でぺ・たね ―デペイズマン・シード番外Cー
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兄が、私服で、しかもこの世界で普通に出かけてくる、と言ったときに、正直フェイトは耳を疑った。

ワーカーホリックもいいとこ(人のことはいえないことをもちろん彼女は自覚無い)の彼が、意外と弾んだ声でそんなことばを残して外に向かったのだ。

 

「なにがあった?!」

「ふぇいとー?」

「あ、ごめんなさい。意外だったから」

「クロノね。同世代のふつうの友達って、あの子もほとんどはじめてなんじゃないかしら?」

 

母親にしてみても、それでいいのかと言いたくなるような話をするが、もちろん悪意も作意もない。

それゆえに当然好奇心はその首をもたげたようだった。

 

「友達って、この世界のだよね?クロノ学校にいってるわけでもないのに」

「まぁちょっと色々あってね。魔法のことは知ってるけれど、魔法の関係じゃない友人さんよ」

「へぇ」

 

もっとも魔法の関係じゃなくても管理局の関係でしりあって、ついでに管理局をことあるごとにつぶすことを進言している友人つきあいというのは、上司としては止めるべきなのだろうが。

まぁ説得力はどこにもないのだけれど。

 

 

 

 

「やぁ」

「こんにちわ。御足労願ってしまって」

「かまわないさ」

 

ふつうの、待ち合わせをした少年二人の会話。多分。

なにげない街角の風景。

少し年よりも不相応に落ち着いた雰囲気さえキャラクターととらえてしまえばそれまでで、それが不思議である理由はない。

 

誰も気にとめないささいな時間。

それがとある世界らに及ぼす影響の一端であると、果たして誰が憶測できるか。

 

「初めての実装だな。首尾は?光子郎」

「上々、と言いたいところですが、こればかりはこれからですね。せいぜい、役に立ってください。クロノさん」

「努力しよう。協力を言い出した手前な」

 

内輪が聞いたら、それこそめまいでも起こしそうなやりとりをしていたとしても。

 

 

 

 

 

 

 

  でぺたねーデペイズマン・シード番外そのC

 

 

 

 

 

 

 

 

勿論クロノは知らないが、知っている人間はよく知っているファイル島沖合。

実験用に「用意」してもらいました、とのほほん、と光子郎が告げる「小さな島」という事実(データ)が、どれほど恐ろしい物であることか。

 

「おもいきりやってしまってください」

 

バリアジャケットを展開し、すっかり魔導師としてそこに立つ友人に、光子郎のことばは容赦ない。

もちろんそれが目的である以上、拒む理由もないので、クロノは相棒であるS2Uを構える。

デュランダルは属性が付属するので今回はお休みだ。

 

「思いっきりとはいうが、一応聞いておこう。出力はどれくらいがいい?」

「そうですね、とりあえずはあまり複雑なものじゃないものからいきましょうか」

 

生真面目二人。

感情優先で動く連中に普段振り回されているだけに、奇妙な穏やかさすら伴ってできるやりとりは、多分それだけに彼らを知る友人たちなら薄ら寒いものを感じていたことだろう。

なにをどうとは言わないが。

 

「とりあえずなんの影響もない状況で一回。そのあと、こちらも出力を徐々にあげていくので」

「魔法の強弱に影響はあるのか?」

「わかりませんね。そのあたりもみたいところです。

もともとこのアンチ・システムは魔法が演算による結果を伴うものであることを前提に作っていますから」

 

テストプレイをする側として召喚されたクロノも、そう詳しいことをしっているわけではないので、この表現には首を傾げた。

 

「それはどういう」

 

そして、説明という行為は非常に好きな人間にとってはとめられないものである。

 

「平たく言うと、問題集を解くそのすぐ隣で大声で調子外れの歌を大声で歌うような感じですね」

「ふつうに話しているが、それはつまりこの世界に、こちらが使う魔法にだけ作用するコンピューターウィルスを配置するということか?」

 

この世界が「デジタルワールド」だからこそできる、それはとでもない技術。

アンチシステム。

ミッドチルダ式・ベルカ式、平たく言えば管理局で利用している個人の魔力を威力として発揮する魔法と呼ばれる技術全般に対して、このデジタルワールドという空間での限定ではあるが一切の発動を妨害するのが目的で選ばれし子どもたち(元)の中でも数少ないが精鋭でもある技術班と「管理人」であるゲンナイが開発した、ほぼきっぱりと管理局を拒絶するのが目的のプログラムである。

ゆくゆくはこのDW全域に張り巡らし、この世界での魔法の発動を困難、叶うなら不可能とするのが目的であるとなれば、奇妙な話、外部に持ち出された日にはクーデターがたやすいとかそんな軽い話ではなくなるだろう。

 

「そうですね。特定のキーワードを押すと浸食が始まるタイプのウィルスという意味では、そのままですね」

(使い方によってはデバイスどころか魔導師自身も使いものにならなくなりそうだな)

 

にこにこと告げる光子郎に他意や悪意はなかろうが、戦術としては充分狙えることとしてクロノ自身は表情には出さずに肝を冷やす。

魔力を溜め込みながら、外部に発散することができないとなると、自分が集めた魔力で内部暴発を起こす危険性は充分考えられる。

もちろん、普通ならそんなことをする前にデバイスが警告するか自分自身で気がつくだろうが・・・・・・

開発者(の一人)はにっこりと、不安を伴う可能性を平気でクチにする。

 

「残念なことにこの世界だからこそつかえるプログラムですけどね。

外部に持ち出せたら、それこそあっと言う間に時空管理局を制圧できることになるのですが」

「聞かなかったことにしておくよ」

 

考えた自分も同罪なような気もするが、そこはそれ。

 

「今回もっとも見ておきたいのが、マルチスキルに伴う影響です。あとでそちらも実験したいので」

 

研究者は好奇心にその目を輝かせ、次々と注文する。

いやだとは言わないし、こういう技術を知っておくことに損があるとは考えないが・・・・・・

 

「やれやれ。はやても連れてくるんだったな。思った以上にいろいろ仕事がありそうだ」

「助かります」

「そうだ、光子郎。説明だけ確認すると、外で発動した魔法をぶち込む場合は対応できないとみれるんだが」

 

思い出すのは超ド級スナイパーの白いあk、少女や金色のやm、妹だ。

実際後々苦戦を強いられることになるAMFに対抗する手段としての遠方射撃や追加効果を活用しまくることになるから彼の想像は間違っていない。

 

「そうですね。発動する魔法自体への干渉ですから。しかし、聞く限り魔法というのは個人の裁量に頼りきった、正直不確定かつ不安定な代物です」

 

魔法に頼らず、だが確かにある秩序の中成立している多くの管理外世界と関わる中でクロノ自身、その主張は強く感じたことだ。

実際、魔術師=管理局に従っているわけではないのである。

別にクロノ自身も従っているつもりはないのだが。

 

「事実そうだな。だからこそ、質量兵器の横行は止まらない。一般人からすれば、管理局が必要になるほどの事件を起こす犯罪者の多くはつまるところ魔導師で、自分たちは身を守る術を持たないなんて、ちょっと不安をあおれば武器を求めるのは自然だと思うし、必要ないといえるほどの治安は築かれてるとは思えない。

大きく矛盾しているのはわかるのだが、そもそもこちらの魔法は属性が附くことが稀であるせいか相当攻撃に特化されているからな」

 

それは本来であれば、一般化するはずの無い技術。

しかも戦闘特化というあまりにも偏った発展の流れで完成しているというのは、改めてみれば酷く矛盾している。

 

「ボクらの世界には永久中立国を宣言した国もありますが、そこでは自動小銃が一般家庭に配備されているんですから、その見解は真理だといっていいでしょうね。

日本という国がむしろ相当な例外であるだけです。

その例外を含む僕たちの世界からみれば、魔法はもっと優しいものですからね、大概。応用が利く、とでも言いましょうか」

 

あくまで空想の話だが、つまりはイメージというコトだ。

 

 

「あぁ。滞在する国の文化だからね。いろいろと文字を覚える課程で娯楽小説、ライトノベルだっけ?そういうのも読んだよ。この世界の魔法という概念も知りたかったし。

おもしろかったよ。まさに十人十色の理論と万能説だ。存在しないだけに、発想の幅が大きいのが非常に興味深い」

「なにか使えそうなものはありましたか?」

 

冗談交じりの問いの意図は考えないほうがいいだろう。

この場合つかえそうな、とか、どうよ、と。

 

「さて。大概がその世界だからこそ成立する魔法、という印象だったからな。魔力や事象そのものに疑似人格を与えていたりするあたりはミッドにはないし。あるとしたら発動するための補助器具みたいなデバイスか」

 

妖精や精霊といった概念は基本的にミッドチルダでも物語の中の存在だ。

特殊なデバイスとして人格を与えられる存在がないわけもないし、そのデバイスによる単独の魔法発動能力がないわけでもないのだが、当然自然の存在ではない。

 

「基本的に属性能力が稀なんでしたっけ」

「むしろそれが一般的だという思考を伴っているというのは興味深いよ」

「文化ですねぇ」

 

文化というよりは特性だと想うが。

それより光子郎はともかくクロノの休みは短い。

いつまでも雑談にふけっているわけにはいかなかった。

 

「話題を切り替えるか。実験といこう」

「はい」

 

 

 

 

 

夜。

 

「ただいま」

「クロノ、お帰り。ごはんは?」

「もらうよ。根詰めてしまって、くたくただ」

「休みなのにそんなんで大丈夫?」

「さぁ。まぁ後味が悪いわけでもない。楽しい時間だったからね」

「何かスポーツ?」

「いいや。実験」

「実験?」

「あぁ」

 

 

 

 

・・・・・・・

書いてて思ったんだが、たぶん自分はミッドに住めないだろうな、と。

就労年齢の低さを差し引いても

絶対一般的なアニメとかマンガとかない。

小説もライト系って殆どないだろう。

ゲームもきっとRPGは出てこない。

聖王主役にしたギャグマンガなんかないだろうし

ミステリーに至っては「魔法で密室つくりましたw」とかになるよね?

(そんな魔法ミッドにはねぇよ

召還魔法を応用するって手もある。

はっ、西澤保彦先生の作品ならなんとかっ・・・でもなぁ

 

家出したくなるガソリンとかも生まれる世界だしねぇ、ここ(古

住みにくい世界には違いないと思われ

 

説明
・・・・・・・・・・・・おひさしぶりです
ぶっちゃけせっかくオメガモン参?戦をアニメでやってくれるんだからそれに併せて書きたかったところまでいかなかったなぁと絶望していたりまた番外ですかだったり。
っていうかそうですか、朝ですか。ガンダムX思い出しますね。いい話だったはずなのに。
え?あ、あれ?こっちもクロス=X・・・え?いや、まさかな。そんなテレ朝フラグいらない。
スパヒロタイムは間違いなく朝にうつって正解だったんだから。
っつーかぜんじろー降板に「俺、早起きしてまでみる意味が」と悩んでいる友人がいました。えぇ。

というXWとは勿論全然関係なく、デペ知性派?の休日です。フラグ立てとも言う。本編的な意味で
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コメント
とりあえずクロノには着実に管理局乗っ取り手駒と厨二フラグを増やしてもらっています(笑顔(ほうとう。)
いやもうあんたら・・・楽しそうですねww(よーぜふ)
タグ
デジモン なのは クロスオーバー クロノ 光子郎 

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