真・恋姫無双紅竜王伝赤壁合戦編C〜舞人(?)大量発生〜
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「というわけでみなさん、いま我々は孫家の本拠地・建業にいるわけですが―――」

「真桜、お前誰に向かってしゃべっているんだ?」

「みなさんって誰のことだよ?」

建業城下の宿屋に潜伏している舞人達。明後日の方を向きながらひとりで喋り出した真桜に凪と淡雪がツッコミを入れる。

「しかしよく潜入なんてできたな・・・」

「そーだよなー、特にウチの大将なんて孫呉の重要人物達と長い付き合いなのになー」

「うんうん、桂花の妙案がウチらの作戦を可能にしたなぁ」

その『大将』―――変装の一環で髪を黒く染めた漢軍大将軍織田舞人は壁に寄りかかってなにやらたそがれていた。

「俵・・・俵なんて嫌いだ・・・狭くて暗いのなんてもうごめんだ・・・」

事態は少しさかのぼる―――

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「電撃作戦?」

「そうよ」

定軍山からの帰還後、荊州の樊城の救援に向かう華琳と別れる直前に開いた軍議で華琳が提唱した策を舞人はオウム返しに聞き返した。

「恐らく敵の連合軍は荊州の地で我らに決戦を挑んでくるでしょう。私達の経験が少なく、敵―――特に呉軍が百戦錬磨を誇る船戦で」

「樊城救援に成功し、劉綜殿を味方にすれば荊州水軍が我らの味方になりますが、将の質や兵の錬度、数からいっても敵軍の水軍に一日の長があります。もちろん我ら軍師も最善を尽くしますが、兵士たちが船戦に慣れるというのはさすがに知恵を絞っても難しい・・・敵軍に我らに匹敵する軍師衆がいるとあれば、我らも最悪の事態を考えねばなりません」

最悪の事態―――すなわち、自軍の敗北。

「だったら、『最悪』を『最善』・・・とまではいかずとも、『次善』くらいに変えればいいと思ったのですよ〜。そこでまずお兄さん達には、ちょっと建業城まで行ってもらいます〜」

「ちょっと待てぃ!」

簡単なお使いを任せるかのように言ってくれた風に、舞人が抗議の声を挙げる。

「風!お前『ちょっと肉まん買ってきてくれ』みたいに言うな!・・・それにだな、建業の町には俺の知り合いが結構いるんだ。孫呉の将たちとも昔からの知り合いだし、侵入するなんて難しくないか?」

孫家三姉妹の母・孫堅に仕えていた舞人。彼女が討ち死にするまで孫家の治める土地で暮らしてきたのだ、10や20の知り合いがいる。さらに最近の舞人自身の活躍や大将軍という肩書も手伝って、兵士見習いの少年少女まで紅の長髪の男=舞人だという事は知っている。

「馬鹿じゃないの?」

「いきなり罵倒されたのが気にかかるが・・・桂花、やっぱり何か案があるんだな?」

「ええ。この荀文若の辞書に『不可能』の三文字はないわ!」

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「・・・それで、お前らが行商人の一団に化けるのは分かる。だけどなんで俺が米俵の中に入れられにゃならんのだ!?」

怒りが込み上げてきたのか、ワナワナと拳を震わせる舞人。桂花が提示した策とは『霞達が行商人の一団に化け、呉の兵に顔を覚えられている可能性が高い舞人は荷物の中に隠れる』といったものだった。

・・・まぁ、彼を俵に入れるくだりは桂花の個人的な意思が入っている気がしないでもない。

「まぁまぁ、それで潜入出来たからええやないか」

「そりゃまぁそうだが・・・桂花、いつか一回泣かす!」

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舞人が桂花への恨み節を炸裂させていた頃、呉軍諜報部隊を統括する明命のもとには奇妙な情報が入ってきていた。

魏軍の本隊は連合軍と雌雄を決すべく、荊州を南下している。その他にも別動隊として長安城に南鄭城の魏延や涼州の馬家の残党に対する抑え部隊や?の北に展開している異民族に対する抑え部隊、徐州に展開している孫呉の陸戦部隊に対する抑え、そして許昌に残る部隊。そのいずれにも―――

「牙門旗が『黒地に金糸の蝶』・・・舞人さんの旗が掲げられている?」

「は。各部隊にも織田舞人らしき紅の髪の男がいますが、いずれも影武者・・・本物の行方はわかっておりません」

「・・・わかりました。舞人さんの捜索を続行してください」

「御意」

説明
赤壁合戦編4話です。潜入した経緯が少々情けない気がしないでもないかも・・・
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コメント
米俵・・・皆の大切な糧となってしまったかw(深緑)
執筆お疲れ様です。米俵w確かに桂花ならそう言う意味で言いそうですが・・・霞は大丈夫なんですかね?他国の将軍も大将軍の次にはバレ易いと思いますが・・・ 次作期待(クォーツ)
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