黙々・恋姫無双 拠点フェイス3 凪・真桜・沙和黙
[全8ページ]
-1ページ-

「はいー、寄ってらっしゃい、見てらっしゃいー」

 

あ、李典さんです。

 

今日も昨日と同じところで竹のカゴを売っています。

 

「あぁ……やっぱこんなところじゃあ、イマイチやな……二連敗は流石に避けたいんやけどな」

 

あ、昨日負けたんですね。誰が一番売るか。

 

まぁ、仕方ないですよ。

 

確認してみましたが、楽進さんのところは何かすごいオーラが漂っていて人が寄ってきますし、

 

于禁さんは服屋が並べている街で、服を選んでいる人たちに対してカゴを売っていたりして、地の利があります。

 

それに比べて李典さんはそれでもなんか目立っていたあの絡繰も壊れちゃいましたし、先ず負けて入ってるといってもそう間違ってはないはずです。

 

「あぁ〜場所変えようかなぁ〜。といっても無理やし。あの子、また来るって言ったしな……」

 

あ、ちゃんと待っててくれてるんですね。

 

ところで、一刀ちゃんがそろそろ街に出てくる時間ですね。

 

約束したのもありますし、出たところ直ちにここに来るだろうと思いますが……

 

ぐいぐい

 

「えん?」

 

「……」『こんにちは』

 

「うわーっ!」

 

こら、一般人にそれ使っちゃダメだって華琳さんに言われたでしょう?

 

「い、いつからいたの?」

 

「……」『ちょっと前』

 

「ぜ、全然気付かへんかったけど」

 

-2ページ-

 

『そんなことより、お姉ちゃん今日は売れた?』

 

「いんやー、今日はまだ一つも売れてへんや……これじゃあ、今日も負けちゃうなぁー」

 

「……??」

 

「ああ、実はなぁ。ここにうちの友たち二人もカゴ売ってるんやけどな。商売ビリな人が夕飯奢りなんや」

 

『それは大変だね』

 

「ああ、昨日も負けたやから……なぁ、坊やや」

 

『一刀だよ』

 

「…あ、一刀というんか。ウチは李典や」

 

『李典お姉ちゃん』

 

「あー」

 

『つまり、売れて欲しいんだね?』

 

「まぁ…せやなー」

 

「……(こくっ)」

 

【さっちゃん】

 

あ、はい、はい、何ですか?

 

【こう、目立つっぽい何かないかな?】

 

ええ?そこまでして助ける理由もないでしょう?

 

【いいからぁー】

 

あぁ…はい、はい。えっと……こういう立て札でいいですか?

 

周りがピカピカってしますけど。

 

【もうちょっとああいうのは?】

 

ああいうのは流石にまずいでしょ。

 

というか、正直一刀ちゃんがそこにいるだけでも十分目立つだと思いますが?

 

街の有名人が一つの露店でずっと立っていると、誰でも一度は振り向きますって。

 

「……!!」

 

【さっちゃん頭いい】

 

へへぇ、でしょ?

 

「あの…一刀や、先から壁の方みてなにしとるん?」

 

『もう終わった』

 

そして一刀ちゃんは、竹簡に大きく字を書きました。

 

 

 

『竹カゴ売りまーす!!!』

 

 

 

-3ページ-

 

「うっそやろ……」

 

昼間がまだ過ぎない頃、露店にはもうカゴが残っていませんでした。

 

一刀ちゃんの宣伝力、マジパネェッス。

 

『これで今日は李典お姉ちゃんが一等だね』

 

「あ、あぁ…せやな。しやし、こんなに早う終わっちまうとは思わんかったわ。何か、一刀ちゃんここで有名な子っぽいしな」

 

『そんなことないよ。普通のそこらじゅうの子供だよ』

 

ふざけんなよ、おい。

 

『そんなことよりね。もう売るものなくなったから、ボクと遊びに行こう』

 

「え?なんや。ナンパしてくれるん?」

 

『ふえ?』

 

この子、本当に単に遊びに行きたいだけです。

 

そういえば今日は皆城に居ませんね。

 

最近この辺りで盗賊たちがたくさん動いていちゃって、手に余る状態のようです。

 

本当に世も末ですね……

 

「ま、ええわ。どうせもうやることもあらへんし。途中で凪たちに会ったらちーとからかってあげようかな」

 

「……(にぱーっ)」

 

「で、どこにいくん?ウチはこの街はようしらへんし、こういうのは男の人が先に行くんやで」

 

「(こくっ)」

 

どこに特に行くところがあるようですね。

 

-4ページ-

 

 

「こ、ここって……」

 

鍛冶屋ですね。

 

しかも、ここって城でも注文入れるほど一流の鍛冶屋ですよ。

 

「おお、これはすごいなぁ……」

 

「……(きょろきょろ)」

 

誰かを探しているようにきょろきょろ見る一刀ちゃん。

 

そして、

 

「……(ぴかっ)」

 

「うあぁー、ちょっと、一刀ちゃんや」

 

李典さんの腕を引いて中に連れて行きます。

 

そこにいたのは……

 

「うん?おお、御使いの坊主じゃねぇか」

 

『こんにちは』

 

ちょっ!その人この鍛冶屋の親の職人さん!

 

『このお姉ちゃん、昨日言ってた人』

 

「え?」

 

「ほぉー、このお譲ちゃんがなぁ……」

 

「あ、あのぉ……何の話やら」

 

「御使いさんから話は聞いた。自動にカゴを作れる絡繰を作ったようじゃねぇか」

 

「え?ああ、いや、それは…もう壊れてしもうたし」

 

「俺でよかったら構造を教えてくれれば少し改良できるように一手打ってあげられるがな」

 

「え?ちょっ、おっさん、それホンマか?」

 

「聞けば、竹カゴの露店を開いていたようじゃないか。完成したら凄く頼りになるものではないのか?」

 

「なるさぁ、あれが本当に使えるもんになったらもうウチの村の人たちも苦労せへんで済むしな」

 

「なら、その物、どういう仕組みなのか少し聞かせてくれ?」

 

「あぁ、でも、ええのか?そんなことしてくれて」

 

「なぁに、あの坊主の頼みなら、もうちょっと無茶なことでも問題ない」

 

「……一刀ちゃんや、お前本当に何者なん?」

 

「……??(きょとん)」

 

いや、何わからないって顔を……

 

-5ページ-

 

 

最初からこうしようと考えていたんですか?

 

「(こくっ)」

 

面白かったから。

 

別にあの人が誰か知ってやったわけではないんですよね。

 

「??」

 

あの人たち、これから仲間になるんですよ。

 

【たちって、じゃあ、李典お姉ちゃんの友たちという人たちも?】

 

はい。

 

ああ、でも………

 

「???」

 

あ、いえ、その話はその時になったらしましょう。

 

 

 

「真桜!」

 

あ、あそこにいるのは……

 

「うん…?あ」

 

職人さんと話をしていた李典さんは後ろから聞こえる馴染みな声に振り向きました。

 

「昼に誘おうときてみたら……露店もサボってここで何をしているんだ?」

 

「な、凪!」

 

「??」

 

ちょっと離れたところにいた一刀ちゃんは、二人が話しているところに行きました。

 

「真桜……村の皆が頑張ってくれたのに…お前はこうしてサボって…(ごごごー)」

 

「いや、ちょっ!なな凪、誤解だってー!」

 

「誤解も何も…」

 

ぐいぐい

 

「っ!!」

 

「!!(びくっ)」

 

スッ

 

ああ、楽進さん怖い顔。

 

助けるつもりで突いてみたら、真桜さんの後ろに隠れてしまいました。

 

「なっ…今のは……」

 

「……(ひょこ)」

 

「な、凪、とりあえず落ち着いてウチの話聞きなって」

 

「???」

 

 

-6ページ-

 

 

「そうか……この子のおかげで全部……」

 

「……」

 

「なぁ、真桜」

 

「うん?」

 

「どうしてその子はお前の後ろに隠れて私を怖がる目で見つめてるんだ?」

 

「そりゃ凪が怖いからじゃあらえへんの?」

 

「なっ!どうして私を……」

 

だって、最初見せた顔が気に満ちている、そりゃまあ相手が友たちでなかったら殺していたというような顔をしていたら、肝の小さい一刀ちゃんが驚きもしますよ。

 

「あんな、一刀ちゃん。凪がああ見えてもええ奴なんよ。だから、ほらな」

 

「……」

 

李典さんの話を聞いて、てくてくと楽進さんに近づく一刀ちゃんです。

 

「……」

 

「あ、えーと…」

 

「あ、その子何か言葉はいえないっぽいからそこらへんは解っておきな」

 

「あ、えーと、その、先は悪かった」

 

「……(じー)」

 

「……うぅ…」

 

「……」『痛くない?』

 

「え?」

 

『体、傷たくさんあるから』

 

あ、先ずはそこに目が移りますね。

 

「ああ、…大丈夫だ」

 

「……」『痛そう』

 

「昔の傷だ。今はなんともない」

 

『ボクもね。こういう傷あるの』

 

「え?」

 

そう言いながら、一刀ちゃんは上着をたくしあげて、腹を見せました。

 

「なっ!」

 

「ちょっ、これって……」

 

一刀ちゃんの腹には、

 

車にぶつかった時に手術した痕が、きっちりと残っていました。

 

腹を横に分ける、子供が持つにはあまりにも大きい傷です。

 

手術とかが広まってないこの時代なら驚くことでしょう。

 

「…おい、それ大丈夫なん?」

 

『もう大丈夫。昔の傷だから』

 

服を戻してから一刀ちゃんは言いました。

 

『ボクはこれしかないけど、お姉ちゃんはたくさんあるね』

 

「ぁ………」

 

楽進さんは驚いて口が閉じれないようです。

 

「せ、せや!凪、昼ご飯食べに行くって言ったな。早う行かんと時間なくなるでー」

 

「あ、そ、そうだな」

 

重い話を流そうとする李典さんとそれに乗る楽進さん。

 

「一刀ちゃんも一緒にいくんやろ」

 

「(こくっ)」

 

「おや、もう行くのか?」

 

鍛冶屋の職人さんの声でした。

 

「ああ、おっさん、ありがとう。勉強になったでー」

 

「ああ、また暇があったら来い。待ってるぜー」

 

「ありがとう」

 

そうやって三人は鍛冶屋を後にしたわけですが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひっ!」

 

「………」

 

「ぁ……」

 

「…さーわー」

 

サボって喫茶店で爪に手当てしていた于禁さんとばったり会っちゃいました。

 

『李典お姉ちゃんたちの友たち?』

 

「ああ、于禁っていうんやけど…ちょっと、あっちに行こうな、一刀ちゃんは」

 

「???」

 

「沙和ー!!!」

 

「きゃー!!!」

 

ドッカーン!!!

 

 

 

 

まぁ、そういう話もあったなぁ、ってお話でした。

 

 

-7ページ-

 

 

「あうぅ……真桜ちゃん、凪ちゃんが怖いのー」

 

「沙和が悪いんやろ。それより、ほら、挨拶しな」

 

その時、初めて一刀ちゃんを見る于禁さん。

 

「うん?…わはー!」

 

そして、

 

「この服かわいいのー!」

 

うえっ!?そっち?!

 

「(びっく)!!」

 

突然触ってくる于禁さんに驚いた一刀ちゃんでしたが、逃げることはせず。

 

「ねぇ、ねぇ、この服どこで買ったの?」

 

「……」

 

それはとても困る質問ですがね。

 

「子供がそれ知ってるわけないやろ」

 

「あぁ、そうなの……」

 

「……」

 

「っていうか、何で真桜さん、こんな子供を連れているの?」

 

「ふふーん、聞いて驚きー。この子のおかげでなんと、ウチは持ってた竹カゴを全部売り上げたんや!」

 

「えー!?真桜ちゃんずるいのー。子供を利用するなんて反則なの」

 

「利用とは人聞きが悪いなー。ちゃんと同意を得てやったんやでー。なー、一刀ちゃん」

 

「(こくっ)」

 

「うーん…あはっ、じゃあ、真桜ちゃんは今大金持ちだから、昼ご飯は真桜ちゃんが奢るのー」

 

うわー、この子頭いい。

 

「なっ!ちょっ、それはないやろー!」

 

「それがいいな」

 

「凪までー?!」

 

【ねぇ、さっちゃん、もしかしてボク、余計なことして、李典おねえちゃんのこと困らせた?】

 

いいえ、一刀ちゃんは何も悪くないですよー。今日はよく頑張りました、えらいえらい。

 

「……」

 

「何でこうなったしー…ヨヨヨ」

 

-8ページ-

 

「あー、美味しかったのー」

 

「せやなー、美味しいし、値段もよかったしー、一刀ちゃんのおかげで今日はええことばかりや…ウチが奢ったことを省けば」

 

『ごめんなさい』

 

「こら、真桜、一刀のせいにするな」

 

まぁ、とにかくこれでこの人たちとも面識が立ちましたね……

 

「……!!」

 

あれ?一刀ちゃん、どうしました?

 

…あ。

 

 

 

 

「あら、一刀、こんなところで何をしているのかしら」

 

華琳さん、戻ってきましたね。

 

「………(カタブルカタブル)」

 

「え?一刀ちゃん、どないしたん」

 

「この人って誰なの?」

 

「控えろ!このお方は陳留の州牧、曹孟徳さまだ!」

 

あ、春蘭さんも。

 

「げっ!州牧さん!?」

 

「じゃ、じゃあ、ここの一番えらい人さんなのー?」

 

「ええ、そうよ。そして、…一刀」

 

「………」

 

「私たちがいない間、城で桂花と一緒に大人しくしていなさいって言ったはずだよね。何故ここで、こうしているのかしら?」

 

「……」

 

スッ

 

「あ!あいつ、逃げやがってー!」

 

「まぁ、後で相当のお仕置きね…そして、そこの三人」

 

「「は、はいっ」」

 

「はい」

 

「今日一刀の世話をしてくれてありがとう。感謝するわ」

 

「あ、いやー、世話というか…世話はウチらの方がもっとされたわけやし……」

 

「なのー」

 

「おかげで色々とたすけてもらいました」

 

「あら、そう……ただ遊んだわけではなさそうね……お仕置きは止してあげましょうか」

 

ふー、よかったですね。

 

「それじゃあ、私たちはこれで失礼するわ」

 

「は、はい」

 

そして華琳さんと春蘭さんは李典さんたちを通りすぎていきました。

 

「はぁー、びっくりしちゃったのー」

 

「一刀ちゃん、ただの子じゃあらへんと思ったんやけど……

 

 

まさか、州牧さんの息子さんやったのか」

 

ちょっ!すごい勘違い!

 

あ、まぁ、今のを見るとその考えも妥当ではありますが、

 

本人の前で言うと速攻首を刎ねられそうな発言ですね。

 

 

 

 

 

ま、まぁ…これ以上言うと、華琳さんの耳に入るかもしれませんし、今回はこれで閉めることにしましょう。

 

この三人とは、またそのうち会えるでしょうしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
時間的にちょっとあれな部分もありますが、

そこはスルーしていただけると嬉しいです。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
4807 3937 42
コメント
うたまるさん>>…あわわ…(TAPEt)
華琳=一刀の母 におもいっきり吹きました(w ついつい、それを言われた華琳と震える三羽鴉の様子。 そして一刀に『そうだねボクの家族と言われたら華琳おねえちゃん嫌なんだよね』と言って涙ぐむ一刀を見て何とか耐える華琳の様子が脳内で補完されてしまいましたよー(うたまる)
山県阿波守景勝さん>>え?もう決定ww(TAPEt)
若いお母さんですね。(山県阿波守景勝)
ロンギヌスさん>>このネタ、後でも使いどころありそうですので…www(TAPEt)
華琳がいつの間にか、未婚の母にwww(ロンギヌス)
namenekoさん>>自分じゃうまく判断がつきませんのでとりあえず変えてみます。文法誤謬指摘ありがとうございます(TAPEt)
誤字、6pの子供がもちには大きい傷です。→子供がもつには大きい傷です。では? 続き頑張ってください。ダメだしばっかでスイマセン(VVV計画の被験者)
タグ
真・恋姫無双 恋姫 黙々 一刀ちゃん 真桜  沙和 衝撃のラスト 韓国人 

TAPEtさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com