レベル5+ゼロ=バッカップル? 美琴視点編
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「レベル5+ゼロ=バカップル? 美琴視点編」

 

 

とある日の放課後。

ちょっとドキドキしながら私は当麻の学校へとやってきた。

私がいきなり迎えに来たなんて知ったら驚くかな?

喜んでくれたらいいのにな・・・・。

約束なんてしてないけど、せっかく恋人同士になれたんだから。

なんて大胆なことを考えて、実行に移してしまった。

彼女だもの約束しなくたって、逢いたいときに逢いに来て悪いことはないわよね?

デートの約束以外逢ってはいけないってことはないんだしね。

 

今は校門の前で激しく後悔してる。だってすごい人の数で私のことをじろじろ見てる。

「当麻、まだ帰っていないよね? 早く出てこないかな・・・・」

ちょっと心細くなってしまう。

何しろ周りにいるのはみんな高校生。いわば先輩たち。

中坊の私は萎縮してしまうわけで・・・いくらレベル5と言っても先輩たちの雰囲気に呑まれてしまう。

腕時計を見て時間を確認する。

授業が終わって急いでここまで来た。時間は20分ほどすぎたところ。

門柱に背中を預けて青い空を見上げる。

「まだかな〜当麻」

視線を向けると周りは野次馬の輪が幾重にも広がってる。

「何で常盤台のお嬢様が?」

「誰かを待っているのか?」

「LEVEL5の御坂美琴・・・だろう? 確か」

「マジかよ、マジで?」

などと、こっちに聞こえてるっての! 噂話は聞こえないようにしてほしいわ。

これじゃ完全に見世物扱いね。

当麻〜早く来ないとこの埋め合わせをきっちり取ってもらうからね!

空をボーっと見上げていると・・・・一人近づく影。

「よっ!」

当麻が手をあげて私のそばに来た。

あっ、やっと来た・・・本当はすごく嬉しいのだけどこのまま喜ぶのも癪に障るから。

「遅いっ!!」

つい照れ隠しで怒鳴ってしまう。

そのついでに電撃が暴走して周囲に飛び出す。

「わっ!」

「きゃっ!」

「ひっ!!」

色々な悲鳴が上がる。

拙いと思っても気持のほうが勝手に・・・。

「こら! いきなり切れるな。周りに迷惑だろうが?」

当麻が私にそんなことを言う・・・誰のせいよっ。

「なら、早く来なさいよ!」

腕組をして思いっきり当麻を睨む。

当麻が悪いわけじゃないけど、気持ちの矛先がどうしても向いてしまう。

「俺にだって用事が・・・」

「何の用事よ?」

睨み返す。

「え、えっと、色々?」

ウソ。当麻も私が居ることを予想していなかったみたい。

「はぁ〜? なにそれ」

当麻の応えに呆れちゃう。

衆人監視の中にさらされていたというのに・・・・当麻は知らないことなんだけどね。

「それに美琴? 何でお前がここに居るんだよ。約束なんかしてたか?」

当麻の疑問ももっともなこと。

「そんなこと言うんだ・・・・」

当麻の反応に気持がふさぐ・・・。

でも、私の気持ちは・・・当麻の嬉しそうな顔が見たかっただけなんだけどな・・・。

私が黙ったから当麻が私の顔を覗き込む。

「あ、あの、美琴さん?」

何であんたはそうなのよ? もっと女の子のこと理解しなさいよね!

「当麻・・・分かって言ってるんでしょうね?」

「えっと、何をですか?」

この反応・・・いい加減ムカついてきた。

普通、女の子がそれも他校まで来るかっつうのよ、本当に鈍いんだから。

彼女になったのだもの彼の学校にだって来るでしょう?

なんでこのバカ当麻は気付かない!

「当麻? まさか健忘なんて年じゃないでしょう?」

私は次の言葉を叫ぼうと当麻にキツイ視線を送って睨む。

すると急に・・・。

「あ、わかった。と、とにかく場所を変えよう、な?」

「誤魔化すの?」

「滅相もない」

当麻があわてて応える。

私が言おうとしたことに気付いた様子。

気持の治まりは悪いけど意地になることもないし、ここはいつものとこで手を打とう。

「それじゃ、いつものところね? もちろん当麻のおごりで」

「わ、わかった」

校門でのやり取りを終え、歩き出した。

私たちの後を追うように野次馬の声が聞こえてくる。

「上条と知り合い? LEVEL5が、まさかな」

「いや〜でもあれはただの知り合いじゃ・・・それはないか」

「まさか常盤台のお嬢様とはね・・・」

悪いかっ!!

噂したやつの足元へか〜るく電撃を飛ばしてやった。

「ギャッ!」

「ふんっ」

「美琴何やってんだ?」

「べっつにぃ〜」

なんて応えた。

当麻は何となくほっとしたような困ったような顔をしている。

「なぁ〜美琴」

「何よ?」

「学校に来るなとは言わないが、もう少し人目を気にしてくれると助かる」

「だって、どこで待っていれば分からなかったから・・・それに当麻がまだ居るのかも分からなかったし」

「なら電話しろよ?」

「へ? あ、そうか。電話ね」

「お前な〜」

「あははははっ、ゴメンゴメン♪」

あ、そうだ。携帯があったんだ・・・失念してた。

舞い上がっちゃってる証拠よね。

ため息をついた当麻が何か考えている様子。

これは・・・。

「うん? 何か失礼なこと考えていない?」

「まさか」

「そう? なら別にいいけど。ジィ〜〜〜〜〜〜」

「な、何だよ?」

「あのさ、今度は当麻が・・・・」

迎えに来て・・・・と、言う前に遮られる。

「ダメ!! マジダメ! 痛すぎる」

「まだ何も言ってないでしょう」

先を読まれた? 同じことを考えたんだ・・・♪

ちょっと嬉しいけど、ここはあえて怒った顔をする。本当じゃないから上目づかいで見つめると。

「まさか常盤台まで来いって・・・?」

「あたり♪」

満面の笑顔。

「それは俺が痛すぎるだろうが」

「何でよぉ〜」

ほほを膨らます。

「常盤台だぞ? 平凡な高校の無能な俺だぞ?」

「問題なし!」

「いやいや・・・・」

「もう、うちじゃ有名だもの当麻」

「はい?」

「御坂美琴の彼氏」

うん! 当麻はうちの学校じゃ公認だもの。

「ななな・・・マジか?」

「うん♪ 黒子が宣伝しまくったから」

「はぁ〜」

「それに、当麻は無能じゃないもの。私が叶わない相手だもの。それだけで十分に胸を張れるわよ」

「それは・・・美琴とこの間の後輩の子が知っているだけだろう? 現実は」

「そうだけど。私が勝てない相手と言うだけで十分だと想うけどな〜」

当麻はもっと自分に自信を持ってもいいと思う。

力はないかもしれないけど素晴らしい能力があるんだから〜♪

当麻に笑顔を向けながら、当麻の腕に自分のを絡ませる。

「美琴?」

「恋人同士、当たり前でしょう?」

「うん、まあ〜」

当麻の顔が赤い。

「恥ずかしい?」

「ちょっと・・・」

「私は嬉しいけどな〜」

当麻の腕を抱きしめる。

私の胸が・・・威張れるほどあるわけじゃないけど・・・せめて黒子くらいあればな・・・当麻の腕に当たる。

当麻に緊張がうかがえる。

あ、私のに反応してるんだ・・・嬉しいかも?

当麻にいたずらな質問を投げる。

「ねぇ当麻、嬉しい?」

「なな、何が?」

「これ」

わざとらしく当麻の腕を強く抱きしめる。

「あっ」

「エヘヘヘ。当麻も男だね」

「か、からかうなよ」

「良いじゃない。彼氏の役得でしょ」

「それにしちゃ・・・」

「当麻〜? その先を言うと私刑よ」

な、なななんと失礼なことを考えるのよっ。

私の怒りが当麻に伝わったのか・・・。

「なに、この右手で・・・」

なんてことを言うから私は当麻の反撃を押せえこむべく当麻の右腕を胸に抱え込んでしまう。

これなら右手は使えないからね。

「あ、卑怯だぞ!」

「これなら右手動かせないでしょう?」

「私だって、気にしている・・・だから腕組むの勇気が必要だったんだから・・・・それを当麻は」

そりゃ私は小さいけどさ・・・。

「俺は別に大きほうがいいなんて一言も・・・あっ」

この男はぁ〜〜〜〜!!

言ってはならないことを〜!

「当麻ぁ〜〜〜〜!!」

「ひゃっい!!」

「バカッー!!」

電撃が飛び出す。

全開・・・だとシャレにならないから手加減はするけど。当麻、覚悟はいいよね?

「ビリビリビリ・・・・」

まともに電撃を受ける当麻。

いつもの右手は私の胸元だから避けようがない。

これで少しは当麻も学習したでしょう。

「ご、ごめんなひゃい。もう二度と口にしませんから・・・・プスプス」

当麻の服や髪の毛から焦げたような臭いと煙があがる。

「わ、わかればいいのよ」

「私だって恥ずかしいし、それに気にしてるんだから・・・また暴走しちゃうかもしれないじゃない」

当麻の腕を抱えたままでいると。

「そんな時は俺がまた抱きしめてやるよ」

「あっ・・・」

そのまま優しく抱きしめてくれた。

「当麻・・・」

私は当麻を見つめる。

「俺だって恥ずかしいさ。でも、美琴のためだしな」

「ありがとう♪ 当麻? 顔、真赤だよ」

「美琴もな」

「うん♪」

また、当麻に抱きしめられた。

すごく安心する。

ああ〜これじゃまたバカップルって言われちゃいそうね。

ここ街中といか路上だものね。

当麻は当麻で何か心に決めたことがあるみたい。

なんかすごく自信ありそうな顔をしてる。

何かしてくれるのかな?

もしかしたらお迎えに来てくれる?

それなら嬉しいな〜。

だって校門で彼氏と待ち合わせなんて・・・それも高校生のよ?

ああ〜考えただけで嬉しくなっちゃう。

私の顔は笑ってるよね?

やっぱり彼の隣りでは笑顔でいたいじゃない。

再び当麻と腕を組んで歩き出した・・・。

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この後、ゲコ太の新作をチェックのため、小物のお店による。

お目当てのゲコ太をチェック。

「あ、これは新しい奴だ♪」

手にとって思わずほほづりしちゃう。

「それ、また買うのか?」

隣の当麻があきれ顔で言う。

「いいじゃない。好きなんだもの」

「見た目とのギャップが・・・」

「なによ?」

あ、失礼なこと言ってる。

「女の子だなぁ〜と思ってさ」

「私を何だと思ってるの?」

ムカっとして、額に怒りのマークが・・・。

「違うって、俺には最初から女の子だよ。美琴のイメージだと可愛いもの好きには見えないだろう?」

それは・・・認める。

「知り合ったみんなも驚いていたから。黒子は同室だから知ってたけど」

「あの後輩と一緒なのか?」

「ま〜ね。いろいろ大変なのよ」

「そうか。趣味は人それぞれだからな」

「確かにそうかもだけど・・・私に対してはちょっと不満?」

「何がだよ?」

隠していた趣味ではあるけど、もう少し違った意見が欲しいかな?

「だって普通だもの」

「普通でいいじゃないか」

「友達とかにはね」

「何だよ?」

「私としてはもう一工夫欲しいかなぁ〜」

彼女になんだからもうちょっと考えてよね。

「工夫?」

「うん♪」

私の返事に考え込む当麻。

「まだまだ修行が必要ね、当麻には」

「修行?」

「うん、女の子の扱い方のね〜」

「そんなのもの別に・・・」

「彼女の喜ばせ方覚えたほうが良いと想うけどなぁ〜」

本当にそう思っているのかしら?

色々と考えると喜ばせることはプラスになると思うんだけどなぁ〜ねえ、当麻。

「難しく考えなくていいと想うけどね、私が当麻の前で笑顔で居られるように努力する」

「そうは言うが美琴さん? 俺は自慢じゃないが不幸が服を着て歩いているようなものだ。とても美琴を笑顔になんて・・・」

「出来ない? 本当に?」

当麻を見つめる。

今も私は笑顔で当麻の横にいる。

これが私の望んでいることなんだよ?

「あ、当麻顔が赤いよ?」

「お前が顔を近づけるから・・・・」

「照れてるんだ?」

「これだけ近くに女の子が居れば誰だって・・・・」

「ドキドキしてる?」

「あ、ああ・・・」

「私だってドキドキして当麻を見てるんだよ?」

もうちょっと背伸びしたら・・・唇に届きそうかな?

これはハードルが高すぎて今の私には無理だけど・・・でも、当麻が求めたら・・・。

きゃ〜火が出そうになっちゃう。

ちょっと深呼吸して落ち着こう。

「そう、なんだ」

「うん」

「それじゃ・・・」

当麻が何か考えてる。

顔の表情が変化する。

私が笑顔でいられることを早速行動に移してくれるのかも?

「今日は寮まで送る」

「えっ!」

「送る」

「マジで言っての、当麻?」

「ああ、常盤台へ行くよりはましだろう? その練習だ」

「似たようなもの・・・かもだけど」

「迷惑か?」

「ううん。そんなことないよ、嬉しい」

本当に? 当麻が送ってくれるぅ〜やったぁ〜♪

思わず抱きついちゃった。

あ、ここはまだお店の中だった・・・ちょっと我を忘れてるよね。

周りの視線が痛いです。

ゲコ太の小物をそそくさとレジに出して、即行で会計してダッシュで店を後にした。

 

寮へ向かう途中のクレープの屋台に寄るのが私の今のマイブーム。

黒子とよく寄ったのだけど、今は当麻と一緒。

イチゴクリームのクレープを当麻に奢らせる。

食べながら歩く。

「あのね、当麻」

「うん?」

「寮も学校も多分変わらないと想う」

学校でも友達に紹介しろとか会わせろとかさんざん言われているから。

「え?」

「学校で噂ってことは寮も同じってことで・・・」

「あっ・・・」

ちょっと落胆したみたい。

「あ、でも相対数は少ないけど・・・」

と、フォロー。

「いや、練習だからどんと来い!」

胸をたたく当麻。

「あははははっ・・・・大丈夫かな?」

思わずその自信に乾いた笑いで応えてしまう。

「だ、大丈夫だ。超能力の攻撃があるわけじゃないし・・・」

「でも、居るのは能力者だけよ」

「だからって、寮の中で力は・・・」

「規律で禁止にはなっているけど・・・どこまで守られるかは疑問ね」

「視線と言葉ぐらいなら何とかなる」

あまいわ。当麻、女子のすごさ分かってないわね。

「当麻の想っているのとだいぶ違うと想うけどね」

「たかが女子中学生」

「あれだけいると相当なものだけど・・・はぁ〜」

見当が甘いけど・・・それも経験よね。

「何そのため息」

「ううん。なんでも」

「大丈夫、食われるわけじゃい」

食われるわよ、間違いなく当麻がね。

「ある意味、同じようなものだと想うけど・・・当麻、頑張ってね」

「おおっ!」

力づよく応えてガッツポーズはいいけど、いつまでその元気が持つかしらね〜。

寮についてもすぐに帰ってもらえればそんなに騒ぎにはならないかな?

なんて考えてもいたけど、私の考えも甘くって・・・・。

放課後デートの一部始終とは言わないけど、目撃者も何人か居た様子でその辺の情報はすでに

寮内に広がっていて、私たちが寮に着くころには玄関にまで寮生の姿。

あっという間に情報は伝播して、当麻はそれこそ食われる一歩手前までみんなにもみくちゃにされてた。

これで中学女子がいかな常盤台と言えどすごいことが分かったんじゃないかな、ね? 当麻♪

 

 

おしまい

 

 

あとがき

 

ども、Ikuです。

色々加筆修正をしようと想っていたのですが、どうせなら美琴視点に切り替えちゃおうと、書き換えました。

ほぼ前回の内容に沿ってますが当麻から美琴視点になったことで表現とか描写がかなり変わってます。

当麻視点より美琴視点ほうが書いていて楽しかったなぁ〜。

次もあれば美琴視点で学校へ当麻が来たときのことなどを書いてみたいですね。

 

 

 

 

説明
前回のLEVEL5+ゼロ=バカップル? を当麻視点から美琴視点に切り替えさらに加筆修正しました。
だいぶ雰囲気が変わったかな? 同じ内容ではありますが、女の子視点のほうが何となく柔らかなイメージになったかな。
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タグ
とある科学の超電磁砲 御坂美琴 上条当麻 SS 

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