ドアを開けてみよう(マルコ夢小説)
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注意

 

これは夢小説です!

 

間違って入ってしまわれた方はお戻り下さい!

 

 

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私ことセツナはここ白ひげ海賊団の一船員であり、なんとエース隊長率いる二番隊の戦闘員なのだ。

と言っても戦闘能力は中の下程度である。

そのため仕事はもっぱら隊長がサボル事務的仕事を処理していく事務係といった感じである。

まあ、ちゃんと自分の居場所があるということなのだろうが、戦闘員としては少々微妙な心境である。

 

「セツナー、悪いけど事務係が風邪で寝込んでるからこれマルコのところ頼めないか。」

 

ピラピラと書き上げた書類をエース隊長がふっている。

 

「あー…、はい、わかりました。そこに置いといてください。」

 

一番隊の隊長さんに渡すためのそのほかのプリントを選びだし持って行く。

けれど、なんとなく足取りが重い。

はあー…っとため息が自然と漏れてしまう。

 

「お、セツナ。…ってどうかしたのか?」

 

前から来たハルタ隊長が心配そうに覗き込んでくる。

 

「これを一番隊隊長に…。」

 

腕のなかの書類を見せるとハルタ隊長はああ、と合点がいったように手を叩いた。

どういうことかというと、私がこの白ひげ海賊団に入り立ての頃、隊長の方々にに食事を運ぶ際に酔って寝っ転がっていた船員の足につまずき、事もあろうにマルコ隊長にカレーを頭から被せてしまったのだ。

さらに、サッチ隊長の特製スペシャルデリシャススパイスハイパーカレーだったためカレーの臭いが1週間消えなかったのだ。

それでエース隊長とサッチ隊長が…。

 

「カレー臭、加齢臭のマルコだよな。あいつら本当いいネーミングセンスしてるよな。」

 

クククッとハルタ隊長が笑う。

 

「わ、笑い事じゃないですよ!そのせいで私は…。」

 

エース隊長とサッチ隊長がそう囃したてる度に眉間に皺をよせたあの恐ろしい顔で私は睨まれているのだ。

まさに蛇に睨まれた蛙だ。

 

そのことがあり私はマルコ隊長とはできる限り距離を置いていたのだ。

いつもは事務係に一番隊提出の書類だけ渡しにいってもらっているのだ。

それだけではない。

食事の時間、休憩時間などありとあらゆる時間帯を調べ上げて一番隊隊長と会わないように綿密なスケジュールを組んでいるのだ。

しかし、今回は事務係が風邪のため私が書類を提出することになってしまったのだ。

 

 

「あ〜も〜どうしよう!」

 

「まあ、諦めも肝心だと思うけど。」

 

そう笑いながらハルタ隊長は私の肩をポンポンと叩く。

 

「ハルタ隊長…他人事だと思って…。」

 

「まあ、な。」

 

『まあ、な。』じゃないですよ、隊長!と怒るがそれでもハルタ隊長はクスクスと笑っている。

そんなやりとりをしているうちにマルコ隊長の部屋の前に来てしまった。

あ!そうだ同じ隊長格のハルタ隊長に頼めば…と思い隣を見るとよからぬ気配を感じ取ったのかハルタ隊長は、がんばれよと言い残して足早にどこかに行ってしまった。

 

やっぱり、自分で渡しにいかないとだめか…。

 

深呼吸をして手を閉じドアに軽く当てる。

よし、挨拶して素早く書類を渡して撤退すれば大丈夫。

 

 

コンコン

 

 

「いいよい。」

 

あのいつもの独特の語尾がついて返事が返ってきた。

いよいよ、突入…。

うう、やるんだ自分!

意を決してドアを押す。

 

 

「失礼します。」

 

 

部屋にはいると先程まで話題の渦中だった人物が机の上に積まれたたくさんの書類に目を通している。

その鋭い目線がちらりと私に移る。

やっぱりハルタ隊長に頼めばよかったかも…。

 

「なんだよい。」

 

部屋にはいることに集中しすぎて用件言うことさえ忘れていた。

は、恥ずかしい!

えっと、えーと、用件は…。

 

「あの…書類を、持ってきました。」

 

緊張しているせいか声がかすれてしまう。

マルコ隊長には失礼だが極力目を合わせないように恐る恐る書類を差し出した。

 

「ああ…、ありがとよい。」

 

マルコ隊長は書類を受け取るとそれを書類の山のてっぺんに置くと、また書類に目を通し始めた。

こ、これってもしかして…終わり?

 

「え、っと、失礼しました。」

 

やった!

私がんばった!

ハルタ隊長、私やりましたよ!!

 

そして、ドアに手を掛けて…。

 

 

「ちょっと待てよい。」

 

 

待てって?

誰に?

私とマルコ隊長のほかにこの部屋にいたっけ…?

…。

ということは…私に言ってるのか!

 

 

「な、何でしょうか、一番隊隊長?」

 

「ちょっと仕事をやってほしいんだよい。」

 

 

…。

はい?

仕事を?

やって?

ほしい!?

無理、無理、無理!

今、この空間を支配しているこの異様な緊張感に張り詰められた空気をまだ味わえと!?

無理です、マルコ隊長!

 

はっ、そういえばエース隊長に…。

 

「あー…、あの二番隊で明日の定例会議の各隊の書類作りがあるので、それはまた別の機会でよろしいですか?」

 

よし、とりあえずこれで部屋から出られる!

やっぱり私戦闘員兼事務係でよかった…。

エース隊長、仕事ありがとうございます!

 

 

「ああ、そのことなんだけどな…エースがここで書類作れるように書類全部持ってきたんだよい。定例会の資料は俺が作ってるから俺のところで書類作った方が早いだろうって言ってよい。」

 

 

エ、エース隊長ー!?

何余計なこと言っちゃってるんですか!?

私がマルコ隊長避けてるの知ってるでしょう!

早く部屋から出たいのに…!

でも、仮にも隊長格がここで仕事しろっていってるんだからここで仕事しないとだめだよね…。

でも、嫌なものは嫌だし…。

うーん…。

よしっ、やっぱり私ここから出よう!

ドアノブをきつく握りしめ私は口を開いた。

 

「い、いえ、でも、一番隊隊長の仕事の邪魔になると思いますので二番隊で書類作り…。」

 

「別にいいよい。」

 

あ、そうですか。

…じゃなくて!

マルコ隊長がよくても私はよくないですから!

 

「いえ、やっぱり一番隊隊長お忙しそうですから…。」

 

「大丈夫だよい。」

 

だから、私が大丈夫じゃ無いんです、マルコ隊長!

 

「いえ、隊長やっぱり…。」

 

今まで書類のほうに顔をむけていたマルコ隊長の顔が私のほうへ向いた。

 

 

「いいからここでやれよい。」

 

 

そういった隊長の顔は恐ろしいくらい笑顔だった。

ただ、目だけが笑っていないことを除けば。

そして、この時になってようやく私は確信したのだ。

今、マルコ隊長の部屋から出るのは無理だと。

 

 

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部屋に取り付けられた小さな窓から日が入り手元の書類を照らす。

部屋には書類に書き込むカリカリというペンの音と私が書類をわけるペラペラという紙の音だけが響いている。

マルコ隊長の部屋で仕事し始めてから数時間はたった。

にもかかわらずお互いまだ一言も話していない。

はっきり言って私の気力ももう限界に近い。

神様、お願いですからこの緊張感どうにかしてください。

 

「少し休憩するかよい?」

 

「え?」

 

マルコ隊長を見ると隊長はペンを置いて大きく伸びをしていた。

相変わらず長い手足だな…。

私も書類をわける手を止めて背伸びをする。

んー…、疲れた…。

 

「ほらよい。」

 

隊長はそう言いながら突然何かを投げた。

私は慌ててそれをキャッチして手の中を見ると…。

 

「チョコレート…?」

 

「サッチが作ってきたよい。」

 

疲労回復にもいいだろっていってな、とマルコ隊長は窓から海を見ながらいった。

チョコレートはシンプルな板チョコの小さいバージョンだ。

チョコレートの端を少しかじる。

 

 

「おいし…。」

 

 

チョコレートのほろ苦いさと甘さが舌の上で混ざりじわじわと広がる。

緊張感も少し和らぎホッとした。

 

「苦すぎないか心配だったが、よかったよい。」

 

マルコ隊長もホッとしたようだった。

ぼんやりと椅子に座りながらチョコレートをかじる。

マルコ隊長の部屋をよく見てみると男の人の部屋なのにかなり綺麗だ。

服も脱ぎ散らかしていないし、ベッドメイキングまでしてある。

さらに、本棚には難しそうな本が整理して並べられている。

なんだか意外だな…。

気づけば手の中のチョコレートはなくなってしまっていた。

 

「じゃ、仕事しようかよい。」

 

そのマルコ隊長の声で再び私は書類に手を伸ばした。

数時間後、ようやく書類わけが終わり明日の会議のための書類ができた。

 

 

「お、終わりました…。」

 

「ご苦労さんだったよい。」

 

 

窓の外はもうすでに夕日が海に沈みつつある。

やっぱり書類わけはかなりの時間を要するようだ。

さっさと部屋からでないとマルコ隊長の邪魔になってしまう。

部屋を出る準備をしているとマルコ隊長が…。

 

「持っていけよい。」

 

そう言ってマルコ隊長が差し出したのはたくさんのチョコレートが入った箱だった。

当然のことだが私は全力でお断りした。

が、マルコ隊長も一歩も譲るつもりはないらしく持って行けよいと言い、結局押しに弱い私が半ば強引にチョコレートを持たされて二番隊の宿舎に帰らされる結果となった。

 

トボトボと夕焼けの空の下の通路を歩いていると今度は前からサッチ隊長が歩いてきた。

 

「よお、セツナ。」

 

片手を揚げていつも通りの挨拶をする。

もはや癖なのだろう。

 

「こんばんわ、サッチ隊長。どうされたんですか?」

 

「俺は夕飯の準備のために倉庫に行くんだよ。お?セツナ、おまえそれどうしたんだ?」

 

サッチ隊長は私が持っているチョコレートが入った箱を見て言った。

 

「あー…、実はですね…。」

 

私は今までの経緯をサッチ隊長に話した。

 

 

「…ということなんですよ。」

 

「なーるほどな。」

 

サッチ隊長は合点がいったというふうに頷いている。

何が『なーるほど』なのか私にはさっぱりである。

 

「何が『なーるほど』なんですか?」

 

「そのチョコはな俺がマルコに頼まれて作ったチョコなんだよ。」

 

「そうなんですか。一番隊隊長もサッチ隊長が作ったものだと仰っていました。」

 

確かにマルコ隊長もそう言っていた。

 

 

「そうか。でもな、マルコのやつ本当はな甘い菓子は嫌いなんだぜ。それぐらいの甘さのチョコは食わねえ。」

 

 

「え?」

 

 

あれ…?

じゃあ、なんでわざわざそんな甘いチョコレートをサッチ隊長に頼んだのか…。

 

 

「…そんな。だったらなんで…。」

 

「なんでだろうな〜。」

 

ニヤニヤとサッチ隊長が笑う。

理由なんてないのに、私は急になんだかものすごく恥ずかしい気がして…。

 

「もう!サッチ隊長ニヤニヤしないでください!」

 

「俺はニヤニヤなんてしてねえぞ〜。」

 

「してます!」

 

怒って頬を膨らませて言うがサッチ隊長はそんなこと気にすることなく未だにニヤニヤと笑っている。

 

「…〜もう知りません!」

 

サッチ隊長から逃げるように背を向けて月明かりの通路を走り抜ける。

 

ひんやりとした風が火照る顔を撫でるなか私は頭の片隅で思った。

 

 

 

マルコ隊長のこともっと知ってみたい、と。

 

 

 

説明
ワンピースのマルコ夢です。
設定は決戦のかなーり前の平和な白ひげ一家の日常の一コマです。
本当は連載書かないといけないんですけどね…。
良いネタが思いつかない…(泣)
とりあえず精進します!!
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二次小説 夢小説 ドリーム小説 ワンピース マルコ 女主人公 

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