そして一刀が取り敢えず、普通に治療して貰ったら問題ないだろうと思いながら中に入り、医者ら

しき若い男性に

「すいません、怪我人を見て貰いたいのですが、よろしいですか？」

「ああいいぞ、怪我人は何処だ？」

負傷している真里を診察室まで一刀たちが付き添った。

その医者の問診と診断の結果、手足の擦過傷に打撲であったが、あと医者曰く

「傷の影響か、また旅の疲れもあるんだろう、君の気が少々弱ってきている、気を回復するのに針

を打つのだが、因みに身体に針を刺しても大丈夫か？」

「大丈夫ですが」

と言ったので、針治療するため、一刀たちは一旦診察室を出た。

そして診察室から再び

「一針同体！病魔覆滅！元気になれぇぇーーー」

と大声を出していたので、皆は

（「もう少し静かに治療出来ないか・・」）

と内心思っていた。

しかし、治療が終わってから、真里が本当に怪我をしていたのかと思うくらい元気な姿で戻ってき

たので、一刀はこの医者のことが気になり、名前を聞いてみると

「え？私の名前は華佗というのだが、君たちの名前は」

と聞かれるとそれぞれ自己紹介をしたが、一刀は

（「え〜華佗って、こんなに若い男だったのかよ」）

と内心驚いていた。

一刀が

「華佗先生一つお聞きしたいことがあるのですが」

「ああ悪いけど、先生と言われるのは堅苦しいから、華佗と呼んでくれないか」

「分かりました、では俺のことも一刀と呼んで下さい、先生はどんな病気も治すことができるので

すか？」

「さすがにそれは無理だな、まだまだ修行中の身だ、しかし、どんな患者にも全力を尽くして治療

をして、そして１人でも多くの命を救いたいのだ」

と華佗は自分の信念を述べた。

一刀は信念を語った華佗を感じ、そして治療して元気になった真里を見て、

「華佗、お願いがあるんだが、１人治療をお願いしたい患者がいるのだが」

と言って、碧の治療をお願いした。そして翠や蒲公英は、一刀が華佗にお願いしているのは、碧が

何らかの見込みで治る可能性があるという一刀の勘を信じて、２人は

「先生頼む！お母様の病気を何とか治してくれ！」

「私からもお願いします！伯母上様の病気を治して下さい！」

と急に土下座をしていた。

これには皆が驚き、華佗が

「２人とも顔を上げてくれ、医者は患者を診て、病気があれば治すのは当たり前だ、治せるかどう

かは分からないが、必ずその患者を見に行くよ」

と答えると、２人は抱き合って喜んでいた。

しかし華佗もさすがに名医で、ここでの患者もいることで、すぐに出発はできないということもあ

り、一刀たちも旅の途中ということだったので、翠は華佗に碧への面会状と手紙を渡し、碧の治療

を託した・・。

そして一行は漢中を離れ、一路荊州に向かうことになったのだが、一刀が真里に

「なあ真里、誰か知り合いに俺らの軍師や文官になってもいいと者はいないか？」

「ああ、今からちょうど案内しようと思っていたけど、皆、水鏡塾って、知っている？」

と聞くと、名前に聞き覚えがあった紫苑が

「詳しくは知らないけど、ひょっとしたら司馬徽先生がやっている私塾のことかしら？」

「正解！そこの生徒は皆、優秀で各地に官使なっている人間が多いの、私も一応卒業生なんだけ

ど、私の場合、母上が殺されたから敵討ちするため、中途半端な卒業になってしまったのよ、だか

ら今から先生に敵討ちの報告とひょっとしたら私の後輩で凄い優秀な子がまだいるかもしれないか

ら、いたら紹介しようと思ってね」

と真里が言うと、一刀や紫苑、璃々は内心、知っている知識で

（（ひょっとしたら・・））

「へ〜、その子の名前は？」

と一刀が真里に聞いてみると、出てきた名が・・

「・・何か知ってそうだけど、名前は言っておくね諸葛孔明と?士元よ」

と一刀らは真里から聞くと内心、

（「やはり朱里か・・、しかし今回はまだ荊州にいて、更に?統もいるって？」）

と今更ながら、以前と違う世界に感じている一刀だった。

因みに横にいた翠と蒲公英は

「「誰それ？」」

と不思議そうな顔をしていた。

一刀は、真里に改めて２人はどんな人物か確認すると

「私よりは能力は段違いに凄いわ、２人とも志が高いので、主君に値しない人物だったら、いくら

言っても仕官は無理ね、ただあなたたちだったら可能性はあるわ、ただ・・」

「ただ・・、何だよ」

「イヤ、これはあまり気にしなくていいよ、愛嬌があると思ってくれても」

と何かを隠している真里であった。

そして荊州に到着して、もうすぐ目的地である水鏡塾に行く途中で、翠や蒲公英が

「まあ、真里あとどれくらいで、着くんだ？」

「少し疲れたから、休もうよ〜」

「今日中に行くとしたら、到着するのは夕方か夜になるから、今日はこの近くの町で休んで、明日

尋ねるのでどうかしら？」

と真里が言うと、皆、納得して、この先の町で宿泊することにした。

そして、一行が町に行く途中の道の分岐点で、３人連れの一行が道に迷っているのか、道の真ん中

で何か揉めている様子であった。

しかし、一刀、紫苑、璃々には何か聞き覚えのある声に、久しぶりに見る姿が見えてきた・・。

璃々がそれが見え、その声を聞くと一刀に

「ねえ、ご主人様、あの声にあの姿って・・」

「多分間違いないだろうな紫苑、やはりあれは・・」

「間違いないですわ、でも１人見かけない子もいますわ・・」

と３人ともその姿の人物たちの２人に見覚えがあった・・。

そして一刀らは、心の中で

（「久しぶりだな・・愛紗（ちゃん、お姉ちゃん）に鈴々（ちゃん、お姉ちゃん）・・」

と思いにふけっていた・・。