真・恋姫無双 〜新外史伝第15話〜
[全6ページ]
-1ページ-

一刀らは武威を離れ、すでに雍州の天水郡に入り進軍していたが、先行している物見から、約14

 

里(約7キロ)先に敵約4万の兵が陣を引いていたため、現在軍議が行われていた。

 

「朱里、現在敵の4万だが、こちらの様子に気付いた気配は?」

 

「今のところありませんが、こちらも大軍ですので、やがて気付くでしょう」

 

「しかし、あいつら雑魚ばかりだが、兵はムチャクチャ多いからな」

 

「そうですわ、こちらは今後も連戦が続くかもしれないので、出来るだけ被害も少なく戦わないと

 

ね…」

 

翠と紫苑が発言していると星が

 

「何、数が多くても雑魚は雑魚、雑魚には兵法など無用、今すぐ突撃すれば、一撃でしょう」

 

と乱暴な意見が出たので、一刀は

 

「いくらなんでも、それは無理だな、数が違いすぎる」

 

「何をおっしゃる一刀殿、これだけの武将に西涼の強兵もいる、問題ないではないはず」

 

「それでも無理な攻めは、被害が多い、取り敢えずは敵の出方を見て判断するから、朱里は更に物

 

見の人数を出して、敵の様子を探り、後の者はここで警戒をしながら休息するが」

 

と言うと星以外は、了解の返事をしたが、星は明らかに不服そうな顔をして、この場を離れた。

 

星を見て一刀は、後でフォローしないといけないなと思っていたが…。

 

そして、しばらくすると第2陣の物見が帰ってきたので、状況を確認すると、やはりこちらに気付

 

き、兵をこちらに進めてきた。

 

それで一刀らは、この戦の方針を決めるため、再度、全員集まるように指示したが、星だけが未だ

 

に来なかったので、兵に再び呼びに行かせたが、別の兵が一刀のところに来て

 

「あの〜趙雲さんからの伝言で、やはり雑魚には兵法は無用、一人で行くと言ってましたが…」

 

と一刀らに伝えると翠は机を叩き

 

「何考えているんだ!アイツは!」

 

怒り心頭になっていたので、一刀は翠を落ちつけるため

 

「翠、落ち付け、可愛い顔が台無しになるぞ」

 

と言われると

 

「可愛いい〜〜○▲※@▽●」

 

と慌てふたためいて、違う意味でパニックになっていたので、璃々と蒲公英が

 

「翠お姉ちゃん、顔真っ赤だよ」

 

「もうお姉様って、うぶなんだから〜」

 

と言われ、翠が照れながら

 

「うるさい〜」

 

と言って、何とか怒りの状態を解消した。

-2ページ-

そして紫苑が一刀に

 

「怒るのは後にして、星ちゃんをこのまま放っておくことは出来ませんわ、取り敢えず、助けに行

 

かないと」

 

「ああ、そうだな、朱里、何か策はあるか?」

 

と言われ、朱里は物見の情報を確認して出した答えが

 

「まず、紫苑さんが2千の弓騎隊を連れて、星さんと必ず合流して下さい、しばらく戦った後、敵

 

兵を釣り、必ず星さんを連れて、こちらの本陣まで撤退して下さい」

 

「そして翠さんと蒲公英ちゃんは、紫苑さんと同時に出陣、それぞれ6千の兵を連れ、左右に分か

 

れ、本陣と敵が戦い始めてから、横撃を入れて下さい」

 

「そして本陣にはご主人様、璃々ちゃんに私が残りますが、璃々ちゃんには弓隊を指揮して、紫苑

 

さんがこちらに帰ってきている時に紫苑さんが通過した後、敵がこちらの弓隊の射撃範囲に入れ

 

ば、遠慮なく打ち込んで足留めして下さい」

 

「そして敵の足を留めると本隊と紫苑さんの部隊で、突撃し、それと同時に翠さんと蒲公英ちゃん

 

も突撃するという作戦ですが…、どうでしょう?」

 

朱里が作戦を説明してから、周りを確認すると、翠や蒲公英が

 

「すごいな朱里、私じゃあ、そんな作戦すぐには出ないぞ」

 

「すご〜い、やっぱり軍師がいて良かった」

 

と朱里を褒めていた。

 

そしてこれで軍議一決し、一刀たちも作戦行動に入った。

-3ページ-

 

〜星視点〜

 

風に吹かれ、私は敵軍勢に向かいながら

 

「やはり一刀殿も英雄の器では無かったかな、黄巾党ごときの弱兵に必要以上に恐れているとは」

 

「さてさて、私を満足できる主君はいるかな、いたら喜んで主とお呼びするが…」

 

「さて、ここでの最後の奉公だ、さっさ敵を葬り去ろうか」

 

と言いながら敵先鋒に単騎向かっていると、その軍勢が見え

 

「なかなか雄大な眺めだ…さあ、私の1人舞台だ。」

 

「遠からずんものは音に聞け、近くば寄って目にもみよ!我こそは、常山の趙子龍なり!」

 

星が名乗りを上げると、敵兵は、襲いかかるが

 

「はいはいはいはいーーーー」

 

と見事な槍捌きで敵兵を倒し

 

「恐れる者は背を向けよ!恐れぬ者はかかってこい!」

 

と更に挑発するため、敵兵も

 

「おい!相手は1人だ!どんどんかかって行け!」

 

「女だ捕まえて、好きにしてやるぜ」

 

「周りを囲んで、逃げられないようにしろ!」

 

と言って、星の包囲網を作って行った。

 

そんな中、星は次々と敵兵を倒しては行くが、次々へ来る敵兵に

 

「チィ、同じような場所で戦っていたから、死体で足場が悪くなってきたな…」

 

「しかし、私はまだまだ負けん!」

 

気力を絞って言っていると、後方から何か音が…援軍か…。

 

しかし私には援軍と言えるかな…?

 

星視点終了

-4ページ-

先鋒の紫苑が馬を駈けながら

 

「敵発見!星…趙雲ちゃんには当てないよう、一斉に射ちなさい」

 

と言いながら、敵先鋒に対し弓矢を放ち、敵を混乱させてた。

 

そして紫苑が疲れ切った星を見て、

 

「さあ文句を言うのは後にするから、今は、敵にもう一度一当てしてから、引き上げるわよ」

 

「ああ…もう一丁やるか」

 

再度、紫苑の部隊は敵を弓矢放ち、混乱させていると本陣から合図の鐘が鳴ったので、紫苑と星は

 

上手く敵を釣り、本陣に撤退して行った。

 

本陣で待っている一刀は璃々に

 

「もうすぐ紫苑が帰ってくるから、援護射撃頼むぞ」

 

「任せておいてご主人様」

 

と言っている紫苑の部隊が見え、そして敵の姿が見え、朱里が

 

「あわわ、もう弓矢を放った方が…」

 

と言うも璃々は

 

「もう少し我慢、ギリギリまで引き付けるから」

 

と言うと、一刀が

 

「璃々!」

 

「うん、今だよ、一斉に射て!」

 

放たれた弓矢が見事に敵先鋒に刺さり、そして連続射撃で大混乱を起こした。

 

それを見た朱里が

 

「本隊と紫苑さんの部隊はこのまま敵兵に突撃、そして翠さんと蒲公英ちゃんの部隊にも突撃の合

 

図を」

 

と命令すると、敵は崩れ出し、散り散りに敗走し、見事に初戦を飾ったものである。

 

そして戦を終えて、戦いの後始末に、全員が集まり軍議が開かれ、一刀は笑顔で

 

「皆、お疲れ様、怪我なくて良かったな」

 

そして皆が笑顔で勝利の余韻に浸っていたが、一刀が席の隅にいた星の方に寄り

 

「星、大丈夫か?怪我はないか?」

 

「大丈夫です、ありませぬ」

 

「そうか…、本当に大丈夫だな?」

 

「くどいですぞ、一刀殿」

 

「分かった…、星、歯食い縛れよ」

 

と言って、

 

「パチーン」

 

一刀は星の左頬にビンタをしていた…。

-5ページ-

すると星が

 

「何をするのですか一刀殿!」

 

「星…、自分がやったことを本当に分かっているのか!」

 

「私のお陰で、戦に勝ったではありませぬか」

 

「ああ、星以外の活躍でな!」

 

「星がやったことは、無断出撃して、軍の規律を乱し、そして…死ななくてもいい兵の命を増やし

 

ただけだ!」

 

「!」

 

と一刀は辛辣な発言をし、更に

 

「これは星の失敗が皆が救ってくれた形だ」

 

と一旦言葉を切り、寂しそうな顔をして

 

「星、君が自分の武に自信があるのは分かる、しかし周りを顧みず、自分勝手な武は、軍を率いる

 

将として失格だ、軍には必要ない、だから星、本来なら軍律で処罰してもおかしくないが、君は客

 

将だ、あえて処分はしないが、嫌ならここから立ち去っても構わない・・」

 

と言い切った後、一刀は最後に

 

「星、手を出したのはすまなかった、少し興奮したみたいだ、しかし言ったことについては間違っ

 

ていないつもりだ、ちょっとすまんが頭を冷やすので席を外させて貰う」

 

と言って、席を外し、そして璃々も後を追い掛けた。

 

そして放心状態になっている星に翠が

 

「星、お前が無断で出撃したので、帰って来たら私がぶっ飛ばしてやろうかと思ったけど、ご主人

 

様が言ってくれたから、もう言わないつもりだけどよ、一言だけ言わせて貰うと、私らは兵たちを

 

死なせるために訓練をしている訳じゃないんだ、生かせるため訓練しているんだ、これだけは忘れ

 

ないでくれ…、あとはお前の決断に任せる、行くぞ蒲公英」

 

と言って2人も席から離れた。

 

そして紫苑が星のところに来て、星がやや不貞腐れたように

 

「紫苑も何か言いたいか」

 

それを見て紫苑が

 

「あら、何か色々と言って貰えるうちが花じゃない?」

 

と言われると星もきょとんとした顔になり

 

「それはどういう意味だ?」

 

「分かりやすく言えば、ご主人様も翠ちゃんも星ちゃんのことが心配で、星ちゃんのために言って

 

くれているのよ」

 

「星ちゃんも今回の行動が正しいと思っている訳ではないでしょう」

 

「ああ…」

 

「だからご主人様や翠ちゃんも上に立つ立場の人だから、ああいう風に言ったのよ、もし誰も星ち

 

ゃんの失敗を指摘しなかったら、星ちゃん自身が将として間違った方向に進むかもしれない、兵の

 

ことも考えず、独りよがりの将として…」

 

「だからご主人様も言っていたでしょう、軍を率いる将として失格だと、あれは星ちゃんにそれく

 

らいの将になれる期待をしてくれているから、そう言っているのよ」

 

と言われると朱里も

 

「そうですよ、星さん、只でさえ強いのですから、これで星さんが軍を率いたらもっと強くなりま

 

すよ」

 

と励まし、すると星は納得した顔になり

 

「一軍を率いる将か…ふっ、一刀殿や紫苑、朱里言われたらその期待に応えないとこの趙子龍の名

 

が泣くな、済まぬが紫苑、一刀殿のところに案内して貰えるか」

 

と言うと3人は一刀を探しに出た。

-6ページ-

一方、一刀は陣の外に出て空を見上げていた。

 

そして後ろから璃々が来て

 

「ご主人様、星お姉ちゃんのこと考えていたの?」

 

「さすが璃々だな、分かっていたか」

 

「それは分かるよ、星お姉ちゃんを叩いた時のご主人様の顔、悲しそうな顔してたからね」

 

「そうかよく見てたな」

 

「星には、将としての実力は持っているんだ、だからああいう行為したことが許せなかったんだ、

 

もしこれでここから出ても仕方がないけどな…」

 

「大丈夫だよ、ご主人様、お母さんもフォロー入れてくれると思うし、今は分からなくても、いつ

 

かは分かってくれるよ」

 

と言うと、すると星が璃々の背後から

 

「璃々ありがとう、お主の言う通り、紫苑に言われてやっと気がついたよ」

 

そして一刀の方に向くと、星は頭を下げ、一刀に

 

「一刀殿、いや主、先ほどのことは申し訳ありませぬ、この趙子龍、あなたの家臣となり、この身

 

を全てあなたに捧げますぞ」

 

「星…頭を上げてくれ、さっさは手を出して悪かったな、星に家臣とは言わない、仲間になってく

 

れるか」

 

「はい、ありがとうございます、主」

 

と一旦切ったあと、星はいつもの調子に戻り、

 

「それで、主、仲間と言うことは、紫苑らと同じように妻としてくれるということですかな」

 

「……意味が違うわ、星!」

 

「そうだよ、星お姉ちゃん、私も反対だよ〜」

 

「わ、私もいるからな、星」

 

「星お姉様、私も譲らないからね!」

 

「はわわ〜〜」

 

一刀が突っ込みを入れると璃々、翠、蒲公英もいつの間か来ており、それぞれ譲らない構えを見

 

せ、朱里は顔を赤くしてパニック状態になっていた。

 

これを見て、紫苑は一刀に

 

「皆、ご主人様を愛しているのですから、もし彼女らと結ばれたら、最後まで責任を取って上げて

 

下さいね、ご主人様。でも一番の花は、私ですから」

 

と笑顔で言われると、こういうことについては、一生紫苑に勝てないと感じた一刀であった…。

 

そして翌日、軍は更に東に向け出発したのであった。

説明
ある場面の2回目ですが、ちょっと変えてみました。

では第15話どうぞ。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
9162 7011 66
コメント
Alice.Magicさん>どうしても勢力が弱いですし、将がハムさんだけでは厳しい。(殴って退場)
ハムは可愛いけど出番少ないよなぁ(Alice.Magic)
これは星の失敗が皆が救ってくれた形だ→失敗を 大事なシーンのセリフで誤字は萎える・・・(PON)
最近は真ベースばかりだったのでたまにはまだ未熟な星もいいですね。まさかハムも俺とか言い出すのか?(PON)
クラスター・ジャドウさん>星の無印のこの場面の独断専行を意外と責める二次小説が少なかったので、敢えてこうしました。またフリーダム面を出したいですが、将としても成長するしていくようにしたいと思いますね。(殴って退場)
…この作品の星は無印リスペクトで、まだ勇み足が強かったみたいだな。尤も、コイツに精神的余裕があると、おちょくり魔にしてサボリ魔と言う、それはそれで将とは言い難い奴になるのだが…(^ ^;(クラスター・ジャドウ)
toumayuuさん>三羽烏の扱いもちょっと考えてみたいですね・・(殴って退場)
ハセヲさん>確かにそうですね・・ちょっとどうするか思案中・・(殴って退場)
jonmanjirouhyouryukiさん>そうですね、今後そういう展開も入れて行きたいと思います。(殴って退場)
劉邦柾棟さん>さすがお分かりで(笑)、飽きないよう頑張りますので、よろしくお願いします。(殴って退場)
蜀だけでなく魏のとこからも来てほしいです。 三羽烏とか(toumayuu)
紫苑に翆に朱里に星まで・・・。このままいくと桃香のところが最弱になりそうですね。(ハセヲ)
おおwww今回の話は無印外史で白蓮と協力して賊を倒した時の話を少しアレンジした物でしたね。 次回も楽しみにしてます。(劉邦柾棟)
タグ
恋姫無双 真・恋姫無双 北郷一刀 紫苑 璃々   

殴って退場さんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com