真・恋姫無双〜妄想してみた・改〜第四十九話
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袁紹軍の本拠である業(ギョウ)。

華美に造られた城の、とある一室で、袁紹軍の大将であった袁紹が軟禁されていた。

普段着ていた黄金の鎧などは手元になく、彼女が今着ていたものは薄汚れた一枚布であった。

しかし、衣装がどんなに汚れていても袁紹自身が生まれ持った気品の良さや、

十人中十人が振り向くであろうその美貌が損なわれることはない。

 

軟禁されている身でありながら、十分な食事―王として君臨していた頃と比べると質素だが―と、薄汚い地下牢ではなく、

元々袁紹が自身で使っていた自室を宛がわれていた。

寝台はあるし、窓もある。抜け出そうとすれば抜け出せるだろう。だが……。

 

「袁紹様。お食事を持って参りました」

「どうぞ」

 

扉の鍵を開けて侍女が食事を運んできた。

そう。なぜか袁紹が『部屋から抜け出すこと』を思考すると、決まって食事やら話し相手という理由で、“この”侍女が入ってくるのだ。まるで、袁紹自身の考えが見透かされているかのように。

 

部屋に置かれた台の上に、侍女の手によって炒飯や鱶鰭(フカヒレ)スープなどが並べられた。

そしてふと、侍女が袁紹を見やると、

 

「袁紹様、またそのような格好を……。いつものあの煌びやかな鎧などはいかがなされたのです?」

「捨てましたわ」

「捨てた……と申しますと?」

「言葉の通りですわ。今の私にはこのような衣装が似合いましょう?」

 

軍の主導権を握られ、軟禁された立場として――とは言わない。

侍女に言っても詮無き事であるし。

 

「確かに、袁紹様はそのようなみすぼらしい格好でも魅力的ですね」

「言ってくれますわね。褒め言葉として受け取っておきますわ」

「……一応、着替えを持ってきます。不要でしたらいつものように――」

「ええ。窓から投げ捨てますわ」

「投げ捨てるのではなく、扉の外に置いてくれますか? こちらの苦労も察してください」

「分かっていますわ。いつも苦労を掛けますわね、田豊さん」

「ご自覚なされているならば、少しは自重なさってはいかがです?」

「考えておきます」

「はぁ……」

 

この侍女、田豊は、本来ならば袁紹軍の軍師として、袁紹に様々な献策をしている身のはずであった。

だが、左慈の台頭により軍師の身を追われ、袁紹の右腕となった左慈によって一介の文官にまで落とされてしまった。

さらに不幸は続き、左慈が蜀より招いていた客将、関羽らが謀反を起こし、左慈及び袁紹を幽閉。

袁紹軍の全ての指揮権を奪われてしまっていた。

今こうして田豊が、見たくもない袁紹の顔を見に行くことになったのも関羽のせいといっても過言ではない。

『田豊は袁紹を良く知っている』という一言のせいなのだ。

現に、田豊は袁紹の顔を見るだけで何を考えているのかを当てることが出来た。

他国の客将による謀反ということで、袁紹軍に所属していた彼女を含めてほぼ全員が処断されることを覚悟していたが、

文官(なぜか全員が女性)は侍女へ、武官や兵は白装束を身に纏わされるだけに留まった。

 

「未だに、よく分からないですわ」

「? 分からない、とは?」

 

思案の海に漂っていた田豊は、袁紹が不意に漏らした一言により現実に戻った。

彼女はそのまま、袁紹の言葉を聞くことにした。

 

 

 

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「左慈さんと知り合った経緯がまるで思い出せないんですの」

「ボケたんじゃないですか?」

「殴りますわよ。気付いたら居たといいますか……」

「はぁ……。なんだか荒唐無稽な話ですね」

「殴っていいですわよね? グーとパー、どっちがよいか選ばさせてあげますわ」

「そんでそんで?」

見事なかわし方である。

 

「そん……それで、ですわね。いつのまにか魅了されたといいますか……」

「さすが麗羽様」

「でもこうして軟禁されてから、そう思わないのですのよ。まったくもって不思議ですわ」

「ふぅん。それって惚れ薬でも飲まされてたんじゃないですか? あるいは妖術とか」

「ううーん。よく思い出せませんわ」

「まあ、そっち(頭)はハナから期待してないんで」

袁紹が立ち、拳を握るのを見ると田豊は笑顔で、

 

「では仕事がありますので、失礼します」

「あ、こら! せめて一発ブン殴らせなさい! ……まったくもう」

田豊が身を翻し、さっさと出ていってしまった。

色々と不完全燃焼な袁紹は、どすんっ、と音を立てて寝台に座った。

 

「はぁ……やっぱり怒っていますわよね……田豊さん」

幼き頃から共に居た田豊を蔑ろにして、ぽっと出の左慈を傍に置いていたのだ。彼女が不快に思わないわけがない。

ただ……。

 

「……ふふ。久しぶりにわたくしを、麗羽と呼んでくださいましたわね」

ただそのことが嬉しくて、時間が経ってもなお湯気がのぼる、田豊が自ら調理してくれたであろうその食事にありつけた。

 

 

 

 

 

食後、食器の類を扉の前に置いておき、窓の方へと向かった。

陽は落ちかけ、もうすぐで夜が訪れる。

 

「思考するには良い時間ですけれど……物静か過ぎるのも心許ないですわね」

彼女の両腕、顔良と文醜がいない。

自分をたしなめてくれる顔良と、いつも騒がしい文醜がいない。

ただそれだけで、迫りくる夜の闇に呑まれてしまいそうだった。

 

「っ……怖いですわ……たすけて……ください…………一刀さん」

無意識に呟いたその名は虚しく響いて……。

扉の前で聞いていた田豊に、ある決意を抱かせることとなった。

その決意とは―――袁紹軍の全面降伏。

思いもよらぬ形で、一刀とその軍師たちが望んでいた“無血開城”が為されようとしていた。

 

 

 

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一刀たちが黄河へと向かった日。

早速残った者たちで玉座の間に集まり、今後の対袁紹戦について話し合われていた。

 

「一刀殿が望まれているものがなにか。わかりますか?」

対袁紹戦の指揮を任された稟が、集まっている皆に問う。

それに、焔耶と白蓮がそれぞれ答えた。

 

 

 

 

 

「完璧な勝利だっ!(゚∀゚)」「血を流さないで勝つ、か?(´・ω・`)」

 

 

 

 

 

「白蓮殿の答えが一番近いですね。一刀殿が望んでいる勝利は、“無血開城”というものらしいです。

もっとも、一滴の血も流さずに勝つのはさすがに無理ですが」

なにせ、相手は兵数で圧倒的に勝る袁紹軍だ。

それに白装束や先読みの左慈もいる。いくら一刀の願いであっても、多少の犠牲が出てしまうのは致し方ないことであった。

軍師である稟たちに出来るのは、犠牲となる兵の数を少しでも減らすように策を考えることだけだ。

 

「お兄さんも分かっているとは思いますけどねー。先日の襲撃戦で、白装束さんによるお兄さんへの接触を許してしまったことから考えるに、警戒すべき相手は白装束さんのほうかとー」

間延びした口調が特徴的な風が言う。

『完璧な勝利だ!』という発言がなかったことにされたのを焔耶は気付かない。

 

「そうですね。逆にいえば、白装束さえ抑えられればこちらの勝率は格段に上がります」

「ですがそう簡単にうまくいくでしょうか〜? 私はその場にいたわけではないので〜、詳細は聞いた範囲でしか分かりませんけど〜。恋ちゃんを倒した方がいるんでしたら、難しいのでは〜? それに、戦力である恋ちゃんたちも、旦那様と一緒に洛陽へ向かってしまいましたし……」

 

 

 

平原で袁紹率いる袁紹軍及び白装束が攻め込んだとき、強行行軍であったためか袁紹軍の兵は疲れ切っており、普段の調練の熟練度の低さも相まって飛将軍の呂布や神速の張遼など、歴史に名を残した名将たちの敵ではないはずであった。

がしかし、魏武の大剣の夏候惇らが守る城門を白装束たちに突破され、一刀を守るために城門へと向かった呂布も、白装束によって倒されていた。

命に別状はなかったし、怪我も大したことではなかったものの、それでも最強の将が敗れたことによって北郷軍の兵の士気が大きく下がってしまった。

一歩間違えれば一刀は討たれ、国家が崩壊していたかもしれない。

幸い、一刀は討たれず数日間眠っただけで済んだが、それでも大敗を喫したことには変わりはない。

袁紹軍の二枚看板と、先の戦による投降兵がこちらにあるとはいえ、それでも呂布や張遼、夏候惇らが抜けた穴は埋められない。

このような状態で戦を仕掛けることが果たして勝利に繋がるのか、と穏は言う。

 

 

 

「……えっと、あの」

「なんでしょうか、雛里殿」

そんななか、つばの大きなとんがり帽子を被った雛里が、控えめに手を挙げた。

稟の問いかけに、小動物のように“ビクゥッ!”となりながらも、稟の方に目線を向ける。

 

「………おしょっ、あう…おそらく、ですが……愛紗さんが白装束の中心人物であるならば、今こそが好機だと思います……」

「その心は?」

「業には、愛紗しゃんたちがいないからでしゅ! ……うぅ、だいじなところで噛んじゃった……」

『   』

しょぼげる可愛い小動物の発言が、玉座の間を凍らせた。

 

 

 

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「え、えっと、つまりですね……」

 

たどたどしくも、懸命に話そうとするその姿は、とても可愛らしく見えた。

桃香が今すぐにでも抱きつきそうであったし、その桃香をどうにか抑えている蓮華もまた例外ではない。

雛里の話の邪魔をさせないように、稟がキツい目線を両者に送った。

 

 

 

======================================

   「( ゚,_ゝ゚)」   「え、えへへ♪ ……ごめんなさい」  「お、おほん。続けてくれ」

======================================

 

 

 

雛里によれば、前回の戦で一刀と邂逅し、千載一遇の機会を得た愛紗が一刀を連れ去ることなく、“接吻”のみで済ましたことから、今すぐ一刀をどうこうしようと考えているわけではなく、さらに道士に操られているという線も消えた。

一刀に強い憎悪を抱く左慈が関羽を操っていた場合、一刀の目の前で恋の首を刎ねていたと考えられるからだ。

つまり、愛紗は完全に自我を保っておりながらも蜀で仲間“だった”焔耶や桔梗に刃を向けたことになる。

 

 

 

「…………愛紗ちゃん」

雛里の言葉に、桃香は顔を曇らせて胸元に手を乗せる。

そんな桃香の姿を、焔耶と桔梗、白蓮と雛里がそれぞれ心配そうに見つめていた。

自分を心配する視線に気づき、慌てて雛里に話の続きを催促した。

 

「……恐らく、愛紗さんはご主人様たちの目的地である洛陽へ向かっていると思います。

これは、一度突破され、それによってさらに防衛に力が入って堅固となった平原を攻めるより、

強力な将で塗り固められているとはいえ、それでも将の数が平原よりも少なくならざるを得ない行軍時の方が、

ご主人様に接触しやすいからです」

「なるほど。ですが関羽殿の目的が一刀殿の身でないとすれば、一体――」

「待って! それじゃあ、ご主人様が危ないってことだよね? はやく助けにいかなきゃ!」

「いいえ、桃香様。我らはこのまま袁紹軍にあたりましょう」

「……え?」

「おぉっ! お兄さんたちに白装束さんたちを任せて、風たちは主戦力が抜けている袁紹軍を攻め落とすということですねー?」

「悪どいことを考えるじゃねーか嬢ちゃん。本当に兄ちゃんのことが好きなのか疑っちまうぜ」

「こら宝慧ー、雛里ちゃんをいじめちゃダメですよー?」

「雛里ちゃん! ご主人様を囮にするつもりなの!? そんなのだめだよ! ご主人様が死んじゃったら、わたし……」

「一刀様を囮にするなんて、何を考えているんです!? 大体、白装束が本当に業にいないのかすら怪しいのに!!」

遠回しに一刀を餌に白装束を遠ざけ、その間に業に向かうという雛里の策に、桃香と亞莎が反論する。

しかし、そんな二人を諌める者たちがいた。

 

「桃香殿。軍師とは、勝つためならば王ですら策に使うのです」

「亞莎ちゃんも軍師なら分かりますね〜? 雛里ちゃんの策が最も被害が出ないものなのです。

それと……風ちゃん〜?」

「はいはいー」

稟と穏が桃香と亞莎をそれぞれ宥め、穏は風にある物を持って来させた。

 

「曹操さまが各地に間者を潜ませていたようで、業も例外ではありません。間者からの報告によると、

旦那様が平原を発った日から白装束の姿が城内・城外から見かけなくなったとのことです。

それと、過半数の袁紹軍兵士が姿を消したとも」

「風は雛里ちゃんの策に賛成ですー。念の為、顔良ちゃんと文醜ちゃんにも出て貰って、

袁紹さんの説得に出てもらいましょうー」

「一刀殿のことは心配なく。こうなることを見越して、一手打っておきました。彼女たちがいれば、船上戦・野外戦で遅れをとることはそうそうないでしょう」

「そうでなくとも、旦那様の周りには呂布ちゃんを始め、一騎当千の方々がいます。信じましょう〜」

「でも…………うん。分かったよ……ごめんね、雛里ちゃん」

心配なことには変わりはないが、一刀の周りにいる将たちがどれも一線級であることから、

穏の言うとおり、彼女たちを信じることにした。

しかし、雛里は、先ほど献策して以降一言も発していない。

桃香に謝られたときも、小さくコクンと頷いただけでそのまま俯き、ぷるぷると震えている。

 

「(……私……朱里ちゃんみたいな軍師になれない……桃香様を悲しませてるもん…………これじゃあ軍師失格だよ……)」

雛里も本心では、愛するご主人様を囮に使うような策は使いたくなかった。

だが、軍師として登用された以上、最も有効な一手を打たなければならないのだ。

一刀を傷つけたくないが、一刀の願い―犠牲を極力出さずに勝つこと―も聞き入れたい。となると、残るのは先ほど示した策しかない。

 

「(風ちゃんたちは支持してくれたけど……やっぱり……)」

「雛里、アンタもう少し自信を持ちなさいよ」

「え、詠ちゃん……」

「軍師としての才は負ける気はないけど、軍略においては雛里の方が一枚も二枚も上手なんだからね?

誇りを持ちなさい!」

「あ、あわわ……」

「もう、詠ちゃん?」

「うぅ、だってぇ……」

月に叱られながらも、詠は励ましとも叱責ともとれる言葉を雛里に言った。

そのことが、雛里にとってとてもありがたいことであった。

 

「……ふふ。ありがとうございます、詠さん」

だから、その言葉は出るべくして出た言葉であり、不意を突かれた詠は一瞬驚きながらも、

 

「ふん。それでこそ“鳳雛(ほうすう)”よ」

「あわわ……はい!」

「――さて。では雛里殿の策でいきましょう。袁紹がいる業へは、軍備が整い次第、向かう方向で。それまでは各々英気を養っていて下さい」

稟によって軍議解散が言い渡されると、ある者は兵の調練の仕上げに練兵場へ。またある者は、他の軍師と細かな調整をするために会議室へと向かった。

 

 

 

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「お前たち、遅いぞ」

 

 

 

赤い体躯の大きな馬を駆る女が、後ろの者たちに言う。

その女は白装束を外套のようにして着ており、美しい黒髪がより一層映えてみえた。

 

女の名は関雲長。

“はじまりの外史”で、天の御遣いである北郷一刀によって、唯一無二の伴侶として選ばれた女性でもある。

その際、北郷一刀と関係を持った多くの女性に見送られ、“銅鏡の力”によって一刀と共に“正史”へ飛んだ。

そこで彼女は、一刀と共に幸せに暮らしていた――はずであった。

 

 

「(気付いたら広い荒野の真ん中で、桃香様と鈴々の三人で立っていたことは覚えている……不可解な現象だ)」

 

 

一刀と『夜の営み』をしたことまでは覚えている。

しかし、果ててからの記憶がない。まるでごっそりその部分だけが抜き取られているかのように。

 

「(何者かによって記憶を弄られた? 一体誰に? 左慈にはそのような力はないはずだ。

その他の管理者か? だとすれば何のために?)」

考えは堂々巡りしていくだけで、結論にはたどり着けそうになかった。

 

「(まぁ、いい。記憶の欠落など些細なことだ)」

見つめるのは、先にあるはずの洛陽。

北郷一刀と再会するために用意した舞台。

 

「ぜぇ……ぜぇ……愛紗…………てめぇ、少しくらい容赦しろ……ぜぇ……」

「せ、赤兎馬に追いつけるわけないでしょう……ハァ……ハァ……」

「鈴々疲れたのだ…………」

セキトに跨ったまま立ち止まり、遠方を眺める愛紗に苦言を言う翠、紫苑、鈴々の三人。

この三人も、愛紗と同じように白装束を見に纏っていた。

もっとも……鈴々の白装束のサイズは愛紗や翠、紫苑と比べると明らかに小さい。(特に胸元)

 

 

 

業を出てから数日経っていたが、愛紗は、翠・紫苑・鈴々の三人と後続の白装束部隊をぐんぐんと引き離していた。

愛紗が気付いた頃には、翠たちとの距離の差が一日分できていた。

さすがにまずいと思った愛紗は、行軍スピードを遅くし―それでも十分早かったが―ようやく翠たちと合流することができた。

翠たちからしてみれば、『ふざけるな』の一言だろう。

ようやく息を整え終わったところで、翠が切り出す。

 

「黄河の向こうに洛陽……ご主人様とやっと会えるんだなぁ」

「この間会ったのだ」

「ばーか。あの時は戦だったからそんな場合じゃなかったんだよ」

「んにゃっ!? ばかって言うほうがばかなのだ! 翠のばーか、ばーか!」

「んだとぉ〜〜!? 言ったなぁ!! もう容赦しねーぞ!!!」

「かかってくるのだ!」

「望むところ!!」

自分の得物を手に持ち、剣戟を開始した。

 

「やれやれ。二人とも頭に血が上るのが早すぎだ。鈴々にはあとで説教だな」

「ふふ」

「? どうしたのだ、紫苑」

自分の顔を見て微笑む紫苑に、訝しげな視線を送る。

 

「いえ、ね。愛紗ちゃんの楽しそうな顔、久しぶりに見たなと思って」

「ああ……」

一刀と会えない日々が続き、禁断症状が出ていたのだ。

久しぶりの接吻をたっぷりと味わったとはいえ、まだまだ物足りない。

それが、ようやく叶えられるのだ。心躍るのも無理はない。

 

「独占させないわよ?」

「む」

「“協定”を結んだものね。ご主人様は私たちの物と」

「むむぅ……」

苦々しい声音とは裏腹に、その表情は実にイキイキとしている。

 

「(ようやく再会できますね。一刀様)」

彼女はその日、久しぶりに心の底から微笑むことができた。

 

 

 

<つづく>

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【ちょっと考えてボツにした話】

 

 

 

 

 

「ところで、どうやって黄河を渡るんだ? 船なんて用意しなかっただろ?」

「道が無ければ、作ればよい」

「は?」

愛紗は白い布で包まれた青龍偃月刀を解放し、頭上高くに構えた。

すると、陽の光を吸っているかの如く、徐々に徐々にその身に光を纏わせた。

 

 

 

「青龍偃月刀……いや、『偃月(えんげつ)』!! 私に力を貸せ!!!」

「うぉっ、まぶしっ」 「…………」 「かっちょいーのだー!」

あまりの眩さに思わず目を瞑る翠。

『肌が焼けてはたまらないわ』、と白装束で身を隠す紫苑。

そして、まるでどこかの死神代行を見ているかのように目をキラキラさせているお子様、鈴々。

 

 

 

「吼えろ偃月………………卍解!!!!!」

 

 

 

青龍偃月刀の刃が外れ、宙を舞う。しばらく舞ったあと、その刃を中心に桜吹雪が起き、

青龍偃月刀に桜の花が満遍なく貼りついた。

桜吹雪が止んだ頃には、青龍偃月刀の刃が三又になっていたり、愛紗が纏っている白装束の色が黒色になっていた。

変化をその目で認めた愛紗は、そのまま“青龍偃月刀【桜】”を振り下ろした。

 

 

 

「アイラブ☆カズトォォォォォォォォォ!!!!!!」

 

 

 

 

―――――黄河が真っ二つに割れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……な?」

「「な? じゃねーよ!(じゃないわよ!)」」

「うおー! かっちょいーのだ!!」

「(どやぁ……)」

「「どや顔すんな!(しないで!)」」

「愛紗かっちょいー! ねーねー、もっかいやってー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

久保帯人先生に怒られそうだからやめました(*´゚A゚`*)

 

 

 

<あとがきへ>

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・コメント

 

 

というわけで第四十九話をお送りしました。すごく……難産でした。

文章の書き方を色々と研究しています。見づらかったらすみません。

 

気付いていない方も多いと思いますが、この作品にはオリキャラが数名出ておりまして、

その子たちの活躍をどうするか考えています。

田豊もその一人ですね。(でも真名考えるのがかったるいので白紙w)

 

今回の話は、袁紹軍対策軍議によって心を成長させる雛里と、軟禁されている麗羽の苦悩、田豊さんの決意。

愛紗のウキウキ☆洛陽千里行(翠たち置いてけぼり状態)を書きました。

(オマケなんてないです。あれはオマケじゃないです)

 

次回は、もうしばらく愛紗たちにスポットを当てて、その後に田豊さんの行動、一刀一行を書きたいです。

今回は恋姫★学園はおやすみです。

 

 

説明
第四十九話をお送りします。

―袁紹の苦悩と雛里の成長、ときどき愛紗無双―

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コメント
続きは?(白黒)
無双さん>そんなこというと愛紗さんが泣いてしまいます(;ω;)(よしお)
虚化じゃなくて病化かwww(無双)
320iさん>まだ完全に思い出したわけではないですけども、あります。ふと思いついたのが愛紗の運の尽きですねw思いっきりネタキャラになってますw(よしお)
FALANDIAさん>思わずググってみました。名前あったんですね〜……知りませんでしたwでも偃月と斬月って似てるしいいかなぁーなんて……w(よしお)
偃月という名を見て思い出しましたが、関羽の偃月刀の名前は『冷艶鋸(れいえんきょ)』というらしいですね。(FALANDIA)
namenekoさん>わざとです^^;(よしお)
ボツ作のほうの愛紗あほ過ぎる(VVV計画の被験者)
村主7さん>ほとんどの作品では『考えなしのキャラクター』ですものねー。色々なことに巻き込まれて精神的に参っちゃってる状態です。今の麗羽は。愛紗の微笑みに、特に深い意味はないですw(よしお)
何でしょ、こう苦悩する麗羽の姿という物を見た事が無いので新鮮というか そして田豊さん、このキャラがなにかしら今後の話展開にどう影響を与えていくのか・・・ですね そして5p目最後の愛紗さんの「微笑み」が今までの流れから「凄惨な」と思えて・・・大丈夫デスヨネ? (村主7)
よーぜふさん>確かにww秋蘭あたりが翠のポジションになるのか、はたまた『姉者は可愛いなぁ』となるのかw(よしお)
どこまで言っても一刀は一刀・・・もげろ それはさておき、春蘭ならボツ話と似たようなことをやりかねいない、ノリだけでw(よーぜふ)
ko-ji@GMさん>恋姫たちは一刀に愛され、一刀は恋姫たちに愛される。これほどニヤニヤできるものはないですねwやっぱりデキる種馬は違います! ko-jiさんの文章の書き方が綺麗で読みやすかったので、ちょっぴりだけ真似してます(*´Д`*) 科白の主の状況ですね。今度意識して書いてみたいと思います。ありがとうございました!!(よしお)
novelfanさん>遅筆で申し訳ないです;; 次回の更新は早めにしますので、しばらくお待ちください。(よしお)
西湘カモメさん>そう考えると、管理者(というか于吉)はチートですよね。あの曹操ですら操りましたし。(よしお)
続きを早くみたいです(novelfan)
もしかして愛紗が外史に飛ばされたのは、于吉の仕業?一応、彼も管理者の一員でしょうし。愛紗たちの心を操作するくらい朝飯前だと思う。(西湘カモメ)
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