虚々・恋姫無双 虚陸
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「……それは私への脅迫かしら?」

「予言、と言っておきましょう」

「予言?」

「管路が予言と夢を持って未来を外史の人間たちに教えるように、ボクにもそうすることが出来ます」

「くだらないわ」

「そうですわね。どうせ華琳さまはこのような類のものは信じるはずがありません。最初から攻め方悪かったのでしょう」

 

そう言ってボクは席を外した。

 

「どこに行くの?」

「帰りますわ。これ以上いるのは時間の無駄です」

「入って来るのは勝手だったけれど、出るのはそう簡単ではないのよ」

 

華琳さまはボクの手首を掴んでそう言いました。

 

「……」

 

――放せ

 

「!」

 

華琳さまが驚いて掴んだ手を放しました。

 

「ボクが華琳さまのことを心配するのは、あくまでも華琳さまの命が一刀ちゃんに関わっているからです。それ以上の感情はありません」

「………」

「では、失礼いたします」

 

ボクはお辞儀をして華琳さまの部屋を出ていきました。

 

・・・

 

・・

 

 

「やってしまいましたわ」

 

部屋に戻って空を見上げながらボクはそうつぶやきました。

 

「もう少し緩やかな言い方もあったでしょうに、ボクのせいで何もかもお仕舞いです」

――左慈さん…

「…紗江さん」

 

ボクに身体を委ねて内に潜んでいた司馬懿がボクに囁きました。

 

――左慈さんのせいではありません。最初から、ダメもとだってのですから。

「とは言っても、こうなってはもうボクたちだけではどうすることもできません」

――これからどうなさるのですか?

「孫呉との戦いには出られません。ボクがまたそこに入ったら、また変なことを起こしかねませんから。そしたらその時はボクも一刀ちゃんも本当にお仕舞いです」

――じゃあ、何もせずにここに残るのですか?

「何もしない……というのは少し違いますわ」

――はい?

「一度孫呉との戦いが始まったら歴史の流れが変わってしまいますからね。そしたら、国内でも早く反応できる人が必要ですから」

――はぁ………

「……そうですね。ここまで来てしまっては一刀ちゃんには一応話をしておいた方が良いかも知れませんね」

――一刀ちゃんには話をしないのではなかったのですか?

「一刀ちゃんが知らないままでしたら華琳さまはどうしても一刀ちゃんを置いて戦場に出てしまいます。そしたら曹魏の終わりは近いと言っても過言ではないでしょう」

――少女はずっと気になっていたのですが、左慈さんは華琳さまが孫策に負けるだろうと、そう仰るのですか?

「………ええ、負けますわ。負けますとも。それも、曹孟徳という人間として一番悲惨な有様で……」

――あぁ………

 

 

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「うーん、じゃあ、稟お姉ちゃんはいつもあんな感じなんだね」

「いつもと言うなら違うかも……いや、あんまそうあんま変わらんか」

「真桜ちゃん、酷いこと言っちゃうの……否定はしないけど」

「………死ねばいいのに」

「凪お姉ちゃん!?」

「じょ、冗談だ」

 

三人とも一刀ちゃんを汚した稟にいささか怒りを持っていた。

 

「でも、いつもあれじゃあ流石に通常生活に問題があるんじゃない?」

「まあ、なんだかんだ言って風がいつもついとるしな。ウチらが心配せへんでも大丈夫やろ」

「うーむ………」

 

三人はそう言ったが、やはり気になる一刀ちゃんであった。

 

・・・

・・

 

今日はあんな事件もあって、先に帰ってもいいって凪に言われて一刀ちゃんは昼何をしようかなぁとあっちこっち目的もなく歩いていた。

 

「最近はお姉ちゃんたち皆忙しいし、仕方ないよね。河北四州を抑えたばかりだからあっちこっちで問題が起こってるだろうし、ボクが邪魔しても悪いしね、うん」

 

それが凄く要らない心配だったのは言うまでもない。

おかげでフラグが立たないんだよ。こっちが辛いんだよげふんげふん

 

「でもやっぱり何もしないでゴロゴロしてるって嫌だな……お姉ちゃん……さっちゃんに行ってみようかな。そういえばさっちゃんにも全然会ってないや」

 

さっちゃんへの呼称が戻っているのはさっちゃん本人からの要望であった。お姉ちゃんよりもそっちの方が馴れ馴れしくっていいらしい。

一刀ちゃんも司馬懿の姿のさっちゃんに「お姉ちゃん」と呼んだら色々と手間なので頷いた。

ここに来ての話だが、一刀ちゃんはまだ正式に司馬懿のことを会ったことがない。司馬懿は良く外に出ることがなかったし、なにより取り憑いているさっちゃんが司馬懿と一刀ちゃんが会うのをよしとしなかったためである。

 

「そっちに行ってみようかな。丁度相談したいこともあるし」

 

相談とはもちろん稟のことであった。

さっちゃんなら何か知っているだろうと考えていた。今までもずっとそうだったし今回も何か良い知恵を出してくれるだろう。

 

「よし、そう決まったら行こう」

 

と思いながら曲がり角を曲がる一刀ちゃんであったが、

 

「あ」

「あら」

 

噂をすればあっちからも出てきやがったのである。

 

「あの……一刀ちゃん?」

「あ、丁度いいや、さっちゃんちょっと相談があるんだけど」

「あの、実はですね。左慈さん今居ないんです」

「……え?」

 

どうやら違ったようだ。

 

 

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「え、さっちゃん居ないってどういうこと?」

「あの、実は昨日外に出てから少し調子が悪いようで、朝から話をかけても返事してくれないんです」

「そんな………」

 

せっかく会えたと思ったのにガッカリした一刀ちゃんは肩を竦めた。

 

「ごめんなさいね」

「いや、紗江お姉ちゃんが謝ることじゃないけど………うぅ……」

「?」

「あの、ね、紗江お姉ちゃん、ちょっと相談したいことがあるんだけど」

「相談…少女にですか?」

「うん、紗江お姉ちゃん、ボクたちが居ない間でずっとここにいたんだよね。じゃあ、稟お姉ちゃんや風お姉ちゃんとも仲良いよね?」

「仲が良いというほどではありませんが、仕事で良く顔を合わせては居ります」

「よかった。じゃあね、ちょっと聞いてもいい?」

「何かは良く分かりませんけど、ここでは場所は良くないですね。他のところに行きましょう」

「あ、うん」

 

紗江の提案に乗って一刀ちゃんと紗江は廊下の曲がり角から放れて東屋に向かった。

 

・・・

 

・・

 

 

「仲達さま、お茶を用意してまいりました」

「ありがとうございます。後は少女がやります故、もう行ってもよろしいですわ」

「はい、では……」

 

茶と菓子を持ってきた侍女が去った後、紗江は侍女が持って来たお茶を一刀ちゃんの前の杯に注いだ。

 

「ありがとう…何か、紗江お姉ちゃんとこう話すのって初めてだね。ちょっと不思議な感じ」

「そうですか?」

「うん、だって、ずっとお姉ちゃん…じゃないや、さっちゃんと一緒に居たじゃない?なのに顔はまったく同じなのに別人だと言うからちょっとね」

「そうですか。その気持ちはなんとなく分かります。少女も時々、この体が少女の物ではないように思いますから」

「え?」

「一度死んだ身でまたこうして愛した主人を支える事ができているのも、実は少女が夢を見ているのではないかって時々思うのです」

 

司馬仲達は一度惨めな形で死を経験していた。そんな彼女がこうしてまたこの場に居られたのはさっちゃんの気まぐれのせいであった。

だけど、理由はともあれ再び得たその生命を大事にしなければならない、とも紗江は思った。

 

「あの、紗江お姉ちゃんって以前にどうして死んだのかって聞いてみたら失礼かな」

「……そうですね。あまり人が聞いて喜ばしい話ではございませんから。知らない方が良いかと思います」

「うん……ごめん」

「いいえ、人の事を知りたいというその気持ちは決して悪いものではありませんから。少女も一刀ちゃんとはなんだかんだ縁がありますから左慈さんほどではなくても有益な関係になれたらいいと思います」

「………」

 

同じ姿に似た口調なのに、何だか違う感覚だと一刀ちゃんは思いました。

さっちゃんは優しくても、もっと深く入ると強引で、ちょっとだけ怖いところもあるけど、この人はそうじゃないのです。

素がとてもいい人で、優しい。まるで純白で悪いことなんて知らない天使を見ているようでした。

 

「それで、少女に相談こととは何でありましょう」

「あ、ああ、そうだった。えっとね、稟お姉ちゃんのことなんだけど…今日街で凄い鼻血出して倒れてたんだ」

「ふふふっ、驚いたようですね」

「笑い事じゃなくて本当だよ。しぬんじゃないかと思ったんだから」

「確かに、あの方は少し変わっていらっしゃいますからね」

 

紗江は一口お茶を呑んでから話を続けた。

 

「稟さんと風さんは袁紹軍が最初に曹魏に攻めてきた時にそれを戦わずに帰らせたことでその智謀を認められて軍師と抜擢されました。稟さんは桂花さんのように以前から華琳さまに憧れてずっとここの軍師になりたいと思っていたらしいですね」

「そうなんだ……そう言えば稟お姉ちゃんの名前って確か郭嘉だったっけ」

「ええ、そうですわね」

「…過多出血で早死するとかするんじゃないだろうな」

「はい?」

「ううん、こっちの話」

 

正史では郭嘉は袁紹を打って北方に向かった際に風土病で早死したから、一刀ちゃんは益々稟のことが心配になってきました。

 

「なんとかならないのかな、稟お姉ちゃんのアレ……そもそもどうしてそんなに鼻血が出るの?」

「どうやら他の方より妄想に弱いらしいです」

「妄想?」

「はい、以前の話で聞きますと、華琳さまと閨を共にした時……あぁ………」

 

話をしようと思ってふと一刀ちゃんの見た目的に話しちゃ駄目じゃないかなぁって思う紗江であったが、

 

「……あ、うん、続けていいよ。そこで話分かるぐらいは成長してるから」

 

以前より成長した(汚れている)一刀ちゃんであったため問題ない(?)

 

「ええ、それで、閨と共にした時、華琳さまが一言言っただけで鼻血を吹いてそのまま気絶したとか」

「……あぁ……つまり、アレだね。こう、頭の中がももいろなんだね」

「そういうことになりますわね……」

「うぅぅ………なんとかならないのかなぁ」

「華琳さまも残念そうにおもって居られたようですけどね」

「でもそういう人は大体妄想が病気級だからどうにもならないよ」

「そうですわね……最近は皆いつものことだからどうも気にしてませんけど」

「……はぁ……」

 

状況が理解した際にもう詰んでいることに気がついた一刀ちゃんであった。

 

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話を聞いて紗江と別れた一刀ちゃんは失意に陥っていた。

幾らいつものことみたいにそうしていると言ってもだからこそアレはもっと危険であった。

人間変わっているとしてもあのように毎日鼻血を吹いているとしたら健康的に問題がないわけがないというものだ。

先だって日射で倒れていたところを見ると、中身が全て血になっているというわけでもない。

 

「風さんに言ってみたらいかがでしょう。稟さんのあの癖に対応できるのは旧友のあの方ぐらいですから」

 

それで紗江に言われた通り風を探しにあっちこっち回ってみた一刀ちゃんだったが、

 

「どこにもいない」

 

政務室にもなかった。

桂花お姉ちゃんが政務と一人で苦戦しながら「ああ、あの二人は一体どこに行ったのよー!」とヒステリックな叫び声を出していたのでそっとしておいた。

いつもなら落ち着くようなお茶でも淹れて入ってみるのだが今の一刀ちゃんには他の人にそんな気の利くことをするよりも稟お姉ちゃんという新しい人物の問題をなんとかするのが優先であった。

 

「先倒れた稟お姉ちゃんを連れてどっかいったから、どこか清々しいところに居るだろうと思って城内の陰があるところを見回ってるんだけど……」

 

 

「……尾行ですか?」

「……うわあぁぁあっ!!」

 

後ろからいきなり声をかけられて振り向いた一刀ちゃんの前には、そんなに探し続けていた風の姿が居た。

 

「風お姉ちゃん?脅かさないでよ、もう!」

「尾行か?今夜の獲物を物色中か?オレも混ぜてくれよ」

「こら、宝ャ、子供にそんなことを言うんじゃありません。まだまだ一人で寝るのが怖いお年頃ですから」

「いや、そんな年頃もう過ぎてるよ。寧ろ恥ずかしいよ」

「それは残念なのです」

 

それは魏の武将全員が残念に思う発言でもあった。

 

「で、何をしているんですか?」

「あ、うん、実は風お姉ちゃんのこと探していたんだけど」

「………早速新しい子に手を出すのですか?」

「どうして風お姉ちゃんはボクのことをそんな風に考えてるのさ」

「桂花ちゃんが……」

「もう桂花お姉ちゃんと一緒に遊ばないよぉ」

 

居ないところで凄い評判削られましたよ、桂花さん。

 

「まぁ、冗談はさておき、風に何のようでしょうか」

「うん、……って、稟お姉ちゃんはどこに居るの?先連れて言ったでしょう?」

「ああ、稟ちゃんなら丁度昼食で留守であった華琳さまのお布団にぽいっとしてきました」

「稟お姉ちゃんを殺す気なの!?」

 

今頃稟が華琳の布団が赤くしながら荒い息を立っている姿が目に浮かぶようだ。桂花よりも変態である。

 

「冗談なのです。ちゃんと自分の部屋に置いてきました」

「ならいいんだけど……」

「それで、どうして風を探していたのですか?」

「うん、実はさ……」

 

少年説明中・・・

 

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「というわけなんだけど……風お姉ちゃんは付き合い長いじゃない?なんとかならないの、稟お姉ちゃんって」

「…………」

「風お姉ちゃん?」

「………ぐー」

「え?」

「ぐー………」

「寝てる……あれ?ボクの話がつまらなかったから」

「………」

「………」

「起してくださいよ」

「あ、起きた」

 

風は放置プレイに弱いです。

 

「それで、あの、どこから寝てたの?」

「……一刀君、恐ろしい子なのです」

「え?」

 

天然って怖いよね。

 

「まぁ、それはともかく、稟ちゃんのことなら気にしなくても良いのですよ」

「でも、あんなに沢山血出すんだよ?そのうち倒れて死ぬかも知れない」

「あれでも稟ちゃんは手加減しているのです。本気を出したら一日十回が爆発できますからね」

「本気を出すところなの、それは?」

「要は今見たいでは稟が死に至ることはないというわけですよ。それに、いざとなったら風が居ますから」

「風お姉ちゃんは稟お姉ちゃんが暴走したら止められるの?」

「時と場合によりますけどね。限界でしたら気絶させたらいいことですし」

 

風がなんともないように清々しく話を進めてので、一刀ちゃんはそれ以上自分の心配をぶつけることができませんでした。

何せ稟のことを一番良く知っているはずの風の話でしたからね。

 

「うーん………でも、やっぱりあれじゃさすがに通常生活に問題あるんじゃない」

「まぁ、ないとは言えませんね。でもいつものことですし」

「うん………」

「……まぁ、一刀君がそれほど稟のことが心配のでしたら、こうしてみるのはどうでしょう」

「どうするの?」

「一刀君が稟ちゃんに免疫を付けてあげるのです」

「…………え?」

 

一瞬、一刀ちゃんは風の話が分からなかった。

 

「稟ちゃんに先ず一刀君と一緒に居るようにさせて華琳さまと閨を共にする時のための免疫をつけさせるのです」

「え、ちょっと待って?え?え?どうしてそうなるの?ってかどうしてそんなことをボクがしなければならないの?それ以前それって効果あるの?」

「まぁ、一刀君が嫌だというのであれば仕方がないことですけどね」

「………」

 

一刀ちゃんは思った。

稟お姉ちゃんのことは心配だ。風お姉ちゃんが言うことだから多分嘘ではない(ここから既におかしい)

でも稟お姉ちゃんとボクが一緒に居るのって、それって稟お姉ちゃんに凄く迷惑じゃない?

嫌、それ以前一体ボクに何をどうしろと?

 

 

 

さて、どうしますか?

 

 

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拠点をお待ちしている方々のためのフラグ立ててみました。

ってか自分が立てたかっただけですけどねー

 

1.風お姉ちゃんの提案を飲む(稟√)

2.風お姉ちゃんの提案を却下(華琳√)

3.寝よう(風√)

4.そんなことよりお腹へった(季衣・流琉√)

5.いきなりあっちから何かが壊れる音がした(春蘭・秋蘭√)

6.この世界は酒呑むに年制限なんてなくね?(霞√)

7.忙しい(桂花√(と書いて死亡フラグ))

 

さて、どうしますか?

 

上位三つで今度の拠点が決まります。

 

説明
本編を始めることが怖すぎる
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コメント
2で(taka)
誰も選んでいない6で。(シン)
5でお願いします(an)
っていうか稟は鼻血なかったらマジでキャラがたたなげふんげふん・・・ってか皆さん好き嫌いがしっかりわけあってありすぎです(TAPEt)
3で  稟はアレですな。鼻血吹いた瞬間鼻フックで止血しようとして失敗。むしろ勢いを加速させてどう考えても人体に収まる以上の出血を引き起こし、でも生きてる。みたいなことも普通にありそうなので、大丈夫かと。(FALANDIA)
5で(カイト)
3(アレン★ゼロ)
5がいいです(yukkesa)
2かな(taka)
2で(仕事人)
5で(VVV計画の被験者)
ここは5番でお願いします。(山県阿波守景勝)
2番で!(シズナ)
とりあえず3で(akieco)
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