真・恋姫†無双〜江東の白虎〜第壱章 第16節
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この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全て、三羽烏に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

その点を踏まえて、お読みください。

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太史慈こと紗那が仲間になった事で、更なる戦力増強となり、皆が勢いに乗る。

 

紗那も呉の皆とも打ち解け、半月しか経っていない現在で既に皆と真名を交換していた。

 

瑞穂が男だと知って少し事件になったが、概ね平和だった。

 

しかし、一刀はあまりにも強力な武将が、こんなにも早い段階で集まって居る事に、不安を覚えた。

 

それも、取り返しの付かないほどに、大きな事が起りそうな気がしてならなかったが、

 

何も起こること無く、一刀は心の片隅に不安を置きながらも平穏な日々を過ごしていた。

 

だが、その平穏な日々は突然、崩れ去る事になる。

 

それは或る日の夜に起こった。

 

「ううぅ……!」

 

一刀は夢を見ていた。

 

『一刀……ご、めん、お母さん、もう……持たない、や。 あの娘……達を、よろし……くね』

 

『一刀君との、子供……冥琳に……みせ、たかっ、たなぁ』

 

『一刀様……我が魂魄、何回生まれ……変わろ、うとも……一刀様、を』

 

だがそれは、好んで見たい物ではない

 

「うっぐぅぅ……!」

 

それは、

 

『兄様ってまと……もに呼んだ事、あんま……無かっ、たね。

 

もっと一緒に……居たかっ、たな……にぃさ、まぁ……』

 

『私はずっと……一刀、を……好いて、いる……ぞ』

 

『すまん……俺は……此処まで、のよう、だ……一刀、おま、えは……生きろ』

 

「ぐっ……がぁ……ぁあぁ……!」

 

一刀の親しき者達の

 

『お兄様……れ、ん華、の、傍に……い、て』

 

『シャオね、おにぃ、さ、まが……だぁい好……き』

 

『一刀、さま……わ、たし……は……』

 

「くぅ……うぁ……あぐぅ……!」

 

愛する者達の

 

『し、しょ……う……すい、ませ……ん』

 

『セン、セ……や、くそく、まも、れ……へんわぁ』

 

『せん……せい、ゴ、メンな、の……』

 

「うぅぅ……ぐぁ……ぁ……!」

 

大切な者達の

 

『この、命……尽きよ、うと……私は……貴方、様と……と、もに』

 

『かじゅと……しゃま……だ……い、しゅき……でし、た』

 

『僕、一刀様に……会、えて……よかっ……た』

 

「あぁがぁ……ぁ……うぐぅぅ……!」

 

 

 

死。

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「うわあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

堪らず、一刀は叫び声をあげて飛び起きる。

 

「うげぇぇぇっ!! がっ! あ゛ぁぁぁぁっ!!」

 

目は覚めたはずなのに、頭の中に大切な人たちの死のイメージが次々と頭の中に流れ込んでくる。

 

そのせいで頭が割れるような頭痛と焼け付くような胸焼けが起こり、胃の中のものを吐き出す。

 

「一刀様!? 如何なさったんですかっ!?」

 

「一刀様! 確りしてくださいっ!」

 

「あ゛ぁぁっ! ぐぐぅぅっ!」

 

偶々、部屋の前を通りかかった大小姉妹が一刀の部屋の中に入ってきて、事の重大さに気付く。

 

駆け寄るが、一刀は頭を抑えて苦しむばかり。

 

「おい、さっきの悲鳴は……一刀!? 如何した!! 確りしろ!」

 

先ほどの悲鳴は偶々泊っていた凱の部屋にまで届いており、凱は異常を感じ一刀の部屋に来てみれば、

 

一刀が胃のものを嘔吐して頭を抑えて苦しんでいた。

 

「っく! 二人とも、下がれ! 我が鍼、心静める者也っ!

 

医心伝鍼(いしんでんしん)っ! げ・ん・き・に・なれぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

凱は、夕陽と廿楽の二人に危害が及ばぬように一刀の、沈静のつぼを突く。

 

「うぅぅっ……」

 

つぼを突かれた一刀は苦しんではいるものの、取り敢えずは落ち着きを取り戻し、静かに眠った。

 

「すぅ〜……す〜……うぅ……」

 

「ねぇ凱……一刀様は、一刀様は大丈夫なの?」

 

心配で泣きそうな顔をしている廿楽に凱は、落ち着かせるように言う。

 

「ああ……一応は落ち着いた。

 

一刀は俺が見ているから、二人は、一刀の吐瀉物の片付けをしてくれ」

 

「はい。……一刀様、がんばってください」

 

廿楽が取り乱しそうな状態で、自分も取り乱すわけには行かない。

 

夕陽はそう自分に言い聞かせて、涙を堪え一度だけ一刀のほうを見た後、廿楽と共に片付けを始めた。

 

幸いにも、一刀の悲鳴に気付いたのはこの三人だけだったのが、せめてもの救いだろう。

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〜一刀side〜

 

 

「っつ〜〜! ん? 此処、何処だ?」

 

頭痛が引いた後、一刀はいつの間にか白い世界に居た。

 

何処までも広く、何も無いそんな場所だ。

 

と、不意に何かの気配がしたのでそちらを振り向く。

 

其処には、一刀と同じ黒髪碧眼の女性がいた。

 

「アンタ……誰だ?」

 

一刀は少し警戒している風を装いそう問うが、心の中では何故か警戒できていない。

 

彼女の瞳を見ていると、何故か安心する気持ちになる。

 

「……妾はお前を、あの世界に送った者じゃ」

 

女性の言葉に、何故か少し驚くも一刀は余り取り乱さなかった。

 

どこか頭の隅で予測がついていたのかも知れない。

 

「で? その俺を送った人が、今更何?」

 

「見たであろう? アレを。」

 

「っ!? それが?」

 

一刀は、分かる。

 

彼女が言っている"アレ"の正体。

 

先ほどまで、自分の頭の中に送り込まれていた、大切な人達の死のイメージ。

 

「アレは、お前が居る事で、後に必ず引き起こる事じゃ」

 

「なっ!? ど、如何言う事だよっ!」

 

女性の言葉に、一刀は今度こそ驚きを隠せないで居た。

 

「それについては、この世界の事を説明せねばならん。

 

この世界は、外史と呼ばれる人々の念が作り上げた世界と、正史と言うその世界の元となった世界の二つが有る。

 

そして、今お主が居る世界が外史に当たる」

 

「パラレルワールドじゃねえのか?」

 

「間違いでは無い。 御主の居た正史から極めて近く、そして限りなく遠い世界。 それが外史じゃ」

 

女性の言葉に、何となくだが世界の事は分かった。

 

そして、有る推測が生まれた。

 

「さっき、俺が居る事で引き起こることだって言ったよな?

 

ってことは俺がこの世界に干渉してしまったが故に、本来は死ぬべきではない命も一緒に死ぬってのか!?」

 

「本当は、御主にその定めを断ち切ってもらう心算だったのだが、思いのほかお主が強くなり過ぎての。

 

知っておろう、孫呉は一度衰退期を迎えることを。

 

お主が居る事で、孫堅だけが死んで衰退と言うのが起こらなくなってしまい、

 

結果としてこの物語の中心人物の殆どが死を迎えなければならなくなったのじゃ」

 

あの世界では、強くなければみんなを護る事が出来ない。

 

だから強くなった。

 

だが、それが今結果として皆を死の淵に追いやる事に成ってしまった。

 

「辛いじゃろうが、是が未来じゃ」

 

「くそっ!!」

 

突きつけられた事実に、一刀は自分の無力さを知った。

 

何か方法は無いのかと、考えて見たがてんで思いつかない。

 

「すまぬ。 このような思いをさせるならば、"この世界につれてこなかったものを"。 ほんにすまぬ」

 

だが、そういった女性の言葉に一刀は何か引っかかった。

 

「……いま、なんつった?」

 

「うん? じゃから、ほんにすまぬと」

 

怪訝そうに彼女は一刀の問いに応える。

 

「違う、もうちょっと前!」

 

だが、一刀は彼女の言葉を否定し少し前の言葉を、と促した。

 

「? "この世界につれてこなかったものを"か?」

 

そして、その言葉に光明を見た。

 

「……! そうか、そうだ! こうすれば皆死なないかも知れない!」

 

そう言って叫んだ。

 

女性は如何言う事だと言う視線を一刀に向けて、一刀が話すのを待った。

 

そして、話した内容に驚きを隠す事が出来なかった。

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「う、うう?」

 

一刀は目を開けると、其処は白い世界ではなく見慣れた自分の部屋。

 

香の香りがするのは、昨日の自分のせいだろうと思った。

 

とりあえず、起きようとするが、軽い重みがかかって少し躊躇させた。

 

「? 廿楽と夕陽?」

 

軽い重みの正体は、自分の寝台の横にうつ伏せて眠る二人の少女だった。

 

余程一刀のことを心配していたのだろう、涙の跡が少女達の頬に沢山伝っていた。

 

「起きたか、気分はどうだ一刀。 ん〜っ!」

 

ふと顔を上げると、部屋の椅子に座って寝ていたであろう凱が伸びをしながら一刀に話しかけてきた。

 

「うぅ、口の中が酸っぱいが、それ以外は問題ない。 偉く心配かけちまったみたいだな」

 

一刀は、そんな凱に対して口元を押さえて、顔を顰めながら答える。

 

「ああ、その娘達は俺が居ると言っても聞かず、此処に居ると言ってそのまま寝てしまったんだ。

 

責めてやるなよ? っとほら水だ」

 

「もとより責める心算はねえよ。 んっく」

 

そう言って、一刀は少女達を起こさぬように、

 

寝台から出て水を飲んだ後、代わりに少女達を自分の寝台に寝かせてやる。

 

「それより、本当に何も無いんだな?」

 

「ああ、そう聞くって事はお前の方でも俺の病魔を見つけられなかったからだろ?」

 

「……ああ。 お前の氣に澱みは見られなかった、だから不思議で仕方ないんだ」

 

心配そうに、そして不甲斐無さそうに言う凱に一刀はぽんぽんと肩を叩く。

 

「心配する事はねえ、この通り俺はぴんぴんしてんだから(それに病魔じゃねえしな。)」

 

「ふぅ……もう少し自分の身体を大事にしろよ?」

 

一刀そんなの様子に凱は呆れながらも、困ったように笑う。

 

そして、一刀は寝台の二人の姿を見て

 

「さて、眠り姫を起こさないように野郎どもはさっさと退却しよう」

 

「そうだな」

 

そう言って、凱と共に部屋から出て行った。

 

何時の間に書いたのか、二人に向けた置手紙を残して。

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そんな事があった2週間後、終に劉表を攻める事を美蓮から聞くと、一刀は凪、真桜、沙和の試験をする事にした。

 

一刀は、凪、真桜、沙和の三人を呼びだし、試験をすると言って修練所に来ていた。

 

「お前等の勝利条件は、俺をこの場から一歩でも動かす事が出来たら良い。

 

俺は防御しかしないが、本気で行く」

 

「っ!」

 

思春の武器と共に新調した純白の籠手―白虎覇爪―を手につけて、対峙する。

 

勿論、一刀の本気で行くと言った手前、殺気も本気のを出す。

 

一刀の本気の殺気に三人は震えが止まらない。

 

だが、それでも期待に応えなければならない。

 

彼が試験をするということは、自分達を認めてくれるせっかくの機会なのだから。

 

「真桜、沙和、皆で行くぞ」

 

「そんくらい……」

 

「分かってるの!」

 

凪のその一声に、二人は剣と槍を其々構える。

 

「(ふむ。 三人とも俺の言った事に気付いたか。)」

 

三人の行動に一刀はそう思考を巡らす。

 

今の凪、真桜、沙和単体の力では、一刀に触れる事すら出来ないだろう。

 

だが、一刀は「お前等」と言った。

 

だから彼女等は、三位一体の攻撃を仕掛ける。

 

そのことが分かった三人に一刀は、結構満足していた。

 

「はあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

考えに没頭していたせいで、三人の行動をそのまま見送ってしまいそうだった。

 

「いっくでぇぇっ!!」

 

「いくのぉぉっ!!」

 

そう言って、真桜と沙和はありったけの氣を自分の得物に籠めて一刀に、突貫する。

 

「それは頂けないな(フィールド全開!! なんちゃって。)」

 

ガキィンッ!

 

そう言って一刀は右手を前に出すと、あっさりと二人の突貫を止めた。

 

一刀の掌の前には氣の壁があった。

 

そして、それで二人を吹き飛ばす為に、壁を押し返す。

 

だが、

 

「負・け・て・たまるかいっ!!!!」

 

「負・け・な・いのぉぉっ!!!!」

 

ギャリギャリギャリッ!!

 

「(わーお。この二人がこんなに踏ん張るとはね……)」

 

二人は少し、後方に下がっただけで、押しとどまり吹き飛ばなかった。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!! いくぞ! 二人とも!!」

 

そして、後方でなにやら氣を溜めていた凪がその右足に氣を集中しているのが分かった。

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「師匠! これが、私達のできる最高の一撃です!」

 

そう言って、凪はサッカーボールを蹴るようなポーズとり、

 

「猛虎っ!」

 

後ろに右足を振り上げ、

 

「蹴撃ぃっ!!」

 

一気に蹴り出す。

 

右足の氣は氣弾となって、一刀達の方に飛んで行く。

 

そして、真桜の槍と氣弾が接触する瞬間、二人は中央に寄り自分の氣を槍に溜める。

 

すると、三人の氣が混ざり合い、白銀に輝く一刀の氣に匹敵する密度になった。

 

そして、氣弾に押された真桜の槍は氣の壁を貫き、一刀の籠手に到達する。

 

是は、一瞬だが三人の氣が一刀の氣の壁に使っていた氣を僅かだが超えた証だった。

 

理由としては、面と点の違いと言う事、そして三人の氣の収束もあると思われる。

 

「くぅぅっ!!」

 

それを見て、手を引き一刀は籠手の氣を溜めた甲の部分で防ぐ。

 

ギャリギャリギャリッ!!

 

ピシッ!ピシシッ!!

 

少しの間一刀の籠手と良い勝負をしていたが、先端から罅が入り始め、

 

バキャァァァンッ!!

 

終に槍が凪の氣と一刀の氣に耐え切れず、砕け散ってしまった。

 

それを見ると、三人はその場にへたり込んでしまった。

 

「くそぉ……」

 

「もうちょいやったのにぃ……」

 

「うぅ〜。 悔しいのぉ〜!」

 

三人が口々に、悔しそうな声を出すが一刀はそんな三人に声を掛ける。

 

「ふっ、おめでとう、お前等の勝ちだよ」

 

「へ?」

 

そう言って、足元を指差すと、其処には僅かにだが足を後ろに引きずったような跡がついていた。

 

『…………や、やったぁぁぁぁっ!』

 

三人は暫く呆けた後、三人は其々が飛び跳ねんばかりに喜んだが、流石に疲れてそれは出来なかった。

 

「おめでとう、凪、真桜、沙和。 是で俺はやっとお前等を村に返す事が出来るな」

 

『!』

 

そう、三人が一刀に頼んだのは自分達を強くする事。

 

それが叶ってしまった今は、もう村に帰らねばならない。

 

三人が沈んだ空気を出していると、一刀が寄って来て三人を抱きしめた。

 

「もう一生会えないって訳じゃないんだ。 だから、また会いに来い、今度は自分達の足でこの呉の国までな」

 

「うっ……く……し、しょう……うぅ」

 

「ゼンゼぇ……うぅぅ……」

 

「せぇんせぇぇぇ……ふぇぇぇんっ」

 

三人は、一刀との別れを惜しみ泣いた。

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三人が一頻り泣いた後、一刀は泣き止んだ三人を連れて、武器庫に行った。

 

三人の武器は、一刀との戦闘で、ボロボロの状態に成ってしまった。

 

そこで、一刀は自分が彼女等と同じ年の頃使っていたお古の武器、

 

凪は手甲(後に真桜が弄くって閻皇に)、

 

沙和は双剣(後に真桜に弄くられて二天に)、

 

真桜は槍(後に弄くって螺旋槍へ)を其々選別にと渡すこととした。

 

余り使ってなかっが、手入れだけはキチンとされており殆ど新品同様だった。

 

一刀は今つけている籠手と同系統の武器を作ってもらうと他のは使わなくなってしまったのだが、

 

その一刀の餞別に、三人は嬉しさでまた泣きそうになったが、ぐっと堪え涙は流さなかった。

 

そして、それから3日後、三人は後ろ髪を引かれる思いをしながらも、呉を後にした。

 

「(これで、凪、真桜、沙和は呉の物語から外れた。 是で、3割の準備は整った)」

 

夢の内容を思い出し、一応是で、三人の命を救う事が出来たと一刀は安堵の溜息を吐くのだった。

説明
ちわっす!
タンデムです!
行き成りですが今回は、結構大事な物語の一つ。
仄々していた今までのものが一変します。


では、本編どうぞ。
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コメント
夢の中で一刀は何を思いついたんですかね?気になります。(ハーデス)
夢だろうが何だろうがそんな未来なんか信じたくありませんものね。さて、刻一刻と迫りくる時に向けてどんな抗いを見せるか楽しみです。(深緑)
近付いてるな;;(RevolutionT1115)
タグ
真・恋姫†無双 江東の白虎 一刀転生 三羽烏の巣立ち 

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