャラや、主人公のチートじみた性能など、

真・恋姫†無双には含まれていない、副次的な要素が多数存在しています。

 

そういった要素でご気分を害される方は、

読むのをお控えくださることをおすすめいたします。

 

また、そういった要素を理解し、

受け入れられる方のみ、先へお進みくださいませ。

 

この作品によって発生する一切の要素におきまして、

当方では、一切責任を負いかねますので、ご了承ください。

 

 

 

 

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真・恋姫†無双 〜破界演義〜

 

第一章

 

         第一幕    荀衍

 

 

 

 

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"幽州啄県"

 

 

女将「おや、荀衍(ジュンエン)様、おはようございます。」

 

荀衍「おはよう、女将さん。調子はどう?」

 

女将「ええ、うちの馬鹿亭主がまぁた腰をやっちまいまして。

   店の仕込みがいくら大事だからって、長い時間同じ姿勢でいるなって、

   荀衍様からもあれほど言われてたってのに聞きゃしないんですから、もう。」

 

荀衍「あら、それはいけないわ。

   後で薬草を持って伺うから、伝えておいてね?」

 

女将「すいませんねぇ。亭主には言って聞かせますよ。」

 

荀衍「ふふ。それじゃ、後でね。お大事にって伝えてね。」

 

女将「ええ。」

 

饅頭屋「荀衍様〜!これ蒸し立ての肉まんでさ。持ってって下せぇ!」

 

荀衍「あら、ご馳走様。ありがとうね。」

 

食材屋「おう、荀衍嬢ちゃん!メンマあるぜメンマ。」

 

荀衍「ありがとう。帰りに寄らせてもらうわ。」

 

 

町の大通りを、荀衍と呼ばれた女性が歩いていく。

彼女の名前は荀衍休若(キュウジャク)。

ここ、啄県の県令を務める若き俊英である。

もともと冀州の袁紹のもとで文官として働いていたが、

基本的に自己中心的で民を省みない袁紹に見切りを付けて退官した。

軍事に関わるような仕事の才は悲しいほど無いが、

内政に関わる才はどんな優秀な文官よりも頭一つ突出しており、

そのせいか、幽州の者たちからは名政姫(メイセイキ)などと呼ばれていて、

県令の便宜と取り計らってくれた州牧の公孫賛や、啄県の民たちからの信頼は厚い。

そんな彼女が直接治めるこの町は、特によく賑っていた。

 

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荀衍「ふぅ、このくらいでいいかしら。」

 

 

町を出た荀衍は、そのまま町から少し離れた森にやってきていた。

籐の籠を片手にもって、時々道端でしゃがみ込み、何かを摘んでいる。

その籠に入っている野草たちからみて、薬草の類を摘んでいるのだろう。

 

 

荀衍「さて、そろそろ戻りましょう。

   近々ェ(シン)が遊びに来るって言ってたし。

   政務を残していたら、碌に話も出来ないだろうしね。」

 

 

薬草集めに区切りを付けて、町への道を引き返す荀衍。

定食屋の旦那さん、大丈夫かしら?と考え事をしながら、鼻歌交じりに歩いていく。

 

 

荀衍「〜♪」

 

ヒゲ「おい、そこの嬢ちゃん。」

 

荀衍「? はい、なんでしょう?」

 

 

町へ帰ろうとしていた荀衍に、後ろから声がかけられる。

それぞれ、ヒゲ面・チビ・デブ、といった特徴の三人だ。

荀衍が振り返ると、そこには三人の男がいやらしい表情を浮かべて立っていた。

あからさまに体をじろじろ嘗め回すように荀衍を見つめている。

荀衍は体を抱くようにして後ずさり、警戒心を露わにする。

 

 

ヒゲ「へぇ、こいつはべっぴんさんじゃねぇか。」

 

チビ「儲けもんでしたね、アニキ。」

 

デブ「そ、そうなんだな。」

 

 

男たちはニヤニヤしながら言葉を交わすと、荀衍に近づく。

 

 

荀衍「こ、来ないでください。私を幽州琢県の県令と知っての狼藉ですか!」

 

ヒゲ「はぁん?」

 

チビ「関係ねぇなぁ!これから一生、俺たちに慰み者にされる女の素性なんてよ!」

 

 

男たちが、荀衍を捕まえようと寄ってくる。

が、それよりも一瞬速く、籠を庇うように抱きしめて、荀衍は駆け出した。

それを逃がすまいと、男たちも荀衍を追って走り出した。

 

 

??「………。」

 

 

彼らが出て行った森の中から、何者かが出てくる。

影は荀衍たちの様子を少し見つめた後、首を一度かしげ、

肩をすくめた後、目視し難いほどの速さで走り出した。

 

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逃げる荀衍に、追う男たち。

いつしか森を抜けて平地に出たが、まだ町までは距離がある。

荀衍は必死になって走るが、特に武の心得があるわけでもない、

すぐに体力がなくなって息があがり、少しずつ失速していく。

ここまでか、と諦めかけた荀衍のすぐ横を、影がすり抜けていく。

 

 

チビ「ほらほらぁ、捕まえっちまうぞ〜!?」

 

デブ「つ、捕まえどぅぶ!?」

 

荀衍&男たち『!?』

 

 

突然、太った大男が、その巨体にも関わらず5mほども吹き飛ばされた。

そのまま地面に落ちて擦るように転がった後、ようやく巨体は止まった。

うつぶせの状態で転がった男は口角から泡を吹いている。気絶したようだ。

残る男たちと荀衍は、何が起きたかわからず足を止めて呆然としている。

 

 

??「大の男が三人がかりで女の子を追い掛け回すとか、

   どんだけ情けないのかって話ですよ、あんたら。

   ほら、あとの二人、キッツイ灸据えてやるから、まとめてかかってこい。」

 

 

荀衍と男たちの間に、いつの間にか違う男が立っていた。

白い陽の光を反射する神秘的な衣服を纏った、不思議な青年だ。

両手に、竹でつくられた剣の形を模した棒を握っている。

まるで光を纏っているような、神秘的な青年の姿。

荀衍は、男の背をポーっとした仄朱い表情で眺めていた。

 

 

チビ「てっめぇ、よくもデクを!」

 

ヒゲ「なんだお前は!」

 

 

仲間をやられて興奮した二人が、つばを撒き散らしながら怒鳴る。

対して、青年は飄々とした態度で返す。

 

 

??「いいからさ、御託ペラすかしてないでさっさとかかって来いよ。

   それとも、なんだ。仲間がやられちまったもんで怖気づいたかよ?」

 

チビ「てめぇ!竹の棒振り回してるだけのガキが、調子にのるんじゃねぇ!」

 

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<< 戦闘開始 >>

 

_ 戦闘形式 : 一騎打ちモード

 

_ 白服の青年 VS ヒゲ面の男 & 小男

 

 

青年の挑発にキレたチビが腰の剣を抜いて青年に襲い掛かる。

上段から振り下ろされる剣を、青年は左手の竹刀で受け止める。

その隙を狙うように、ヒゲの男が青年の背中に剣を振り下ろす。

それに対し、青年は落ち着いた動作で右脚を後ろに振り上げ、

振り下ろされる剣の柄尻を蹴ることで、ヒゲの男の剣を弾き返す。

そのままの流れで後ろに伸ばした脚を曲げながら前に突き出す。

 

 

チビ「っがぁ!?」

 

 

その膝はチビの腹に深くめり込み、たまらずチビは体を折る。

チビの手放した剣が食い込んだままの左の竹刀を放り捨てる。

前のめりになったチビの顎を、再び振りかぶった右脚で蹴り上げ、宙に浮かす。

すぐさま青年は右脚を地につけ、反時計回りに半回転、チビに三度蹴りを入れる。

 

 

チビ「ぎゃぁあああ!!」

 

 

宙に浮いた状態で鳩尾に後ろ回し蹴りを食らい、チビは白目をむいて吹き飛ぶ。

勢いに乗って地面を転がり、その先に転がるデブに衝突、チビは気絶した。

 

 

Announce >> 小男→戦闘不能 _

 

 

回し蹴りの流れで振り返った青年は、再び振り下ろされるヒゲの男の剣を、

左前方に踏み込みながら、半身を逸らすことで紙一重で回避。

今や一本となった竹刀を両手で握り、下段からヒゲの男の顎を狙う。

ヒゲの男は、自らの振った剣と腕を伝うように登ってくる竹刀を、

上体を無理に逸らしつつ、わざと膝を折ることで回避する。

 

 

ヒゲ「っらぁ!」

 

??「っひゅ!」

 

 

転じて、振り下ろされた剣を青年の体めがけて切り上げるヒゲの男。

振りかぶるその勢いを利用して、膝を突いた姿勢から立ち上がる。

対する青年は、右脚を地面に滑らせながら横に大きく開き、同時に体を左に倒しつつ、

左膝を曲げることでヒゲの男の逆袈裟の下をくぐるように回避する。

二人とも、ここで見切りを付けて、後ろに跳ぶことで距離をとる。

 

 

??「やるねぇ、おっさん。たいした腕だ。」

 

ヒゲ「お前もな、孺子(コゾウ)。ついでに、俺はまだ二十代だ。」

 

 

掛け合いもそこそこに、二人は構える。

青年は、柄頭と柄尻を握り、竹刀をまっすぐに立てる蜻蛉(トンボ)の構え。

ヒゲの男は、左手をまっすぐ突き出し、それに添えるように剣を寝かす突きの構え。

二人は構えを取ったまま、微塵も微動だにせず停まる。

緊張感あふれる光景に、見ていた荀衍がつばを飲み込んだ、その瞬間。

 

 

ヒゲ「ウィェエエヤァァアアーーーッ!!」

 

 

ヒゲの男が走り出し、青年の喉を狙ってまっすぐに突きを放つ。

対する青年は、ヒゲの男が有効射程に入るまで落ち着いた様子で静観し―

 

 

Action!! >> 『Atack Skill』→【示現北星流・風鳴き蜻蛉(カゼナキトンボ)】

 

 

??「チェストォォォオオオーーーッ!!」

 

キィィィィィィイイイイイイイイイイイ!!!!

 

 

有り得ない速度で振り下ろされた竹刀に切り裂かれた風が悲鳴をあげる。

弐の太刀いらずの一刀必殺、示現の蜻蛉から繰り出された剣戟は、

喉許を食い破らんと迫ったヒゲの男の剣を正面から叩き落し、粉々に粉砕した。

振り下ろした竹刀を止め、青年はそのまま突き出してヒゲの男の喉許で寸止めする。

 

 

ヒゲ「…まいった。オレの負けだ。」

 

 

Announce >> ヒゲ面の男→戦意喪失 _

 

勝者 : 白服の青年

 

<< 戦闘終了 >>

 

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ひと波乱あった後、ヒゲの男は胡坐(アグラ)をかいて地面に座り込んでいる。

チビとデブの男たちも起きて、ヒゲの男にならうように座っている。

ちなみに男たちが持っていた剣は、鞘に収められて青年の足元に転がっている。

 

 

??「さて、おっさんたち。あんたは俺に負けたわけだが。」

 

ヒゲ「ああ、煮るなり焼くなり、殺すなり好きにしろぃ。」

 

 

そういったヒゲの男を筆頭に神妙な態度を取る男たち。

隊長格らしいヒゲの男の態度が従順なためか、他の二人もおとなしく従っている。

 

 

??「なんてこと言ってるけど、君はどうしたい?」

 

荀衍「えっ?」

 

 

青年に急に話しかけられ、未だに若干呆けていた荀衍は聞き返す。

青年は、荀衍の行動を特に気にした様子も無く、

聞き取りやすいようにゆっくりと言いなおす。

 

 

??「だから、こいつらの処遇、どうしたいかな?」

 

荀衍「あ、えっと、こうして何も被害がなかった事ですし、特になにも…。」

 

 

本来なら、県令に手を出して無罪放免なんてことは許されるべくもないことだが、

まだまともな思考が復帰していない荀衍は、とんちんかんな答えを返す。

 

 

??「そうか。それじゃ、俺からあんたたちに聞きたいことがある。」

 

 

青年が言うと、すぐにチビが反応して青年に突っかかっていく。

 

 

チビ「なんでオレたちがお前の質問に答えなきゃ…!」

 

ヒゲ「チビ。」

 

チビ「! …わかったよ、アニキ。」

 

 

ヒゲの男に諌められ、チビはおとなしくなる。

それを確認すると、ヒゲの男は青年に謝罪して言う。

 

 

ヒゲ「俺たちはアンタに負けたんだ。アンタにも権利はある。

   何が聞きたいんだ?俺たちに答えられることなら答えよう。」

 

 

それを眺めるようにしばらく見ていた青年は、

溜息をつくと、男たちに質問した。

 

 

??「あんたら、なにが目的だったんだ?

   見ててわかったけど、最初からあの子を襲うつもりなかっただろ?」

 

全員『!?』

 

 

青年の言葉に、荀衍はもちろん、男たちも驚く。

ヒゲの男は、硬い表情で青年に返す。

 

 

ヒゲ「何を根拠に、そんなことを言っている。」

 

??「俺、少し見てたんだよね。

   あの娘をジロジロ品定めしてるみたいに見せながらも、

   どこか自己嫌悪してるみたいな表情をしてたし。

   逃げてるあの娘を追いかけてるときも、捕まえようとする気配が無い上、

   あの娘がばててきたら『捕まえるぞ』ってそそのかしながら困った表情してたし。

   さっき戦った時も、あの娘を人質に取ることだってできた筈だろ。

   それもせずに正面から俺の相手をしていた。

   あと、剣を交えた感じ、女の子を強姦するような人には感じなかった。

   なぁ、何か事情があるなら話してくれないか。

   俺で良かったら力になるからさ。」

 

ヒゲ「…ふっ。

   嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか…。」

 

 

そういうと、ヒゲの男は俯いて黙り込む。

チビとデブの男たちも、バツのわるい顔で目を逸らしている。

青年も、質問をしたきり口を開かない。

荀衍も、場の雰囲気に飲まれて口を開けない。

やがて、ヒゲの男が口を開いた。

 

 

ヒゲ「俺たちの村がよ…。」

 

チビ「! ちょ、アニキ!」

 

デブ「い、言っちゃうんだな…?」

 

ヒゲ「良いんだよ。このお方は信用できる。

   俺だって、いつかどこかに仕官して武官として名を上げようと鍛えたもんだ。

   その俺の武人としての血が、そう言ってる。」

 

 

ヒゲの男の言葉に、二人はしぶしぶだが頷く。

それを見て、ヒゲの男は再び語りだす。

 

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つい先日、俺が修行のために山篭りしてた時だ。

 

俺たちが暮らしていた村が、賊の襲撃を受けて壊滅した。

 

俺たちが村に戻って聞いた話しだと、

 

すぐに県令に兵を出してくれるよう願い出たが一蹴され、

 

それでも食い下がったものはその場で首を刎ねられたそうだ。

 

結局兵は出してもらえず、俺たちの村は賊に攻め滅ぼされた。

 

そのままの勢いで、賊は県令の町にも攻め込んだらしくて、

 

すぐさま県令は町の防衛もせずに兵を連れて逃げ出そうとしたらしいが、

 

それも間に合わずに、あっという間に捕殺されたそうだ。

 

ははっ、いい気味だ。

 

幸いなことに、俺たちの村はそれなりの大きさだったからな。

 

それこそ大勢殺されたが、戦える男手はまだ多く生き残っていたんだ。

 

だが、多くの女子供は乱暴された挙句殺され、食料も財産も根こそぎ奪われた。

 

何もかも奪われた俺たちは、絶望の中、これからどう生きていくかを話し合った。

 

その時、誰かが言ったんだ。

 

『俺たちは奪われたんだ。なら、俺たちも奪ってやる。』

 

その言葉を聞いた瞬間、心を何かに掴まれたような気がしたんだ。

 

とっさに俺は左手に短剣を突き刺して正気を保った。

 

その後、すぐにチビとデクの頬を張り飛ばして正気に戻した。

 

だがそこで、他の連中は賊になることを決めたみたいなことを言い始めたんだ。

 

当然すぐに俺やチビ、デクは反対しようとしたんだが、

 

その時の仲間たちの目は、もうおかしなくらい狂気に染まっていた。

 

いったい何がおこっているのか把握しようと周りを見てみると、

 

この蜂起を先導しているヤツが居たんだ。

 

まるで村の仲間のように振舞っていたが、あんなヤツは村で見たことがない。

 

アイツが仲間たちをおかしくしたんだとすぐに判った。

 

そして、デクが思い出したんだ。

 

俺たちの村を襲った賊の中に、アイツがいたことを。

 

俺たちは、みんなを放っておく訳にもいかねぇからよ、

 

その賊の男に、俺たちが正気に戻ってることを悟られないように、

 

行動や言動に気をつけながら、しばらくそのまま村に残った。

 

紛れ込んで、これからの行動について話を聞けば、

 

先回りして仲間が馬鹿やらかすのを止められると思ったんだ。

 

そのまま話を聞いていると、例の男はこういいだした。

 

『賊たちは悪くない。彼らも奪われて、仕方なく賊になったんだ。

 全部朝廷が悪いんだ。実際、ここの県令は助けてくれなかっただろう。』

 

確かに県令は俺たちを助けちゃくれなかったし、悪いってのも納得できる。

 

だが、だからって俺たちを襲った賊が悪くないってのは、そりゃおかしな論法だ。

 

だが、正気じゃない仲間たちは、それに納得しちまった。

 

そして、すぐ近くの県令のいる町を襲うことになった。

 

つまり、ここ。啄県の町のことだ。

 

腐った県令なら、まぁ放っておいてもいいか、とも思えたんだろうが、

 

啄県の県令の評判は俺も聞いてたからよ。

 

このまま見過ごすわけにもいかねぇ。

 

だが、ありのまま話しても受け入れられるような話じゃねぇ。

 

だから、俺たちが連中よりも先に県令の嬢ちゃんを怪我させない程度に襲ってよ、

 

うまくして、町全体を警戒態勢にさせられねぇか、って考えたんだ。

 

下手すりゃ、俺たちはつかまって処刑されっちまうだろうが、

 

仲間たちを外道に落としちまうよりはマシだって思ったんだ。

 

これが、今回の騒動のあらましだ。

 

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??「………。」

 

荀衍「………。」

 

男たち『………。』

 

 

ヒゲの男の説明が終わり、その場に長い沈黙が横たわる。

 

 

??「あんたたち、名前は?」

 

ヒゲ「…姓を廖、名を化、字は元倹だ。」

 

チビ「姓を張、名を松、字は永年。」

 

デブ「姓は王、名は平、字は子均なんだな。」

 

 

青年は、少し驚いたような顔をした後、口端を吊り上げる。

 

 

??「!…へぇ、面白いね。

   それで、君。君の名前は?」

 

荀衍「…あ、はい。私は荀衍休若といいます。」

 

??「っはは!なるほど、これはいいや!」

 

 

突然笑い出した青年に、周りは理解が追いつかず呆気に取られる。

少しして、青年は笑いを止めると、全員に語りかけた。

 

 

??「そいつらは、町に来るまでにどれくらいかかる?」

 

廖化「ま、まだ準備も始まらないうちから抜け出してきたから、

   準備が終わって町に来るまでで、今日から五日ほどかかる。」

 

??「数はどれくらい?」

 

張松「村の生き残りは俺たちを抜いて214人。

   そのうち戦力になるのは、多く見積もっても122人だな。」

 

??「なるほど、編成とかはわかるか?」

 

王平「村には戦に使えるような馬はいなかったんだな。

   弓矢なんかも無かったし、みんな歩兵だと思うんだな。」

 

??「結構。それで、荀衍?」

 

荀衍「はっ、はい!」

 

??「このままでは、君の町も、彼らの村と同じ目にあってしまう。

   彼らの村の村人たちを、彼らの家族を助けたい。

   奪われて、その上で奪う側に回るなんて悲しすぎる。

   それが、操られているなら尚更だ。

   頼む。どうか、手伝ってくれないか?」

 

荀衍「え、ええ。

   こちらこそ、手が大いに越したことはありませんし。

   よろしくおねがいします。」

 

廖化「俺もついて行くぜ、旦那。

   この命、あんたに拾われたようなもんだ。」

 

張松「お、俺もだ!よろしく頼むぜ!」

 

王平「な、なんだな。」

 

 

青年は振り返り、荀衍が真っ赤になるような魅力的な笑顔で言う。

 

 

一刀「ああ!

   俺の名前は北郷白狼(ハクロウ)。真名は一刀だ!

   みんな、よろしくな!」

 

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あとがき

 

書き直した作品を実験的にあげてみました。

いかがだったでしょうか。

前より面白くなったと感じていただければ幸いです。

 

えー、友人から「作品、長すぎ。読みつかれる。」との意見を貰ったので、

章を小分けにしてあげていく方針にしようと思うのですが、いかがでしょうか。

見やすいですか?

 

戦闘シーンはゲームみたいというか、

機械的?みたいな演出にしてみましたが、どうでしょう。

読み難いようでしたら、変えていきます。

好評なようでしたら、要所要所でこんな感じの戦闘を挟もうと思います。

 

 

今回の演義、第一章における主人公は、ご存知『北郷一刀』くんです。

幽州啄県が舞台なところでお察しいただけるかとはおもいますが、

一刀くんの配置は蜀√です。

当然、彼女たちも登場しますので、お楽しみに。

 

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<< 技紹介 >>

 

◆示現北星流

 

 風鳴き蜻蛉 (カゼナキトンボ)

 

 一刀必殺を掲げる示現流の太刀を、

 北星流に添う形に強化した基本的な技。

 超高速で振り下ろされる剣により切り裂かれた風が、

 まるで悲鳴をあげているかのような音を立てることから、

 "風鳴き"と冠されたという。

 

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<< オリジナルキャラ紹介 >>

 

◆名政姫

 

 荀 衍 休若 (ジュン エン キュウジャク)

 

 武器:なし

 

 武力:24(一兵卒で45)

 智力:79(一般文官で60)

 統率:68(一般将で55)

 政治:99(州牧でも70くらい)

 

 現啄県県令。荀ケの血のつながった実の姉。

 武に関しては劉備にすら劣るほどの戦下手。

 智に関しては兵法書などは読みこそしたが、軍略などはからっきし。

 ただひとつ、内政に関しては驚異的なまでの敏腕振りを誇る。

 その腕前たるや、諸葛亮・鳳統らをして感服せしめる。

 その処理速度と的確かつ効率的な判断は、

 劉備陣営の柱石として数えられるほどである。

 

 

◆関羽隊副将

 

 廖 化 元倹 (リョウ カ ゲンケン)

 

 武器:曲刀(思春の鈴音をシンプルにした感じ)

 

 武力:58

 智力:32

 統率:61

 政治:14

 

 賊に村を滅ぼされ、村の仲間も賊に落ちようとしている事実を憂い、

 自信を犠牲にしてもそれを止めようとした漢。

 見た目のイメージは原作にでてくる小悪党の親玉。

 正面対決で一刀に敗北し、以後一刀に付き従う。

 史実において、黄巾党に所属していたが関羽に降り、

 それからはひたすら関羽の副官として一戦で戦い続けた。

 黄巾党の時代から蜀が滅びるまで前線で戦い続けた立派な英傑。

 

◆超記憶力

 

 張 松 永年 (チョウ ショウ エイネン)

 

 武器:標準鉄剣

 

 武力:37

 智力:83

 統率:41

 政治:58

 

 賊に村が襲われたときにその場に居たにも関わらず、

 隠れて震えることしか出来なかった事を悔い、

 何か出来れば、と廖化と共に行動していた。

 見た目のイメージは原作に出てくる小悪党の小男。

 史実において、曹操の下へ使者として出向いた際に、

 容姿の悪さなどを馬鹿にされたため、

 曹操の目の前で『孟徳新書』を一字一句間違えずに、

 完璧に暗唱して見せたほどの記憶力の持ち主。

 

◆堅牢強固

 

 王 平 子均 (オウ ヘイ シキン)

 

 武器:強化鉄槍

 

 武力:53

 智力:42

 統率:57

 政治:31

 

 賊に村を襲撃された際に木戸と鍬を持って戦い、

 賊が撤退するまで戦い続け、生き残った男。

 見た目のイメージは原作に出てくる小悪党の大男。

 史実において、王平の辛言も聞かずに暴走して敗走した馬謖の撤退を、

 自身が留まることで追撃の手を緩めて全滅するのを防いだり、

 十万の魏軍の襲撃を留め続けて援軍と共に撃退して見せるなど、

 撤退戦、防衛線に優秀な戦績を残す、堅実な将である。

説明
とりあえず、書き直しの作品を試験的にあげてみました。
名目上、新シリーズとして名前を変えてあります。
感想とか、指摘とか、もらえると嬉しいです。

なお、旧作・覇天之演義は、
面白いといってくださっている方々もおりますので、
お気に入り限定で、公開を維持しようと思います。
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コメント
アカスズさん>ありがとうございます。鋭意制作中ですので、おたのしみにw(FALANDIA)
とても面白くて一気に読んでしまいました。このあとどのような展開になるか楽しみにしています。(アカスズ)
zendoukouさん>この作品は主人公二人の予定で作っております。これは一刀と葎の二人ですね。湊瑠は舞台を引っ掻き回す道化なので、重要な役割は持っていても彼を主人公とした話の展開は・・・無いと思います・・・よ?都合、一刀だけではないのですが、どうかご了承ください。(FALANDIA)
覇天之演義は主人公?的立ち位置のキャラが多かったので、北郷だけで進めてほしい(zendoukou)
hokuhinさん>しかし、あの三人組はあれでキャラとして立ってるほうですから、ある意味ハムさんよりもキャラ立ちしっかりしてると思いますよw(FALANDIA)
西湘カモメさん>次の幕でやや時間を巻き戻した話を載せる予定です。といっても、作品の調整が終わってからですので、やや時間がかかります。申し訳ないです・・・;(FALANDIA)
sink6さん>評価ありがとうございます。いやぁ、あの戦闘シーン濃密に書けば書くほど現実的には実は一瞬、みたいなことになるんですよねw 一挙手一投足まで書くのは大変です;(FALANDIA)
あの三人組が仲間になるSSは珍しいな。(hokuhin)
真名を一刀と名乗ったからには、それを教えた存在がいると思いますが?(西湘カモメ)
・・・・まさか三人が将とは;;これは面白いw 戦闘描写も面白いですね 続き楽しみです(sink6)
ガブリエル三世さん>一刀の降臨自体は少し前でして、次の幕で書く予定です。(FALANDIA)
ルーデルさん>戦闘シーンが好評でよかったですw彼らは基本的に反董卓連合後に輝く人たちなので、しばらくは空気になるかもしれません;なんとか救済できないか頑張ってみます。(FALANDIA)
これはもともと一刀が外史の世界に居た設定なんですか?面白かったです(ガブリエル三世)
面白いです!!戦闘シーンはみんな描写が分かりやすいしチビデクアニキの三人が名のある武将とか続きが楽しみですw(ルーデル)
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