、キミのとなりで五話後半
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「チョーコ、チョーコ、チョコチョコチョーコ」

 

 希咲ちゃんは希咲ちゃんで、よっほどチョコが好きなのであろう。デパートを出てから上機嫌だ。

 

 

「あっ」

「「んっ!?」」

 

 

 公園内を横切ろうとすると立ち止まる希咲ちゃん。

 

 

「あのね、希咲お砂場行きたい!!」

「お砂場か〜……」

「だめ?」

 

 愛梨さんは考える様な仕草で視線を上に上げる。

 一方、上目遣いで恐る恐るジッと愛梨さんさんを見つめる希咲ちゃん。

 

 何というか、どちらの仕草も可愛らしくてつい俺も口角が上がってしまう。

 

 

「も〜可愛すぎるわよ、この〜〜」

「きゃ〜♪」

 

 

 その微笑ましい光景は愛梨さんが希咲ちゃんに抱きつく形ですぐに無くなってしまった。

 

 

 

「しょうがない、荷物置いてからね。」

 

「やったー!

タケヤお兄ちゃんも一緒に遊ぼうね。」

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「よし、でっかい山でも作るか!!」

 

 嬉しそうに両手を上げる希咲ちゃん。

 

 

「お山〜〜!」

 

 

 公園で遊ぶなんてどれくらいぶりだろう。

 砂場といえば、落とし穴作って琴音を落として泣かせてたなぁ……。

 

 

「はいはい、荷物置きに……って、しまった〜。」

 

 

 振り返ると何かを思い出したかハッとした表情になる愛梨さん。

 

 

「どうかしたんですか?」

「ごめんタケ君、買い忘れたモノがあるの!」

 

 

 少し慌てた様子の愛梨さん。

 どうやらデパートで何かを買い忘れていた様だ。

 

 

「えっ、一人で大丈夫ですか?

行ったん荷物置いて――」

 

「ううん、平気平気、

タケ君は先に荷物置いて、

希咲と遊んでてもらえないかな!?」

 

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 すでに遊びたそうにうずうずしている希咲ちゃんを横目に申し訳なさそうな愛梨さん。

 

「俺は全然……。」

「ありがとう、じゃ、ちょっと行ってくるね?」

 

「アイリちゃん、いっしょにあそばないの〜?」

 

「ゴメンね、ちょっと買い忘れたものがあるから、

武弥お兄ちゃんと先に遊んでていいよ?」

 

「うん、わかった!」

 

 少し残念そうな様子で頷く希咲ちゃん。

 小走りでデパートへと向かう愛梨さんの後姿を二人で肩を落としながらも見送った。

 

「じゃ、荷物置いてお砂場行こっか」

「うん!」

 

愛梨さんの背中が見えなくなると、苦笑いを浮かべる物の気持ちを切り替えて希咲ちゃんを促す。

 

希咲ちゃんもどうやら遊びたい気持ちが強く、気持ちをすっかり遊びに切り替えた様で一時アパートへと戻る事にした。

 

 

 

「タケヤお兄ちゃんトンネル掘ろう。」

 

砂山を二人で掘り出す。

砂遊びなんて何年ぶりだよと思いつつ始めたが、案外やり始めるとわるくない。

俺と希咲ちゃんは荷物をアパートに置き公園まで戻ってきていたのだ。

 

桜木自然公園と比べれば十分の一にも満たない程の小さな公園。

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遊具はブランコに砂場、滑り台に鉄棒くらいだが、住宅街内にある公園だけあって周りには小学生くらいの男の子達がサッカーボールを追いかけている。

 

「希咲ちゃん砂場遊び上手だね」

 

 希咲ちゃんは砂場に来るなり鼻歌を歌いながら土を掻き集め、ペタペタと小さな手で何度も形作っている。

 

 

「えへへへ……あのね、あのね、アイリちゃんもお砂場遊びスッゴイじょーずなんだよ」

 

 自分の事を話すかのように嬉しそうな希咲ちゃん。

 

 

「今度はアイリちゃんと三人でお砂場遊びしようね」

 

 

 その表情から愛梨さんが本当に好きなのだなと改めて思う。

 

 ただ、だからこそなのだろうか……二人に付いて考えてしまう。

愛梨さんは亡くなった姉夫婦の子だと言っていたが、どうして妹である愛梨さんが引き取り育てているのだろう……。

 

 

「タケヤお兄ちゃんのシャベルが出てきた〜。」

 

 

 砂山を挟んだ反対側に座る希咲ちゃんが、自分の掘っていた穴から俺のシャベルが顔を出した事にキャッキャッ喜んでいる。

 

 どんな理由であったにしろ、両親を一度に亡くした希咲ちゃんにとって愛梨さんだったからこそ、この笑顔が今見られるのだろう。

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「よし、トンネル完成!」

「かんせーぃ、おっきいね〜」

 

 トンネルから顔を覗きあう。希咲ちゃんもその完成度に満足そうだ。

 

「あのね、あのね、川も作るの、

それでね、お水流すんだよ」

 

「よし、それなら――」

「ちっとそこの君、ここで何をしている?」

 

えっ――!?

 

「近所から通報があったのだが、

その子キミに似てないし兄妹にも見えないけど何しているのだね」

 

突然声をかけられ振り向くと、そこには黒い靴、続いて青いズボンが目に入る。

早まる心臓を落付かせながら徐々に目線を上げて行く……。

勿論その姿に付いて知らないわけではないが、落付くどころか高鳴る心臓と共にその姿を確認しようとする。

 

目の前に立つ青い制服……、そう警察官を……。

これはあれか?いわゆる職質??

 

「えっあっ、あのっ……」

「あぁ、言訳はいいから取りあえずこっち来て話聞かせてもらえるかな?」

動揺する俺に対し、冷たく対応する警官。

取りあえず落ち着け、説明すればいいだけだぞ俺!!

 

 しかし分かっていても収まる事のない焦り。

 この警官は果たして俺の言葉を聞いてくれるであろうか!?

 

 痴漢に勘違いされ警官に捕まったらほぼ間違いなく有罪にされると言う……幼女誘拐となればどうなるのであろうか!?

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 いや待て、これは別に痴漢とかでもなければ希咲ちゃんの証言を聞けば分かってもらえる。

 

 何より愛梨さんが戻ってきてくれれば――。

 

「ぬぷっ」

「っ!?」

「ぬわっははははは……」

「えっっ!!」

 

「お巡りさん助けて下さい!

少し目を離した隙に希咲が、希咲が……シクシク」

 

聞き覚えある声、しかし愛梨さんの声とは違う。

そもそも、なぜこんな演技じみた仕草をしているのだろうか?

 

聞き覚えのあるその笑い声……まさかと思いつつ恐る恐る顔を見上げる。

 

……おい。

 

そこにはギンジさんが警官の姿で立っていた。そしてその横には声を殺しきれずに笑い崩れている知子さん。

 

「安心してください奥さん、幼児誘拐犯覚悟するがよい!」

 

 突然芝居臭くなるギンジさん。

 なんというか完全に遊ばれている。

 

「ちょっ、大声で止めてください」

 

 わざとらしく周りに聴こえるように声を出す。

 その声に周りからな視線が集まりだしたのだ。

 

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 ホントこの人達は……。

 

「そもそも、どうしたんですかその格好は!?」

 

「カッコいいだろう!

タケちゃんもそんなに制服欲しいのかー?

仕方があるまい寸法を測ろうではないか」

 

「要りませんよ」

 

 

良いだろう、良いだろう!と制服姿を見せつける銀治さん。

終いには俺に制服を用意してやると寸法を測り始めた。

 

 

「はいはいっ、面白そうだけど、そろそろ帰るよ。」

「愛梨さん!?」

 

 

 買い物袋を手からぶら下げ銀治さん達の後ろから顔を出す愛梨さん。

 

「何時から……というか居たなら早く止めてくださいよー」

 

「えと「ちょっとそこの君」って所……から?

……中々面白かったもので」

 

「出だしからかい!」

 

 

 苦笑する愛梨さん。

 まさか初めから居たとは……。

 

 正直愛梨さんのおかげで助かりはしたものの出来ればもっと早めに止めてほしかった。

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「と、とにかく帰ったらご飯にしますから早く帰りましょ〜」

「うむむ……ここからがいいところなのだが……」

「ぶ〜、ぶ〜、トモちゃんも遊びた〜〜ぃ」

 

 愛梨さんの言葉に物足りなそうな二人。

 

「あら、こんなところに……」

 

 

 ゴソゴソと買い物袋から何かを取り出す愛梨さん。

 

 

「ご飯の後に出そうかな〜」

「皆の集帰ろうではないか」

 

「何しているの、早く行くのよ!

お酒が私を待っている〜〜」

 

 目の色を変えるギンジさんと知子さん。

 見ると愛梨さんが袋から日本酒を覗かせていた。

 

 なるほど、どうやら銀治と知子をお酒で釣りその場を収めたのだ。そして――。

 

 

「何と言うかあの二人は……」

 

 

何しにそんな格好までして公園まで来たのか俺には理解できないが、何も無かったかのように銀治さんと知子さんはそそくさと公園を後にする。

 

 

「ほら、希咲も誘拐犯君も帰るよ。帰ったらちゃんと手を洗ってね」

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と、遊びの時間の終わりを告げる。

正直、愛梨さんと三人で遊ぶ事が出来なかったのは少し残念だ。

 

 

 「は〜〜ぃ」

 

 

 返事を返しながらも希咲ちゃんの小さな手が愛梨さんへと伸びる。

 

 手をつなぎ歩く二人と共に俺もアパートへと戻った。

 

 

 

「今日は荷物持ってもらっちゃってありがとね。」

「いえいえ、どんどん扱き使っちゃってください。」

 

リビングにある冷蔵庫にしまい終える。

 

 

「おっ言ったね〜」

「任せてください」

 

愛梨さんの屈託ない笑顔だけで荷物を持ったかいがあったという物だ。

 

 

「でした是非お夕食もお願い致します、あっ、デザート付で」

「そのくらいお安い……」

 

 ってあれ!?

 

 なぜ後ろから声が?

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あとがき&編集後記

 

 はじめましての方は初めまして!

 

 

 二度目ましての方は二度目まして、KADENです。

 

 

 早い物で「てんキミ」も投稿し出してから一ヶ月経ってしまいました。ィエィw

 

 目を通して下さった方々には本当に感謝です。

 

 投稿当初は、小説を書くのも初めて、ましてや小説をまともに読んだことすらなかった私がここまで書けたのも皆様方、そして相方であるらいれんのおかげです。

 

 本当にありがとうございます。

 

 

 まだまだ若輩者ですがこれからもより面白いものになるよう精進していくつもりですので、温かく見守っていただけると嬉しいです。 

 

 

 これからも「、キミのとなりで」訳して「てんキミ」をよろしくお願いいたします。

 

 

 それではお待ちかね、らいれんが新作、一発ギャグです。

 

 

 

 とまた、無茶振りをされているらいれんです。

 

 これは、なんでしょうか?

 

 新手のいじめですかねw

 

 イジメ、カコワルイ!

 

 とそれはさておき、まえがきでも言いましたが、投稿が遅れましたことを改めてお詫び申し上げます。

 

 急な仕事がやってきまして、投稿どころか家にも帰れなかったんですよ〜><

 

 KADENさんに連絡を入れようとすしたら携帯の充電切れるしwww

 

 とまぁ、そんな感じで遅れしまいました^^;

 

 言い訳をだらだらと書いてもしょうがないので今日は此処らで締めたいと思います。

 

 ちなみに次回投稿は今月に12日になると思います。

 

 それではバイニ〜ノシ

 

説明
すみません、遅れました!
残業やら休日出勤やらで投稿が遅れてしまいました^^:
遅れましたが5話後半をお送りいたします
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、キミのとなりで オリジナル 恋愛 家族愛 幼女 警官 公園 

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