天遣三雄録 第十三話
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始めに、主人公を始めとした登場人物の性格にズレがあるかもしれません。

 

なお、オリキャラ等の出演もあります。

 

そして、これは北郷一刀のハーレムルートではありません。

 

そういうものだと納得できる方のみ、ご観覧ください。

 

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第13話 建国編、スキップしますか? ← ピッ  by 一刀

 

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華琳の元を去り、一か月が立った頃。俺達は、司隷にある長安の城の中に居た。

長安。後に董卓によって帝が隔離される場所。俺は何故か長安を治める君主になっていた。

 

「なあ、于吉。どうしてだ?どうして俺、こんな簡単に地位と権力を手に入れちゃってるわけ?どうにも、世界が都合の良い風にしか動いてない気がするんだけど。夢じゃないよな?」

 

「ええ、夢ではありません。そして、一刀君。要因は貴方にあるのですよ?予想以上に、貴方の天の御使いの名は王朝に響いていたようです。何故かはわかりませんが、ね。まあ、結果オーライで良かったではありませんか」

 

そうなのだ。一か月前、陳留を離れた俺達は洛陽へと向かった。

華琳から、言われていたのだ。なんでも、王朝から黄巾党討伐に一役買ったらしい俺にご褒美が有るとのこと。

実際、何かをした覚えは無いんだが。何かしたかな?

それで、洛陽に足を運んだら、金一封どころか長安をくれた。おい!

 

と、言ってもこの長安。正直、良いところではない。

元は前漢の首都でもあったのだけれど、唐末の戦乱で荒廃。瓦礫の山と化していた。

劉邦が開いた都なんだ、少しは敬意を持って慈善事業に力を入れればいいものを、洛陽に都を移した官史達はもう興味がなかったらしい。荒廃したまま此処を放置。

 

その上、俺の前の前の前任者の政治不安定により大運河の管理が不可能になった。

元々、食料問題の多くあった長安は大運河による食料の大量運搬が不可能になると途端に餓死者が急増した。これにより、長安は事実上壊滅したらしかった。

今では洛陽の帝すら長安を気にかけることは無いらしい。先祖の開いた都だというのに。

 

無論、俺の前任者達は何もしなかった訳ではなかったらしく。今ではそこそこの生活水準を保ってはいるが、陳留とは比べ物にもならない。

嘗ての都、煌びやかだったであろう長安は今、見る影もない。

 

「そういえば、一刀君。知っていましたか。洛陽では、長安は人材の墓場を呼ばれているらしいですよ。漢王朝にとって、有益か有害か分からない輩を権力から遠ざけ、隔離する為の」

 

「完っっ全に!天の御使い様は漢王朝に厄介払いされた訳か。まあ、わかるけどさ。帝は天子を名乗ってるんだ。同じ天を名乗る御使いなんて邪魔なんだろうな」

 

「でしょうね。しかし、あからさまに、華琳さんの保護下にあった私達に敵対するほどには漢王朝に力は残されていなかった。だからこそのこの仕打ちですか。漢王朝の爺どもは悪知恵だけは働くようですね」

 

「ああ、でも。ある意味好都合だった。お前の言う通り、結果オーライだよ。何しろ、取りあえず領地が手に入ったんだ。瓦礫に塗れたこの土地だけど、何もないってわけじゃないしな」

 

そんな話し合いをしていると、左慈が扉を開けて入って来た。

 

「北郷!」

 

入って来た左慈は聖フランチェスカ学園制服の上着を脱ぎ。上は黒いTシャツ一枚になっていた。

頭には手ぬぐいが鉢巻のように巻かれている。似合いすぎている。

 

「なんだ。兵士達の欲望が溜まってお互いに掘り始めたか?まあ、人の趣向を制限するほど圧政的な君主になるつもりは無いから。よろしい、許可する!」

 

「違う!?どうしてそんな話になる!そして許可するな!国家存亡の危機だぞ!?それにどうして俺はそんなことを北郷に報告にこなきゃいけないんだよ!!」

 

見事な五段ツッコミ。左慈のレベルは此処に来てから上がるばかりだ。

 

そして、左慈の言う通りだ。同性愛者ばっかりになったら子どもが生まれない。

それに同性愛者ばっかりの軍隊なんて率いる気には流石になれない。

 

「どうしてって、先導したのは左慈と于吉だろ?春蘭と離れ離れになった左慈は寂しさのあまり一夜の過ちを犯しちゃったんだろ?」

 

「そんな過ち犯すくらいなら死ぬ!!」

 

左慈は涙目で俺の襟首を掴んで乱暴に揺さぶってくる。まったく、君主様になんて態度だ。

 

「じゃあ、何の報告に来たんだよ」

 

「取りあえずの街中からの瓦礫の撤去が終わった。一か月も掛ったけどな」

 

「そうか。御苦労さま、左慈。よくやってくれた。于吉。大運河の治水の案は出来てるか?」

 

「無論。私の知識量を甘くは見ないでください。ふふ」

 

「んじゃ、始めますか。題して『長安再生計画』」

 

俺達三人はその部屋から出て行った。笑いあいながら。

 

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次の日。俺は長安を始めとした関中地方の権力者達を招き、話し合いを開いていた。

集まったのは、皆、人材の墓場たる長安近くに送られたいわば同志達。

優秀すぎるが故か、正義感が強すぎた為に洛陽には居られなくなったはみ出し者たちだ。

 

「まず、お前達に聞いておきたい。漢王朝が憎いか?」

 

沈黙の空気が流れる。

 

「正直になれよ。ここに居るのは敵じゃない。味方だ。俺は、憎いぞ。漢王朝がな。俺をこんなところに送ったあの官史達が憎い。大陸の民の安寧を守ろうとしない漢王朝が憎い。お前達もそうだろう?」

 

全員が一様に頷いた。

 

「そうか。なら、話は早い。俺はこの長安を立て直すことでまずは官史の奴らを見返そうと思う。于吉、頼む」

 

「はい。まずは私の考えた立て直し案の全てを聞いてもらいましょう。疑問等は後ほど」

 

 

第一。大運河の管理を再び行うこと。

第二。民や商人に対する税収の引き下げ。

第三。民に学を与える為の施設『学校』の建設。

Extra 

Extra

 

そのどちらもが単純すぎることだった。誰だって考えつく。

けれど、やろうとは思わない。思えるほどの金がない。于吉は、ほくそ笑みながら続ける。

 

「無論。私達には資金がない。それはわかっています。しかし、もしその問題が覆せるとしたら、どうでしょう」

 

于吉の言葉で間にはざわめきが走る。

于吉は懐からまだこの時代、高価な紙を数十枚取り出しばら撒いた。

 

「この紙一枚一枚に、紙の生成術から鉄の錬炭術。農作業用具に効率的な農法。養蜂による嗜好品、ハチミツの安定供給案。さらには国営の賭場場の設置まで、私の考えうる全ての資金面での収入が見込める案件が記してあります」

 

集まった有力者達は皆が皆、自分の近くに落ちてきた紙を拾い。目を疑う。

于吉はこの時代では考えられないようなものまで、紙に記していた。

 

「天の御使いたる北郷一刀の軍師。于吉の名の元に明言いたしましょう。今、大陸を覆う戦乱。黄巾の乱の終結までには必ず。この長安名を再び大陸に響かせると!」

 

こうして、長安再生計画は急ピッチで進められた。

 

民達にも協力を仰ぎ、技術者には更なる技術を。農耕を営む者には農具と農法を与え働いてもらった。

民達は協力的だった。無論、最初は天の御使いなどと言う俺を怪しんではいた。きっかけは左慈や俺を何故か慕い、付いてきてくれた元陳留の兵士達による瓦礫撤去だった。

最初は兵士達だけで行っていた作業だったが、日が立つにつれ一人、二人と民の皆も自主的に協力をしてくれた。全てが終わるころには、何故か左慈や俺が数少ない若者達の間で大人気になっていた。

 

そしてさらに、関中には足を引っ張る輩が居なかったことが大きかったのだろう。

他の地域なら、突然現れた俺が全てを仕切れば、反発する者が出てくるのが正常。

しかし、この地は人材の墓場とまで呼ばれる地。そこに居る権力者達は漢王朝にとって有害な者達。逆に言えば、民にとっては有益な者達なのだ。

理と利さえあれば、俺に付いてきてくれた。公正さと優秀さを兼ね備えた彼らは本当に役に立った。

 

最後に、この地にはあまり黄巾党が現れなかったのが善かった。

元は瓦礫に塗れた街、長安。黄巾党も大半は盗賊の様なものだ。瓦礫の街になんて興味も関心もなかったようだった。

 

そして、華琳による張角討伐の報が大陸全土に響くころには、于吉の言う通り長安は再び活気に満ちた街へと蘇っていたのだった。

 

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復活した長安で青年は一人。軍議へと向かう為に王座の間に向かっていた。

扉の前に居た兵士に挨拶をしてから、入っていく。間の中では今まさに、軍議が始まろうとしていた。

 

「長安〜十字団!第二十七回!総会軍議を、はじめます!」

 

「、、、、はっ?」

 

青年は思わず、目を疑った。間に入って最初に目に飛び込んできたのは黒と黄色の仮面を付けた男が両腕を開いて、天に向かってそう叫んでいる場面だったのだ。

 

なんだこれ?と青年が放心していると、間に居る全員が青年方を向いていることに気付いた。

青年としても、既に始まっていた軍議に入って来た自分に注目が集まるのは当然だと思い、自分に非があることもわかっている。

しかし、今はそれ以上に青年を困惑させる出来事が起きていた。振り返り、自分を見る人々の全員の顔に黒と黄色の仮面が付いていた。

 

「(怖っ、、、)」

 

思わず、後ずさる青年の前に、仮面を付け先ほど叫んでいた白い服の男は近寄って来た。

 

「驚かせたね。ごめん。ここの軍議は初めてかい?小さな少年」

 

「は、はい。それと、、一様、18歳っすから、少年じゃないです」

 

「そうか、それはごめん。小さな青年。ここでは仮面を付ける決まりになってるんだ。これをどうぞ」

 

謎の白い服の男から仮面を受け取るが、困惑し付けようと動くことが出来ない。

当然だろう。生れて初めて自分の様な、嫌われ者が招集された軍議。

そこで突然仮面をすることを強要されてなぜ素直に従えよう。

 

しかし、白い服の男以外にも多くの仮面を付けた者たちに自分が見られていることに気づき、慌てて仮面を付けた。

 

「それと、君の記号名(コードネーム)を決めよう。、、そうだな、君の記号名はチッチャーイな」

 

「、、もう、そのまんま小さいっていってくれないっすか?」

 

ジト目で目の前の怪しい男を見る。白い服の男は目を逸らしながら続ける。

 

「あと、覚えておいてくれ。ここでの挨拶は稀鑼星っ!だ。わかったか?」

 

「はい?」

 

「稀鑼星っ!」

 

「き、稀鑼星?」

 

「違う。恥ずかしさを捨てろ。稀鑼星っ!」

 

「き、稀鑼星っ!」

 

「よし。それで良い。メーガネ。チッチャーイの席は何処だ?」

 

白い服の怪しい男の言葉で、同じく白い服を着て何故か仮面の上から眼鏡をかけた男は空いている椅子を指さし言う。

 

「チッチャーイ君。君の席はそこです。これより軍議を始めますから。早急にお座りを」

 

「はっはい」

 

メーガネと呼ばれた仮面の声は何処か冷たく、遅れたことを怒られたと思った。

慌てて返事をして、急いで席に付く。

 

「ふふふ、素直な子は大好きですよ」 

 

「ひっ」

 

何故か背筋に寒気が走った。振り返ってみても、メーガネが淡々と軍議の準備をしているだけだった。

 

指定された席に付くと、隣に見知った老人がいることに気づく。

 

「あの、もしかして盧植先生では?」

 

「違う。私は先生だ」

 

「え?だから、盧植先生すっよね?」

 

「違う。私は記号名(コードネーム)、先生だ」

 

盧植先生、いや、記号名(コードネーム)、先生は耳を赤くしながらそう答えた。

仮面の下はどうなっているのか、考えるだけで可哀想だ。

 

「あの、先生。あそこに居る、老人にすら羞恥を与える、白服の男って、誰すっか?」

 

「恥ずかしい仮面を付けることを強要して、ノリノリで軍議を進めているのは。記号名(コードネーム)、エンペラー。天の御使いにして長安の救世主。北郷一刀殿じゃ」

 

「やっぱり、そうなんすね」

 

思わず、頭を抱えながら考える。

天は二物を与えないと言うが、おそらくその決まりは天の御使い様たる一刀様には当てはまらず。

二物どころか、三物四物を与えられ。変わりに性格に著しい負債を抱えてしまったのだろうと。結論付けた。

 

「、、、これは、僕も頑張らなきゃいけないみたいっす」

 

そんなことを心に決めている青年の名前は、司馬懿。字は仲達。

この後、一刀にその名を知られ軍師に大抜擢される見た目は子ども、頭脳は天才な青年であった。

 

何の因果か、一刀による華琳破りの物語は着々と進んでいた。

 

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       後書き

 

消えたのに、消えた筈なのに、、戻ってきてしまった、、、。

 

そんなわけで、第十三話。一刀たちはご褒美で長安を貰いました。

そこで立ち上げる新たな勢力!そして、オリキャラ達!

いや〜、ようやく『三雄録!!!』ぽくなってきました。

 

ホントのことを言うと、こういう話をやりたかったww

前振りなだけの予定だった、陳留編が予想外に長くなってしまった。

 

まあ、書いてて楽しかったから良いけど。

 

 

消えた筈なのに存在する。ある意味、ホラー。

居るのに気づかれないのではなく、居ないのに気づかれないくらい地味に更新して行きます。

 

それでは、まあ、次回。あ、下にオリキャラの紹介を簡単にしときます。

 

 

ドロン

 

 

消えない。

 

 

 

 

    オリキャラ紹介

 

司馬意 仲達

 

言わずと知れた、曹魏キラー。一刀の元で軍師をやってます。ツッコミ担当。

コードネーム、チッチャーイ。あだ名、仲君(ちゅうくん)

身長はちっちゃいです。外見は、Angel Beats!の学生帽君みたいな感じが良いな。

 

 

 

盧植 

 

漢王朝で数少ないまともな人。昔、教鞭をとっていました。ボケ担当。

コードネーム、先生。呼ぶ時は、先生。縁の下の力持ち。

おじいちゃんです。外見は、まあ、別に決めてない。

あんまり出番はなさそうなオリキャラです。

 

 

 

 

 

説明
第二部、建国編。、、、、始動!!
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
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コメント
もう我慢出来ない、面白いです。しかし 4P Extra(エクストラ)はおそらくetc(エトセトラ)の間違いではないかと思います。間違ってたらごめんなさい(mdmc)
ぅおおおおおおおおおおおおおっっっっっっしゃああああああああ!!!!!!!!!!!         お帰りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!(レイン)
にげて仲くん!!メガネと狙われて、はわわとあわわにネタにされるよww(P天使)
aki さん。それが良い。綺羅星!(死力で)(yuuki)
code:breakerさん。意外なとこが来た!(yuuki)
無双 さん。終わりなき悪夢を堪能するがよろしかろう!(yuuki)
信号 さん。ぼつぼつ行きます。(yuuki)
ルーデル さん。ははは、説明が難しくてわかんねえや。(yuuki)
十狼佐 さん。先生はまだまとも!(yuuki)
シズナ さん。ごめんなさい、、(yuuki)
黄昏時の文鳥 さん。喜びは隠さなくていいんです!叫びなさい!(yuuki)
劉邦柾棟 さん。黙秘します。(yuuki)
nameneko さん。流石に一刀達三人じゃ、天下取るのに足りなくね?と、思っての加入。(yuuki)
cherub さん。綺羅星!(yuuki)
readman さん。待っててくれましたか(yuuki)
はりまえ さん。及川のキャラがいまいち掴めてない、俺が居る、、、(yuuki)
朱槍 さん。ははは、言い訳はしない!(yuuki)
黒部 さん。まあ、知らないけど。取り合えず、男の子ですよ?(yuuki)
ここで多くは語りません。・・・稀鑼星っ!!(全力で)(aki)
今、俺が見たことを話すぜ・・・カオスとかそんなちゃちなもんじゃだんじてねぇ・・・もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ・・・。(無双)
ここでまさかのスキップかww 更新楽しみにしています!(信号)
建国って重要なところをスキップしやがったwwなんとゆうかブリーフィングをスタートでスキップレベルとか説明書読まずに精密機器作動させるてきなwww(ルーデル)
コードネーム……本人の意外、嫌味に溢れてませんか?w (十狼佐)
建国編なのにスキップするとは。(シズナ)
気づいたら国ができてた!そして第二部が始まったことに喜びが隠しきれない。(黄昏時の文鳥)
ようやくここからハッチャケ集団の物語が始まるんですね。(劉邦柾棟)
司馬懿も一刀の陣営に来るとはビックリだな。スタドラの綺羅星ネタで来るとはふきそうになった(VVV計画の被験者)
まさかのスタドラ・・・稀鑼星っ!!(cherub)
待ってました。(readman )
及川が出てもいいんじゃない?イレギュラーで(黄昏☆ハリマエ)
いろいろといいたいけど、おもろいか面白いらいい、のりがよくてここで(黄昏☆ハリマエ)
キーー(`・Д・´)ターー!! 待ってましたよ〜!てか本当に建国スキップしやがったwww(朱槍)
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真恋姫無双 一刀 左慈 于吉 司馬懿 盧植 

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