孤高の御遣い Brave Fencer北郷伝17
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凪「・・・・・・・・・・はっ!?」

 

沙和「あ!ようやく起きたの、凪ちゃん!」

 

真桜「この寝ぼすけ、ようやく起きたんかい」

 

凪「沙和・・・・・真桜・・・・・わたしは・・・・・」

 

沙和「凪ちゃん覚えてないの〜?」

 

凪「覚えてって・・・・・あ!」

 

一刀の一撃を受けて、そこから先の記憶がない

 

凪「沙和!真桜!あれからどれくらい経っている!」

 

真桜「安心せい、まだ2日しか経っておらん」

 

凪「ふ、2日も経っているんじゃないか!」

 

凪は起き上がろうとするが

 

凪「うっ!?」

 

足に力が入らず、寝台から転げ落ちた

 

沙和「凪ちゃん!?無茶したらダメなの!」

 

真桜「せや!凪は病み上がりも同然なんやからな!」

 

凪「でも!早く戦線に復帰しないと!」

 

沙和「いいから寝てるのーーーー!!」

 

真桜「寝てろっちゅうのが分からんのかい!!」

 

凪「うっ!・・・・・・・・・・分かった」

 

二人の迫力に負け凪は寝台へと戻っていった

 

沙和「安心して、凪ちゃん、虎牢関はこの2日まったく攻められていないから」

 

凪「え!?それはどういうことなんだ!?」

 

真桜「なんでも華琳様が、数日立てば虎牢関の兵糧が尽きるから無駄な戦闘は避けるって言い出してん」

 

沙和「そうなの、だから安心して寝てていいんだよ」

 

凪「そうか・・・・・分かった」

 

再び凪は横になった

 

真桜「そういえば凪、噂の山賊狩りさんはどうだったんや?」

 

沙和「あ!それ沙和も聞きたいのー」

 

場の雰囲気を和ませようと二人は話題を無理やり変えた

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

しばらく考え、凪は話を切り出した

 

凪「・・・・・はっきり言って想像以上だった・・・・・今のわたしが地に這い蹲っている状態なら、北郷殿は泰山の頂上にいる人だろう」

 

沙和「・・・・・・・・・・」

 

真桜「・・・・・・・・・・」

 

凪「しかも彼はあれでも、まだまだ発展途上の段階だと思う」

 

沙和「え〜〜〜〜〜〜〜!?」

 

真桜「嘘やろ!?あれだけ強いってのに、まだまだ強くなるってか!?」

 

沙和「化け物なの〜〜・・・・・・」

 

真桜「どんな規格外や」

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

二人はそう言うが、凪は彼が二人が言う様な化け物には到底思えなかった

 

一度拳を交わして彼から伝わってきたのは

 

凪「(あれは・・・・・悲しみ)」

 

閻王を砕かれた瞬間に伝わってきたのは、戦いで戦果を挙げる喜びでもなければ、敵兵を打ち倒しその快楽に溺れる悦楽でもなかった

 

凪は考える

 

どうして彼は、あれほど悲しいのに戦い続けているんだろうと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして虎牢関の戦い4日目

 

劉備、曹操、孫策、公孫賛、袁紹、袁術軍を除いた他諸侯は、虎牢関から打って出た呂布一人にコテンパンにやられて再起不能に陥っていた

 

他諸侯達はこれ以上攻めれば確実に全滅するのが目に見えていたため動くに動けなかった

 

虎牢関の戦いは二日に渡って睨み合いが続いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな4日目の夜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葵「翠・・・・・翠・・・・・起きろ・・・・・」

 

翠「・・・・・う〜〜〜〜〜ん、なんだよ・・・・・母さん?」

 

突然葵が翠の天幕に入ってきて翠をお越しに来た

 

翠「今何時なんだよ?」

 

寝ぼけ眼で翠は葵に問いかける

 

葵「お、起きたか・・・・・翠、今から虎牢関へ行くぞ」

 

翠「え!!?何言ってむぐ〜〜〜〜〜!?」

 

葵の言葉に目が冴えてしまった翠が葵に口を塞がれる

 

葵「声が大きいっての!・・・・・いいか、おまえは北郷一刀に会ったんだよな?」

 

翠「ああ、でも会ったというよりあたしが一方的にあいつの一騎打ちを見ていただけだったから、声も掛けなかったし、だからあいつはあたしの事に気付かなかったと思う」

 

葵「一応おまえは北郷一刀を見たんだな、それでどうだった?」

 

翠「どうって・・・・・」

 

翠は一刀の姿を思い出す

 

すると

 

翠「・・・・・///////////」

 

みるみる顔が赤くなっていく

 

葵「・・・・・なるほど、おまえ北郷一刀に惚れているな♪」

 

翠「かかかかか母さん!?何言ってるんだよ//////////////」

 

ますます赤くなる翠

 

葵「そうか、これはますます会わないといけないみたいだな・・・・・翠、悪いがちょっと付き合いな」

 

翠「母さん!?待てよ!・・・・・って、行っちまったよ、ったく母さんはいつもこれだ、一度こうと決めたら周りが見えなくなっちまうんだもんな」

 

そう言って翠はしぶしぶ葵の後をついて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「すぅ〜〜〜〜〜、すぅ〜〜〜〜〜・・・・・」

 

ムクッ

 

自分の天幕で寝ていた一刀は、何かを感じ取り起き上がった

 

一刀「・・・・・何か来るな」

 

寝台の横に置いてあった忠久を腰に差し、虎牢関の門へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見張り番「ぐ〜〜〜〜〜、ぐ〜〜〜〜〜〜〜」

 

一刀「・・・・・まぁいいか、ここしばらくは大丈夫そうだしな・・・・・それにしてもこの分なら上の連中も眠りこけているんだろうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは虎牢関城壁

 

見張り番2「ぐが〜〜〜〜〜、ぐが〜〜〜〜〜〜」

 

見張り番3「こっくりこっくり」

 

その通りだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふっ!」

 

見張り役なのに眠りこけている見張り番に多少呆れながらも、一刀は虎牢関の門に立て掛けられている丸太を少しだけ氣を纏い退かした

 

スッ

 

丸太は音もなく地面に下ろされた

 

一刀「何が居るのかな?」

 

そう言って一刀は虎牢関の門を開けていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翠「それにしても、北郷一刀をどうやって呼び出すんだ?」

 

満月の夜、二人は歩きながらどうやって一刀を呼び出すか考えていた

 

ちなみに馬には乗っていない

 

こんな夜遅くに起こしては気の毒だと思ったがゆえだ

 

葵「う〜〜〜〜〜ん、いっそのこと大声で呼んでみるか?」

 

翠「そんなことしたら、矢の雨が降ってくるだろ!」

 

葵「そうなんだよなぁ・・・・・向こうから来てくれれば儲け物なんだけどなぁ」

 

翠「そんな都合のいいこと・・・・・あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギ・・・・・ギギギギ・・・・・ギギ・・・・・・・・

 

翠の言葉を遮るように虎牢関の門が開かれ一人の長髪の男が出てきた

 

そして

 

ギギ・・・・・ギギギギ・・・・ギギギ・・・・・・・

 

門を閉めた

 

葵「・・・・・おいおい」

 

翠「・・・・・嘘だろ」

 

葵は、自分の言ったことが本当に当たるとは思いもしなかった

 

その長髪の男はドンドンこちらへ近づいてくる

 

葵「翠・・・・・あいつが・・・・・」

 

翠「・・・・・ああ、髪を下ろしているけど、間違いない」

 

葵「そうか・・・・・あいつが・・・・・」

 

月明かりでしか確認できないが、葵は一刀の雰囲気でこの男がかなり強いということを認識した

 

翠「・・・・・・・・//////////」

 

こちらへ寄ってくる一刀に翠は釘付けだった

 

彼の長い髪が月の光を反射させ彼が歩くたびに揺れキラキラと煌く

 

右頬に付いている傷がさらに雰囲気を醸し出している

 

まるで月そのものが彼を祝福しているかのようだった

 

葵「(・・・・・こりゃ本格的だな♪)」

 

翠のそんな表情を見て、葵はにやりと笑った

 

そして、一刀は葵と翠の前に立つ

 

一刀「・・・・・あなた達は、誰だ?」

 

葵「俺の名は馬騰、字は寿成」

 

翠「あたしの名は馬超、字は孟起」

 

一刀「涼州の頭領とその長女ですか・・・・・自分は北郷一刀、董卓軍の客将をしています」

 

葵「知っているよ、連合軍だけじゃなく各州でもおまえの名前は知れ渡っているからな」

 

一刀「恐縮です」

 

葵「それにしても、どうして俺達が来ていると分かったんだ?」

 

一刀「なんとなくです」

 

葵「・・・・・そうか」

 

葵は、そんな掴み所の無い一刀に少しだけ魅力を感じていた

 

翠「北郷、張遼は、董卓は暴政をしていないと言っていたが、それは真実か?」

 

一刀「・・・・・真実です」

 

葵「・・・・・・・・・・」

 

翠「・・・・・・・・・・」

 

葵と翠はしばらく一刀の目を正面から見ていた

 

そして

 

葵「・・・・・うん、嘘を言っている目には見えないな」

 

翠「・・・・・そうだな」

 

一刀「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ここで二人が引いてくれればいいのだが、そうはいかないのが世の常

 

葵「しかしな・・・・・・」

 

葵は戦皇刀姫を振りかざす

 

葵「俺達涼州の将は、言葉だけでは信じられない者達ばかりでな!言葉よりも己の武で語れ!北郷一刀!」

 

一刀「・・・・・はぁ〜〜〜・・・・・やっぱりこうなるのか・・・・・」

 

葵「翠!先に行け!」

 

翠「え、いいのかよ?」

 

葵「かまわない、先の戦いじゃ俺がいいところを持って行っちまったからな、それに北郷はこちらの将を殺さないと聞いているし、胸を貸して貰え」

 

翠「それじゃお言葉に甘えて!」

 

自分の愛槍銀閃を構える翠

 

翠「北郷一刀!涼州の錦馬超!押していくぜ!」

 

一刀「ちょっと待った!」

 

翠「?・・・・・なんだよ」

 

一旦翠に静止をかけ、一刀は懐から一本の布きれを取出し後ろ髪を縛った

 

それは以前のようなポニーテールではなく首元から縛った髪型だった

 

翠「・・・・・////////」

 

今までとは違った髪型の一刀に新鮮さを感じ

 

葵「・・・・・ふ〜〜〜〜ん♪」

 

葵も普段とは違う一刀に釘付けだった

 

一刀「待たせたな・・・・・来い!錦馬超!」

 

翠「あ・・・・・ああ!・・・・・行くぜ!!」

 

そして青白い満月の下での戦いが始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎牢関

 

 

 

 

 

 

 

雫「・・・・・あれ?一刀様の天幕が・・・・・」

 

厠に行ってきた帰り、雫は一刀の天幕が開いていることに気付いた

 

雫「・・・・・ちょっとだけなら///////」

 

雫は失礼と分かっていながらも一刀の寝顔を見れると思い天幕に忍び込んだ

 

雫「・・・・・失礼します」

 

天幕に入ると

 

雫「あれ、一刀様?」

 

そこには誰も居なかった

 

雫「一刀様も厠に行ったのでしょうか?」

 

雫は少しだけ心配になって一刀を探し始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カアーーーーーーン!キイーーーーーーーーン!!ガアーーーーーーーーン!!

 

翠「おらおらおらーーーーーー!!!」

 

一刀「はっ!しっ!」

 

辺りに銀閃と忠久の剣戟の音が鳴り響く

 

しかし董卓軍と連合軍は気付かない

 

この時の一刀と葵と翠は董卓軍にも連合軍にも気付かれない絶妙な位置で試合をしており音は届かなかったのである

 

翠「はああああああああ!!」

 

一刀「はっと!」

 

キイン!キイン!カキーーーーーーーン!

 

翠「ぐっ!?(どういうことだ、まだ数えるほどしか打ち合ってないのに、もう腕が痺れてきている)」

 

日本刀独特のしなりに翠は戸惑っていた

 

一刀「・・・・・どうした、打ってきていいんだぞ」

 

翠「むっ・・・・・/////////」

 

月明かりに照らされて優しく囁く様な一刀の声に翠は聞き惚れた

 

一刀「???」

 

どうして翠が赤くなっているのか一刀は理解できなかった

 

葵「(これはこれは♪)」

 

葵はそんな翠の表情を見て『娘もそんな年か』、と思っていた

 

葵「それにしても・・・・・」

 

葵は一刀の持っている忠久を凝視していた

 

葵「・・・・・ありゃ相当な代物だな」

 

月明かりのせいなのか、一刀の持っている忠久は青白く輝いているように見え、一刀が振るうたびに剣線が光の線となり残像として残される

 

葵「・・・・・・・・・・」

 

葵は冗談抜きで本当に綺麗だと思った、そして一刀の動きにも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翠「せりゃーーーーーーーーー!!!」

 

シュシュシュシュ!!!

 

一刀「ふっ!」

 

翠の連続突きをジャンプしてかわす一刀

 

スタッ

 

翠の後ろに着地して忠久を正眼に構える

 

リーーーーーーーーーン

 

葵「!?」

 

翠「!?」

 

幻聴を聞いたのか、何か来ると翠は直感で感じ取った

 

一刀「・・・・・・いくぞ」

 

翠「うわっ!!?」

 

葵「!?」

 

ガキーーーーーーーーーーーーン!!!

 

結果から言うと、傍で見ていた葵も一刀の動きが僅かにしか見えなかった

 

ヒュンヒュンザク!!

 

銀閃の先は忠久に切り飛ばされ地面に突き刺さった

 

翠「・・・・・・・・・・・・」

 

翠の目の前には、全身に氣を纏い優しい目でこちらを見つめている一刀の姿があった

 

翠「・・・・・あ」

 

腰から崩れ落ちる翠

 

一刀「おい!」

 

カシャン

 

忠久を地面に落とし、翠を抱き止める一刀

 

一刀「大丈夫か?・・・・・よっと」

 

ヒョイ

 

翠「わわ!?なななな何するんだよ!?/////////」

 

一刀にお姫様抱っこされ困惑する翠

 

一刀「無理するな、腰が立たないんだろ?」

 

翠「あ・・・・・ああ//////////////」

 

こんな事をされるのは初めてな翠は、耳まで赤くなってしまう

 

葵「(ふふ♪本当にいい男だな♪)」

 

葵はこれほど優しい奴なら董卓は暴政をしていないんだろうと確信していたが、やはり戦ってみたいと思うのが将としての心情だった

 

一刀「馬騰さん、馬超さんはこちらに寝かせてもよろしいですか?」

 

葵「ああ、今度は俺の番なんだ、翠は邪魔だよ」

 

翠「母さん、邪魔ってなんだよ!?」

 

葵「腰の抜けたおまえに言われたくないっての」

 

翠「うっ////////」

 

本当のことなので言い訳できなかった

 

葵「それじゃ、次は俺だな!いっちょ胸を貸して貰おうか」

 

一刀「ほどほどにお願いしますよ」

 

葵「それは出来ない相談だな、おまえほどのやつに手を抜けるほど、俺は自分の能力に驕っては居ない」

 

一刀「それじゃ、よろしくお願いします」

 

地面に落とした忠久を拾い構える一刀

 

葵「来な!」

 

そして青白い月の下での戦い第二回戦が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雫「・・・・・本当にどこに行ってしまったんですか?一刀様?」

 

探し始めてからかなり経っているはずなのに一向に一刀の姿が見えない

 

雫の顔には焦りが見え始めた、そんな中

 

雫「え!?これは一体!?」

 

雫は驚いた、門に立て掛けてあるはずの丸太がいつの間にか退かされていることに

 

雫「んっ!!」

 

嫌な予感がして虎牢関の重たい門を一人で懸命に開ける

 

ギ・・ギ・・・・ギギ・・ギ・・・・・ギギ・・・ギギ・・・・・

 

雫が門から外を覗き込むとそこには

 

雫「・・・・・っ!?一刀様!!?」

 

遠くに一刀が誰かと戦っている姿が見えた

 

雫「っ!!」

 

兵を起こせばよかったのだが、居ても経ってもいられず雫は飛び出してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「はぁっ!!せい!!」

 

葵「どりゃあ!!はっ!!」

 

ガキーーーーーーーーン!!バチーーーーーーーーーーーン!!カアーーーーーーーーーーーーン!!

 

一刀の忠久と葵の戦皇刀姫がぶつかり合い火花が散る

 

葵「それにしても、ここまで情報通りだとはな!その剣一体なんで出来てるんだ!?俺の戦皇刀姫が数合打ち合っただけで刃毀れしまくりだぜ!」

 

カキーーーーーーーーーン!!ガキーーーーーーーーーーーーーン!!ギイーーーーーーーーーーン!!

 

一刀「ふっ!しっ!企業秘密ですよ!はぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翠「・・・・・・・・・・」

 

外から見て翠は、改めて一刀の強さが分かった

 

自分の親、涼州の頭、馬寿成が互角の勝負に持っていかれている

 

しかも一刀は余裕を持って勝負することが出来ているように見える

 

一刀の動きに無駄はなく、確実に葵の攻撃を防ぎ、受けきり、攻撃を確実に決めていく

 

翠「・・・・・///////////////」

 

一刀の振るう忠久が光の剣線を描きながら戦っているその様はあまりに幻想的で、思わず見惚れてしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキーーーーーーーーーーーーーン!!!

 

葵「うおおお!?いいねいいね〜〜♪これなら翠をおまえの嫁にやってもいいぜ♪」

 

翠「かかかかか母さん!?何言ってんだよ!?//////////」

 

葵「はっはっはっはっはっは!いいじゃないか!おまえもこいつのこと嫌いじゃないんだろ♪」

 

翠「・・・・・そりゃまあ、好きか嫌いかって言ったら(ゴニョゴニョ)///////」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

人のこと無視して勝手に話を進めないでくれという気持ちで一刀はいっぱいだった 

 

ギイーーーーーーーーン!!カアン!キイン!カアーーーーーーーーーーン!!

 

葵「はぁ、はぁ・・・・・それにしてもっ!華雄が言っていた通りだなっ!はぁ、はぁ・・・・・おまえはっ!俺よりも強いぜっ!」

 

キイーーーーーーン!!ガキーーーーーーーーーン!!バチーーーーーーーーーン!!カアーーーーーーーーーーン!

 

一刀「・・・・・涼州の馬寿成にそう言ってもらえるとは、嬉しい限りですよ!はぁっ!」

 

ガキーーーーーーーーーン!!ガアーーーーーーーーーーン!!カキーーーーーーーーーーーーーン!!

 

葵「ぐうおおおおおお!!!はぁ、はぁ・・・・・っくぅ・・・・・俺の戦皇刀姫もそろそろ限界だな・・・はぁ、はぁ・・・次で最後にしようぜ」

 

一刀「・・・・・いいでしょう」

 

一刀は忠久を下段に構えた

 

「・・・・・・・・・・」

 

場に今まで以上の緊張が走る

 

その時

 

雫「一刀様!!」

 

一刀「っ!?雫!?」

 

突然の雫の声に一瞬心が乱れてしまう

 

葵「隙あり!!」

 

一刀「っ!!」

 

先に葵が駆け出し一呼吸遅れて一刀も飛び出した

 

雫「!?」

 

翠「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間には、二人は互いにすれ違い背中合わせの状態になっていた

 

ドスッ!!

 

雫「っ!」

 

数瞬遅れて雫の目の前に葵の戦皇刀姫が突き刺さった

 

葵「はぁ、やれやれ・・・・・隙を突いたつもりだったんだけどな」

 

一刀「いえ、こっちも結構際どかったですよ」

 

一刀の首筋には戦皇刀姫の刃が掠め血が滲んでいた

 

葵「しかし、これほどの腕を持っているなら俺も大満足だ♪翠との婚約の件、本気で考えてやってもいいぜ♪」

 

雫「え!?」

 

翠「いいいいいい何時までそんなこと言ってんだよ母さん!!!?///////////」

 

葵「いいじゃないか、おまえだってまんざらでもないんだろ♪」

 

翠「かかかか勝手に話を進めないでくれよ!!!////////」

 

一刀「(それを言いたいのはこっちだっつぅの!)」

 

心の中で叫んでいる一刀

 

そこに

 

雫「・・・・・っ!」

 

ギュウッ!

 

一刀「え!?雫!?」

 

翠「え!?」

 

葵「・・・・・ほう♪」

 

いきなり雫が一刀の左腕に抱きついてきた

 

雫「一刀様は、絶対に渡しません////////」

 

葵「・・・・・・・・・・」

 

翠「・・・・・・・・・・」

 

雫は今にも泣きそうな目で葵を睨んでいた

 

葵「・・・・・はっはっはっはっはっは♪これではっきりしたな♪董卓は暴政はしていない♪俺達は明日限りで連合を抜けさせて貰うよ♪」

 

翠「母さん!?いくらなんでも今更・・・・・」

 

葵「俺の病気が仮病だって事はまだ誰にも知られてないんだ、だったらそれを口実に「その必要はありませんよ」・・・・・なに?」

 

いきなりの一刀の言葉に葵はきょとんとなる

 

一刀「その必要はありませんと言ったんですよ、馬騰さん達はこのまま連合に留まって下さい」

 

葵「一体何を言っているんだ?」

 

自分達が連合にいて不利になるのは自分達だろうと葵は理解できなかった

 

一刀「俺達董卓軍は、あと一日か二日で虎牢関を撤退することになります」

 

雫「一刀様!?そんな大事なことを言ってしまっていいんですか!?」

 

一刀「構わないよ、どうせ主な諸侯には俺達の策はばれているだろうし」

 

雫「・・・・・それはそうでしょうけど」

 

一刀「この戦いが終わった後、皆さんは劉協・・・・・聖に会うことになるでしょうし」

 

葵「っ!!??・・・・・おまえ、今劉協様の真名を口にしたな・・・・・それ相応の覚悟があって言ってるんだよな」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

いきなり葵は一刀に向かって今まで以上の殺気を放つ

 

一刀「ええ、だって彼女から真名は預けて貰っていますから」

 

葵「・・・・・よし分かった、聖様に会ったら本当に預けたか聞こう・・・・・しかし!もし預けていなければ・・・・・」

 

一刀「ええ、この首を貰ってくれてかまいませんよ」

 

葵「その言葉、確かに聞いたぞ!翠!帰るぞ!」

 

翠「あ、待ってくれよ母さん!!」

 

葵と翠は自らの武器を拾い、陣営へ帰っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふぅ〜〜〜〜・・・・・すまなかったな雫、いきなり約束を破ってしまって」

 

雫「いいえ、一刀様が無事ならそれでいいです・・・・・それよりも早く傷の手当てを!」

 

一刀「ほんのかすり傷だよ、ありがとうな、雫」

 

なでなでなでなで

 

雫「あ・・・・・/////////////」

 

一刀に頭を撫でられては、雫は何も言えなかった

 

雫「・・・・・あ、一刀様」

 

一刀「?・・・・・なんだい?」

 

雫「その髪型も素敵ですよ」

 

一刀「?・・・・・ああ・・・・・ありがとう」

 

そして二人も虎牢関へ帰っていったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翠「お、おい母さん、本当にこれでよかったのかよ!!?」

 

葵「・・・・・・・・・・」

 

翠は、後ろから声を掛けるが、葵はつかつかと歩いて行くだけで何も答えない

 

しかし

 

葵「・・・・・翠」

 

翠「な、なんだよ?・・・・・」

 

足を止めようやく口を開いた葵だったが、その雰囲気が後ろ姿でもわかるくらい神妙になったのを翠は理解した

 

葵「お前・・・・・あいつと矛を交えて何を感じた?」

 

翠「何って・・・・・凄いとしか・・・・・」

 

葵「・・・・・そうか」

 

そして、また葵は歩き出す

 

翠「母さん!?わけわかんねーよ!!」

 

葵「いや・・・・・おそらくあいつの言っていたことは本当だろう」

 

翠「言っていたことって・・・・・劉協様から真名を預けられているってことか?」

 

葵「ああ・・・・・あいつのあの真っ直ぐな目は嘘をついている目じゃなかった」

 

翠「ああ、それはあたしも感じていた・・・・・」

 

葵「それに・・・・・・・・・・」

 

翠「?・・・・・それに、何だよ?」

 

葵「・・・・・いや、なんでもない」

 

翠「母さん!?だから訳分かんねーって!!」

 

またしてもつかつかと歩きだす葵に翠の頭は軽い混乱状態にあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葵「(あいつの剣・・・・・あれはまさに、悲壮の剣だな・・・・・)」

 

一刀の忠久から伝わってきた感情を葵は理解していたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもseigouです

 

このままでは葵の出番がなくなってしまうと思い、急遽思いつきで入れてみました

 

次回、虎牢関の戦い終局です

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月下の私闘




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コメント
もし一刀が恋愛系に聡かったら三国の名だたる武将・軍師、そして頭首は一刀の後宮入り決定だな。(風見海斗)
この一刀はそっち系統に若干疎いのかな?(東方武神)
ものすごく気になる。(シン)
雫最高〜!(十狼佐)
続き・・続きを早く〜(T。T)(萌香)
皆が帝にあったら反応が面白そうだ。(黄昏☆ハリマエ)
続きプリーズ!!(タケダム)
ニヤニヤが止まらないwww(poyy)
このまま葵さんも惚れていくんですね。雫ちゃん2828www(kabuto)
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