真・恋姫†無双〜江東の白虎〜第壱章 第10節〜一刀君護衛する後、甘寧降る〜
[全6ページ]
-1ページ-

この小説は、北郷一刀(と思春)にいろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

その点を踏まえて、お読みください。

-2ページ-

一刀が江東の白虎と呼ばれるようになってから早4年。

 

今では連れ帰った虎に騎乗し、孫堅こと美蓮とともに戦場で活躍する姿は、『江東の二虎(にこ)』として恐れられている。

 

凱も、医者王華陀として(呉内部では鬼教官としても)有名になっている。

 

そんな彼だが、一刀は、未だに勝てないものがある。

 

「す〜……すぅ〜……。」

 

「んみゅぅ……。」

 

「はぁ、またかよ。 今週に入って何回目だ?」

 

そう、我侭お姫様'Sこと、雪蓮と小蓮が布団にもぐりこんでくる事にまったく気付けないのだ。

 

まぁ、今は雪蓮は寝巻きで入ってきているが、シャオが居なかったときは、

 

下着だけだったり酷い時は裸で入ってきていたのに比べれば、大きな進歩と言えよう。

 

そんな時、部屋の前に人の気配がしてそちらを見ると、丁度戸が開いた。

 

「お兄様? おはようございま……またですか」

 

入ってきたのは蓮華だった。

 

実の姉と妹に絡み付かれている義兄を見ながら、自分も二人のように積極的に甘える事が出来たら良いのにと、

 

心の中でつぶやきながら蓮華は少しため息をついた。

 

「ああ、蓮華おはよう。 うん、まぁ毎度気付かない俺も、少し危ないのかもしれんがね」

 

そんな蓮華の心境等知らず、一刀は起こしにきてくれた蓮華に挨拶をしながら、

 

二人の拘束から逃れ、なんとか寝台から這い出る。

 

「それだけお兄様が、安心されていると言う事でしょう? なら危なく思われる事は無いわ」

 

そんな、兄の言葉に蓮華は少し笑いながらそう言う。

 

「そうであるなら、有り難い事だ。 じゃ、俺は顔洗って飯食いに行くから二人を頼むな蓮華」

 

「あ、……はい!」

 

一刀はそう言いながら、蓮華の髪を撫でて部屋から出る。

 

蓮華は、頬を若干紅くして嬉しそうにそれうけて、

 

彼の姿を見送った後、小さく溜息をつき、そして少し悲しそうに呟く。

 

「相手はお兄様。 血の……繋がったお兄様なのに……お兄様にこんな感情抱いては、いけないのに……」

 

「……。(蓮華……。)」

 

蓮華の悲しい呟きを聞いたのは、寝たふりをしていた雪蓮だけだった。

-3ページ-

一刀は、顔を洗ったあと朝餉を食べて、何時ものように仕事をしていたら美蓮が冥琳と共に部屋に入って来た。

 

「如何したんだ二人とも?」

 

「貴方に、是をお願いしたいの」

 

そう言って冥琳が渡して来た書状。

 

その中身は、近くの町の太守の名前が書いてあった。

 

内容は、最近噂になっている帆巾賊の『鈴の甘寧』から、殺害予告があったから助けてくれと書いてあった。

 

「ふ〜ん。 でも、俺って将軍であって万屋じゃねんだぜ?

 

しかもこいつって人売りの噂立ってる奴じゃねえか。

 

無視しちゃえば良いのに(あれ……甘寧ってこんな事してたっけ?)」

 

正史にも、外史にも載っていなかった甘寧のこの行動に、一刀は内心首をかしげていた。

 

「だからこそ、貴方に行って欲しいのよ。

 

もしこいつが殺されても同じような奴がその町を仕切る事になる。

 

だから、いっその事証拠を見つけて、我が勢力圏内に入れてしまえば良いと思ったの」

 

「そういうことだ。 ちなみに、もう凱には話は通してある。 本人もやる気だったぞ」

 

「逃げ道ねえじゃん。 はぁ〜わぁったよ。 あいつの事だから、もう準備してんだろ」

 

二人の話を聞いた後、そう言って腰を上げ部屋を出た。

 

 

 

 

門のところまで行くと案の定凱は、準備万端に整って待っていた。

 

兵士も大げさに成らないように100しか集めてないが、皆一刀と凱が鍛え上げた兵(つわもの)だ。

 

「お、来たか。 一刀」

 

「おう、凱。 今やっと話し聞いてなじゃ、行くぞ凱、おめえらっ!」

 

「応っ!」

 

「はっ!」

 

かくして、一刀の兵団は建業を出た。

-4ページ-

〜夜〜

 

 

 

一刀が護衛についているある街の太守の個室。

 

灯りのついていないその部屋の中に座って眠りこけている人影の後ろに、妖しい影がそっと近づき

 

チリーン。

 

「?好(ニイハオ)」

 

スジュッ!

 

鈴の音を鳴らした後、人影の喉笛をその剣で斬る。

 

その後に、手に掛かる血に彼女、甘寧は苦い顔をする。

 

「私達は、何時までこのようなことを続ければよいのだろうか」

 

誰も応える事の無い彼女の呟きに、

 

「じゃぁ、ウチに来るか?」

 

「!?」

 

突如、今喉笛を斬ったばかりの死体から返事が帰ってきたのだ。

 

咄嗟に、彼女は手に持った剣を死体の脳天目掛けて、振り下ろすが手をつかまれ、

 

「がはっ!」

 

いつの間にか、背中から床に叩きつけられ両手を押さえつけられていた。

 

押さえつけている人物を見ると、首に皮の袋を巻いていて中から血と何かの肉が出てきている。

 

甘寧は恐らく是を斬ったのだろうと思った。

 

「俺相手に、おいたはよくねえぜ? と、自己紹介はまだだったな。 俺は姓は孫、名は江、字は王虎ってんだ」

 

「な! こ、江東の白虎が何故こんな所に!?」

 

思いもよらぬ超有名で勇名高い人物の登場に甘寧は驚いていた。

 

そんな彼女をよそに、一刀は話を続ける。

 

「此処の太守からな、助けてくれって依頼が来たんでな」

 

「だが、貴様なら知っているだろう! 此処の太守が、人売りをしていると言う事を!!」

 

「ああ。 それでも、証拠が無い」

 

「っく、所詮貴様も役人かっ! 権力の狗めっ!」

 

一刀の言葉に、甘寧は彼を睨みつけて罵声を浴びせる。

 

其処に、扉の開く音がしたのでそちらに目を向けると、赤い髪の男―凱―が入ってきていた。

 

彼を見ると、一刀は甘寧の拘束を解いた。 其処の事に驚いていると彼等の話が始まった。

 

「おせえぞ、凱」

 

「悪い。 探すのに手間取ったが、見つけたぞこれだ」

 

そう言って凱ニヤリと笑いながら渡したのは、1冊の書。

 

その中身を一刀は月明かりで読むと、ニヤリと維持の悪そうな笑みを浮かべ、書を閉じる。

 

「甘寧。 君達の船は何処にある?」

 

「……教えると思っているのか?」

 

その問いに、一刀を警戒しながらそう応える。 その反応に苦笑しながらも一刀はこう応える。

 

「ああ。 君の言葉に人を救うと言う心が感じ取れたからな。

 

君の船を売られるはずだった人たちの足にしたい。 そのまま城から最寄の港まで出してほしい」

 

「……だが、我々は……賊だぞ」

 

一刀のその言葉に、甘寧は俯いて呟く。

 

その様子に、一刀は甘寧の顔を両手で優しく掴んで自分の方を向かす。

 

「確かに君達は『賊だった』。 まぁ、俺に言わせれば君達は『義賊だった』。 俺に会うまではな」

 

そう言って、力強い光を宿したかのような瞳で甘寧を見る。

 

その瞳に、甘寧は不覚にも見とれた。

 

「今から君と君の仲間達は俺の部下として、此処の太守(バカタレ)の犠牲者を救うんだ 異論はねえな?」

 

「は……い。 はいっ!」

 

それと同時に、甘寧は彼に光明を見た。

 

凱と同じく、彼の人柄に触れて、彼ならこの大陸を変えてくれるのではないか、と彼女は思った。

 

その二人の様子を凱は黙って、嬉しそうに見ていた。

-5ページ-

〜SIDE甘寧〜

 

あの後、名前を交換し合ったあと、私達はの仲間達と船の置いてある漁村に向かった。

 

其処に付くと、何人かの男達―私の部下達―がいた。

 

私ととともに来る孫江殿と華陀殿を見て、警戒する視線があちこちから跳んで来て居るのが分かる。

 

そんな中、孫江殿は平然と前に出て、

 

「俺の名は、孫王虎だ! 名前ぐれぇ聞いたことがあるだろうっ!」

 

彼の名乗りを聞いた途端周りがざわめき出した。

 

当然と言えば当然だ。

 

あの江東の白虎が目の前に居るのだから。

 

「俺も、お前等の噂を聞いて知っている。 中々派手な事してんじゃねえか。 だが、俺はお前等を攻める事は出来ねえ」

 

そういった後、彼は頭を下げた。

 

是には、私も部下達も目を見開いて驚いた。

 

唯一驚かなかったのは、華陀殿だけだった。

 

「すまねぇ。 俺達、上の奴等が、確りしてねえからお前等見てぇな、血で染めなくて良い奴等の手を、血で染めさせてしまったんだから」

 

その言葉に、さらに部下達は驚いていた。

 

そして彼は言葉を続ける。

 

「俺は言い訳するつもりはねぇ、そして誓う。 お前等が笑顔でいられる世界を作るって!

 

だけどそのためには力がたんねぇ、だからおめらの力を、俺達孫呉に貸してくれっ!」

 

そう言って顔を上げる彼の顔は先ほどのように力強い光、強い護る意思が現れていた。

 

「皆の者! 私は良いと思う! 皆はどうだ!」

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

その私の声に、部下達が声を張り上げる。 どうやら賛成のようだ。

 

それを確認すると私は、片膝をついて臣下の礼をとる。

 

「我が真名は思春と申します。 我が真名、貴方様に」

 

「……分かった。 俺のことは一刀と呼べ思春」

 

「……一刀様。 御意っ!!」

 

後で仲間たちに聞いた話だが、

 

一刀様の真名を許されたときに、私は賊になったときから浮かべることの無かった笑顔を浮かべていたそうだ。

-6ページ-

〜SIDE一刀〜

 

その後、あの書に書いてあった蔵に行く。

 

此処の警備も、何かと理由をつけて「夜明けまで来るな」と言って、全員太守の警護のほうに向かわせているため居ない。

 

「さて、此処か」

 

そう言って、蔵の戸を開けた瞬間。

 

『やぁぁぁぁっ!!!』

 

ザクッ!!

 

「っぐ!?」

 

突如扉の奥から、短剣を持った女の子三人が突っ込んで来た。

 

その剣先は、一刀の腹に突き刺さっていた。

 

そして、刺した張本人の少女達は、相手が此処の太守ではない事が分かると、顔を蒼くしていた。

 

「一刀様っ!」

 

「一刀っ!」

 

そのことに、二人は一刀によろうとするが、それを手を出して制する。

 

一刀は、己の前で震える少女達の頭に手を置き、撫でる。

 

「怖かったんだろ? もう大丈夫だ。 俺達が助けに来たからな」

 

『……(ビクッ)』

 

一刀の言葉に、目に涙をためる。

 

「良いんだぜ泣いても。 辛かったろ?」

 

『ぐすっ……うぅ、うあぁぁぁぁぁぁっ!!!!』

 

一刀の言葉に安心したのか、ワンワン泣き出した。

 

一刀は少女達が泣き止むまで、少女達の頭を撫でた。

 

その様子を見ていた思春の部下達は、

 

「俺、甘寧の姐さん以来だ。 この人についてこうと思ったのは」

 

「ああ、俺もあのにいちゃんにいや、あの旦那についていきてえって思ったぜ」

 

「……へっ。 俺より若いのに、カッコいいぜ。 王虎の旦那っ!」

 

と口々に彼への尊敬の念が現れていた。

 

何とか、少女が泣き止むと一刀はその少女が刺した短剣を抜く。

 

刺さっていたわりには、少ししか出ていないが、それでも血が出るのも気にせず、剣を抜くと凱が包帯を持って来て、応急処置をすると言って来たので、

 

「よし、おめえらっ! 俺の部下になって初めての仕事だっ! しくじんじゃねえぞっ!」

 

「応っ!」

 

最後に大声を張り上げて、その場に座り込んだ。

 

一刀の声に部下全員が行動を開始した。

説明
ちわっす!
タンデムです!
今回は、行き成りですが今回で前回より4年の月日が流れております。
Boy一刀君が青年一刀になりました。
そして、新しい武将が仲間になります!
そうです、帆巾賊のお頭です!
みんな大好き思春です!


では、どうぞ!
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
16216 11732 95
コメント
思春も無事仲間になりましたか〜これからは存分にその腕を振るえますね^^b蓮華はまだ一刀との事は知らされていないのですね、今後やはり知ってしまうのかな?・・・暴走が凄そうだなーー;(深緑)
5p攻める→責めるでは?(O-kawa)
3p 一刀の兵団は兼業を出た→建業では。(なっとぅ)
こんにちは!覚えておられないと思いますが「タンデムの書庫」にて小説の設定使用許可をいただいた電撃お兄さんです 。あの時はありがとうございました。最近更新されておられなかったのでドキドキしてましたが、こちらに主軸をおかれるのでしょか?たのしみにしています。(電撃お兄さん)
タグ
真・恋姫†無双 江東の白虎 一刀転生  思春仲間入り? 

タンデムさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com