恋姫無双SS魏√ 真・恋MIX 13話
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貂蝉に連れてこられたのは泰山の頂上の神殿だった。

そこにはこの世界に似合わない機械だらけの部屋があった。

「記憶が戻ったんで大体の状況は理解したけど、詳しい経緯を説明してくれるか?」

俺は貂蝉に説明を求める。

「えーとね、どこから説明すればいいかしら」

貂蝉はシナを作りながら話し出す。

「ご主人様があの世界から消えてから1年と2ヶ月ほどが経過しているわ。その間曹操さんは、貴方の行方を捜していたの。」

「私も、いくつかの可能性を探って、ちょうどあの外史に行ったのが2ヶ月ほど前・・・・」

「そして、話を聞き、曹操さんに協力することに決めたのよ・・・。」

「しかし、俺がこの世界に来て2年ほど経ってるんだが・・・・・・もしかして、時間の経過も違ったりするの?」

「流石この外史のご主人様は物わかりが良いわねぇ。その通り、外史同士の時間とかはあまり関係ないの。」

「ただし、今はシンクロさせてるから向こうの外史とは同じ時間の流れになってるわ。」

「ふーむ。」

俺が考えていると、華琳が話し始めた。

「実はね、貂蝉のお陰で一刀が向こうの世界に戻れるようになったの・・・。」

「だから私は一刀を連れ戻しに来たのだけれど・・・。」

「私はこの世界に来てから一刀の作った国を二日ほど掛けて見て回ったわ。」

「一刀の作った国はとても良かったわ、合格点よ。流石私の認めた男ね。」

「華琳に褒められるなんて珍しいな。嬉しいよ。」

「今はね、一刀もこちらの世界で居場所を作っちゃったのね・・・・・もう良いわ。こうしてまた逢えたんだし。」

「華琳・・・・・。」

「ただね、一刀にも私の作った国を見て貰いたいの。」

そう言った後、華琳は貂蝉に尋ねる。

「貂蝉、あとどのくらいなの?」

「そうねぇ、ここに来たのが3日前の夕方だったから、あと一刻と言ったところかしら。」

「もう少しでそこの鏡から私たちの世界にいけるの。一刀も一緒に来てくれる?」

「あぁいいけど・・・・それっきりってことは無いよな?」

そう聞くと貂蝉が説明する。

「大丈夫、ご主人様は三日後に自動で戻るようにプログラムしておくわ。実は私たちも保険で掛けて有るのだけどねぇ。」

「この外史とあっちの外史をつなげていられるのは一週間なの、それまでに結論を出すと良いわ。」

「しかし、このまま黙って行ってしまったら桂花達が心配するな。」

「あぁ、それならそこのモニターの前に立つと良いわ。」

「ん、これか?」

「そうそう、じゃぁ、スイッチオン。」

すると画面に桂花が映る。春蘭達も居る。どうやら軍議をしているようだ。

『多分、俺を捜すための軍議なんだろうなぁ・・・。』

俺がそう理解すると、突然モニターの桂花がこちらを凝視する。

そして、モニターにアップに成るとそのまま消える。

「向こうにはご主人様のフォログラフィーが出ているわ。今のは荀ケちゃんが抱きついてすり抜けたのね。」

貂蝉はそう説明すると何か思い出したように機械のスイッチを入れた。

「音声がOFFだったわ。じゃ、入れるわね。」

すると・・・

「「「一刀様」」」

向こうからは大合唱が聞こえる。

「そんな、一刀様、幽霊になってしまわれたのですか。」

桂花は通り抜けたことをそう理解して突然泣き出した。

俺はみんなに話しかける。

「大丈夫、俺は無事だよ。」

「三日ほど留守にするから後は任せるよ。桂花、頼んだね。」

俺の声を聞いて少し安心したのか泣くのをやめた桂花がまだ少し涙ぐみながら尋ねる。

「はい・・・・本当に戻ってこられるのでしょうか?」

「うん、大丈夫。それじゃぁ、後は任せたよ。」

そうして機械を切った後、俺は華琳と一緒に外史を移動した。

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「着いたわ、一刀。」

鏡を潜るとそこは見慣れた許昌城の前だった。

「へぇ、入り口は此処に設定してあるんだ・・・・」

俺が呟くと貂蝉が解説する。

「出口の座標は装置で設定できるわよ。」

正門に近づくとちょうど凪が正門の番にいた。

俺を見つけると全速力で走ってくる。

「隊長、戻ってこられたのですか?」

「久しぶりだね、元気にやってる?」

「はい!真桜も沙和も元気ですよ。」

「あーら、一刀が居なくなってからかなりの間落ち込んでたのは誰だったかしら・・・」

「えっそんな・・・・華琳様もお帰りなさいませ。」

「私はどうせ序ででしょう・・・・。」

「そんなことはありません・・・。」

「いいのよ。それより後でパーティーをするから。今は警護を続けなさい。」

「はい。それでは隊長、後ほど・・・・。」

「あぁ、楽しみにしてるよ。」

『なんだか久しぶりにお会いしたら隊長が更に格好良く成られてて・・・・・。本当に良かった。』

ホロッと落ちる涙をゴシゴシと拭くと元気よく仕事を続ける凪だった。

 

そうして城に入ると、今度は春蘭に出会った。

春蘭は華琳を見つけると急いで寄ってくる。

「華琳様、お帰りなさいませ。無事でしたか?その変な奴と一緒に行くと言われたときにはとても不安で。」

「あーら、絶世の美女を前にして変な奴とは失礼ねぇ」

一緒にいた貂蝉が文句を言うが聞いては居ない。

そして、一刀に気をやると

「おお、北郷、お前帰ってきたのか。どこに行ったのかと思っていたが・・・・元気そうで良かった。」

「ああ、春蘭も相変わらず元気そうだな。」

こちらの春蘭もあちらの春蘭も基本的には変わっていない。ただ、対象が俺か華琳かの違いだけだ。

しかし、その時華琳のが何か思いついたように悪戯な笑みを浮かべて言った。

「春蘭、一刀ったら久しぶりだったからって私に悪戯するんだもの、あーんな事や、こーんな事を・・・。」

それを聞いた春蘭はあっという間に沸騰して俺に向かって怒鳴りつける。

「北郷貴様!」

そして、春蘭は背中の剣を抜くと俺に突きつけた。

「華琳様に何をした?正直に言わないとうーんと苦しませてから殺してやる。」

相変わらずだなぁ、と俺は苦笑してとりあえず定番の台詞を返す。

「正直に言ったら?」

「苦しまないように叩っ斬ってやる。」

やはり、どちらでも死亡確実かぁ・・・・・

「華琳も変な演技しない。春蘭が本気にするだろ。」

俺はとりあえず春蘭は相手にしないで華琳の方を向いて諫める。

「むぅ、私は無視だと。馬鹿にするなぁ・・・・。」

そう言いながら剣を振り抜く春蘭。その剣が俺を切り裂こうとした刹那、フッと俺の体が消える。

そうして死角の左側に体を移動させると七星餓狼の刃を抑えて言った。

「こんな場所で刀を振り回さない。寂しかったのなら今晩にでも相手をしてあげるよ。」

「なっ、何だと・・・・。」

赤くなる春蘭を横目に見て華琳が口を挟む。

「今晩は私の相手をして貰わないと・・・・じゃなくて、噂に聞いていたけど良い腕ね。一騎打ちで愛紗に勝ったと聞いたけれど・・・。」

「はぁ?北郷が、関羽に勝っただと・・・・・そんな馬鹿な。」

「まぁね、アレは結構一か八かだったけど。恋と稽古した甲斐があったよ。」

「北郷が呂布と稽古・・・・・・・。」

「あーら、春蘭。ちょっとショックが大きかったかしら。」

『これは多分わざとやったな・・・。』

俺たちは呆然とする春蘭を残し、奥まで進めていった。

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城の奥まで進めていくと、なにやら秋蘭と話をする桂花を見つけた。

桂花もこちらを見つけたらしく、いそいそと近づいてくる。

しかし、こちらは一瞥しただけですぐに華琳に話しかける。

「華琳様、お帰りなさいませ。」

「華琳様のお留守の間、とても寂しくて・・・・。」

「桂花、ただいま。お利口にしてた?」

「はい、不肖ながらこの桂花、華琳様のお留守を守らせていただきました。」

そこに秋蘭もおっとり現れる。

「華琳様、お帰りなさいませ。一刀も久しぶりだな。」

「あぁ、秋蘭。元気そうで何よりだ。」

そう秋蘭に話しかけたとき、桂花が口を挟んだ。

「何が、『何よりだ。』よ。私や秋蘭にあれほど世話になったくせに一言も言わずに消え去って。」

「済まなかったね桂花。」

「貴方なんか戻って来なくても良かったのに。でも戻ってきたのならこれからはじっとしてなさいよ。」

「あぁ・・・・・・。」

俺はその部分には生返事を帰した。

まだ正直迷っている。

そんな俺の心は置いておかれ、華琳は先ほどの春蘭の時と同じ笑みを浮かべた。

「そう言えば桂花、こんな写真があるのだけど。」

そう言って華琳は桂花に何枚かの写真を見せた。

そう言えば真桜に写真機を開発させたんだっけ、懐かしいなぁ・・・・などと考えていると桂花が突然俺に詰め寄ってくる。

「な、なんてこと、北郷、いったい私に何をしたの?」

「おいおい、何のことだ?」

「この写真よ!」

俺は写真を見ると意味がわかった。

それは、桂花が俺に抱きついている写真とか甘えている写真とかだった。

「華琳、いつの間に?」

俺が華琳に問い詰めると、華琳は平然と答える。

「この間真桜が新しく開発した”ぽらろいど”という写真機よ。」

そう言えばそんな話を真桜にしたなぁっと、今思い出すが・・・・まぁ原理的にはそう難しい事はない。

しかし、良くも気がつかれずに取ったなぁと感心してしまう。

「きゃー、妊娠しちゃう。もうこうなったらコイツを殺すしかないわ・・・。」

「ふー、桂花に殺されるなら本望だけどね。出来れば寝所の上が良いかな。」

「・・・・・・・・北郷、あんた、悪い物でも食べた?」

前にいたときとは明らかに雰囲気が違う俺に呆気にとられたように桂花は尋ねる。

「ふーん、一刀は今晩は桂花をご指名なのね・・・仕方がないから譲っちゃおうかしら。」

「華琳さまぁ、帰ってくるまで寂しかったのに・・・、留守番をしたご褒美をお願いしますよぉ。」

「はいはい、また今度ね。それより今晩はぱーてぃだから。準備をしておくように流琉には言ってあるのだけれど・・」

「はい、華琳様。すでに準備は出来ているようです。」

横で聞いていた秋蘭が答える。

「それでは準備が出来たら呼ぶように。一刀は私の部屋でゆっくり今までの話を聞かせて貰うわ。」

「あぁ、ゆっくりね。」

俺は返事をすると、冷たい桂花の視線を軽くスルーして華琳の部屋に向かった。

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夜に成ると許昌城で盛大なパーティが開かれた。

主賓は俺、主催は華琳だ。

最近は主催する方が多かったし、あちらではあまり混乱しないようになるべくカタカナ言葉は避けている。

君主の俺が使う言葉は影響が大きいからだ。

そう考えてみると此処にいたときは結構気楽だったなと思える。

パーティには丁度その時に許昌城やその近くにいた呉や蜀の武将にも参加を呼びかけたため結構な賑わいと成った。

「兄ちゃ−ん。」

丁度見回りから戻ってきた季衣が俺を見つけて飛び込んでくる。

「戻ってきたんだねぇ、居ない間寂しかったよぉ。」

俺は季衣を抱き留めると頭を撫でた。

「心配掛けたな。俺もまた季衣に会えて嬉しいよ。」

するとその後ろから流琉も話しかける。

「兄様。」

「やぁ、流琉。流琉も元気そうで何よりだ。」

俺は挨拶するが流琉の方が小刻みに揺れてくる。

「兄様・・・・流琉は、流琉は・・・・・・・。」

そうして感極まったのだ大声で泣き出した。

大慌てで、季衣を抱いたまま流琉も抱きしめる。

すると、感染するように季衣も泣き出した。

「わーん、兄ちゃん、もうどこにも行かないでよ−。」

もうこうなったら仕方がない。あまり無責任な台詞は吐きたくなかったのだが・・・・・

「大丈夫、俺はもうどこにも行かないよ。」

「その台詞、本当と受け取ってよろしいのでしょうかー。」

すると意外なところから返事が返ってきた。

季衣も流琉もキョトンとしている。

「お兄さん、言質を取らせていただきましたよー。」

いったいどこでそんな言葉を覚えてきたのだろう。俺、言ったっけ・・・・・。

って、まさか真桜、録音機まで発明したんじゃないよな・・・・。

「風。元気にしてた?」

「風はお兄さんが居なくなってから、涙に暮れる日を送っていたのです。」

「そうかぁ、それは済まなかったね。」

「嘘ですけど・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

まぁ解ってたけどね。

「ねぇ、どこにも行かないって本当?」

気がついたように季衣が話しかける。

「あぁ、大丈夫だよ。だから今日はパーティを楽しもうか。」

「うん。安心したらお腹がすいちゃった。あっちで料理を取ってくるね。」

楽しそうに料理を取りに行く季衣。

「いいのですか?」

それを眺めていた俺に風は尋ねる。

「ん?」

「お兄さんはもう本当にどこにも行かないのでしょうかー?」

そう風が聞くのと同時に流琉も俺に尋ねる。

「兄様・・・・・・・・・兄様はまだ何か迷ってられるようにお見受けします。」

「確かにね・・・・・もしもの時は俺は恨まれても良いから・・・後を頼んだよ。」

そう言う俺に流琉は静かに頷くだけだった。

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その後、凪、沙和、真桜達とも会話を交わし、宴も中頃まで来たときにちょっとした事件が起きた。

それは、荊州に居た愛紗の登場だ

もちろん、気にしたのは俺と華琳だけだが、俺はドキッとした代わりに華琳はちょっと嬉しそうだった。

俺はフォローのために愛紗に近づこうとするが少し酔った沙和と真桜がまとわりついて離れない。

そうこうしているうちに春蘭が愛紗に話しかける。

「関羽、北郷に一騎打ちで負けたというのは本当か?」

「ん、何のことだ。私は天の御使い様と一騎打ちなどしたことはないぞ。」

「なに・・・しかし、華琳様がそんな嘘をつくわけはないのだが・・・・。よもや負けたことを隠しているのではないのだろうな?」

「くどい・・・大体天の御使い様が武芸に優れているなどとは聞いてはいなかったぞ。」

「しかしだな、華琳様が・・・・。」

「えーい、そんなに言うなら天の御使い・・・北郷殿と手合わせしてみせれば良いのか?私に勝てるとは思えぬがな。」

とその時、その話を聞いていた華琳が口を挟んだ。

「面白いじゃない。どうせなら武道大会にしましょうか。」

華琳の提案に春蘭は頷いた。

「なるほど、この間の天下一品武道会の仕返しが出来るな。」

しかし、関羽は戸惑いを隠せない。

「それは構わんが・・・・1回戦で北郷殿と当たると言うことか?」

「いいえ、対戦はくじ引きにしましょう。ただ、急な開催だから出場は8人までとさせて貰うわ。」

「ほほぅ、なにやら面白い話をされているようだな。」

そこに話を聞いた星が口を出す。

「8人か・・・・蜀からは愛紗と私、あと鈴々と言うところか・・・。」

「ん?何か鈴々を呼んだのだ?」

食事に集中していたが武道大会と聞いては黙ってられない鈴々もこちらに来る。

「呉はどうするの?」

華琳はすぐそばにいた蓮華に話しかける。今回雪蓮は来られなかったようだ。

「今回は私の他に文官しか来ていないから参加は見送らせて貰うわ。」

蓮華が答えると華琳は少し考えて

「じゃぁ、後の4人は魏ね・・・・・春蘭、秋蘭、霞・・・・と季衣が出なさい。」

そう言ったとき、やっと俺がその話しに参入する。

3人娘も引き連れてだ・・・。

「えー、今回は出番なしかいな。」

「錚々たる面々と戦える機会かと思いましたが、残念です。」

「蜀で3人なの・・・・・魏から4人なの・・・・後1人はだれなの?」

割と冷静に内容を聞いていた沙和が人数的矛盾を突いたときに一緒にいた俺がそれに答えた。

「あぁ、後1人は俺だ。」

その台詞に3人は仰天した。

「えー、隊長はん、大丈夫なん?もう遺書は書いたん?」

「隊長、此処はちゃんと断った方が・・・・流石に三合も持たないとは思いますが・・。」

「隊長ー、無茶はやめた方が良いのー。せっかく戻ってきたのに今度は永遠の別れなのー。」

横で苦笑する華琳を見つめて、俺は提案をする。

「そうだなぁ、突然大会に参加すると言っても俺も実力を見せておかないと不公平だろう。」

「華琳、前哨戦として今から試合を見せようか。相手は凪、真桜、沙和、3人同時に掛かっておいで。」

「えーーーーー。」

驚く3人をよそに、また笑顔の華琳はそれを認める

「ふーん。そう来るのね。いいわ、3人とも訓練場に移動するわよ。」

「そうね、もし勝てたら3人の内の誰かを出場させましょう。」

煙に包まれたような表情をする3人と一緒にギャラリーもつれて訓練場に移動した俺だった。

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訓練場に着くと3人は得物を用意する。

対する俺は腰に差してある刀を抜こうとはしない。

「隊長は得物を抜かないのですか?」

凪が心配そうに俺に尋ねる。

「あぁ、この剣を抜いたら本気には成れないからね。その代わりの得物は用意したよ。」

そう言って見せたのは30pほどの細い棒。中華箸・・・・いわゆる菜箸1本だ。

先ほど宴会場にあった物を一本失敬してきていた・・・

それを見た真桜は失笑する。

「隊長はん、それは何の冗談かいな?」

俺は大まじめに返答する。

「いや、真面目だよ。女の子相手だからね・・・・・構わないから本気でおいで。」

「いくら隊長といえども冗談が過ぎると思えますけど・・・・・。」

凪の表情が少し真剣に変わってくる

「・・・・・沙和も少し怒れてきたの・・・。」

「あぁ、ちぃと隊長に痛い目にあってもらわへんと気が済まなくなってきよったなぁ。」

沙和や真桜も怒りに目が燃えている。

「良いから掛かっておいで。華琳。合図を頼むよ。」

「ふふふ、いいわ。それでは、はじめ!」

華琳の合図と共に真桜と沙和が同時に動き出す。

「隊長、悪いけど一撃で終わらせて貰うの。」

沙和の剣が俺の頭から斬りかかるが、それは最小限の動きで横に避ける。

「本命はこっちなの。」

その避けたところに左手の剣が横に薙ぐ。

しかし、俺はその剣を箸で受け止める。

「えっ、何で!」

木で出来た箸が鉄で出来た刀を完全に受け止めた。

「言うだけのことはあるでぇ、でもこっちはどうや!」

動きの止まった俺に真桜の螺旋槍が襲いかかる。

しかし、俺の姿はすでにそこにはなく、沙和の剣を弾いた後、真桜の横に体を入れると槍を持つ手を菜箸で叩く。

「いたっ!」

想像以上の衝撃に、真桜は槍を落としてしまう。

「いたたたっ、お尻を打っちゃったの。」

弾き飛ばされた沙和がお尻をさする。

「あぁ、すまんな、沙和、大丈夫か?」

俺は沙和の心配をする。

「もう、女の子のお尻は大切なの・・。」

「あぁ・・・・・・さて、次は凪の番だよ。」

そう言いながら俺は凪の方を向く。

凪からは闘気があふれ出ていた。

「隊長、いつの間にかそんなに強く成られて・・・・・楽文謙、本気で行きます。」

凪はその闘気を足に集中させていく。

「きゃー。凪ちゃんが本気なの・・。」

「隊長、逃げた方がいいんちゃう?アレはやばいで。」

沙和と真桜が俺を諭すが、俺は笑顔でそれを見つめる。

「久しぶりに凪の本気を見るなぁ。良い闘気だ。かなり修行したね。」

「行きますよ、隊長!」

そう言って蹴り出した気功弾は一直線に俺に向かって突き進む。

しかし、それが俺を直撃しようとした瞬間、スウッとかき消されるように消えた。

俺が気で相殺したのだ。

「えっ、なんで・・・。」

向こうで凪の気功弾は何度も見せて貰っているし修行を手伝ってもいる。

タイミングさえ合わせればモーション無しで相殺できるほど俺は気の扱いに慣れていた。

「さて、これで終わりかな。」

俺がそう言うと、真桜が叫ぶ。

「まだまだや!沙和、凪、あれをやるで!」

「アレを隊長に・・・わかったの。」

「あぁ、解った。」

「へぇ、あれってなんだろう。」

「随分前に星はんに3人であしらわれた時から練習していた技、隊長に使うとはおもわへんかったで。」

そう言うと3人は真桜を先頭にして俺に向かって縦に並んだ。

「いくでぇ!名付けて『気流噴射攻撃』や!」

真桜が叫ぶと、螺旋槍が高速回転を始める。

そしてその回転が乱気流を作り出した。

その気流を切り裂くように3人が重なり合ってこちらに突進してくる。

『気流を盾にした三段攻撃か。これは凄い技だね。』

俺は冷静に技の分析をする。

普通に躱したら沙和と凪の攻撃の的だろう。しかし、この技の肝は真桜の螺旋槍だ。竜巻を止めるのはやはりその中心だろう・・・。

俺は箸に気を込めた。

そして、真桜の槍の先端を見極め、その箸を突き当てた。

槍の完全な中心に当たった箸はそのまま槍の動きを止める。

その反動で真桜が崩れ、それに伴って残りの2人も吹き飛んだ。

「大丈夫か?」

俺は3人を心配するがそこに華琳の声が掛かる。

「勝負あったようね。」

「ふぅむ、北郷殿が此処まで出来るとは・・・。」

隣で愛紗が感心している。

「これは明日の武道大会が楽しみですな。」

その横で星も微笑んでいる。

「あの兄ちゃん、なかなかやるのだ。鈴々も戦ってみたいのだ。」

蜀の面々は今のを見てやる気を出したようだ。

そうしてパーティはお開きと成った。

 

--------------------続く--------------

説明
13話目となります
真・恋姫無双のSSではなくてあくまで恋姫無双の魏ルートSSです。
ただしキャラは真・恋のキャラ総出です。

無印恋姫無双は蜀ルートでした。
そして桃香の代わりが一刀でした。
このSSは魏ルートなので華琳の代わりが一刀です。

この作品の一刀は一刀と華琳の良いとこ取りをした為、かなりの完璧超人になってます。
しかもとある理由でどんどん一刀がチートキャラに成っていきます。

ブログより少し改変、割り増ししてあります

実は魏√アフターであることが判明しました。
萌将伝とは一風変わったハーレムストーリーです。
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コメント
続きが…!続きがみたい…(´・ω・`)(シロクマ)
各々の反応の違いが面白いですね。どちらの世界も差なんてつけられない大切な世界だから楽しみつつも悩んでしまいますよね;(深緑)
続きが気になりますね。 待ってます(きの)
久しぶりにブログの方最初から読もうw(よしお)
おやぁここでも投稿されていたんだ・・(七夜)
この展開が見逃せないですね〜(十狼佐)
そろそろ終焉がちかづいてきたかな。一刀はどういう気分なんだろうなw(GLIDE)
一刀の作った国と華琳の作った国の桂花の一刀に対する態度が正反対でおもしろいっす!(VVV計画の被験者)
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