恋姫無双 〜天が地に還るまで〜 1章
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 天の御使い、魏の種馬、警備隊隊長。様々な名称を持ち、人々に親しまれた北郷一刀は天の国に帰った。

それが伝えられたのは一刀が消えた次の日の朝でした。

「ど、どういうことや? ちょ、う、うちの耳がおかしくなってしまったんかな」

 引き攣った笑みを浮かべ、霞は聞き返した。

しかし、華琳は無表情にもう一度繰り返すだけ。

「一刀は、天の御使いは役割を果たして天の国に帰ったわ」

 何の感情も見えない。まるで、「今日の朝は良い天気ね」と言わんばかりに。

「か、華琳様!?」

 春蘭の慌てた言葉を皮きりに、皆がうろたえ始めた。まるで、親とはぐれた子どものように。

どういう表情を浮かべればいいのかさえ、分からなくなってしまったのだろう。

「落ち着きなさい! 魏の将ともあろう者が慌てないで!」

 華琳の一喝。その言葉に皆がようやく落ち着きを取り戻した。表面上のみ。

「で、ですが、華琳様!? ほ、北郷が居なくなったのですよ!」

「だから? 一刀が居なくなったのはこの世界での役割を終えたからよ? 無事に使命を果たした一刀が天の国に帰ったのを喜ぶのならともかく、怒ったり、悲しんだりするのはお門違いというものよ」

 春蘭の言葉に答えると小さくため息を吐いた。

「確かに一刀は私達に安らぎをもたらしてくれたわ。それだけじゃなく、私達を愛してくれた。けれど、一刀は

この世界の人じゃないのよ。こうなるのが天命なのよ」

 華琳の言葉に下を向く。誰も何も言わない。いや、言えない。この辛すぎる現実に何も言えなくなった。

 天命。本当にそうなのだろうかと。春蘭を始め、魏の皆の中に芽生える想いだった。

そんな中、突如として笑い声が響いた。楽しそうに、嬉しそうに。

「ふふ、あ〜ははははは! これで邪魔な北郷が居なくなったわ! せいせいするわ!」

 桂花だった。

 その言葉を聞いた時、華琳の言葉を聞いて止まっていた凪の心が動いた。

 敬愛していた隊長を侮辱され、黙っていられるほど凪の心は強くなかった。

「桂花さ……」

怒鳴ろうと声を出した瞬間、桂花の顔を見た。

顔には笑みを浮かべていた。涙を流しながら。ボロボロと大粒の涙を零しながら。何か違う表情をするのを誤魔化すかのように。

 重苦しい中、桂花の笑い声が響いた。

 

 

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凱旋のはずなのに、魏の軍隊はまるで敗北したかのように重苦しい雰囲気を漂わせていた。

そしてそれは許昌の人々も同様だった。先行していた軍隊の人々が伝えていたのだろう。

街の人々の顔はまるで通夜に参列しているかのようだった。

(ああ、こんなに愛されていたのね)

 華琳は街の人々の顔を見ながら、改めて一刀がしてきた行為を肌で感じ取れた。

 その時、ふと一人のまだ幼い女の子の声が響いた。

「ねぇ、お母さん。みちゅかいさまが居ないよ?」

「御使い様はね、天の国に帰ったんだよ」

「で、でもみちゅかいさま。まえにあったときに『こんどあそんであげる』って言ってくれたよ?」

「でも、ね。御使い様は天の国に帰ったから……もう遊んでもらえないの。もう……会えないの」

 泣きそうな顔をしながら母親は女の子の頭を撫でながらゆっくりと教える。

「そんなのやだよ。だって、あたらしいあそびおしえてくれるっていったんだよ? それにみちゅかいさま、うそつかないもん。やくそくやぶらないもん。や、だよ……」 

 途中から泣きながら言う女の子の言葉に感化されたように母親の目からも涙が零れた。

 幼い子供の言葉。それは大人になって様々な制約、体裁やプライドが邪魔をして出せなくなった言葉だった。

 無邪気で純粋だから出た言葉。だからこそ他の人々の心を揺らした。

 一人。また一人。少しづつ、増えていく泣き声。それは街の人々だけではなくなった。

警備隊として働いていた者達からも聞こえ始め、凱旋してきた軍にも広がった。涙をこらえながらも、肩を震わすもの。

 そんな彼らを見て、華琳は思う

(一刀……見てる? あなたの事を思う人達はこんなに居るのよ。だから……帰って来なさいよ)

空に、天に向かって思う。

けれど、華琳の目にあの流星の姿はなく、ただひたすら青空が広がっていた。

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はい、毎度おなじみ自称、無計画人間くらのです。今回のお話どうでしたでしょうか。少し暗いですね。

 この後は何人か、拠点的な話を書いて行く予定です。案外、魏のメンバーの懺悔に近い話しかもしれません。

まぁ、あくまで予定なのでどうなるのかは分かりませんが。なにせ無計画な人間なもので。

さて、そろそろいいましょう。

え〜、前の後書きで書いていた。Gガンダムとクロスオーバーについてです。決して書かないわけじゃなかったんです。

ただ、書いていて大変なことに気付いてしまったんです。では、問題のシーンを載せたのでどうぞ。

 

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逃げまどう村人達。それを追いかける賊。奪い、殺し、壊す。そんな姿を見せられ、一刀は吐き気がした。

「これが、人間のすることなのかよ……うっ」

 そして、実際に吐いた。何度も、何度も。胃液が出るまで吐いた。

「ご主人様……」

 愛紗の気遣う声に頷く。

「大丈夫。大丈夫だから」

 懸命に言い聞かせる。愛紗ではなく、自分に。そうしないと心が折れそうだったから。

(覚悟を決めろ。北郷一刀。俺はシャッフル同盟の一員なんだから!)

「愛紗、鈴々、桃香。手伝ってくれる? この人達を助けるのを」

「当然です!」

「勿論なのだ!」

「ご主人様と一緒なら大丈夫だもん!」

 三人の笑みに勇気づけらた気がした一刀だった。

 

「はあぁ!」

「とおりゃりゃりゃ!」

 愛紗と鈴々の活躍はまさしく一騎当千だった。賊をなぎ払い続け、そして桃香は人々が逃げるための先導をしていた。

そして、一刀はそれの護衛。適所適材での行動は順調だった。けれど、人は疲れるもの。愛紗と鈴々の攻撃をすり抜けた賊の一人が桃香達に迫った。

「死ねぇ!」

 躊躇いもなく振り下ろされた剣は確実に桃香を切り裂こうとしていた。

「させるかよ!」

 一刀の鋭い声と共に放たれた拳が剣の側面を叩いた。その瞬間、賊の目に信じられない光景が飛び込んだ。

 剣が折れたのだ。ポキリと。

「ひ、ば、化物!?」

 剣を折られると同時に恐怖が出たのだろう。その目には脅えが混じった。

「俺の大切な人達には手を出させない!」

 その言葉を聞いた時、賊は思った。

 殺されると。ここで逃げても殺されるだけだと。

 窮鼠猫を噛む。賊は一刀に向かって折れた剣を持ち、襲いかかった。

「見せてやるよ。流派! 東方不敗が奥義! 爆熱! ゴットフィンガー!」

 そう叫ぶが早いか、一刀は賊の頭を掴んだ。

 ギシギシと軋む頭がい骨の音を聞いて賊が悲鳴を上げる。

「た、頼む。助けてくれ! 金なら幾らでもやる。お、女だって奴隷の女を上げ、ひっ!」

「お前は、そうやって助けを求めてきた人達を助けたのか? それに奴隷? 人はそんな生き方をするために生まれてきたんじゃない! やっぱり、お前ほどの屑が生きていて良い理由はないよ!」

「た、頼む」

「これで終わりだ。ヒートエンド!」

 グシャッ! 濁った音が響く。首から先のなくなった遺体が地面に落ちる。辺りには白や赤やピンク色が散らばった。

 

 

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はい、今ので分かりましたよね? 自分には戦闘を書く才能が欠如しているようです。それに加え、これ誰でしょうか?

一刀ってこんな人じゃないと思うんです。そして何よりグロいです。場面を想像したら、北斗の拳みたいですよ。これだと。

 よって、Gガンダムとのクロスは不味い気がするんです。あれが、許されたのって相手がロボットだからなんですね。初めて知りました。

 

なので、こちらのお話はしばらくは無いかな? と。もしかしたら気が変わって書くかもです。

それではこの辺りで。コメントしてくれると嬉しいです。拠点は誰がいいとか。Gガンダムはこう書けばいいんじゃない? とか。

このお話は皆さまのコメントによって成り立っております。なんちゃって。でも、実際、コメントを貰えると狂喜乱舞するんですよね。

また書くぞ! というやる気が出てきて。なので、コメント待ってます!それでは次のお話で。 see you next again!

説明
さて、新作です。ちょっと暗い話ですかも。それに魏の個人はほとんど出ていません。まあ、導入なので。……え、約束? それはあとがきで。それではけろりとお楽しみを。
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コメント
1p華琳の一括→一喝(なっとぅ)
>>ヒトヤ犬様 そうなんですか? なら、大丈夫……? う〜ん。悩みどころです。(くらの)
大丈夫、北斗の拳は「少年」ジャンプで連載できたのですから、18歳以上が見るこの作品なら余裕でOKでしょW(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
タグ
魏アフター  真・恋姫無双 

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