極楽幻想郷(妖) その3
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「おー帰ってきたか」

 

「……まぁな」

霊夢たちが弾幕ごっこを始めてしばらくしてから二人ともボロボロの格好で廃屋へと戻ってきた。

 

ラストスペルまで持ち越し両者決着着かずのドローと言う事で、霊夢も魔理沙も少々不燃焼気味の表情を見せていた。

 

「見て見て! 白黒に紅白! これがあたいの作った「あたいスペシャル」だよ!」

 

「私も作ったんですよ♪」

 

手を大きく掲げてチルノは自前の竹トンボを二人に自慢するように見せる。

 

橙も控えめながらもおずおずと竹トンボを見せてチルノと微笑み合う。

 

「ほー、これは中々良い出来だな。で、これ作ったのはお前たちなのか?」

 

「おう。俺が見本を作って、二人とも自分の力だけで作ったんだぜ」

 

「……お前って本当に器用だな」

 

魔理沙が二人の竹トンボの出来栄えに感心しながら問いかけてみると、横島は笑いながら説明し成程と相槌を打った。

 

「ところで、さっきから霊夢は何をやってるんだ?」

 

「あぁ。弾幕ごっこが引き分けになったから不機嫌かと思ったんだけどなぁ……」

 

チラリと魔理沙は霊夢へ視線を向けて見る。

 

そこには霊夢が廃屋から持ち帰れるような物を幾つか見繕い、懐へと収めている姿だった。

 

「……リサイクルして神社で使うのか?」

 

「いや。何でも弾幕ごっこをしている最中に気付いたそうなんだが……」

 

バツが悪そうに魔理沙は頬を掻きながら横島たちに説明をする。

 

「どうやらこの辺りは"迷い家"らしくてな……」

 

「まよいが? 何それ?」

 

声上げたチルノと同時に横島も首を傾ける。

 

お前ごーすとすいぱーじゃなかったのかよ、と頭を押さえながら魔理沙はHにもわかる簡単な説明をすることにした。

 

「"迷い家"ってのは、要は入り込むと中々抜け出せない土地のことだ。

んで、ここにある物を持って帰ると福を齎す、とも言われているんだぜ」

 

「なるほど、つまり不思議なところってことだな!」

 

「……うん、まぁそれでいいぜ。

どうだ、横島。よく分かったか?」

 

チルノが大きく頷いてえへんと胸を張る姿に魔理沙は苦笑しながら横島の方を向くと――

 

「俺にも幸福を分けてくれ!!」

 

「何よ!? これは全部私の物よ!!」

 

「ならそのささやかな胸で幸せを感じさせてくれ!!」

 

「ふざけんな!!」

 

胸に抱えて溢れんばかりの迷い家の物品を取り合う霊夢と横島の姿に魔理沙はすっ転んだ。

 

「お前らいい加減にしろよ!?」

 

「あの、できれば勝手に持ち帰らないんで欲しいんですけど……」

 

話を聞かないで小物を奪い始める横島たちに魔理沙はキレ、橙もおずおずと懇願するのであった。

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極 楽 幻 想 郷 (妖)

妖々夢編 その3

 

 

 

結局迷い家の出口に案内する事を条件に霊夢が数個ほど、横島が何故かおたまを持ち帰ることで妥協した。

 

「迷い家から出られるんだし、仕方ないわね」

 

「その割には量が多いと思うぞ……」

 

「甘いな魔理沙。俺の上司だったら業者呼んで里ごとブン獲って行くぞ」

 

二、三個程の邪魔にならない程度の量で笑顔を見せる霊夢に対してボコボコに殴られた顔の横島はフッと笑った。

 

「……お前の上司って鬼か悪魔か?」

 

「地獄の鬼も裸足で逃げ出す、魔族よりも悪どいと言われる人間だな」

 

魔理沙は何だか頭が痛くなったような気がし頭を抑える。

 

横島の上司がどんな人物か気にはなったが、何と言うか、魔理沙は考えるのを止めた。

 

「そこの紅白とどっちと悪どいの?」

 

「間違いなく美神さんだな! 俺の時給は255円よりちょっと上がったくだいだし、おキヌちゃんの幽霊時代は日給30円だったし!

 

なにより原作からして脱税や非核三原則破っちゃってるし!!」

 

チルノの一言に横島が断言し、自機である二人はとりあえず思った。

 

((何と言うか、絶対会いたくないなぁ……))

 

しかし、この二人が何時の日かその噂の横島の上司と対峙する事を今は知る由も無かった――

 

 

 

迷い家の出口で橙から見送られ横島たちは空を飛んでいた。

 

「そう言えば私たちって異変の解決に来てたのよね」

 

「うむ、すっかり忘れてたな。(メイドさんの絶対領域を覗くと言う)目的を」

 

「……なんだか邪な気配を感じるな……あと横島、何度も言うが変な所触るなよ」

 

鍋を食べて温まったからか、緩い感じの道中が続き駄弁りながら弾幕ごっこと言う何とも奇妙な光景が続く。

 

「うーん、あのメイド一体何処にいったのかしら?」

 

「何だ? お前たち咲夜を追ってたのか?」

 

「咲夜さん! あのメイドさんは咲夜さんと言うのか!

まぁそれはともかく、半分正解だ。俺は……まぁちょっと色々あってチルノに巻き込まれた」

 

流石に「メイドさんの絶対領域を覗く為に追ってたら何時の間にかこうなった!」なんて声を大にして言える筈も無い。

 

その前に言った瞬間即ピチュるのはお約束だろう。

 

「聞こえてるぞ。と言う訳でお約束の恋符「マスタースパーク」!」

 

「ぐべらっ!?」

 

細腕の魔理沙が横島を掴んで前方に投げ、飛来する弾幕を巻き込んで八卦炉から放たれた光が向かい来る妖精たちをもピチュらせる。

 

真っ黒焦げになった横島をチルノがキャッチした。

 

「ち、チルノ……お前って奴は……!」

 

「ちょっと、白黒! 折角の盾を捨てちゃ駄目よ!」

 

「それもそうだな。厳重に縛って私の後ろに置いてくれ」

 

「お前らは俺を殺す気か!?」

 

「いや、お前は殺しても死なないだろう」

 

箒の後ろに乗って身体を振って煤を落とし、魔理沙に詰め寄る横島を、魔理沙はすっぱりと一刀両断する。

 

そんな魔理沙に同調するように霊夢とチルノもうんうんと頷くのであった。

 

打ちひしがれた横島は器用に箒に跨っていじけるしかなかった。

 

「……貴方達って何時もこうなの?」

 

「ん? お前は……何だアリスか」

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突如現れた金髪の女性――アリス・マーガトロイドに魔理沙は素っ気なく返す。

 

アリスは魔理沙の反応に呆れながらも会話を続けることにした。

 

「貴方ねぇ、一応顔馴染みではあるけれど挨拶ぐらいはちゃんとしなさいよ……。

 

と言うか、貴方達二人と、氷精に……何だか分からないけど男の人が一人ってどう言う組み合わせなのよ……」

 

「知らないわよ。何時の間にかそうなってたんだから」

 

頭を押さえながら問い掛けたアリスは霊夢の素っ気ない対応で更に頭を抱える事になった。

 

もうやだ、コイツら……と呟いたアリスは更に困惑することになった。

 

「こんにちわ! 僕横島!! お姉さん今暇!? 暇なら僕とお茶しない!?」

 

「え、ちょ……な、何なのこの人!?」

 

「ただの横島だな」「えぇ、ただの横島ね」「変態だー!」

 

いじけていた横島がアリスを見て飛びあがり、器用に足に展開したサイキックソーサーで宙に止まりながらアリスにナンパをしかける。

 

ここまでアグレシップな求愛に驚き、一体何なのかと問い掛けてみても訳の分からない答えばかり。いや、氷精の言ってるは分かるが。

 

「ざ、残念だけれどまた今度お願いするわ」

 

「え!? マジで!?

 

くーっ!! やっぱ良い女は見る目が違う! いつもなら一蹴されてたが流石は美人なお姉さん! 男のツボを良く心得てらっしゃる!!」

 

「横島ー、『また今度』は丁寧な断り文句だぞー」

 

「それでも素直に「えー、マジィ? キンモー!」とか「その面が気に食わない」とか言われるより数倍マシだ!!」

 

引き攣った顔で丁寧に断るアリスに横島はまた今度と約束を取り付けた事にその場で飛び跳ねる。

 

一応魔理沙が横島を幸せの絶頂から叩き落とそうと試みるが、いつもの酷い対応よりマシだと止まる勢いが無い。

 

「おい、これ横島をここで撃墜した方がアリスの身の為じゃないか……?」

 

「そうね、見ず知らぬの人も知人もアイツの生贄にするのは忍びないものね……」

 

飛び跳ねてついにはアクロバティック的な動きを見せ始めた横島を尻目に魔理沙と霊夢はヒソヒソと談義を進める。

 

「なんで私の周りはこんなのばかりなのかしら……さっきのメイドも話を聞かないし……」

 

「なに!? メイドを見たのか!?」

 

アリスの一言にチルノが反応し、横島を押しのけてアリスに詰め寄る。

 

「え、えぇ。『春を奪っているのはお前か!?』とかいきなり言われて弾幕ごっこを仕掛けられたわ」

 

「むぅ、やはりあのメイドは通り魔だったのか……!」

 

「「全く、酷い奴も居たものね(だぜ)」」

 

「……ここは貴女達が言うな、と言うべきなのかしらね」

 

その1参照のレティの一方的なまでのやられっぷりを思い出したチルノの言葉に霊夢と魔理沙が同時に頷き、アリスは溜め息を吐いた。

 

「そう言えば横島は?」

 

「何言ってるのよ、横島ならさっきからそこで……あれ?」

 

先程から見事なまでにやかましかった横島の狂喜乱舞する声が聞こえない事に魔理沙は疑問を抱き辺りを見回す。

 

霊夢が呆れながら横島が居た地点を指差そうとして、動きが止まる。

 

「……確かそこに居たわよね……?」

 

「おいチルノ。お前が一番近いけど横島はどこに行ったんだ?」

 

「え? どかしたら落ちた」

 

頭に疑問符を浮かべてチルノに尋ねてみると、予想せぬ一言に一同視線を下へと向ける。

 

「……まぁ横島だから大丈夫か」

 

「そうね、横島なら平気ね」

 

「ちょっと!? 放って置いていいの!?」

 

薄情なまでに横島のことを短い期間で良く分かってしまった二人に対してアリスのつっこみが入る。

 

結局横島をそのままにして去ってゆく一同にアリスは手で目を覆い本日何度目になるか分からない溜め息を吐くのであった。

 

 

 

その頃横島は――

 

「……幻想郷に来ると毎回安全装置なしのスカイダイビングをやらなくちゃならんのか……?」

 

器用に枝に引っかかっり己の境遇にひっそりと涙を流した。

 

「というか、霊夢の奴プチ美神さんになってきてやがる……!

いや、寧ろ美神さんと元から似ていたのか……!?」

 

迷い家で見た霊夢のゴウツクな一面に将来は自分の上司のようになるのではと恐ろしい想像をした横島はブルブルと頭を振って考えを追い払った。

 

同時刻、某事務所のオーナーがとある従業員を殴りたくなったり、某脇巫女がとある変態に弾幕をブチ込みたくなったとかないとか。

 

 

 

つづく。

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あ と が き

 

BFデッキ作りたいけどシロッコが足りないてゐがーです。

クロウ編に入って無いとか、なんなの一体。

出来ればキングデッキも作りたいなぁ……。

説明
アリスさんまじ美人。
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コメント
橙は俺の嫁!次回も期待しています。(フィーメ)
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