大好きだから… 〜They who are awkward〜 第2話
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お昼になると俺らは一緒にご飯を食べることにしている。

 

だから授業が終わり次第屋上に集合する約束をしているのだ。

 

「じゃあご飯食べに行きますかー」

 

「うし、じゃぁ俺はいつもどおり購買でメシ買ってくるから悠樹と美樹は先に行っててくれ」

 

美樹の声とともに俺らはそれぞれ行動する。

 

「あ、そういえば今朝は佐久島先輩に起こしてもらったの?」

 

「いや、あの人は俺が起きるのをじっと見てただけだったよ」

起きなかったら置いてくつもりでもあったらしいけどね!!

 

「あはははは、佐久島先輩らしいね」

 

「澪先輩何考えてるかわからないんだよなぁ」

 

「でも頭もいいし運動できるしとっても綺麗だよね」

 

 

 

そうなのである。佐久島澪を言葉にあらわすと容姿端麗、頭脳明晰。

 

実は校内人気No.1なのである。ただちょっと変ではあるが。

 

「いいなぁ。あたしも先輩みたいになりたいなぁ」

 

 

 

そんなこいつも実はおとなしくしてたら可愛い部類に入るのである。

 

恭一曰く、

 

「高遠美樹の欠点はすぐに手が出るところだな。

それが唯一のそして最大のマイナスポイントだと思うね」

 

活発で人当たりがよく、運動が得意で誰とでも打ち解ける性格してるし、

 

外見も、運動しやすく髪型をショートにしてるらしいがそれがマッチしてて

 

健康的に焼けた肌、ぱっちりした目、フットサル部に入部しているが

 

部活に打ち込んでいるこいつを見ると不覚にも可愛く見えてしまう時がある。

 

ま、いつも恭一とバカやるたびに殴られているから気の迷いだと思うが。

 

「まぁ俺の欠点なんて無いに等しいんだがまぁあるとするならばそうだな…

年下の子にしか興味がないところかな」

 

池上恭一よ。人はそれをロリコンという。

 

確かにコイツは俗に言うイケメンである。

 

同級生や上級生には告白を何度も受けてるらしいが全て断っているらしい。

 

ただ残念なのが下級生からの告白は一度として受けたことが無いらしい。

 

こいつがロリコンだということは学校ほとんどの人が知っている。

 

それでもいいと告白してくる人たちがいると言うのに断るとは…

 

守備範囲が狭いだけで損しているような気がしないでもない。

 

閑話休題。

 

 

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階段を登り終えた俺達は屋上に繋がるドアを開け放した。

 

「あたし達が一番乗りかな」

 

辺りを見回すが茉莉子や澪先輩は見当たらない。

 

「まぁいいや。来るまで待ってようか」

 

「そうだな」

 

ベンチの近くまで向かう俺達だったが、

 

不意に俺の視界が甘い香りと背中に当たる謎の二つの弾力性のある物体を感じつつ真っ暗になった。

 

「お前は呪われた。この呪いを解きたくば私の名前を当ててみろー」

 

「澪先輩早く放してください」

 

「うーん朝方ぶりだなぁ悠樹。もう少しだけ悠樹成分を補給させてくれぇ」

 

と、言いつつ俺の目を隠してた手をお腹に回し後ろから抱きつく格好になる。

 

名前当てたのに呪いは解けないのかよ。

 

「それにお前もなんだかんだ言っても嬉しいんだろ?」

 

澪先輩が後ろで身じろぎする。

そうすると二つの球体も先輩に合わせて動く。

 

というかこの人着けてないな!?どういうつもりだよ

 

「それはホラあれだ、悠樹へのサービスだと思ってくれて構わない。

というか私汗臭くないよな?体育だったんだ」

 

 

良かった。朝からこんなことをするためだけに着けないで来てたらどうしようかと思ったよ。

 

「いや汗臭いどころか、甘い香りがするし、あーその…俺的には嬉しいんですけど…」

 

「ふふ、それはよかった」

 

澪先輩が回す腕に力を込めて更に密着する。

 

多分今の俺は顔が赤くなっているだろう。

 

正直このままでもいいかなぁと思ったりしたが、あまりにも目の前の殺気の塊と化した美樹が危険すぎる。

 

「澪先輩、今すぐ離れましょう。というか早く離れてください俺の命が危険です」

 

「まったく照れ屋だなぁ悠樹は」

 

しぶしぶ俺から離れた澪先輩を確認した俺は美樹のほうを振り返り見てみる。

 

 

 

 

…………………ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

 

 

あぁこれはダメだわ。

 

ってか俺殴られすぎじゃないか?

 

んー今回は俺も…悪いの……か?

 

美樹が俺の目の前から消えた瞬間俺の意識がブラックアウトした。

 

 

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俺が次に目を覚ましたのは茉莉子が起こしてくれた時だった。

 

「兄さん…………」

 

「あぁなんとか大丈夫……お前ちょっと本気出しすぎじゃないか?」

 

正直朝の一発と今の一撃で激しく痛い。

 

「あ、あんたが鼻の下伸ばしてデレデレしてるからでしょっ!?

み、みっともないったらありゃしないっ!!」

 

だからと言って人間の視覚スピード超えるなんて有り得ないし、そもそも殴らないで欲しい。

 

「なぁとりあえずハラ減ったから食っていいか?というか食べるけど」

 

恭一が空腹に耐えかね発言と同時にもう食べようとしていた。

 

「ふむ、5人そろったことだし昼食にしようじゃないか」

 

澪先輩は何事も無かったかのように食べ始めた。

 

確かに俺もお腹が空いていたしこれ以上この話を続けることもない。

 

それから俺を含め3人もご飯を食べることにした。

 

「あ、そういえば夏休み前のテストがそろそろ始まりますけど佐久島先輩は勉強してます?」

 

美樹が尋ねた。

 

「そういえばそろそろそんな時期か。私は別にテストが近いからといって特別勉強はしないな。

いつもどおりやるだけだしな」

 

流石先輩だな。頭言いし普段からやってるからな。

 

「茉莉子ちゃんは?」

 

「私はいっぺんに出来ないので少しずつやってます。

そういえば先生から聞きましたけど、赤点取ったら今年の夏休み補習の量2倍みたいですよ?」

 

 

 

「「え?マジ!?」」

 

 

美樹とそれまで黙ってパンをかじっていた恭一が反応を示す。

 

「おいおい、マジかよ俺の夏が補習で消えるなんてカンベンだぜ」

 

「私もただでさえ部活の練習があるのに補習もだなんて無理だよぉ…」

 

いつも授業中寝ている恭一は言わずもがな美樹も勉強は得意ではないのである。

 

「ちくしょう、悠樹は点数悪くても何故か赤点だけは取らないしな」

「不公平だわ。断固訴えるべきよっ!!」

 

誰に訴えるんだ誰に。

 

「じゃあもし良かったらみんなで今年も私の家で勉強合宿しませんか?」

「うーんそれしかないかぁ」

「ま、いつもどーりだな」

「主に勉強しなきゃいけないのは恭一と美樹だけなんだけどな」

 

テストが近くなると例年神原家で勉強合宿が行われる。

 

むしろ澪先輩が俺らに勉強を教える会とも言う。ちなみに澪先輩は学年トップである。

 

合宿を開いてもなお二人は赤点ギリギリか、たまにどちらかが落ちることもある。

それほど頭が悪いというのをわかってほしい。

 

「しょうがないな。私が今回もお前達のために一肌脱いでやるか。

ちなみに脱ぐってそういう意味じゃないから期待するなよ悠樹」

 

 

なんでそこで俺を名指しですか。

 

 

ホラ、美樹がまた表情厳しくするし茉莉子も何を想像したがわからんがちょっと赤くなってるし。

 

「大丈夫です。澪先輩考えてるようなことは考えてませんから」

 

「ほう、私が考えていることはどんなことなんだ悠樹、ん?」

 

澪先輩が面白いおもちゃを見つけたとばかりに聞いてくる。

 

「いや、それは……」

 

「っと、澪サン悠樹をからかうのはいいけど横にいる奴を凶暴化させないでくれよ。

後始末が大変だしそれにそろそろ時間だぜ?」

 

「ふむ、昼休みも終わりか。残念だがそろそろ教室に戻るか」

 

今回ばかり感謝だ恭一。サンキューだ。

 

チャイムが鳴る前に俺達はそれぞれの教室に戻っていった。

 

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午後の授業はあっという間に終わり放課後を迎えた。

 

「じゃああたしは部活があるからまた明日ね」

「おう気ぃつけろよ」

「頑張ってな」

 

美樹はフットサルの練習のためさっさと行ってしまった。

 

「さてっと、今日は俺用事あるから先帰るわ」

 

「あ、そうなのか。じゃあまた明日な」

 

「おう、また明日な。

兄貴だからって茉莉子ちゃんに変なことすんなよ」

 

「いやそんなことしないし」

 

恭一もさっさと帰ってしまった。

 

「うーん俺も帰るかな」

 

茉莉子も基本クラスの子と帰るはずだし、澪先輩は暇なときは勝手に絡んでくるから

 

絡んでこないときは暇ではないのだろう。

 

俺もそそくさと帰路に向かった。

 

家に着くと、部屋に直行しベットに倒れこむ。

 

晩御飯まで少し寝ようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さん、晩御飯だよ」

 

部屋のノック音で目が覚めた。

 

「あぁ今行くから先に行っててくれ」

 

下に着くと茉莉子だけだった。

 

「あれ、茉莉子一人だけか?」

 

「うん、なんか今日から二人とも出張でしばらく帰ってこないんだって」

 

「そうなのか…。これからは交代で炊事洗濯しなきゃな」

 

「あ、兄さんそれなんだけど私が毎日やっていい?」

 

「茉莉子一人で大変じゃないか?」

 

「ううん、私がやりたいの。ダメ…かな?」

 

「いやダメじゃないけど…、じゃあ手伝えることあったら俺に何でも言うんだぞ」

 

「ありがとう兄さん」

 

口ではああいったが俺は手伝う気満々である。

 

いや料理とかは出来ないけどまぁそれでも負担は掛けたくないし。

 

こう見えて茉莉子は頑固なところがある。

 

だからこういうときは合わせるのが一番だ。

 

俺は茉莉子の頭を撫でる。

 

恭一の言う変な事にはカウントされないよな?

 

「あぅぁぅぁぅぁぅぅ…」

顔を赤くして俺に撫でられるがままの茉莉子を見るととても和む。

 

 

炊事洗濯も出来るし茉莉子は絶対将来いいお嫁さんになるな。

 

食卓についた俺らはとりあえずご飯を食べることにした。

 

「そういえば兄さん今日遅刻しなかった?」

 

「あぁなんとかな。茉莉子はあの後どうだった?」

 

 

「うん、恭一さんと美樹さんと一緒に行ったんだけど恭一さんが途中で倒れてね」

ああ、美樹にやられたんだな………

 

 

「美樹さんが大丈夫だから先に行きましょうって言って一緒に学校まで。

でも本当は兄さんのこと待っていたかったんだよ?

それより兄さん大丈夫?朝もお昼のときも、すごく痛そうだったよ?

ずっと聞こう聞こうと思ってて…………」

 

茉莉子が心配そうな顔をする。

ああ、多分茉莉子はずっと心配してくれていたんだろう。

 

「いや、美樹も女だしさ。俺男だし全然平気だから」

 

実際はものすごく痛かったけど強がるのが兄さんです。

 

「美樹は茉莉子のことになると激しいからな…」

 

「でも実のお姉さんみたいで私はとっても嬉しいよ」

 

確かに茉莉子にとってはいいお姉さん代わりなのかもしれない。

その点については感謝してるがもう少し茉莉子を見習っておしとやかになって欲しい。

 

食事が終わった後、食器を洗うのを手伝い風呂に入った後ベッドに誘われるように身を投げ出す。

 

あー今日はぐっすり寝れそうだ…な……

 

 

 

 

説明
二話目ですね。うん、もっとテンポ良く行きたかったなぁと思ってます
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