真恋姫無双〜風の行くまま雲は流れて〜第69話
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はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です

 

原作重視、歴史改変反対な方、ご注意下さい

 

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「風に吹かれて雲が舞い降りた…さあ始まるわよ」

 

城壁に肘をかけて覗き込む彼女は心底に楽しそうに呟いた

 

「勝ち残るのは誰かしら? 

  生き残るのは誰かしら?

   私の前に立ちはだかるのは誰かしら?」

 

それには先ずと振り返る彼女の視線の先

 

「そうそう…貴女には感謝しないとね…董卓?」

 

冷たい視線をいなしどこまでもたおやかに彼女は微笑み

 

「礼など及びません…これは『彼』が望んだこと、『彼』が選択した現状」

 

恭しく一礼した月を取り囲まんとする兵達を遮るように霞が彼女の前に滑り込む

 

「そんでもってあんたと一刀のケツ持ってくれるんや一番はアイツに…やろ?」

 

途端に苦い表情を浮かべる彼女に霞がその口の端を上げた

 

「お粗末な話やで華琳、先の戦の黒幕を取り逃がすなんてな…挙句にまた戦に水差されてこのザマや」

「わかっているわ…認めましょう」

 

彼女を取り巻く腹心達が息を呑む

 

その中心

 

覇王が深々と頭を下げる様に

 

「貴女を歓迎しましょう、貴女の望みとともに…」

「劉協に会わせてください…私の望みはそれだけ」

 

決して大きくはなく、しかしはっきりと告げる月に華琳は首を傾げた

 

「『彼』のことはいいのかしら?」

 

てっきりこの戦を取り治めることを願い出るかと思っていた彼女

だが月は首を振り

 

「あの人は自身の力で切り開いて見せますよ…それも貴女の望みでしょう?」

 

そう言い放つ姿は、まるで別人のよう

彼女の記憶にある『董卓』はどこかオドオドして、追い詰められたように睨むそれですらが虚勢であることが明白なはずの…それが今

 

さもこちらが見下ろされるかのように

 

フンと鼻を鳴らし腕を組む

 

成る程ね

 

「まさしくに帝の母だわ…」

 

邪魔者を次々と斬り捨て、洛陽を建て直し、呂布を筆頭とした最強の軍を指揮し連合に立ちはだかった太守…時の帝の母

 

その彼女を前に覇王は満足げに頷いた

 

「聞けば『彼』は私の首を取りに来てくれるとか」

「さて…戦の素人の私には結末など見えもしませんが」

 

というよりも関心が無いのだろう

彼女は彼が負けるはずが無いと思っており

彼がこの先も一緒にいてくれることを知っている

 

たとえ国が変わっても

 

たとえ今日まで守ってきた国が滅んでも

 

「まあそやかていうてもウチが華琳の下まで行かせへんけどな」

 

アイツはウチが討ち取るんねんと

さも楽しそうに笑う霞に

 

月は少し困ったように微笑んだ

 

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城壁の上でそんなやり取りがあることも知らず

 

「…進め」

 

比呂の号令に袁紹軍の進軍が始まった

 

「放てっ!」

 

迎え撃つも袁紹軍

 

引き絞った弓から放たれた矢が日の光に吸い込まれるように飛んで行き彼らの頭上へと降り注ぐ

風を切る音が不吉に響き、怒声を上げて駆ける彼らへと到達せんとしたそのとき

 

号令を放った少年の顔色が変わる

 

矢には目もくれずに突撃していたはずの彼らがその雨を縫うように進撃してくる

 

 

正確には矢が放たれた瞬間に彼らは駆ける方向を変えていた…その着弾を読みきり

 

放たれた矢が万であれば

 

進撃する兵の数も万である

 

それが一本の矢も彼らの足を止めることなく

 

無人の荒野に虚しく突き刺さる

 

「馬鹿なっ…」

 

蒼白の少年が呟くより早く彼らは次の行動に移っていた

今の一瞬にもはや少年の命などには耳も傾けず「自ずから」陣を組み替える

かつてに『彼』と幾多の戦場をともにした彼らの一人が大声で叫び

 

「重槍隊!前に出ろ!奴らの足を止めるぞ!」

 

ガチャガチャと鎧を鳴らしながら重装備の一団が前面に並び一斉に槍を構える

 

「奴らの足を止めたなら第二射正射!奴らの剣が届く前に中央共々一斉に潰せ!」

 

言うが早くにズドンという衝撃音とともに金属がかち合い悲鳴が上がる

 

先頭集団同士がぶつかり合い濛々と土煙が舞う

 

「今だ撃てえ!」

 

垂直に登った矢が重力に引かれて再度に降り注ぐ

 

たちどころに甲高い悲鳴が辺りに響くも

 

全ての着弾を待たずに更に彼らは動き出す

 

重槍隊の一団が滑るように右へ右へと

彼らを追うように後方から抜刀した兵達が斬りかかり

一人斬り捨てれば尚も右へ右へ

 

一直線に突撃してくる袁紹軍に対し、かつての袁将軍が選択したのは車掛の陣

突撃を押し返すのではなく往なす様に次々と後方から攻め上げては交代を繰り返す

数では倍を要するにも関わらず彼らは横撃されるのを避け、尚且つに常に動き回り相手との前線を均一に保つ

 

相手方に深く入り込むことを徹底的に避けた

 

相手の

 

彼の実力を知るが故に

 

「立ち止まるな!『奴』の正面に立つな!」

 

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まるで

 

彼のよく知る誰かを相手にするかのよう

 

防御体制にありながら攻め手を絶やさない

 

よくもここまで育て上げたものだと感心してしまう

 

「誰がここまでやれと言った…悠よ」

 

まるで喜劇

 

まるで悲劇

 

誰よりも死を拒み

 

誰よりも戦を憎み

 

何よりも平穏を望む貴様らは今

 

袁家にとって最大の障害となったのだ

 

だが

 

「…猪々子」

 

傍らで折れた牙門旗を掲げる彼女へ顎で促し

 

「敵陣は右回りの車掛…犬の遊びに付き合ってやれ」

「はいよ〜」

 

駆け出す彼女の背に目を向ける斗詩にその前方を指差し

 

「射線を確保したい…できれば横並びに」

 

彼の意を汲んだ斗詩も頷く

 

「気づきますかね…此方の意に」

「さてな…高覧」

 

名前を呼べば無言で目の前で跪く彼女へ

 

「『歯車』を止めろ…出来るな?」

「…御意に」

 

視線も合わさずに駆け抜ける彼女に思わず溜息が突いて出る

 

「ふふっ…虐めが過ぎましたね」

「言うな…俺もまだまだ未熟ということだ」

 

口元を隠し肩を震わせる斗詩に渋面になる比呂

 

「でもやっぱり…比呂さんがいると頼りになるんですよ」

 

そう言うと金光鉄槌を担いで駆け出した

 

「心配ない…もう逃げんさ」

 

守りたかった友はもういない

 

守りたかった国はもうない

 

だからもう

 

逃げんさ

 

「戦争だ…俺の…大嫌いな」

 

だからこれは

 

「ここからが俺の…戦争だ」

 

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あとがき

 

ここまでお読みいただき有難う御座います。

 

ねこじゃらしです

 

さてさていよいよ台風シーズン&ジメジメした季節がやってきましたな

 

我が家の水取り象さんフル活躍です!

 

そして本編もようやくに戦闘描写

 

車掛の陣については自分なりの解釈ですのであしからずw

 

あとあと

 

某所でこの作品のご紹介を頂きました!

初めてだ、ここ以外でタイトル目にするのw

 

TINAMIの友人に教えていただいたのですが

自分で読んだ瞬間踊ってましたwww

 

えーとナニナニ?

 

………

 

……

 

 

がんばれ桂花!

 

マジがんばれ!!

 

がんばれば出番がまた増えるぞ!(ぉぃ

 

それでは次回の講釈で

 

説明
第69話です

じめじめした季節がやってきましたねえ
洗濯物が…
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コメント
濡れタオル様、コメント頂き有難う御座います。故に彼らの腕の見せ所…(ねこじゃらし)
お互い手の内を知っているだけにやり辛そうですね……(濡れタオル)
HIMMEL様、コメント頂き有難う御座います。永きに渡る雌伏の時を経て今…?(ねこじゃらし)
Night様、コメント頂き有難う御座います。リアルに台風も来てますからねぇ…頑張ってもらいましょう(ねこじゃらし)
ロンロン様、コメント頂き有難う御座います。そこはいてくれないことにはw(ねこじゃらし)
サラダ様、コメント頂き有難う御座います。さすがに今回は頑張ってくれるでしょうwwwその後また…(ねこじゃらし)
thule様、コメント頂き有難う御座います。どうしてくれようwww(ねこじゃらし)
etyudo様、コメント頂き有難う御座います。…だがしかし!(ねこじゃらし)
淡雪様、コメント頂き有難う御座います。 頑張ればいつか報われるでしょう…(ねこじゃらし)
更新お疲れ様です。そして一言… 頑張れ桂花!マジ頑張れ!! 我ら『桂花を愛で隊』は彼女の復活を心待ちn(ry(HIMMEL)
更新お疲れ様です。流石はエアーさん、逃げずに腰を据えれば暴風と化す。(Night)
一刀、いたんだ・・・・・。(龍々)
あ、某所ですね。見ましたよ! 何となく予想できていた評価だったので笑ってしまいました。しかし出なくなると空気なくせに出ると全てを持って行く比呂。流石ですよ本当に。(R.sarada)
がんばれ桂花!(thule)
がんばれ桂花!(etyudo)
がんばれ桂花!(淡雪)
タグ
真・恋姫†無双 桂花  二次創作 比呂 風の行くまま雲は流れて 

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