ツン!恋姫夢想 とある外史のツンツン演義 〜第四話〜
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                      「ツン!恋姫夢想 とある外史のツンツン演義 」

 

 

 

 

                        「〜第四話・喧嘩と仲間と真名のこと〜」

 

 

 

 

 

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 何でこんなに素直じゃないのか。我ながら、嫌になるほどそう思う。

 

 事の起こりは今日の昼。……三日前の例の騒動(甘寧の偽結婚作戦)のあと、あいつも私たちについてくると言い出して、私たちは今、荊州の州都・襄陽にいた。

 

 ちなみに、その時の甘寧の言い分はこうだった。

 

 「べ、べつに北郷のことなど、気にはなりもしないでもないが、その、なんだ、そ、そう!荊州を旅するのであれば、この地の地理に明るい者が居たほうが、何かと都合がいいだろう?そ、それだけのことであってだな、別に北郷と一緒に居たいとか言うわけでは決してないんだからな?!」

 

 ……なんか、よく似た台詞を自分でも言ったことがある気がするけど。なんでこう、立て続けに恋敵が増えるのやら。……ま、まあ、その。北郷がかっこいいのはわかるけど、これじゃあ二人っきりでじっくり恋を育むなんてこと、出来ようはずもないわけで。

 

 私自身の最初の目的−陳留の曹操さまにお仕えする−を延期して、”ある目的”のため、襄陽に行きたいという北郷に無理やりついてきたのに。……お邪魔虫が二匹もついてくることになろうとは。

 

 当の北郷はというと、互いにそっぽを向く魏延と甘寧の二人に挟まれ、どこか困ったような表情でいた。……迷惑だと思ってるなら、さっさと突き放せばいいのに、あのお人好しは。

 

 ……まあ、それが出来ないから、お人好しというんだろうけど。

 

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 話を元に戻すけど。

 

 襄陽に着いたその日の昼。私たちは飯店に立ち寄って、食事をしながらこれからのことを話していた。……北郷の目的である、とある人物が逗留しているはずの、その場所を訪れる前の腹ごしらえに。

 

 その最中、甘寧がふと聞いてきたこと。それが、その”きっかけ”だった。

 

 「……ところでお前たち、北郷とはもう、”真名”を交わしているのか?」

 

 『……あ』

 

 言われてようやく、こんな大事なことを失念していたことに、私と魏延の思考が行き着いた。……だってその、出会ってから今までにいろいろありすぎて、そこまで考えが回らなかったというか。……私ともあろうものが、うぅ……一生の不覚だわ。

 

 「?……あの、甘寧さん?その、真名って、何ですか?」

 

 『……え?』

 

 今度は魏延と甘寧の二人が、その口を大きく開けてぽかんとした。……そういえば、二人にはまだちゃんと、北郷の事情を話してなかったっけ。……彼が、この世界の人間ではないことを。まあ、まさか真名まで知らないとは、私も思っていなかったけど。

 

 とりあえず、北郷に真名についての説明をした。

 

 真名−”まな”とは、己の本質を示す、その人間そのものを表すといって良い、その者の真の名。家族以外の者が、本人の許しなくそれを呼べば、その瞬間に首と胴がおさらばしても、けして文句の言えない、神聖なもの。

 

 ……はっきり言って、今すぐにでも預けたいです。耳にとても心地のいいその声で、私の真名を呼んで貰いたい。と、頭の中の私はそう思っているのに、口を付いて出た私の言葉は、それとはまったくの正反対なものだった。

 

 「……な、なんで私が北郷なんかに、この大事な真名を預けないといけないわけ?!こんな女たらしの全身性液なんか、そんな価値あるわけがないでしょうが?」

 

 ぷい、と。思い切りそっぽを向いて、そう吐き捨てた私の口でした。……なんでこんな、思ってもいないことが口から出るかな、もう!

 

 「へ〜え。私はてっきり、荀ケは北郷が好きなのだとばかり、思っていたんだが」

 

 「え?……荀ケさんが、俺を?」

 

 「ばっ!?な、なんて事をいってくれてんのよ!!この馬鹿魏延!!そ、そんなわけがあるはずがないでしょう!?この私がこんなしょうもない男を好きだなんてそんなこと……!!///」

 

 心臓、ばっくばく。

 

 ……魏延め〜。人の事には随分鋭いじゃないのよ?!

 

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 「……な、なあ、北郷?も、もしお前さえよければ、わ、私の真名をだな、その、う、受け取ってはくれないだろうか?」

 

 『え?』

 

 私と魏延と北郷の声が、甘寧のその発言に、綺麗に合わさった。

 

 「そ、その、だな。お前は、初対面の人間であるにも拘らず、私のあんな策に進んで協力してくれた。そのような気概を持った男など、今のご時世では珍しいからな。お前にならば、私の真名を預けてもいいかと、そう思った次第であってだな。だからその……///」

 

 平静を装いつつも、顔を赤くして、だんだんと小さくなる声でいう甘寧。……嘘が下手ね、こいつ。北郷にべた惚れなのが丸分かりじゃない。……少なくとも、私にははっきりそれがわかったんだけど。

 

 「……甘寧さんがそういってくれるなら、もちろん喜んで受け取らせてもらいますよ(にっこり)」

 

 ……ここに約一名、その例外がいたわ。北郷はまったく、気付いていそうもないわね。……とんでもない朴念仁だわ、こりゃ。

 

 「そ、そうか?!///……わ、わたしの真名は”思春”、だ。これからも、よろしく頼む、北郷」

 

 「ええ、もちろん」

 

 「ほ、北郷!!よ、よかったら私の真名も受けとってくれないか?!」

 

 「ちょ?!魏延、あんたもなの?」

 

 「……新野でのあの一件。その体を張ってまで、荀ケを守ろうとしたあの男気。あれだけで十分、私の真名を預けるにふさわしい男だ。だ、だが勘違いはするなよ!?理由はただそれだけであってだな、別に他に他意があるわけではないんだからな!?」

 

 他に他意って……文法おかしくない?それ。……大体、顔を真っ赤にしながら言っても、全然説得力がないと思うんだけど。

 

 「わかったよ、魏延さん。君の真名、喜んで受け取らせてもらうよ(にっこり)」

 

 「(ぼっ!!///)……焔耶、だ。……べ、別に呼び捨てで構わない。け、敬語も使わなくていいぞ?!うん!」

 

 ……やっぱりわかってないわ、この男は。……にしても、魏延のやつもここ最近、ずいぶん北郷への態度が変わってきたじゃないよ。……一応そうでない風を装ってはいるけど、はたから見たらばればれじゃない。……北郷以外には、だけど。

 

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 「で?荀ケはどうするんだ?……お前も、真名を預けは」

 

 「だから!何で私がこいつに真名を預ける必要があるのよって、そう言ってるでしょうが!あんたらみたいな尻軽女と一緒にしないで頂戴よね?!ふんっ!!」

 

 ああ、もう!なんでこう、思っているのと反対のことしか出てこないかな、私のこの口は?!

 

 「なにぃ?私のどこが尻軽だと?!」

 

 「貴様……私を侮辱するか?!」

 

 魏延と甘寧が私を思い切りにらみつける。……まあ、無理はないとは思うし、言ったことを簡単に翻せないのも、この私の性分なもので。で、売り言葉に買い言葉。たちまち大喧嘩に発展してしまった。……一応言っておくけど、殴りあいなんかしてないわよ?この二人相手にそんなことをしたら、命がいくつあっても足りないっての。

 

 それは向こうも分かっているのか、主に罵声の浴びせあいを繰り返し、おろおろとしながらも何とか仲裁しようとする北郷にも、私は時折その矛先を向け、思いつく限りの罵詈雑言をまくし立てる。

 

 ……放送禁止になるといけないので、そこらあたりのことは省かせてもらうけど。

 

 でもってその結果。

 

 喧嘩の勢いで飯店を飛び出した私は、今、一人で街の大路をとぼとぼと歩いていた。……思いっきり、大きくため息をつきながら。

 

 「……はあ〜。ほんっと、我ながらなんで、こうも意地っ張りなんだろ。……どこに置き忘れてきたのかなあ、”素直”って言葉」

 

 多分、生まれてくるときに、母親の胎内にでも、置いてきてしまったのだろう。事実、言葉をしゃべれる様になったときには、かなりのひねくれ具合だったらしいし。……まあ、それもあくまで、異性に対してのことではあるが。

 

 今は亡き母や、現在は別れて暮らしている妹、少し年上の叔母などに対しては、そこまで意地っ張りな態度をとったことはない。……父親?……物心つく前に、もう帰らぬ人になってたわね。

 

 父の愛情というものを知らない。

 

 だからというのを、この男嫌いの原因にするわけではないけれど、そのたった一人の例外にして、私の異性が対象となった、初恋の人になった北郷一刀。その彼と、少しでも長く一緒にいたい。だからこそ、襄陽までくっついても来たし、できればこれからも、その傍にいたいのが本音。けど、もう無理かもしれない。

 

 「……はあ。……もう、顔を合わせることもできないかもね……。”死んじゃえこの馬鹿!あんたなんか大っっっ嫌いよ!!”……なんて言っちゃった以上は」

 

 落ちてる肩をさらに落とし、私はテクテク、一人街を散策する。……とりあえず、今夜の宿だけでも、見つけておくとしましょうか。……まあ、一応、四人分は、確保しておくとしようかな?

 

 

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 で。

 

 それから半刻もした後。

 

 「……」

 

 「……」

 

 私は今、とっても気まずい状態の中にいました。

 

 街の中にある、とある一軒の宿。部屋を取るためにそこに入った私なんだけど、まあ、その。見事に誰かさんとかち合いまして。

 

 「……なによ?なんか言ったらどうなのよ?」

 

 「……あ、うん。……えと、元気だった?」

 

 「……分かれてから、まだどれほども経ってないわよ」

 

 「あ、うん。そ、そうだね……ははは」

 

 ……何をそっちがぎこちなさそうにしてんのよ?……なんで、あんなことを言った本人に、そんな、笑顔を向けていられるのよ、この男は?

 

 「……魏延と甘寧はどうしたのよ?」

 

 「例の場所を聞きに行ってくれてるよ。土地勘のない俺が行ったら、確実に迷子になるだろうからってさ」

 

 「……そう」

 

 てことは、いまなら邪魔は入らないって事よね?……けど、どうやって切り出したもんだか。まずは、さっきのことを謝って、でもってちゃんとしたお話を……出来てたら苦労してない、か。……はぁ。

 

  

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 「なあ、荀ケさん?」

 

 「ふへっ?!……な、なによ?」

 

 小さくため息をついたところに、彼がその声をかけてきた。

 

 「いや、あの、さ。……別に、無理してまで真名を預けてくれとは言わないけど。……せめて、さ。あの二人とだけでも、早いうちに仲直りしてもらえないかい?」

 

 「……あの二人と?」

 

 「うん。……やっぱさ、仲間同士なんだし、できれば、みんなには笑顔でいてほしいって、そう思うからね」

 

 「……北郷……」

 

 優しいわね、この朴念仁は。……自分が悪く言われたことなんて、もう、なんとも思っていないんだろうな。……ほんと、調子が狂っちゃう。私のさっきまでの悩みは、一体なんだったのかしら。

 

 「……分かったわよ。まあ、私が一応は悪かったんだし、ちゃんと謝っておくわよ。……それでいいんでしょ?」

 

 「……うん。ありがと(にこり)」

 

 ぼむっ!///

 

 ……その笑顔は反則だっての///……んっとに、この天然無自覚の朴念仁は。……でも、今ならちょっとだけ、いい雰囲気だし、邪魔の入らない今のうちに、真名、預けておきたいな。

 

 「あ、あのね?その、も、もし、あんたがいやじゃなかったら、何だけど。……わ、私の真名を、その」

 

 と、胸をどきどきさせながら、うつむいた状態のままで言いかけたときだった。

 

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 「一刀!例の場所、聞き込んできたぞ!」

 

 「やれやれ、結構有名かと思ったんだが、詳しい道を知っている人間を探すのに、こうもてこずるとはな」

 

 ……お約束なんて、大っ嫌いよ。本当に、見計らったように帰ってきて!

 

 「ん?荀ケじゃないか。何時の間に北郷と合流したのだ?」

 

 「べ、別に合流したわけじゃないわよ!たまたま宿を取ろうとしたところに、こいつがやって来ただけ!ただそれだけよ!」

 

 ……別に嘘はついてないわよ?

 

 「ふぅ〜ん?まあ、一応そういうことにしておいてやるか(にやにや)」

 

 「そうだな。そういうことにしておいてやろう(にやにや)」

 

 「……何よ二人ともその顔は?言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうなわけ?」

 

 『いやあ?別に?』

 

 そんな風に言いながら、私からその視線をそらす二人。……うぅ。甘寧だけならともかく、魏延みたいな脳筋まで、人をからかってくれて〜。

 

 「え〜っと(汗)。そ、それで思春?例の場所、わかったんだよね?」

 

 「ん?ああ。……確か、水鏡塾だったよな?その場所なら、ここから二日ほど、山道を登ったところにあるそうだ。ついでに、そこまでの簡単な地図も描いてもらった。これがあれば、よほどのことでもない限り、迷ったりはしないだろう」

 

 「そか、ほんと、ありがとな、思春、焔耶。俺のために、わざわざ街中を歩き回ってくれてさ」

 

 「い、いや、別に。わ、私は単に、私の用事があったから、そのついでに回っただけであってだな」

 

 「そ、そうとも!私も別に、一刀のためにしたとか言うんじゃなくてだな、その」

 

 ……また見事に、顔を真っ赤にしてごにょごにょと言っちゃって。照れ隠しなのが見え見えじゃないのよ。……私も、いつもあんな風だったりするのかな?

 

 「それでもやっぱり、ありがとう、だよ。ほんと、感謝してる(にっこり)」

 

 『(はうっ!!///)』

 

 ……関係ない私まで、思わず巻き込まれちゃった。……北郷の笑顔って、ほんと、凶悪だわ。うん。

 

 

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 「そ、それで北郷?今日、これからすぐにでも発つのか?」

 

 「いや、流石に準備なしでの山越えはまずいだろ?今日はここに泊まって、明日の朝一番で出ようと思う」

 

 「そうか、わかった。……荀ケはどうする?ついて来るのか?」

 

 行くに決まってるでしょ!と言いたいのが私の本音なんだけど。そこはそれ、いつもの如く出てくる言葉は真反対なわけで。

 

 「別に。これ以上付き合う義理はないわよ。……私は、もう、陳留に向かうわよ。そもそも、それが元々の目的なんだし」

 

 「そうか。それは残念だ。なあに、北郷のことなら私と焔耶がいればそれで大丈夫だ。だから、お前は何も、心配しなくていいからな」

 

 「べ、別にこいつの心配なんか、誰もしちゃあいないわよ!ふん!……お休み!」

 

 つかつかと。心にも無い台詞を吐き捨てて、私は自分の部屋へと向かった。……今度こそ、さよなら、かな?……はあ。

 

 

 でもってその日の夜。

 

 「何で素直に出来ないのかなあ……。あいつが絡んだ話になると、どうしてもああなっちゃうのよねえ……。はあ〜あ……自己嫌悪、だわ」

 

 宿屋の自分の部屋。その窓から顔だけを出し、そうつぶやいてる私がいたりして。

 

 「……あいつは、私のこと、どう思ってるんだろうな……。やっぱり、嫌ってるわよ……ね?」

 

 毎日毎日散々に、これでもかと言うぐらいの悪態を、衆人環視の目も気にせず、ひたすら浴びせまくっている人間を、それでも好きだなんていう物好きがいるわけ無い。

 

 「……とりあえず、明日の朝になったら、あの二人にだけは、まあ、詫びの言葉でもかけておくとして。……どうしよう、かな」

 

 ほんとうに、このまま彼と別れて、曹操様の下に仕官をしにいくか?……確かに、曹操様にお仕えすることは、私の望みだった……はずだ。けど、その前に、私は彼に出会ってしまった。……そして、彼を好きになってしまった。それはもう、何があっても変わることの無い気持ちだ。だからこそ、このまま離れ離れになんかなりたくない。……今のご時世、今度は生きて会えるかどうかもわからない。

 

 「……なんとか、彼に引っ付いていられる、都合のいい理由は無いかな……」

 

 ポツリと、私が洩らしたときだった。

 

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 コンコン、と。扉を叩く音がした。……誰かしら、こんな時間に。

 

 「……荀ケさん、まだ、起きてる?」

 

 どっくん!

 

 ……心臓が爆発するかと思った。

 

 「ほ、北郷?な、なによこんな時間に?ハッ?!さては夜這いでもかけに来たわけ?!いやらしいわね、この変態!!」

 

 あーもう!自分で自分に説教したくなる!!どーしてこう、いつもいつもこんな……!!

 

 「いや、あのさ?……その、ほら、前に、さ。文字、教えてくれるって言っただろ?けど、明日には離れ離れになるわけだし、今日のうちに、少しでも教えておいてもらえたらなって、そう思ったんだけど。……ちょっと、遅くなりすぎちゃったけど、さ」

 

 ……え?……あんな口約束、覚えていたわけ?……そっか♪

 

 「し、仕方ないわね。その、こんな時間にってのが、かなり非常識ではあるけど、まあ、その、約束だし?い、今鍵開けるわよ」

 

 ……よっしゃ!これで二人きりの時間が出来た!!……で、ちょっとした勉強会を、二人で始めたわけなんだけど。

 

 「荀ケさん。こっちの字って、これでいいの?」

 

 「そ、そうね。……あんた、意外と飲み込み早いじゃない」

 

 そうなのだ。……北郷は、私が教えることを、真綿が水を吸うかのごとく、あっという間に自分のものにしてしまう。……正直、三月もあれば、私が教えることは無くなるんじゃないかしら?……まあ、実際にはそんなに時間は無いけどさ。

 

 「そうかな?……王佐の才といわれた荀文若に、そういってもらえるのは嬉しい限りだな」

 

 「王佐の才?……私が?」

 

 「うん。……俺の知ってる歴史じゃあ、荀文若と言う人物は、曹孟徳をして、『我が子房』とまで言わしめた人だしね。」

 

 子房って……あの、張子房のことかしら?前漢の立役者の一人。希代の戦略家。そんな人に、私が喩えられた?あの、曹操さまに?……わあ〜……///

 

 北郷のその話に、思わずぽ〜っとする私。

 

 「……だからこそ、さ。俺なんかにくっついているより、曹操さんのところに居たほうが、荀ケさんにとってもいいことだと思う。……俺のことなんて気にしないでさ、荀ケさんは、荀ケさんのやりたいように、したほうがいいよ」

 

 「……あんた」

 

 ……私は私の、やりたいようにやればいい、か。……そう、ね。確かにそうだわ。そう。周りがたとえどうこう言おうと、私は私のやりたいようにやる。……うん!これで踏ん切りがついたわ。あははwww

 

 で、その翌日。

 

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 「……おい」

 

 「……なんでついてくるんだよ?陳留に行くんじゃなかったのかよ?」

 

 私の目の前を歩いていたその二人が、その足を止めてこちらを振り向き、問いかけてくる。ちなみに、私は今北郷のその隣を、開いた書物を片手に歩いている。……夕べの勉強の続きを、山道を歩きながらしているわけである。暇もつぶせて一石二鳥というやつだ。うんうん。

 

 「るっさいわねー。こいつに勉強を教えてる最中なんだから、あんたたちは黙っててくれる?……それともなに?私の変わりに勉強を教えられるの、あ・ん・た・た・ち・が?」

 

 『そ、それは……』

 

 そろってぐうの音も出なくなる二人。ふ……勝った。

 

 要するに、私はこれからも、彼についていくことにした。一応の建前としては、彼に勉強を教える先生役として。……超がつくくらい、ゆっくりとした調子で教え続ければ、当分はこの理由を使ってられるしね。

 

 「ほら、戦闘以外は役に立たない脳筋二人は、周囲をきちっと警戒していなさいよ。あ、賊とか出たら全部任せたからね?頼りにしてるわよ、”思春”、”焔耶”♪」

 

 「くっ……!!」

 

 「……こいつ、後で絶対泣かす……!!」

 

 「は、はは、ははは」

 

 乾いた笑いをこぼす彼の隣で、ふふん、と勝ち誇ったように笑みをこぼす私。

 

 「……ほら、さっさと次の問いに入るわよ?水鏡塾につくまでに、これを半分は終わらせるからね?ちょっと聞いてんの?!”一刀”!!」

 

 「はい。しっかり聞いておりますとも。……だからこれからも、よろしくご指導お願いいたします、”桂花”先生」

 

 「ん!よろしい!」

 

 仏頂面で歩く思春と焔耶、そして、いつもの笑顔をこぼす一刀と、その横で仕方なさそうに笑う、私。

 

 ……真名を互いに交し合い、本当の仲間になった私たちの、笑いあり、涙ありのどたばた旅。それは、今日この日をもって、本当の始まりを迎えたのでありました。

 

 

                                  〜続く〜

 

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 はいどうも。

 

 ツンルートの第四話でございますよっと。

 

 今回は四人が真名を交換し合うにいたるところまでを、

 

 桂花視点で書いてみました。

 

 いやー、やっぱり桂花の視点だと書きやすいですねーw

 

 これからも桂花視点のままで話を進めようかなー?なーんて(ちりーん)はっ!?殺気?!

 

 イエ、イマノハホンノジョウダンデス。エエ、モチロン冗談デストモ。ハッハッハ(汗)

 

 

 そ、それはともかく、

 

 次回は、お話の舞台を水鏡塾とします。

 

 一刀が宛県から南下をしてきたその理由、それがようやく明らかとなります。

 

 次回が誰視点になるかは、今のところまだ未定です。

 

 一刀の視点で書く可能性もありますし、三人称にする可能性もありますし。

 

 

 とりあえず、次回まで気長にお待ちください。

 

 あ、一応、コメとかツッコミも、お待ちしておりますので。

 

 ・・・誹謗中傷だけはご勘弁くださいね?

 

 それではまた次回にて、お会いいたしましょう。

 

 再見!!ですwww

説明
ツン√、その四話目です。

ニヤニヤしてもらえたら嬉しいです。

支援がもらえたらもっと嬉しいです(ずうずうしい)w

それでは。
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コメント
真名預けられて良かったね桂花たん(Lumiere404)
執筆お疲れ様です。最後手前で涙ぐみそうになりましたが、旨く纏まった様で最後で2828させて頂きました 次作期待(クォーツ)
あれ?涙あったの? すいません、ニヤニヤしか見つかりませんでした。(ZERO&ファルサ)
ハセヲさん、それは仕方ないですよ。サトリでもない限り、天(ユーザー)にしか心のうちはわかりませんからねw(狭乃 狼)
スターダストノヴァさん、ありがとうございますwそう言われ続けるようにがんばりますねw(狭乃 狼)
よーぜふさん、2828と書いて真理と読む、ですねw(狭乃 狼)
アカツキさん、これからもガンガン、ニヤニヤさせますからねw(狭乃 狼)
無双さん、すばらしいネーミングですwww(狭乃 狼)
mokiti1976−2010さん、はいようやくですw これからの四人の旅をお楽しみにw(狭乃 狼)
毎度いい桂花です!これに落ちない一刀の鈍さは尊敬に値しますね。(ハセヲ)
2828。最高ですな。いつもながら。(スターダストノヴァ)
・・・2828以外に当てはまる真理が見つかりません。 2828w(よーぜふ)
読んでて・・・・・・・その、すごく、ニヤニヤしてしまう・・・・・(アカツキ)
桂花であって、桂花じゃない。そう、あえていうなら・・・真・桂花ww(無双)
ようやく真名を預けあったようで。ツン三人娘と朴念仁の珍道中 始まり始まり〜!(mokiti1976-2010)
村主7さま、背中のむず痒さは萌えに比例するんですw ところで、「きこりの泉」って・・・何?(狭乃 狼)
キ〇ヤシ「本文を見させてもらった、ここの猫耳さんは既に愚例によって魔改造されているんDA!」Ω ΩΩ「な、何だってーー!?」・・・いや失敬w しかしながら今回は一段とツンデレ黄金比率が高くて、そうとでも思わないと「木こりの泉」も真っ青なw この3人のツン娘の張り合いは・・・背中が痒くなるレヴェルですわw(村主7)
320iさん、桂花モ、ジャナイデスヨ?桂花が!可愛いんです。・・・ワカリマシタネ(に〜っこり)www(狭乃 狼)
びっくりさん、さ〜?ドウデショウネ〜?(棒読み)www(狭乃 狼)
なるほど。先生と出会い、再び旅に出てさらにツン子をゲットするんですねw詠とか音々とか。ま、まさか!!変則で蓮華とか冥琳が来るんですか!?(びっくり)
連続投稿失礼。似たようなものって言うか同じ存在ですがね。陣営が違うだけで・・・(さとッチ)
さとッチさん、なるほど。と、思わず納得してしまいましたw(狭乃 狼)
namenekoさん、ぜひお楽しみにしてくださいw(狭乃 狼)
たしかにking of “脳筋”は春蘭ですが、似たものである焔耶は、king of 脳筋“さん”に、カテゴライズされます(主に私自身の脳内ではwwww)。・・・・本人に問い詰められたら向こうの方が君より馬鹿だとか適当にいえますしね(^ω^)ゝ(さとッチ)
水鏡塾に行ってどう動くのか楽しみにしてます(VVV計画の被験者)
さとッチさん、king of 脳筋は春蘭では?w まあ、似たようなものだからこそ、表現が難しいんですがwとりあえず頑張りますwww(狭乃 狼)
シロイチさん?・・・さっきまでヒトヤ犬だった気がするけど・・・まあ、いいやw それは学術用語ですよ(主に夜の教育用w(狭乃 狼)
Raftclansさん、それが乙女の隠し味、とwww(狭乃 狼)
gastadorさん、それは申しありませんwでも仕方のないことです。萌えれば燃えるのは当然ですw(狭乃 狼)
甘露さん、恒例になる。それはつまりツン萌えが、ということですねw(狭乃 狼)
ほわちゃーなマリアさん、いやどっちかというと、一刀がトレーナーではw(主に夜の)www (狭乃 狼)
桂花と思春視点は、見所があるけど、king of 脳筋さんの焔耶は、そんなに見所がないと言うか(←オイ)・・・更新がんばってください (さとッチ)
黒山羊さん、それはツン娘(主に桂花)が可愛いからです!!(きっぱり)www(狭乃 狼)
精液は放送禁止用語ではないのか・・・(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
頬の筋肉が勝手に上がるwやっぱり適度なツンは素晴らしいスパイスですなw(Raftclans)
ようやく熱が下がったのにまたなんか頭が熱くなってきたよ・・・(gastador)
ほわぁあああああ(ry なんかもうコレ恒例だなぁ(甘露)
一刀の攻撃、TA☆NE☆U☆MAの微笑み!桂花達はメロメロになった。もはや、一刀はポケ〇ンで良いのではないでしょうかw(ほわちゃーなマリア)
うごーー!悶える!なんで毎回悶えるの!?(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
東方武神さん、そいつは何よりでwww(狭乃 狼)
やべーwww2828がとまんねぇwww(東方武神)
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