いもうと達!
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「はぁ……お姉ちゃん。今頃何してるのかな?」

「なになに? 大好きなお姉ちゃんを想って黄昏ちゃってるの?」

「……悪いの? 私がお姉ちゃんの事を想ってたらいけないの?」

 ちゃんと勉強についていけてるかとか、ご飯食べられてるとか、悪い虫に声をかけられて

いないかとか色々と心配して何が悪いのよ。

「なははっ。悪いなんて言ってないでしょ。そらうちかて、姉ちゃんが心配やし想ってもい

るんだよ」

「なら、変な事を言うんじゃないわよ」

「まぁまぁ、彩ちゃんも香織ちゃんも喧嘩はダメだよ」

「いや、別に喧嘩はしてないわよ」

 ちょっと言い合いになりかけただけよ。

「彩ちゃん……」

「や、ほ、ほんとよ。信じてよ小夜子」

 これでも自分のお姉ちゃんを愛する同志なんだから……

「……分かったよ、信じる」

 ふぅ……ほんと小夜子は変に石頭なんだから。

 あーあ。早くお姉ちゃんに会いたいな。

 

 無駄な前置きはこれくらいにして、

 今から始まる物語は、三人のお姉ちゃんが大好きな妹とその姉を描いたお話です。

 それで今回は私、彩とそのお姉ちゃんのお話です♪

 

 

「ただいま」

「あっ♪ お姉ちゃんお帰りなさーい!」

 愛しのお姉ちゃんが学校から帰ってきたみたい。

 いち早くお姉ちゃん分を補給しないといけないわ。

「お姉ちゃん学校はどうだった? 変な人に声をかけられたりしなかった?」

 ぺたぺたと、お姉ちゃんの身体を触りながら無事を確認する。

「お姉ちゃん可愛いから、変な虫がつかないか心配だよ」

 もしお姉ちゃんが誰かの物になろうものなら、私はきっと正気を保てないと思う。

「ああ、お姉ちゃん。本当にお帰りなさい」

 ぎゅっとお姉ちゃんを抱きしめて、お姉ちゃんの存在を肌で確かめる。

「……自重して」

「えへへっ♪ 照れなくてもいいんだよ。お姉ちゃん♪」

 お姉ちゃんは恥ずかしがり屋だから、照れ隠しでキツイ言葉を言っちゃうんだよね。

「熱いから早く離れて」

「え〜だってまだ、お姉ちゃん分が補給出来てないもん」

 まぁ、きっと一生補給し終わる事は無いと思うけどね。

「ほんと、うざい」

「あふんっ♪」

 可愛い顔して毒のある言葉を吐くなんて最高だよね♪

 お姉ちゃんは、私のツボを的確についてくるんだから。きっと私達は相思相愛なんだろうね。

「お姉ちゃん大好きだよ♪」

「…………」

 あ、あれ……? ここはお姉ちゃんも『彩。好きよ』って、言ってくれる場面じゃないの?

 いくらお姉ちゃんが物静かな人でも、これだけはちゃんと言って欲しいのに。

「お姉ちゃん大好きだよ?」

「私は嫌い」

「え…………?」

 私の事が嫌い? え、嘘……嘘だよね?

「嘘よ。普通よ普通」

 あ。そ、そうなんだ。よかった嫌いじゃなかったんだ。

 へへ……っ。普通か。

「彩。お腹空いたわ」

「あ、うん。待ってて、すぐに何か作るから」

 

 毎日こんな感じのやり取りをしています。

 察しがいい人は気が付いてるかもしれませんが、私とお姉ちゃんとでは好意に差があります。

 今はまだまだ好感度が低いけど、いつかは――  

 

 私に振り向いて欲しいかな?

 

説明
自分のお姉ちゃんが大好きな妹たちと、その姉のそれぞれのお話。
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