結び目
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寝惚け眼。

 

薄暗い部屋。

 

時刻はとうに正午過ぎ。

 

隣に彼女はもういなかった。

 

 

夢を追いかけていた。

 

我武者羅だった。

 

そして挫折した。

 

ただそれだけの陳腐な話。

 

 

重い身体。

 

無理矢理起こす。

 

テレビを点ける。

 

煙草を点ける。

 

変わらない日々。

 

変わらない自分。

 

嫌気がさす。

 

 

わからない。

 

世界はどうして自分に冷たいのか。

 

わからない。

 

彼女はどうして自分を見捨てないのか。

 

分らない。

 

解らない。

 

判らない。

 

そんな自分が一番わからない。

 

 

仰いだ。

 

揺れる紫煙。

 

揺れる紐。

 

電灯から垂れ下がる紐。

 

簡単に千切れてしまいそうな細い紐。

 

自分と重なった気がした。

 

 

 

もう少し太かったら。

 

 

 

もう少し丈夫だったら。

 

 

 

この首に掛けられただろうか。

 

 

 

この世界から解放されただろうか。

 

 

 

彼女を解放出来ただろうか。

 

 

 

説明
投稿46作品目になりました。
文芸部で執筆した短編第3段……だよな、確か。
お題は『紐』で書きおろしたオリジナルです。
タイトルは未定ですので、よければ考えてやってください。
気に入れば採用します。
では、どうぞ。

追記(2010/01/16)
瓜月さんのタイトルを採用させていただきました。有難うございました。
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コメント
瓜月さん、コメント有難うございます。世界との、彼女とのそれを断とうとしているから、ということでしょうか。なるほど……(峠崎丈二)
タグ
ジョージ 短編っぽい何か 

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