真・恋姫†無双 あなたと共に 12(前編)
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〜祭り4日目〜

 

「いたっ!ちょッ!?もっと優しく」

 

「ふふっ・・・情けないぞ、一刀」

 

「気合が足りん!!」

 

朝から一刀の部屋では大騒ぎ

 

その原因は・・・

 

「くそぉぉ!!鍛えてたはずなのに・・んぎゃっ!?」

 

「自業自得だ」

 

昨日行われた天下一品武道大会でなかなかの傷を負った一刀

 

そして、その一刀の世話をしている春蘭と秋蘭・・・

 

「だ、だいたいだな!安静にしてろと言われたくせに・・・その・・・なんだ昨晩はあんなに・・・・・・」

 

「い、いや・・・でもね?その・・・男の子は疲れてる時に逆に元気になるというか・・・」

 

「し、知るか!!」

 

「ほら、姉者も一刀もあまり騒ぐな・・・一刀、腕少しだけ上げるぞ?」

 

「んっ」

 

まさに今の一刀は秋蘭にされるがまま・・・

 

ちょうど着替えを手伝ってもらっているところだ

 

そして、その間に春蘭に足のマッサージを受けている

 

まさに至れり尽くせりなのだが・・・

 

「ッッッッ!!!!し、しし春蘭!!つよ、強すぎ!!」

 

「こら、一刀!」

 

「ま、待て!暴れるな!!加減が分からん!!」

 

春蘭のテンションとマッサージの強弱が比例しているため、一刀はだいぶグッタリしていた・・・

 

「・・・っと・・・・・・よし、一刀もういいぞ」

 

「・・・・・・うん・・・ありがとう秋蘭」

 

「ふふっ、気にするな」

 

「むっ!・・・・・・か、一刀!これくらいならどうだ?」

 

「!?・・・おっおぉぉ!うん、それくらいがちょうど良いかも。ありがとう春蘭」

 

「う、うむ////」

 

ちょうど、秋蘭が一刀にいつもの制服の代わり(武道大会でボロボロになったため)を着せ終え、春蘭も加減が分かり始めた頃・・・

 

 

コン、コン

 

 

「どうぞ〜〜」

 

「失礼します、兄様」

 

ガチャ

 

「兄ちゃん、元気〜?」

 

「おっ、流琉に季衣、おはよう」

 

お盆に料理をのせた流琉と、その後に続いて季衣が部屋に入ってきた

 

「兄様・・・もうお昼ですよ?」

 

「・・・・・・マジで?」

 

流琉の返事に驚き、思わず季衣の方を見る

 

「ホントだよ。ボク、さっきお昼ご飯食べたもん」

 

昨日とは違い、いつもの元気を取り戻した季衣が元気よく答える

 

「うわぁ・・・・・・そんなに寝てたのか・・・・・・って、春蘭と秋蘭は食べたの?」

 

「いや、これからだ」

 

そう言って、腰を上げる秋蘭

 

「姉者はどうする?」

 

「むっ・・・確かに腹は減ったが・・・・・・」

 

チラッと一刀の方を見る

 

「うん、俺ならもう大丈夫だから。食べてきなよ」

 

「そ、そうか・・・ならば」

 

一刀にそう言われ、春蘭も少し名残惜しげに腰を上げた

 

「では、季衣、流琉。一刀のことは頼んだぞ?」

 

「はい、秋蘭様」

 

「は〜い」

 

「2人とも、ありがとうね」

 

笑顔で、気にするなといった風に、ヒラヒラと手を振り秋蘭が

 

そして、続いて春蘭が部屋を出て行った・・・・・・

 

 

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「兄様、まだ痛みますか?」

 

2人が出て行ってすぐに、流琉と季衣が一刀の容態を気遣って近寄ってくる

 

「あんまり体は動かせないけど大丈夫だよ。心配してくれてありがとうな、流琉(なでなで)」

 

「い、いえ当然ですから////」

 

流琉の気遣いが嬉しくて頭を撫でてあげると・・・

 

「むーー!!流琉ばっかりずるいよ、兄ちゃん!ボクだって心配してたんだから!」

 

隣にいた季衣が興奮して、グイッと体を乗り出してきたが

 

「ごめん、ごめん。うん、季衣もありがとうな(なでなで)」

 

「うん!・・・えへへ」

 

流琉と同じように撫でてあげると、大人しくなって甘えるように擦り寄ってきた

 

「それでさ、流琉・・・・・・その手に持ってる料理って、もしかして・・・」

 

季衣と一緒に一刀から頭を撫でられ、すっかり顔を赤くして俯いていた流琉だったが、

 

「はっ!?そ、そうでした!これ、兄様に・・・」

 

自分が部屋に来た目的を思い出し、手に持っていたお盆ごと、一刀に差し出した

 

「そっか、良かった!実は気になってしょうがなかったんだよ」

 

「うっ!・・・す、すみません。・・・もう冷めてるかもしれません」

 

お盆の上にのせられた料理は、山菜がたくさん入った”おじや”・・・

 

確かに、料理からは湯気が消えていて、少し冷めているようだった・・・

 

「あ、あの!兄様!やっぱり、温めなおして・・・」

 

「いや、いいよ。十分、十分!いただきま〜す!」

 

余程お腹が減っていたのか、腕の痛みも気にせずかき込んで行く

 

「あはははは、兄ちゃん慌てすぎだよ」

 

「そうですよ、兄様。ほら、こぼれちゃってます」

 

「美味い!!そして、流琉ありがとう!」

 

「わ、分かりましたから。とりあえず食べ終わってから喋って下さいね?行儀が悪いですよ」

 

「モグモグ(コク)」

 

子供のように表情豊かに食べながら頷いて答えた

 

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しばらくして・・・

 

「ぷはーーー。ご馳走様!!」

 

「はい、お粗末さまです」

 

「兄ちゃん、おいしかった?」

 

一刀は結構な量の”おじや”を平らげた

 

「あぁ、美味かった!特にあの山菜はおいしかったな!」

 

「ホント?えへへ」

 

「兄様」

 

「ん?何?」

 

「あの山菜、今朝、季衣が早起きして取ってきてくれたんですよ」

 

「えっ!マジで?」

 

えへへ〜、と照れ笑いを浮かべる季衣を見る

 

「そっか・・・。季衣、改めてありがとうな」

 

「ううん、いいよ。兄ちゃんがおいしかったって言ってくれたから」

 

少し大人っぽくなったものの、笑顔は変わらない

 

一刀の大好きな笑顔

 

「流琉も腕があがったのかな?3年前よりもおいしく感じた気がするよ」

 

「ほ、本当ですか、兄様!?」

 

こちらも嬉しそうな笑顔

 

「嘘なんか言わないよ。・・・そうだ!今度暇ができたら、天の国の料理を教えるよ。またいくつか覚えてきたからさ」

 

「本当ですか?楽しみです!!」

 

「じゃあ、ボクが味見してあげる」

 

「季衣はダメ」

 

「な、何でさ?」

 

「だって、季衣は味見って言いながら全部食べちゃうじゃない」

 

「そ、そんなことないよ。流琉のケチ!」

 

「な!?き、季衣!!」

 

「はい、二人ともそこまでな」

 

もう少しで武器が出てきそうだったため、慌てて一刀が止めに入る

 

「流琉、いいじゃないか。季衣が味見をしても・・・。春蘭よりマシだよ」

 

「そ、それは・・・」

 

少しおどけた一刀の言葉に何も言えなくなる流琉

 

「季衣も。ちゃんと我慢できるよな?」

 

「う、うん。もちろんだよ」

 

季衣も納得したようなので、改めて二人の頭を撫でてあげる

 

「///」

 

「えへへ」

 

 

 

3年経っても・・・

 

どんなに大人に近づいても・・・

 

一刀は二人の”兄”なのだから・・・

 

 

 

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コン、コン

 

「はい?」

 

流琉と季衣のケンカを未遂で済ませ、3人で話していると再びノックの音が響いた

 

「一刀殿?入ってよろしいですか?」

 

「稟?いいよ。どうぞ〜」

 

ガチャ

 

「失礼します」

 

「お兄さ〜ん、生きてますか〜?」

 

「・・・・・・チッ」

 

「おっ!稟、風も・・・それと、桂花!今、お前舌打ちしただろ?」

 

「ふん!そんなの私の勝手でしょ!それに・・・なんで、あんた生きてんのよ!」

 

「うぉ!!こ、こいつは・・・「お兄さ〜ん」っとと・・・風」

 

風が一刀の寝台の右側・・・流琉の隣に腰をおろす

 

「桂花ちゃんだけではないのですよ〜。分かっているんですか〜?」

 

「わ、分かってるよ・・・それで、3人ともどうしたの?」

 

「もちろん一刀殿のお見舞いですよ。体の方は大丈夫ですか?」

 

「まぁ、なんとか。あんまり動かせないけど、痛みはそこまでないよ」

 

「そうですか・・・なら、大丈夫みたいですね」

 

「?・・・何が?」

 

稟が廊下の方を見ながら、意味深な言葉を吐く

 

「あの〜〜郭嘉様、これはどうすれば・・・」

 

そして、その廊下から兵士が顔を出した

 

「中に運び込んでください・・・場所は、そうですね・・・」

 

部屋の中を何かを確認するように見回す

 

 

「無難に机で良いでしょう。乗らなくなったら、机の周りにでも置いておいて下さい」

 

「はっ!」

 

兵士のハキハキとした返事とともに、とんでもない量の書簡や竹簡が部屋に運び込まれた

 

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「・・・うわぁ」

 

「・・・凄いね」

 

流琉と季衣も唖然としている

 

「・・・これ・・・何?」

 

隣にいる風に話しかける

 

「・・・・・・ぐぅ」

 

「寝るな!」

 

ペシッ

 

「おぉ!お兄さんからは久しぶりですね〜」

 

「そうだね。俺も何か懐かしかった・・・って、それはいいんだけど・・・これは何?」

 

風との懐かしいやり取りも終わり、改めて目の前で行われていることの説明を求める

 

「それはですね〜お兄さんがいない間に風たちがやってきた記録ですよ〜」

 

「・・・記録」

 

「そうですよ。一刀殿が託してくれたものを私たちなりに考えてきた結果です」

 

「あんたのせいでね、私たちがどんだけ大変だったと思ってるの?」

 

三軍師それぞれの答え・・・

 

そしてそれは・・・

 

自分の”想い”に応えようとしてくれた”想い”・・・

 

「・・・分かった。・・・全部に目を通せばいいの?」

 

その答えに稟が頷く

 

「察しが良いですね。えぇ、その通り。私たちなりの解釈が多いですから、出来れば一刀殿本人の意見も聞いておきたいので」

 

「分かった。なるべく早くするよ」

 

「お願いします」

 

「頑張ってくださいね〜」

 

「さっさとしなさいよ!」

 

 

 

3人の声を聞き、頷く

 

その一刀の顔には・・・

 

3人の想いに応えようとする・・・

 

深い決意が込められていた・・・

 

 

 

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コン、コン

 

「は〜い」

 

稟たちを加え、皆で話していると、再び誰かがやってきた

 

「一刀?入るわよ」

 

ガチャ

 

「どうぞ〜・・・って言う前からかよ・・・」

 

「あら?何か問題があったかしら?」

 

「いいや、別に。おはよう、華琳」

 

「おはよう・・・という時間でもないのだけれど」

 

「そこは勘弁してくれって」

 

「ふふ、思ったより元気そうね」

 

「まぁね」

 

一刀の周りに皆が集まってる様子を見ながら、華琳も安心したように笑った

 

「華琳様!」

 

「あら、桂花?こんなところにいたの?さっき文官たちが探し回ってたわよ」

 

「・・・ッ!!」

 

何かを思い出したのか、顔には焦りが浮かぶ

 

「早く行ってあげなさい・・・。風、稟もお願いできるかしら?」

 

「はい」

 

「了解なのですよ〜」

 

3人そろって部屋を出て行こうとしたが

 

「3人とも頑張れよ〜」

 

一刀はその背中に激励の言葉を掛けた

 

「一刀殿もお大事に・・・」

 

「お兄さんこそ安静にしてなきゃダメですよ〜」

 

「あ、あんたなんかに言われなくてもちゃんとやるわよ!」

 

3人それぞれの言葉を残し、今度こそ出て行った・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、華琳は何か用?」

 

「用がないと来てはいけないのかしら?」

 

少し意地の悪い笑みを浮かべて華琳が答える

 

「まさか。大歓迎」

 

「ふふ、そう・・・」

 

一刀もおどけた調子で答える

 

「でも、今回は用があるのよ・・・まぁ、厳密に言うと私じゃないんだけど・・・」

 

「へ〜、誰なの?」

 

「蓮華・・・呉の孫権よ。あなたと話がしたい、って言ってきたの」

 

「・・・・・・はい?」

 

一刀自身、全く予想していなかった人物

 

もちろん話したことなんてない

 

初対面である

 

「今、来てるの?」

 

「えぇ」

 

「あ・・・・・・そ、そっか」

 

「どうするの?」

 

少しの戸惑いはあるが・・・

 

「・・・・・・うん、会うよ」

 

結局、いつものように笑顔で答えた・・・

説明
気合の投稿です!!

と言っても前編なんですけど・・・

まずは勘違いさせてしまった方がおりましたら、申し訳ないです!!今回、前編・後編には愛紗は登場しません・・・

更に言うと、前編には魏の娘たちしか出てきません

後編には蓮華を出します。後編もだいたいは書き終わっているので夕方には仕上げたいと思います。

でわ、そういうことで・・・今回もよろしくです!
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コメント
ドキドキ(readman )
悠なるかなさん いつまでも続く大切な絆です^^(highsta)
変わらないやり取りが出来る関係って憧れますね 更新お疲れ様です(悠なるかな)
十狼佐さん いえいえ、とんでもないです。今まで長い間休んでいたので、まだまだですよ。(highsta)
黒井さん 楽しんでいただけたら嬉しいのです^^(highsta)
投稿お疲れ様です、出来れば肩を揉んであげたいです!w(十狼佐)
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真・恋姫†無双 恋姫†無双 一刀 華琳  魏アフター 

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