デペイズマン・シード 4th season;E
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「いつから車の展示始めたんだ?」

「さぁな。あ。サンキュ」

 

戻ってきた太一の問いにことのほか投げやりに答えながら、ヤマトは差し出されたアイスティを受け取る。

それに習って少女たちもそれぞれ自分が頼んだものを手にし、小さくお辞儀した。

 

「ありがとうございます」

「ありがとさん」

「いただきます」

 

彼らの席は窓側だったが、先ほどまでは行き交う人たちの姿が映し出されていたが、今は文字通り窓一杯の間近に、真っ当な人間なら「やっぱ絶対事故起こすと思っていた」といいそうな実にべったべたのスポーツカーが停まっていた。

たとえタイヤが全てバーストしているとしても、本来の形からはありえないように前方部分が"平たく"歪んでいたとしても、ファミレスのガラスに当たっていないのだから「大丈夫」、「停まっていた」だ。

あくまでこれは自損事故。

魔法少女連中が瞬く間の刹那、タイヤ全部潰したりとかシールド張ったりだとか、勿論誰が証明できるはずもない。

ゆっくりとは言いがたいが、突然の光景に当然生まれるざわめきの中で平然と彼らはそれぞれの咽喉を潤し・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・そろそろ出るか」

「あぁ。そだな。あと二つか」

「だから嫌な予言をするなっつーの」

 

不穏な会話なんぞしながら、席を立ったのだった。

 

 

結局、無難ながらデザイン性と機能性の双方を兼ね備えた文房具セットになったのは、なんだかんだと機能性を重視する世界観に対して、この世界の遊び心が素直な少女の琴線に触れたからに他ならない。

それにしても。

 

「・・・・・・あの人に、家計簿か」

「なんか似合わないよなぁ」

 

とは、やっぱり大きなお世話というやつだろうか。

彼らは(詳しく)知らないが、ミッドチルダは若いうちに苦労しまくって比較的早めに肩書きばかりの楽隠居、というのが意外と定番だ。

公式でそんな説明がない!?実際そーじゃねぇかよ、マジな話。

それはともかく、今更のように家庭に生活の主軸をおくようになった彼女には実は案外アリな選択だったりもする。

まぁその辺りは「闇の書」が「そんざいしなくなった」ことも大きいのかもしれないが。

 

 

さて。

一見?平和に見えた??休日だが、なんだかんだと時間が取られ、まだ日は高いが少女たちの年からすればもう帰らないと遅くなってしまう頃合。

これはまぁアレだ。おんなのこのかいものって奴も大きく貢献しているわけだが、それを指摘するほど彼らとて無粋ではない。

駅に向かうその途中、よし、これで自分たちの分は無かった、と理屈に合わないトラブルの数に内心ガッツポーズをしているデジ班たちを蹴落とす、無常なBGMが鳴り響く。

 

「あれ?アリサちゃんからだー」

 

それは普通なら、微笑ましい(小学生のクセに携帯とかなに、とかは今更)、友達からの連絡。

 

「え?」

 

だが、タイミングが何かを物語る。

それはともかく。

 

「はい、なのはです」

 

当然のように出る少女。

だが、奇妙なことにそこから聞こえてきたのは一部が聞くとムダに叫びたくなるツンデレボイスではなかった。

 

<おい、なんかガキでたぜ>

「あれ?もしかしてアリサちゃん、携帯おとしたのかなぁ?あのー」

<いや、ガキのが知恵なくていいんじゃねぇか?おい>

「ふにゃ?」

 

強引な話の持ってかれ方に、少女が戸惑う声を上げる。

 

<てめー、この携帯持ってる娘のダチかなんかなんだろ?>

 

そして、不穏な空気。

 

「あの・・・・・」

<会話をスピーカー。及び録音モードにします>

 

レイジングハートが告げる。

 

<音遮断結界を展開します>

 

バルビッシュが先手を打つ。

優秀な相棒たちに支えられならが、彼女たちは緊張を増す。

これで先ほどなのはが聞いたことが真実であるわけがなかった。

 

「候補に上がっとらんもん来たで」

「果ては捨て子か麻薬取引かってとこだな」

 

いとこがなにやら冗談で済ませないとどうしようもない会話を交わす間も、布石は既に置かれていたものの誰一人確証を口にしなかった「それ」が起きる。

 

<とりあえず、バニングス家に伝えろ。

娘預かったからかね遣せってな>

「えぇええええ?!」

 

改めて言われると当然上がるべきものだった。

ただその声はどことなく棒読みで、周囲は大きくため息をついてる。

人間、兎角馴れとは恐ろしい。

 

「貸して、なのは。

アリサは無事なの?」

 

フェイトが引き継ぐ。

心配しているというよりは執務官候補のソレだ。

勿論、御先方が気づくはずもないが・・・・・・

 

<さぁて。定石なら声をきかせてやるところだなぁ>

「とりあえず、この電話は録音してる。

子どもの私たちじゃ、信用されないから」

<チッ・・・・・まぁ手間をかけねぇですむか。

おら、オトモダチが心配してるぜぇ?>

<ッ、一体、誰に・・・ッ>

 

そこから聞こえたのは聞きなれた友人の声。

安心と不安。

決していい扱いを受けているという印象は当然ない。

 

「アリサ!」

<フェイト・・・ッ、悪いわね、今日なのはたちと"こっち"に遊びにいってたんでしょう?変なことに巻き込んで>

「そんな。大丈夫。それより」

<なのはもいるのね?>

「いるよっ!」

 

スピーカーになっているので、自分の名を呼ばれて彼女もまた声を上げる。

短く、息をつくのが聞こえた。

 

<不本意だけど、家に>

「うん。直に迎えに行くから」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

その言葉の意味を、理解しない親友ではなかろう。

重苦しい沈黙は、決して事態の深刻を謳っているからではなく。

 

<話はおしまいだな?嬢ちゃん。

またこの番号にかけるから、お遣いよろしくなぁ>

 

電話が切れる。

自然な流れ。いや。

 

「さて」

 

少女が言った。

ほんとうに、ぽつりと。

 

「なのはちゃん。探す中てはあるのかい?」

 

彼女の実家にも、警察にも連絡をする気のない一言を把握して、ヤマトが冷静に問う。

応えたのは、レイジングハート。

 

<逆探知は終了しています>

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「鳴海か?」

 

そう聞いたのは太一だ。

電話の中、彼女は"こっち"といった。おそらくソレが気になっていたのだろう。

 

「一緒にいかない?って誘ったら、品川でパーティがあるから、って」

「ふむ」

 

<探知先も東京です>

 

つまり。

 

「どんどん行かない理由が減っていくな。

っと、気持ちはわかるんだが、誘拐っていうのは立派な犯罪だ。

勝手してうやむやにしても、いいとは思えないぞ?」

「先方さんも警察呼ぶな、とは言ってないしなぁ」

 

理解と正論。

双方を併せ持った言葉に、だが既に、彼女の心を変える力はなかった。

 

「やだなぁみんな。

わたしは、アリサちゃんを"迎えにいく"だけだよ?」

 

約束したしね。

とはいうものの、さっきのあれは一方的過ぎて、約束とは言わないんじゃないですか?

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

というわけで「3つめ」と「4つめ」。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇよ。

説明
デジなのは。日常編だったくせに一番のトラブル続きとか。
生身で宇宙戦とかさせて「どこのマスター極東(スパロボ的な意味で)だ?!」とか突っ込ませるネタとかやりたいと思っていたら、ドキドキスペースという手があったでござる。
と、関係ない妙な脳内から久しぶりのデペイズマン。文章が変!何故だ。ボウヤだからさ!(本人相当疲れています
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コメント
よーぜふさま>この場合、否定要素がないんですがどうしたら(ちょ 韻さま>いや、死なせないですよ!そんな楽にさせてy げほ。その辺りが次回の焦点です(笑(ほうとう。)
誘拐犯の壮絶な死に様しか思い浮かばないんですが(笑) もう白い悪魔が降臨するのかぁww まあ、一応言っときますが、なのはさん、殺人は犯罪になるのでやりすぎないようにww(韻)
・・・なのはさん? 迎えに行く→誘拐犯とお話しする→冥王降臨 しかイメージできないんですがそのへんどうなんでしょう?w(よーぜふ)
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