真・恋姫無双〜君を忘れない〜 十三話
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一刀視点

 

「坊や、剣を抜きな」

 

 自身の得物である龍閃をこちらに向けながら、馬騰さんは俺にそう言い放った。その視線は鋭く、昨晩の宴の際に見せた、気さくで優しい微笑みは一切なかった。

 

 そして全身から溢れ出る荒々しい威圧感。俺は身体を動かすことが出来なくなった。身体がガクンと崩れ落ちた。しかし、視線を彼女から外すことも出来なかった。

 

 王である彼女は、誰よりも気高く、そして美しかった。恐怖で身体が震えそうになっているにも関わらず、俺はそんな気品溢れる王をずっと見ていたかった。

 

 しかし、状況が状況なだけに、そういうわけにも当然いかないだろう。

 

 とりあえず、どうしてこうなってしまったのかを整理しようと、上手く機能しない頭をフル回転させようとした。

 

 昨日の宴で、俺と馬騰さんは二人であのテラスのような場所にいた。

 

「桔梗の事だから、坊やには何も言っていないんだろうねぇ。まぁ、そこら辺は気にしないことにしよう。坊や、坊やは一体何を望む?坊やは何がしたいんだい?」

 

 その言葉に、最初、俺は何も答えることが出来なかった。

 

「お、俺は紫苑さんと桔梗さんに命を救ってもらいました。だから、俺は二人の望みの手助けをしたいです。二人が天の御遣いを望むのなら、俺は喜んでその天の御遣いになります。偽物だろうとなんだろうと」

 

 やや間があってから、俺はその言葉を口にした。それは紛れもなく俺の本心であったはずなのだが、それは馬騰さんの欲しがっている答えではない気がした。

 

「……わかった。それが坊やの望みなんだね」

 

 それだけを言い残して、馬騰さんは俺の前から去って行った。俺はただその姿を見つめることしか出来なかった。

 

 あの時の会話が原因なのだろうか?しかし、それでも槍を突き付けられるほどのことだとは思えなかった。

 

「どうしたんだい、坊や?もう一度だけ言うよ。腰に佩いている剣を抜きなね。それは飾りじゃないんだろ?」

 

 冷酷な笑みを浮かべながら、馬騰さんは俺に徐に近づいてきた。もう少しで彼女の間合いに入ろうかという距離で、乾いて粘つく喉から声を発することが出来た。

 

「ば、馬騰様、俺……いや、私に謝罪する機会を与えてくれませんか?」

 

 俺はまだ死ぬわけにはいかなかった。紫苑さんに帰ると約束したのだから。口から出た情けない命乞いの言葉に、不快感が込み上げてきたが、それにも耐えた。

 

「その様子じゃ、どうしてあたしが坊やに槍を突き付けているのかも分からないようだねぇ」

 

 笑みを浮かべているのだろうが、目は一切笑っていなかった。少しでも俺の選択に間違えがあったなら、有無を言わさずに斬られるだろう。

 

 周囲には桔梗さんをはじめ、昨日の宴に参加した面子は揃っているが、誰も身動きが取れないでいた。皆、馬騰さんから発せられる威圧に当てられているのだろう。 焔耶や馬岱ちゃんは馬騰さんの方すら見られないようだった。

 

 誰も助けてはくれないのだろう。俺が一人でこの窮地を脱しなくてはならない。

 

 俺は馬騰さんの目をじっと見つめた。

 

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翡翠視点

 

 坊やに龍閃を突き付けると、かなり驚いたような表情を浮かべたものの、怯えたような素振りは一切見せなかった。

 

「ば、馬騰様、俺……いや、私に謝罪する機会を与えてくれませんか?」

 

 安い命乞いの言葉を吐き出した。だが、この状況であたしの目をしっかり見据えて、言葉まで発することが出来るなんて、それだけでも坊やの胆力には驚きだねぇ。 焔耶や蒲公英では、まだあたしを見ることすら出来ないというのに。

 

 でもまだだよ。まだ足りないよ。坊や、坊やは桔梗に託されているんだよ。あの子が自分では出来ないことを。

 

 坊やは言ったよね?もしもあの子たちが望むなら、偽物だろうと天の御遣いになってやると。

 

 だったら見せな。坊やの覚悟を。坊や自身の覚悟をね。

 

 坊やはあたしの目をしっかり見つめていた。本当に綺麗な瞳をしてるねぇ。でも、綺麗なだけじゃダメなんだよ。それだけじゃ、坊やはいつまでたっても坊やのままなんだよ。

 

 それじゃ、いつかは潰れてしまうよ。自分の重みにすら耐えうること出来なくなってしまうんだよ。

 

「坊や、見てきたから分かると思うけど、この大陸は漢王朝が始まって以来の危機を迎えているんだよ。坊やは、どうして自分がここにいると思うんだい?」

 

「……正直に言えば、俺にはまだ分かりません」

 

「素直に答えたのは正解だねぇ。では別の言い方をしよう。坊やだったら、この大陸で何をしたい?」

 

「昨日も言いましたが、俺は紫苑さんと桔梗さんのために……」

 

「二人は関係ないだろ?あたしは坊やに聞いているんだよ」

 

「……」

 

 あたしの言葉に坊やは言葉を失ってしまった。坊やは甘いよ。甘くて弱い。そんな人間にあの子たちの想いを簡単に語って欲しくないんだよ。

 

 他人のために何かをやろう、それは立派な考えさ。だけど、それと正義を重ねちゃいけない。天の御使いとして、あの子たちに協力するのなら、そこには確固とした自分の意志が存在しないといけないんだよ。

 

 他人の志のために動くのは、単なる信奉に過ぎないんだから。そんなんじゃ、自分の前に同じ正義を語る人間が現れたとき、坊やの心は簡単に折れてしまうよ。

 

 だから坊や、自分の志を持ちな。志を掲げて、自分の足で歩きな。そして、それをする覚悟を持つんだ。その志があの子たちと合致した時、初めて坊やは二人のために力を使えるんだよ。

 

 生半可な覚悟なんていらない。所詮、それは強者の前では何の役にも立たないんだよ。

 

 あたしに言わせれば、正義の条件は決して負けないことなんだよ。武の強さではなく、心の、魂の強さで負けないことなんだよ。

 

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桔梗視点

 

 全く、翡翠の行動はいつも儂の想像の上をいく。まさか、こんなにも直接的な行動をしてくるとはの。

 

 北郷を助けてやりたいところだが、さすがに今の翡翠の覇気の前じゃ、動くことすらかなりの労力が必要だ。他の面々も同様のようだな。

 

 こやつのところに来るのは、確かに賭けのようなものだとわかっておったが、これでは賭けにすらならないではないか。

 

「ば、馬騰様、俺……いや、私に謝罪する機会を与えてくれませんか?」

 

 ほう、北郷の奴、翡翠の覇気を目の前にして、目を背けずに言葉まで吐くか。お主も儂の想像の上にいく器のようだな。

 

 もしかしたら、この窮地すら自らの手で切り開くことが出来るかもしれんな。最悪の場合、身を呈してでもあやつの身を守らねばならぬと思っておったが、今はまだ様子を見ようかの。

 

「では別の言い方をしよう。坊やだったら、この大陸で何をしたい?」

 

「昨日も言いましたが、俺は紫苑さんと桔梗さんのために……」

 

「二人は関係ないだろ?あたしは坊やに聞いているんだよ」

 

「……」

 

 二人の会話から、翡翠が何を思っているのかが分かった。しかし、北郷にそこまでの器を求めようとしているとはの。

 

 まさか、北郷を自分の王の座を継がせようと思っているわけでもあるまいに。

 

 まぁ、翡翠の気持ちも分からんではないがの。北郷はまだまだ未熟だ。そういう部分を気付かせようと、月殿やお主の所に連れて来たというのに、三段飛ばしくらいの勢いで話を進めようとするとは。

 

 昔からお主は一切変わっておらぬの。他人にも自分にも恐ろしく厳しく、妥協を許さない。

 

 まぁ、それがお主を王たらしめているのだがな。

 

 本当は自分でもやりすぎていると分かっているのだろう?儂や紫苑じゃ、そこまで酷なことは出来ないから。きっと北郷を甘やかしてしまうから。

 

 それを分かった上で、敢えて自分が悪役を演じておるのだろう。もう時間がない。それを考えての行動なのだろう。

 

 翡翠、お主にはいつになっても頭が上がらぬよ。

 

 北郷、お主も本当は気付いておるのだろう?翡翠の真意に。翡翠の想いに。だが、まだお主にはそれに気付こうとする勇気がないのだ。

 

 翡翠の気持ちに、自分の気持ちに真直ぐ向き合うのだ。それが出来てこそ、今の窮地を脱することが出来るのだ。

 

 道を切り開いた暁には、儂のお気に入りの酒を馳走しよう。儂と翡翠と杯を交わそうではないか。

 

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翠視点

 

 最初、母様が何をしようとしているのか理解できなかった。しかし、母様の目は本気だった。本気で北郷を殺そうとしていた。

 

 母様から溢れ出る覇気で、身体を動かすことはおろか、呼吸まで苦しくなっていた。

 

 幼いころから、母様に付き従って、五胡の地を転戦した。母様が本気になった時も、他の者に比べると多く見てきた。

 

 しかし、何度見ても母様の発する覇気が、身体に馴染むことはなかった。

 

 王としても気高さ、資質、強さ、何をとっても母様に対抗できる者なんていなかった。母様はいつもあたしの憧れであり、最強の王だった。

 

 しかし、どうして母様はこんな男に、王としての誇りを見せているのだろう?もし、この男に無礼があって、母様が怒っているのなら、覇気など出さずとも、単純に斬り捨てるだけで良いのに。

 

「では別の言い方をしよう。坊やだったら、この大陸で何をしたい?」

 

「昨日も言いましたが、俺は紫苑さんと桔梗さんのために……」

 

「二人は関係ないだろ?あたしは坊やに聞いているんだよ」

 

「……」

 

 母様はきっとこいつを試しているんだ。何か、母様にそうさせたものを、こいつは持っているんだ。

 

 天の御遣い、都の方で噂になっている、胡散臭い存在。もちろん、あたしはそんな噂を信じてはいなかった。目の前にこいつが現れるまでは。

 

 こいつのことが読めなかった。一見すると、貧弱な優男に見えるが、所作から武の心得もあるようだし、何よりも母様の覇気を目の前にして、言葉を発することが出来ている。

 

「今はしっかり母上を見ておくのだ。お主は翡翠の『翠』の字を真名にもらった、王の座を継ぐものだ。お主にも分かる時が来るだろうて」

 

 昨日の宴で桔梗さんが言っていた言葉だ。

 

 自分では、母様の跡を継ぐだけの器があるとは思えなかった。しかし、あたしは母様の娘であるという誇りがある。

 

 ただひたすらに武を求めた。王としての資質や気高さがなくとも、強さだけは誰にも負けたくなかった。

 

 しかし、北郷を見て、武の強さだけではダメなんだと気付いた。王に必要な器とは、また別のものなんだと気付いた。

 

 そして、きっとお前を見ていれば、それが何なのかも、母様の考えも分かるような気がする。

 

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一刀視点

 

「二人は関係ないだろ?あたしは坊やに聞いているんだよ」

 

「……」

 

 馬騰さんの言葉に返す言葉が見つからなかった。二人の力になりたい、それは確かに俺の気持ちではあるが、二人の考えは俺の考えではない。そこにあるのは、俺の意志ではないのだ。

 

 おそらく馬騰さんが聞きたいのは、俺がどう思っているのか、というところだろう。そこで、俺は初めて桔梗さんの意図が読めた。俺に大陸を見せた理由、俺を董卓さんと馬騰さんとを引き合わせた意図が。

 

 天の御遣い、それは俺が思っている以上に、この世界において影響力を持つ存在なのだろう。

 

 考えが甘かった。浅はか過ぎて、逆に笑えそうだ。その程度の考えで、天の御遣いになっても良い、なんて、俺は何様のつもりだったんだろう。

 

 この大陸を見て、何を思ったのかが知りたい、桔梗さんの考えは、俺自身が大陸をどう変えたいかという事を聞いていたのだろう。考えてみれば、簡単なことだったじゃないか。

 

 董卓さん、天水で出会ったあの少女は、誰よりも優しく、誰よりも人を好きで、そして、誰よりも人に愛された。

 

 馬騰さん、目の前にいる女性は、誰よりも気高く、誰よりも強く、そして、誰よりも王たる存在だ。

 

 全くタイプの異なる為政者ではあるが、どちらも部下を愛し、民を愛し、自分の領土を守ろうとしている。

 

 どんなに傷つこうと、どんなに血や泥に塗れようと、それだけは決して曲げることない、確固たる意志だ。

 

 もしも、帝が、帝を支える廷臣たちが、少しでも彼女たちを見習えば、大陸は忽ち元の平和の世界に戻るだろう。少なくても、今よりも皆が暮らしやすい世界になるはずだ。

 

 そこで俺に出来ることとは?

 

 ないのかもしれない。俺みたいに甘く、弱く、力のない人間には、何かを動かすなんてことが出来るかどうかは分からない。

 

 だけど、他人を動かせずとも、自分は動くことが出来る。そして、動いている姿を他人に見せることが出来る。

 

 何が出来るかではないんだ。何をするかなんだ。結果なんて、きっと後からいくらでも付け足すことが出来る。

 

「馬騰さん、ありがとうございます」

 

 馬騰さんは、俺の言葉にフッと笑みを零した。

 

「だったら、見せてごらんよ。坊やの覚悟を」

 

「はい」

 

 俺は震える身体を無理やり起こした。馬騰さんの威圧に、すぐにでも逃げ出したい衝動が湧きあがるが、それを無理やり体内に閉じ込めた。

 

 何とか剣を抜くことが出来た。しかし、腕の震えは止めることが出来ず、切先はガタガタと揺れていた。

 

 恐れるな。退くな。ただ真直ぐ見つめろ。馬騰さんの、王の瞳を。

 

 桔梗さんの、紫苑さんの、二人の想いを受けとめるために、まずは、自分の想いと真正面から向き合うんだ。

 

「参ります」

 

 全身の神経を足に集中させて歩みだす。一歩踏み出すだけで、汗が額から滝のように流れ出た。

 

 ほんの少しの距離しかないのに、馬騰さんは地平線の向こうにいるような気分になった。

 

 だけど、歩みを止めてはいけない。俺は自分の足で歩きだすんだ。これからが俺の本当の戦いなんだ。

 

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翡翠視点

 

「馬騰さん、ありがとうございます」

 

 坊やの顔から迷いが消えた。やっと気付いたんだね。あたしの想いに、桔梗の想いに。

 

 でもね、坊やこれからが本番なんだよ。

 

「だったら、見せてごらんよ。坊やの覚悟を」

 

「はい」

 

 坊やは、あたしの言葉に一切の間を置かずに、頷いて見せた。そして、顔を歪めながらも立ち上がろうとした。しかし、視線はあたしにずっと向けられていた。

 

 良いよ、坊や。もっとだ。もっとあたしに見せてごらんよ。そんなんじゃ、生まれて間もない赤子同然だよ。

 

 立ち上がり、ゆっくりと腰から剣を抜いた。切先までは制御できず、右に左に小刻みに震えていた。剣は、実に正直に持っているものの、心を映しだす。坊やは戦っているんだね。この場から逃げ出したいという己の恐怖心と。

 

「参ります」

 

 深呼吸をしてから、一歩目をあたしに向けて踏み出した。

 

 そうだ、出来るじゃないか。あんたは自分で思っているよりも強い男だよ。綺麗で真直ぐな瞳に見つめられるだけで、体内の闘志が疼きだした。

 

もっと、あたしを滾らせなよ。

 

 また一歩、一歩、とゆっくりであるが、確実にあたしとの距離を、坊やは自分の足で詰めてきた。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 そして、自分の恐怖心を打ち払うかのように、気合のこもった掛け声とともに、剣をあたしに向けて振り下ろした。

 

 あたしはそれを龍閃で軽く受け止めた。あたしの覇気を前に、力のこもった一撃など放てるはずもなく、その斬撃は弱弱しいものではあったが、確かに坊やの意志を、覚悟を感じられた。

 

「合格だよ、坊や」

 

 あたしは坊やに笑顔でそう語りかけた。

 

「じゃあ、今度はあたしの番だね」

 

 あたしはあらん限りの覇気を坊やに向けて放った。

 

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一刀視点

 

 一歩、また一歩と、馬騰さんの方に歩いて行く。足はまるで鉛のように重く、呼吸をしようとしても、酸素は全く肺の中に入って来なかった。

 

 純粋なる恐怖。これほどの恐怖心を感じたことがあっただろうか。元の世界でも、何人もの人間と対峙してきた。しかし、これほどの威圧感を出す人と対峙したことなんてなかった。初めて感じる、人一人から与えられた恐怖心。

 

 しかし、退くわけにはいかない。馬騰さんに一太刀を浴びせるまでは。まだ俺は、自分の恐怖心と戦っているだけで、馬騰さんとは戦ってすらいないのだ。

 

 ほんの少しでも恐怖心を打ち消すために、深呼吸を繰り返した。

 

 そして、俺の間合いに馬騰さんの姿を捉えるまでの距離にまで、近づくことが出来た。

 

 さっきいた場所と、それ程距離は変わらないのに、馬騰さんの大きさが何倍にも見えた。そう思った瞬間に、恐怖心が一気に湧きあがってきた。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 自分の恐怖心と、馬騰さんの姿を重ねるように、気合を入れた声とともに剣を振り下ろした。

 

「合格だよ、坊や」

 

 俺の剣は馬騰さんに簡単に受けとめられていた。覚悟が足らなかったのか。一瞬、絶望感が俺の心を満たした。しかし、馬騰さんは柔らかな微笑みを湛えながら、そう言ってくれた。

 

「じゃあ、今度はあたしの番だね」

 

 安心したのも束の間、馬騰さんから放たれていた威圧が一気に膨れ上がった。先ほどまでのとは、次元が違っていた。

 

 今放たれているのは、俺だけに向けられた殺気だ。この部屋全体を満たしていたのとは、密度が全く違うのだろう。

 

 馬騰さんは劉閃を軽く横にずらしただけだった。そこからは俺には見えなかった。じいちゃんに鍛えに鍛えられた、俺の動体視力をもってしても、その一撃の軌跡を見ることは出来なかった。

 

 気付いたら、俺の脇腹のすぐ近くに龍閃の柄の部分があった。痛みすら感じないほどの衝撃が身体全身を駆け巡った。

 

「安心しなよ。手加減はしたよ」

 

 馬騰さんの声が遠くに聞こえ、視界を闇が覆おうとしていた。

 

「あ……りがとう……ございました」

 

 届いたかどうか分からなかったが、俺は馬騰さんに感謝の意を伝えた。いくらお礼を言っても言い足りないが、今はこれが、俺の出来る最大のことだった。

 

 そして、俺は意識を闇に沈めた。

 

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あとがき

 

十三話の投稿でした。

 

翡翠が王として、一刀の覚悟を問うシーンを書きました。

 

他人のためではなく、自分の意志で行動しろ。そして、それをする覚悟を持て。

 

それが翡翠の一刀へのメッセージです。

 

その中で、桔梗や翠の気持ちを織り交ぜてみました。

 

前回のコメントで翠がまともに見えるというコメントがありましたが、

 

この物語では翠は結構な活躍を見せる予定です。

 

本来、馬超って好きな武将なんですよね。失禁馬超では可哀そうかなと。

 

心理描写が多く、言っている事が意味不明な点が多いとは思いますが、

 

寛大なお気持ちで御覧下さるとありがたいです。

 

展開が早いですが、一応、これで馬騰編も終わりです。

 

次回は拠点にしようか、益州に戻ろうか迷っております。

 

拠点を書いて欲しい人は、誰の拠点を希望するかとか書いて下さると助かります。

 

近頃、めっきり冷え込んできました。体調管理などに気をつけて、

 

お暇な時にだけ、御覧ください。

 

誰か一人でもおもしろいと思ってくれたら、嬉しいです。

説明
十三話の投稿です。
どう展開させるかで、書いては消しを繰り返していたので、投稿が遅くなってしまい、すいません。
心理描写が多く、書きながら、何を書いているのか分からなくなってしまいました。

コメントしてくれた方、支援してくれた方、ありがとうございます!

一人でもおもしろいと思ってくれたら嬉しいです。
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コメント
深緑様 原作でも出番こそありませんでしたが、華琳様が認めるほどの才なので、やはりこのくらいの器かなと。華琳様とはまた違ったタイプの王ですね。(マスター)
流石は外敵から西涼の地を守り抜いてきた馬騰殿、全てにおいて桁外れなお人ですね。厳しさの中に伝えたい大切な心を込めて厳然と立ちはだかるお姿は正に王ですね。(深緑)
320i様 桔梗さんに「王」と言わしめた人物ですからね。彼女に立ち向かった一刀の強さは精神力ですね。武はやはりそれ程ではありません。拠点のリクエスト受け付けました。ありがとうございます。(マスター)
よーぜふ様 そうですね。馬騰さんは武士を体現しているような設定ですので。なので今後もカッコ良いシーンを見せたいなと思っています。(マスター)
砂のお城様 お待たせしてしまって申し訳ありません。確かにそうですね。言い換えれば、西側は熟j……おや?誰か来たようですね。(マスター)
・・・おう、馬騰さんの漢っぷりがすごくかっこいいですな。 まぁ一刀も覚悟を決めたようで・・・次話もお待ちしております(よーぜふ)
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真・恋姫無双 君を忘れない 北郷一刀 桔梗  翡翠 

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