偽書・恋姫無双
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第1話「旅の少女」

 

後漢末期の頃の話である。

 

小道を1人の少女が歩いていた。細い眉にすらっとした鼻筋が特徴的なその少女は、腰まで伸ばした美しい黒髪をなびかせながら桃の花が咲き乱れる小道を、悠然と歩いている。

 

フード付きのマントをつっぽり被って、手に自分の身長と同じ位の大きさのある、青龍偃月刀を抱えながら道を行く少女は、近くにいる農夫に声をかけた。

 

「すまない。ちょっと聞きたいことがあるのだが・・・・」

 

「?」

 

農夫は先程まで行っていた農作業を中断し、少女に答える。

 

「なんだね?」

 

「このあたりで劉備玄徳殿を見かけなかったか?」

 

少女の質問に農夫は分かりやすく眉をしかめると、「あんたは旅の人かね」と返してきた。

 

そうだ、と少女が答えると農夫は言った。

 

「なんで旅の人があの大馬鹿者の事を聞くんだい?」

 

「大馬鹿者・・・これこれ劉備玄徳殿と言えばこの一体の村を仕切る義侠の大将・劉玄徳殿のことだぞ」

 

「だから、大馬鹿者の事をなんで尋ねるのかと聞いている」

 

「・・・・・あなたは劉備殿に恨みでもあるのか?」

 

農夫は苦虫を噛み潰すように言った。

 

「ああ、あるとも。畑は荒らす、飯は盗む、とんでもない野郎だ」

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「ふむ・・・わかった。ありがとう。手を止めてすまなかったな」

 

そう言って少女は再び歩き出した。

 

(ふむう、確かに噂では酒好き・女好きの怠け者と聞いていたが、ここまで嫌われているとは・・一体どのような奴だろう)

 

・・・・・・・・・・・・・

 

その夜。少女は、村の酒場にいた。

 

この村は幽州・?県にある桜桑村という名の小駅であり、旅人がよく通るせいか、酒場はそこそこ賑わっていた。

 

「簡擁殿」

 

黒髪の少女は今、自分の前に座って酒を飲む女性を真っすぐ見据えながら言った。

 

「なんでしょうか・・・・・・」

 

20代半ばだろうか?簡擁と呼ばれた美女は、妖艶な眼差しで少女を見つめながら、厚い唇に酒杯をつけながら言う。

 

「劉備殿との同盟の件は一体、どうなりました」

 

「それはもう・・・劉兄ィは大変喜んでいましわ。明日、私がここへお連れしますわ」

 

「そうですか」

 

「はい、それはもう・・・・特にあなたはこの同盟をまとめてくれる、関羽殿・・我々、玄徳党にとっては大事な客人ですわ」

 

関羽と呼ばれた少女は、酒杯をゆっくり机に置き、眼をキッとさせて簡擁をにらんだ。

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「簡擁殿、同盟を組む前に1つ、申し上げなければならないことがありまする」

 

「はて、なんでしょう・・」

 

「劉備殿のことです。私は先程までこの村の者達に劉備殿のことを聞いて回っていました。すると彼らはなんと答えたと思いまする」

 

「さあ・・・・」

 

関羽は一呼吸おいて、言葉を放った。

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「1人の農夫は大馬鹿者のいい、1人の老人はゴク潰しと答え、1人の女性は性欲魔人と称しましたぞ」

 

「それはすごい・・・兄ィはちょっと普通の人とは違いますからね・・・・・」

 

「私はそのような方と、幽州一の侠者である李定殿との同盟を結びたくないと言っていのです!」

 

ダーン、と関羽は机を叩き、置いてあった酒杯を床に落としてしまう。

 

「侠者とは法に従わずとも、信義を重んじる者。私には劉備殿が侠者にはとても思えんのだ!」

 

簡擁はしばらく黙っていたが、やがて、ふふふ・・と笑い声を洩らした。

 

「何が可笑しい!」

 

「関羽殿・・あなたはまだ劉兄ィ本人を見ていないでしょう?それなのに人の噂に流され、怒りを表すあなたが、可笑しくて可笑しくて・・・・」

 

「ならば、劉備殿はまともな侠者と言えるのか!」

 

関羽の問いにひとしきり笑っていた簡擁は、ふっ、と真面目な顔をして言った。

 

「私はこの大侠客・李定殿と兄ィの同盟は大英断だと思います。それにあなただって兄ィに直接会えば、きっと心持も変わるでしょう」

 

「そうだといいな」

 

そう言って関羽は、腰を下ろし再び酒を飲み始めた。

 

(もし噂通りであったら、叩っき斬ってくれるわ・・・)

 

偃月刀を握り締めながら、関羽は誓うのであった。

 

説明
恋姫無双の2次創作です。
原作崩壊などもあるので、そういうのが苦手な人はキツイかもしれません。

桃香と一刀が登場せず。オリジナルの男劉備が主人公となります。
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コメント
ko-jiさん、コメントありがとうございます。たしかにこの劉備は劉邦と重なる所があるという設定です。(今川光輝)
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恋姫無双 2次創作 

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