そーさくしんわ Nido del Dragon そのに
説明
竜は飛び続けた。

1000年・・・2000年・・・・飛び続けても、宇宙の果てに辿り着くことはなかった。

それでも竜は飛び続けた。

やがて、竜は自分が何のために飛び続けているのか分からなくなった。

自分が何者かも、どこへ向かっているのかも、わからなくなった。

それでも竜は飛び続けた。

少しでも止まれば、壮絶な苦しみがやってくる様な気がしたのだ。

いつしか竜は、彗星のように尾を引く程の速さで飛ぶようになっていた。

その姿は、まるで真っ赤な彗星か、あるいは巨大な隕石のようにも見えた。

止まることが許されない竜には、そうするしかなかったのだ。

竜は、右も左もわからぬまま、星と衝突を繰り返しながらも、飛び続けた。

数多の星々、銀河を滅ぼしたころ、竜は、叫びながら飛ぶようになっていた。

竜には、その咆哮の主がわからなかったが、その声は、ひどく寂しく、痛々しく思えた。
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