真・恋姫†無双〜江東の白虎〜第壱章 第20節〜一刀の想い〜
[全6ページ]
-1ページ-

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

その点を踏まえて、お読みください。

-2ページ-

美蓮達は、凱を(叩き)起こした後、お礼を言って皆の集まる広間に向かった。

 

途中、冥琳が助かった母親に抱き付いて、泣くというイベントもあったが―――。

 

そしてついた後行き成り、美蓮に対して二つの影が突進を掛けて来た。

 

『お母様ぁっ!!』

 

「おっとと……もう、吃驚するじゃない。 でも、心配掛けたわね」

 

その影とは、小蓮と蓮華。

 

顔をグシャグシャにした二人を優しく受け止める美蓮。

 

若々しい外見はしているが、やはり母親なのだ。

 

「母様、結羽さん、お帰り」

 

「こらこら、死んだみたいな言い方しないでよ。 でもホント、復活よ」

 

そして、彼女等の後ろには目じりから雫をこぼす雪蓮の姿。

 

雪蓮の言葉に結羽は苦笑しながら言う。

 

「其れより、一刀が生きてるんですって?」

 

「詳しく教えて」

 

『……え?』

 

二人がそう言うと、逆に皆がポカンと呆けた顔をした。

 

「詳しくは、皆でそろって話そうと思いまして、どうぞお掛け下さい」

 

皆が呆ける中、冥琳だけが確りとした対応をした。

-3ページ-

シャオと蓮華が泣き止んだ後、人払いをして皆が席につく。

 

「まず、始めは、私の憶測でしかなかったのですが、廿楽と夕陽の持ってきてくれた手紙で確信に変わりました」

 

そう言って、冥琳は結羽、美蓮、祭と書かれた手紙を其々送り主に渡した。

 

「アノ子から手紙なんて、すっごく老けた気分だわ」

 

「そう言わない。 冥琳、続けて」

 

二人のやり取りは復活をとげて、寝ていた間放出する事のなかった元気を、此処で放出しているかのようだった。

 

「こほん。 そして、その考えに至るまでは、あの詩にあります」

 

そう言って、あの詩の書いてある少し大きめの板を取り出す。

 

「この詩には、少し矛盾が有るんです」

 

 

天の定め 白き虎を貫き 虎の郷(くに)は地に伏せる

 

白き虎 頭を垂れて 力尽きん

 

されど 瞳に誇りを宿し ひとひら咲かす

 

親しき友よ 愛しき者達よ

 

後に続く者達よ 白き虎 残せる物はただ朧のみ

 

この身 朽ちとも 我が望み 散らぬ

 

白き虎 黄泉の畔(ほとり)歩き

 

皆 未来行きて 喜び謳え

 

我望みの為 散らぬ

 

皆嘆く事無く 前を向け

 

我が行くは 浅き夢見し 永き眠りの旅

 

最早眠る 我が命 永久に呉の浅き夢見し

 

去らば 愛しき皆よ 我が鋼友よ

 

又会わん 我が鋼友よ 愛しき皆よ

 

 

「別段、変な所はないわよ?」

 

「う〜ん。 私は違和感が有るんだけど、其れが何なのか分からないって所なのよね」

 

冥琳はもう一度詩を読み、美蓮と結羽は其れを聞き感想を言う。

 

「では一つづつ説明しましょう。 先ず、この詩の中でよく出てくる、

 

『白き虎 我』是は『一刀』の事を指しているのは明白です。

 

次に、歌の始めの『虎の郷』これも此処、建業からなる『呉』の事を指しています。

 

そして、『頭を垂れて 力尽きん されど 瞳に誇りを宿し ひとひら咲かす』

 

是は、『自分は死ぬが、自分の思いは消えず、最後に咲き誇ろう』だと思います。

 

事実、一刀は美蓮様を黄祖の矢から護り、その一団を消しとばしました。

 

次は、『親しき友 鋼友』是は言わずもがな『凱』の事を指しています」

 

そこで一呼吸着き、喋っていて喉が渇いたので水を一口含む。

 

「そして次の『愛しき者達 愛しき皆』是は……多分私達の事だと思われます」

 

「そんなの当たり前じゃない」

 

「違ったらぶっ飛ばしてやるんだから」

 

此処ではやはり、茶々を入れる戦天才の親娘が口を挟んだ。

 

それに、結羽がハイハイと合いの手を入れてやる。

 

「コホン。 続けます。

 

そして、この『後に続く者達』是は『美蓮様と母上を除けた私達』を指している物と推測されます」

 

「ん? どして?」

 

是には、分からないと美蓮は首を傾げる。

 

「多分、一刀は自分が死ぬことで『江東の二虎』の効力は、表面上は無くなるだろうと思ったのだと思います。

 

事実、美蓮様と母上が病に伏せられている時、私達の傘下の者達は殆ど居なくなり、

 

見計らったかのように、此処の太守をやれと都の遣いが雪蓮に官位を授けにやってきました」

 

「!?」

 

是には、流石の二人も驚いた。

 

そして、結羽は溜息をついた後冥琳を見てこう言う。

 

「『王の交代の時期』そう言ってるの? 冥琳」

 

「はい。 今の国の情勢では、美蓮様だけの力では難しい。

 

だから、新しい王を立てなければならないのです。

 

それに、何れ雪蓮は王になる。 其れが聊(いささ)か早まっただけの事」

 

「……そうね」

 

冥琳の話を聞いた美蓮がそう言って立ち上がって雪蓮の、前に行き『南海覇王』を抜刀する。

 

「雪蓮、私は王位を退き貴女に託すわ。 でも、貴女は一刀のような覚悟が出来る?」

 

「覚悟なら出来てるわ。 一刀の強さの理由を……一刀が護る理由を教えてくれた時から」

 

そういう雪蓮の眼は、兄にも劣らぬとても強い光を秘めていた。

 

それに美蓮はふっと笑い、『南海覇王』を納刀し、雪蓮に渡す。

 

「雪蓮、私に成らなくても良い。 『貴女らしい王』を自分で考えて、目指しなさい」

 

「はい、母様」

 

その様子にしばし皆見入った。

-4ページ-

美蓮が席に着き続けてと促したので話を戻す。

 

「続きを言います。

 

『白き虎 残せる物はただ朧のみ』是は、『此処に並ぶ書と、私達其々にあてた手紙』のこと。

 

『この身 朽ちとも 我が望み 散らぬ』是は、『自分は死んでも、自分の望みは消えない』です。

 

そして、此処が重要です。『白き虎 黄泉の畔(ほとり)歩き』是は『一刀は死の世界の川を歩く』と有りますが、

 

この後に『我望みの為 散らぬ』で『自分は、願いがあるから死なない』と言っている。

 

是では、少し矛盾になってしまうのです」

 

「! そうか、なるほどそう言えば、確かにそうだわ」

 

「でもそれなら、書き間違えとかじゃない?」

 

冥琳の言葉に結羽は、目を開いて頷き、美蓮は余り気にしていない様だ。

 

そんな美蓮の様子を見越してか、冥琳はいえと続ける。

 

「何時もの仕事などに誤字が無い上に、一刀には詩の才も有りました。

 

ですから、誤字と言うのは有り得ません」

 

「じゃあ何なの?」

 

その美蓮の言葉に、全員が頷く。

 

「はい。 そこで、私はこう考えました。

 

『白き虎』を『一刀』では無く『江東の白虎』として考えるのです」

 

『……っ! そうかっ!』

 

『……は?』

 

その言葉に、其処に居たものの結羽、蒼里、瑞穂以外全員が頭にハテナを浮かべ、

 

他三人は、歓喜に震えるている。

 

「『白き虎』は『一刀君』"本人"では無く、『江東の白虎』と言う"二つ名"に置き換えるのね」

 

「しょうしゅれば、確かに『白き虎』は死にましゅが……」

 

「『一刀様』は死んだことになりません!」

 

三人の説明で、分からなかった者達が徐々に分かり始めるが、小蓮は未だわかっていない様だ。

 

それでも、話は進む物で、冥琳は構わず話を進める。

 

「ええ、そしてこの詩にはその時知りえるはずの無い未来も書かれている事になる。

 

冒頭の『天の定め 白き虎を貫き 虎の郷は地に伏せる』

 

是は、一刀が私達の前から姿を消した後、今のこの国の情勢を的確に言い表しているわ」

 

「!?」

 

確かに言われてみれば、この詩を書いたのは戦に出る前だと皆が思い出した。

 

「この通りにするには、確実に未来が分かっている若しくは、わざとしないと出来ない。

 

だが、戦場で一刀がわざとそんな事をするなんて事は有り得ない。

 

そして、私達は政務を怠っては居なかった。

 

だから『未来が、分かっていた』としか考えられないわ」

 

冥琳の言葉に、少し静まる。

 

そして、

 

「でも、そう考えると

 

『我が行くは 浅き夢見し 永き眠りの旅 最早眠る 我が命 永久に呉の浅き夢見し』

 

是は、大まかに『草葉の影から見ているよ』と言う意味ではなく、

 

『皆で呉を取り戻す 機会を待とう』と言う意味になるわね」

 

歌の解釈が段々変わりだし、皆の雰囲気も段々と明るい物に変わっていく。

 

「そう、そう言うのも含めて考えると、この詩に書かれている意味も丸っきり変わってくるわ。

 

この歌の大まかな意味は『自分のはこの戦で死ぬが自分の死を悲しまず、前を向いてゆけ』と言う詩ではなく、

 

『自分は世間的に死んでいるけど、何時か又、この国を取り戻す為、会おう』と言う意味になる!」

 

そう言うと、皆の表情に活力が戻る。

 

中には気が早い者も居て、歓喜の涙を流している者も居る。

 

「次は、この。 〜一刀様の真実の書〜か。」

 

「一体何が、書かれているのかしら?」

 

紗那の言葉に反応して、雪蓮が書を開き中に書いてある内容を朗読する。

 

それには、美蓮たちが隠して来た一刀の秘密が書かれていた。

 

皆一様に、一刀が孫家の血をついで居ない事に驚きを隠せない。

 

そして更には、美蓮も知らぬ真実、一刀には前世の記憶があったなど、少しぼかして書いてあった。

 

そして、一刀自身が居た正史を "天" と置き換え書に記してあった。

 

書の中身は、信じられぬ物が多かったが、その書を読み終わると、戸が開く聞こえた。

 

入って来た兵が、『袁術から使者が来た』と言ったのには驚いた。

 

その書にも、『何れ袁術から使者が来る』と書いてあったからだ。

 

国を取り戻すとは、こう言う事かと思ったものも居たようだ。

 

かくして、孫家は一時的に袁術の傘下と成ったのだった。

-5ページ-

一刀の書物を読み終わって使者との話などは、雪蓮達に任せた美蓮達は、中庭から月を見ながら今日の事を話していた。

 

「まさか、一刀が天の人だとは思わなかったわ」

 

「でも、だからと言って私達の家族である事に変わりは無いわ」

 

「うむ。 一刀様は色々と儂等に遺してくれたようじゃしの。 では乾杯といこうか」

 

そう言って、祭が一刀からの贈り物の酒を、3つの杯に注いで持ってきた。

 

その酒は、何だか不思議な雰囲気をかもし出しており、銘酒なのだろうと思って三人は、

 

「乾杯! んくっ」

 

乾杯をして一気に呷った。

 

味はまあまあで、特別に良いわけでもない。

 

もっと美味しい酒を知ってはいるが、それでも三人が嬉しいのは、変わらなかった。

 

ドクンっ!

 

『ぐっ!?』

 

だが突如、酒を呷った三人の様子がおかしくなった。

 

心臓は早く脈打ち、意識が朦朧としてゆき、次第に三人はその場で意識を失った。

 

最初に目覚めたのは祭と思われる人物だった。

-6ページ-

月の傾きから見て、大体1〜2刻といった所だが、美蓮と結羽の座っている場所を見ると何故か雪蓮と冥琳が突っ伏していた。

 

「儂は、美蓮様と酒をしていたはずだが……。」

 

とりあえず、祭は二人を起こしてみる。

 

「う〜ん、なによぉ」

 

「く〜……」

 

「二人とも、起きんか! 策殿は美蓮殿から王を次いだのだ、このような所で寝ていて風邪でもひいたら如何する。

 

冥琳も結羽殿から大都督の地位を譲り受けたのだぞ、ならこのような所で寝るでない」

 

と、二人を起こしていると、此方に近づく二つの影が見えた。

 

「あ〜こんな所にい、た……祭?」

 

「……祭殿……ですよね……? で、ではアレは?」

 

近づいてきた二人は何と、寝ているはずの二人。

 

机に伏せている自分達に瓜二つの人物に、目を丸くし、祭は固まった。

 

よくよく見たら、二人は雪蓮と冥琳とは所々ほんの少しづつ違うのがわかり、

 

祭は脳裏に先ほどまで飲んでいた二人を思い出した。

 

「も、もしや……美蓮殿に結羽殿?」

 

「う〜ん……さっきのは何だったのかし、ら……祭と結羽?」

 

「うぅん……行き成り気を失ってしまうなんて、二人ともだいじょう、ぶ……美蓮に祭?」

 

三人ともが、自分以外の二人を見た後一瞬固まって、いっせいにこう口にした。

 

『何で若返ってるのよ(じゃ)!? ……は?』

 

三人同時に同じ言葉を発して、三人ともが相手が言った言葉に驚いてしまう。

 

もうお分かりの通り、雪蓮と冥琳と思われた人物は美蓮と結羽で、雪蓮と冥琳が確認を取ったのが祭。

 

全員が20代の年齢に若返っていたので、驚きは計り知れなかった。

 

そうしてはっと三人は、一刀手紙を思い出し取り出した。

 

内容は三人とも殆ど変わらず、

 

 

『俺に出来たのは彼女達に、舞台を作ってあげただけ。

 

だから、次代を担う彼女達を傍で鍛えてあげて欲しい。

 

そして、貴女達の経験と力を、貸してやってくれ。

 

我が愛する美蓮 祭 結羽

 

孫江 王虎 一刀』

 

 

というような事が書いてあった。

 

「もう王は退いたってのに、一刀は未だ私に働かせる気?」

 

「この儂に未だ働かせるとは、一刀様もお人が悪い。」

 

「ホントよね。」

 

そう言う若返った三人を、傍で診ていた雪蓮と冥琳は、三人が恋する乙女に見えて成らなかった。

説明
ちわっす!
タンデムです!
今回は……あれ?
何時の間に、古典の授業になってたんだろww
今回は、冥琳が先生みたいですね……。
あと、孫呉三熟女たちに驚く事が!?
そしてこのお話で、壱章は終了です。
次回から、弐章の始まりです。

では、本編をどうぞ!
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
13372 9789 95
コメント
飲んでみたいわwww(ミクボン)
なるほど、そういう解釈になるわけか。呉の面々はこれで前を向いて希望を持って進んでいけますね^^・・・三人を若返らせるって、どんだけ?w(深緑)
お疲れ様です。私はこの場面がとても大好きなんですよ!!たしかに古典の授業っぽいのはありますが…wwやっぱりこのシーンは何度読んでもしびれます!!(秋華)
タグ
真・恋姫†無双 江東の白虎 一刀転生 孫呉 

タンデムさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com