読書の秋
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「るんる〜ん♪」

 リリスが本を片手に上機嫌な様子で図書室から外へと飛び出ると、幸運と言うべきか、真下に意中の人物を発見した。

「あっ!流水音流水音!!」

「ん?あっ……リリスじゃない。どうしたの?」

 流水音は上を見上げ、不思議そうに言う。

「え、えっとね……リリス、流水音にお願いがあるんだけど……」

 リリスは重い本を持ったまま、慎重に流水音の元へと降りていく。

「この本、読んでほしいの」

「読む……って、あんたが自分で読めばいいじゃないの」

 流水音は嫌そうな顔をしてリリスの願いを却下する。

「イヤなのイヤなの!!流水音じゃなくちゃダメなの!!」

 リリスは首をぶんぶんと横に振り、本を流水音の前に突き出す。

「あたしじゃなくちゃダメって……どうして急に本なんか読む気になったわけ?」

「だって、読書の秋なの」

「読書の秋、ねぇ……」

 流水音はリリスから本を受け取り、パラパラとページをめくる。

 途端に流水音の表情が引きつった。

「あんた……なにこれ?」

「だから、本なの」

 リリスはにこやかに微笑みながら答える。

「そうじゃなくって……どうやって読めって言うのよ?」

 流水音は表情を引きつらせたまま、開いたページをトントンと指差す。

 それはどこからどう見てもピアノの譜面であった。

「流水音が読めないはずないの。リリスに聞かせてほしいの」

 リリスは目を輝かせながら、期待に満ち溢れた表情で流水音を見つめる。

「あんた……音の妖精でしょうが?何で自分で読めないのよ?」

「リリス、流水音に読んでほしいんだもん」

「しょうがないわねぇ……」

 流水音は頭をかきながら読み始めた。

「えーっと……『ミ』『ソ』『ド』……」

「そんな読み方イヤなの!!流水音意地悪なの!!」

 途端にリリスは抗議の声を上げた。

「だってあんたがコレ読めって言ったんじゃない」

 流水音は苦笑しながらリリスを見る。

「ここじゃイヤなの!リリス、音楽室で流水音の朗読聞きたいの!!」

 リリスはムッとしながら流水音をにらむ。

「……ったく、しょうがないわねぇ……」

 リリスの駄々に負けた流水音は大ききくため息をついた。

「わかったわよ。これ、弾けばいいんでしょ?」

「えっ!?弾いてくれるの!?」

 途端にリリスは満面に笑顔を浮かべた。

「まったく……あんたには負けるわ。弾いてあげるわよ」

「わーいわーい!!流水音ありがとなの!!だから流水音大好きなの!!」

 リリスは流水音の周りを飛び回り、喜びを爆発させる。

「ホント、しょうがないわね……じゃ、行くわよ」

「うん!」

 流水音は苦笑しながらため息をつくとリリスと共に音楽室へと向かった。

 そしてリリスは、とても幸せな放課後を過ごすことになるのであった。

説明
Lの季節の湖潤リリスの物語です。秋と言えば読書の秋、でもって、リリスが本を借りたらどんな行動をするのか、想像して書いてみました。やっぱりリリスといえば「おねだり」ですよね♪
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Lの季節 湖潤リリス 妖精  読書 鈴科流水音 ピアノ 音楽  

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