頑張れ!P坊主「第一章:小さな狩人」
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<世界観>

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遥か広がるこの大地には、今の時代では考えられない生き物が生息している。

その生き物は『モンスター』と呼ばれ、彼らの掟は食うか食われるかだ。

この時代で生活する人々は、モンスターが生息する過酷な大自然の中を懸命に生き抜き生活している。

これは、モンスターと戦う一人の『ハンター』の生き様を描いた物語である。

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第一章『小さな狩人』

 

大自然の一角に大きな集落がある。

この街の名は『セシール』

大勢の人々がここに住んでおり、又、多くの『ハンター』と呼ばれる者達が集う場所だ。

 

ハンターとは。

大自然を駆け、自身よりも大きな『モンスター』と呼ばれる生き物と戦い、報酬や素材等を売り、生計を立てている。

そんなハンター達が集う活気ある街の入口から、新たなハンターが伝説を運んでくる――

 

街の入り口付近で石のような物を蹴って遊んでいる子供達が、飽きたのか無邪気な笑顔と共に皆帰っていく。

すると、子供達が蹴っていた少し大振りで、白い石のような物がムクリと動く。

 

「フフ…命知らずなのも…イテテ……子供の内だけだ…」

 

石のような容姿をしたこの物体の名は『P坊主』

自称一人前ハンター…らしい。

 

「ここがセシールか」

「田舎の村を出てみれば子供に見つかり石と間違われるなんて!実に失敬な!」

 

顔を赤くして怒るP坊主は、すぐさまハンター達が集い、クエスト(依頼)を受注する『ギルド』に向かった。

ギルドには勇ましいハンター達が大勢集まっている。

依頼を受注する者・他愛の無い会話をする者・飲食をする者…と、集まる者達の目的は様々だ。

P坊主は踏まれないように注意してカウンターまで走る――

 

カウンターの机の上に乗ったP坊主は受付の女性を呼ぶ。

受付の女性は、呼ばれたと思い辺りを見渡すが、用事のありそうな者の姿が無かった。

聞き間違えと思い仕事に戻ると、P坊主はジャンプをし、自身の体を机に打ち付け「ペタペタ」と気色の悪い音を出す。

受付の女性はP坊主の存在に気づく。

すると、醜い物を見るかのような目でP坊主を見つめ、人差し指で恐る恐る突く。

「プニプニ」としたP坊主の体を何度か突いていると、

 

「はぁ〜…はぁ〜…」

 

P坊主が荒い声を漏らす。

その声を聞いた受付の女性は、驚いたかのように身を引き、小さな声で何かを呟いた。

P坊主は、受付の女性が何を呟いたのか聞きとる事が出来なかったが、心の中で罵倒するような内容だと察した。

 

「なんなのよこいつ……ま〜いいわ。私はここの受付をしている『エミル』よ」

 

P坊主はクエストを受注したいと告げると、エミルは「クスクス」と笑い、一枚の紙を差し出す。

 

「あなた新人でしょ?なら、まずここに愛用武器と、今までで成し遂げた事のあるクエストの中で一番のものだけ書いて」

 

エミルに指示され、P坊主は腕と足が無い丸々とした体なので、口を使い、紙に指示された内容を淡々と書いていき、エミルに渡す。

エミルは、P坊主に渡された紙を手に取り内容を確認する。

 

「どれどれ…」

 

愛用武器:体。

一番のクエスト:『ラージャン』と『ラオシャンロン』の同時討伐。

 

ラージャンとは極めて気性の荒い性格で、目の前に立つ者全てを襲う。

多くのハンター達が犠牲になり、エミルが知る中でラージャンを倒したハンターはいない。

 

ラオシャンロンとは伝説のモンスターで、山の如く大きな容姿で、まず一人では討伐どころか撃退すら出来ない。

それと……ラージャンとラオシャンロンは、同時に行動しない。

 

書かれた内容を見たエミルは、P坊主を掴むと美味しそうに焼かれている肉の下で燃え盛る火で炙る――

 

「正直に書きなさい」

 

体が少し焦げたP坊主は、エミルに促され、書いた内容を修正する。

 

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P坊主に渡された紙を再びエミルは見る。

 

愛用武器:すいません。武器、まだ持っていません…ごめんなさい…

一番のクエスト:特産きのこ5本納品(追記:新鮮で好評でした)

 

内容を見たエミルはP坊主を睨みつけるが、脅える様子を見てため息をつく。

 

「あなた……いったいここに何しにきたの?」

 

P坊主は、一人前のハンターになる為に田舎の村から出てきたと話す。

 

「残念だけど、ここにはきのこを納品するようなクエストはないわ」

「最低でも『ランポス』討伐のクエストしかないわよ」

 

エミルがそう告げると、P坊主は酷く落ち込む。

ここには武器を持たないP坊主が受注出来るクエストは無かったのだ。

 

エミルから採掘で得た素材で武器作れば良いだろうと言われ、P坊主は全財産をはたいてピッケルを買いにいく。

 

――数時間後

 

日が沈み辺りが暗くなり、エミルが帰宅していると、遠くの方に白い物体が動いているのが見える。

白い物体は、採掘を終え帰ってきたP坊主だった。

かなり落ち込んだ様子のP坊主にエミルは収穫を聞くと、更に落ち込む。

聞けば収穫は、

 

砥石3個・鉄鉱石1個・石ころ10個と、なぜかハチミツ5個。

 

悲惨な採掘結果だが、ハチミツを採取してきた事に関してエミルは、

 

「でもハチミツをちゃんと採取しているのには感心したわ」

 

と、褒めるが、P坊主の口元を見るとハチミツが付いていた。

エミルがP坊主にハチミツの使い道を聞くと、

 

「食べる。あ!舐める。ですね」

 

常識と言わんばかりに答えるP坊主を持ち上げたエミルは、力の限り両端に引っ張り、ハチミツの使い道を助言する。

 

「ち・が・う・わ・よー!」

「いい?ハチミツってのは調合素材なの!解る!?単品で食ったって意味無いのよ!」

 

エミルがハチミツで出来る調合品の説明をすると、P坊主は泣きながら頷く。

ハチミツの使い道を教え終えたエミルは、採掘で得た素材に目をやる。

あまりにも運の無いP坊主を見かねたエミルは、鍛冶屋の親方にその素材で何か武器を作ってもらえるように頼んであげる、

と、P坊主に告げる――

 

机の上に置かれた鉄鉱石1個と、その隣に申し訳なさそうに置かれている石ころ10個を見て、鍛冶屋の親方は口を開け、

銜えていた煙管を地面に落とす。

 

「こ…これで何を作れってんだい?」

 

P坊主が「バスター」と口に出した瞬間、エミルに頭を殴られる。

 

「ほら、こいつ小さいでしょ?だから何か小さな武器を作ってもらえないかしら?」

 

エミルにそう言われ、親方はP坊主を見定めると、

 

「小さなランスなら作れるかもしれんが…盾までは作れんな」

 

親方がそう伝えると、P坊主とエミルは満面の笑みで頷く。

 

――こうして、かなり短いランスが出来上がり、エミルがP坊主に渡すと、ある事に気づく。

腕と足の無いP坊主にどう装備させようかと……

 

エミルは採掘の時に使ったピッケルはどうやって持ったのか尋ねると、P坊主は、

 

「道具屋の人に頼んで掘ってもらった」

 

と伝え、もう一度エミルに殴られる。

 

どうするか悩むエミルの目に留まったのは、親方が腰に巻いているベルトであった。

そのベルトをランスに付け、P坊主の頭に巻けば良いのでは…と。

エミルが交渉するが、当然断られる。

 

そこに、P坊主が自信満々に親方に物々交換を申し立てる。

P坊主が差し出したのは、親方が落とした煙管だった。

P坊主は、親方が落としたのをそのまま自分の物にしていたのだ。

 

「こら!それは俺のだろ!」

 

親方がそう言うと、

 

「僕の大事な煙管ですが、今はベルトの方が大事なので…」

「装備の為に大好きな煙管を手放すなんて…偉いわ!」

 

演技に入り出すP坊主とエミルに負けた親方は、渋々腰に巻いていたベルトを取りP坊主に渡す。

すると、

 

「え?ランスに付けて貰わないと」

 

太々しい態度に呆気にとられている親方を見て、P坊主はある物を渡す。

 

「これでも舐めて機嫌を直してください」

 

P坊主は親方にハチミツ5個を渡す。

親方は納得いかないとばかりに顔を顰めながら、ハチミツを舐め作業をする。

ベルトを取ったことにより、親方のズボンがずり下がり、P坊主とエミルは親方の下着を見て、顔を曇らせる。

 

渋い顔に似合わず、親方の下着はとても可愛らしいイチゴの柄が入っていたのだ。

 

「い…いや〜親方が…以外ですね。ちなみにエミルさんはどんな下着を着けているのですか?」

「私は水色の縞……」

 

耳を立てるP坊主の頭上に、隕石の如く押し寄せるエミルの拳が降り注ぐ――

 

こうして出来上がった特注ランスを付け、一人の狩人がこの街に誕生したのである。

 

 

第二章『戦友』に続く――

説明
小説初投稿です・w・ 元々漫画として投稿していた物だったんですけど、あまり絵を描くのが得意じゃないので 小説として投稿しました・3・ 内容は、モンハンの世界を舞台とした「狩人物語」とでも言いますか・3・ とりあえず、キャプションはこれぐらいにして…どうぞ!本編を楽しんでいってくださいまし・w・
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タグ
小説 モンハン モンスターハンター 頑張れP坊主! 

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