真・恋姫†無双異伝 天魔の章 第一章 降臨 第二話
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3 初陣と出会い

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後漢王朝領北西部、涼州。

 

そこは、後の世に暴君として名を残す魔王、董卓の領地であり、大陸有数の騎馬兵団を擁する大勢力の一つである。

 

黄巾党は、そんな涼州にも相当な数が出現。各地の邑や町を荒らし回りながら、各地で涼州正規軍と衝突を繰り返していた。

 

ここは、そんな戦場の一角。天水という邑にほど近い戦場。ここでは、涼州正規軍(ほぼすべて騎兵)4万と、どこからどういう伝手で集まったものか、涼州黄巾党(うち半分が素人ながらも騎兵)12万が激しく競り合っていた。

 

戦場では、いたるところで剣や槍を交わす際の金属音が鳴り響いている。それと同時に、兵士達の罵倒や雄叫びも間断なく響き渡る。

 

その中で、一際目立つのが、紺色の袴にさらしを巻いた、扇情的ないてだちで馬に跨り、偃月刀を振るう凛々しい女性の姿だった。

 

 

女性

「おらおらぁッ!涼州領主、董卓が一の騎将、張文遠はここにおるでぇ!!命の惜しくない奴はかかってこいやぁ!!」

 

そう言いながら彼女は、馬上で偃月刀を振りかざしつつ、戦場を縦横に駆け抜ける。

 

彼女が獲物を一振りすれば、一気に数人の賊の首が飛び、一声叫べば涼州兵の士気が上がる。

 

中でも、彼女が一度敵の騎兵を睨み付ければ、人も馬も瞬時にすくみ上り、騎兵としての価値を失う。人は馬上から振り落とされ、馬は誰彼構わず踏みつけかき分けながら戦場からの脱走を試み、敵の騎兵と勘違いされて涼州兵や賊兵に多くが殺された。

 

 

張遼

「くっそ!!あのあほ何進めッ!こんな無茶苦茶な作戦で本気で勝てると思うてんのかッ!?」

 

しかし、それにしても敵の数が多すぎた。歴戦の将である彼女が悪態を付くほど、戦況は涼州軍側が不利であった。

 

そこへ、さらに彼女らにとって凶報が舞い込んでくる。

 

 

涼州兵A

「張将軍!西方より砂塵!敵の増援部隊の模様です!」

 

 

張遼

「またか!いったいどんだけ大勢おんねん!?」

 

言っている間にも黄巾党はどんどん増える。それと比例するように、涼州軍の損害もまた増していく。

 

 

張遼

「くっしゃあない!全軍撤退や!急いで後退するで!」

 

 

涼州兵B

「本隊より伝令!『諸君!ここが正念場だ!踏ん張れ!』以上です!」

 

 

張遼

「あほかッ!?正念場なんざとっくの昔に過ぎとるっちゅうねん!!本隊に伝えり!左翼は戦線維持が不可能につき、独断で撤退するとな!!」

 

 

涼州兵B

「はっ!」

 

直後に伝えられた官軍本陣からの命令に、張遼は鼻息荒く反発し、独断で部隊を動かした。

 

 

張遼

「右翼の華雄隊はどうなっとるッ!?」

 

 

涼州兵A

「健在です!ただ、無理に前進を続けようとしているようですが・・・」

 

 

張遼

「・・・ッとに、あの猪め。あれほど月に無理はするなて言われとったやろーに・・・しゃぁない、華雄にはうちから伝えとくけん、お前らは先に行き!」

 

 

涼州兵A

「張将軍!?それはいくらなんでも危険すぎますぞ!!」

 

 

張遼

「心配いらへんて。この神速の張遼、まだまだ賊軍ごときに後れを取るほど鈍っちゃおらんで?」

 

 

涼州兵A

「将軍・・・わかりました。ご武運を!」

 

 

張遼

「おうっ!お前らも気ぃつけや!」

 

 

涼州兵A

「はっ!・・・撤退!全員撤退!急げぇッ!!」

 

そう言うと張遼の部隊の兵達は一斉に後退を始めた。

 

 

張遼

「どけどけぇ!!死にとぅなかったら道開けやッ!!」

 

しかし張遼自身は、窮地に陥った味方を救援すべく、賊軍の真っただ中を単騎で全力で駆け抜ける。

 

 

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一方、その戦場から少し離れた場所にある小山の上には、数的劣勢下において奮闘する彼女達を見つめる集団があった。

 

 

一刀

「・・・どう見る? ジ よ」

 

その集団――いうまでもなく黒の猟兵団である――の先頭に立ち、眼下の荒野を見下ろす一刀は、傍らに控える、黒の猟兵団副団長、羅刹の ジ ――本名を沖田宗平と言う――にそう問いかけた。

 

ちなみに今、ここには猟兵団は、本来の半分の人数しかいない。残りの者達は皆、道中に一刀から別途任務を下賜されて離脱して行ったため、一刀や宗平を含め、人数にして500名程しか残っていない。

 

 

宗平

「やはり賊軍の数が圧倒的だな。このままでは官軍側が賊軍勢力に呑みこまれてしまうだろう」

他人事のような口調で彼は答えた。

 

 

一刀

「えらくお気楽な答えだな ジ よ?」

 

 

宗平

「これから俺らが手助けしに行くんだろう?俺達はこの世界に早く馴染んで諜報活動展開しなきゃいけないのだからな」

 

 

一刀

「おいおい、もう俺が戦闘に介入するのは確定事項なのか?」

 

 

宗平

「違うのか? ムゥ よ」

 

 

一刀

「いや行くけど・・・」

 

 

宗平

「じゃなんでそんな回りくどいこと言うんだ?」

 

 

一刀

「作者の性格ゆえにだ」

 

 

宗平

「?なんだそりゃ」

 

そう言って宗平は首を傾げた。・・・

 

 

一刀

「ちなみにここで、何かトリビアをお一つどうぞ宗平君?」

 

 

宗平

「作者はつい二週間ほど前まで精神病院に通っていたんだそうだぞ」

 

・・・あのぉ〜、前触れもなく作者の黒歴史を晒すの止めていただけませんかねお二方?

 

 

一刀&宗平

「「ヤダッ!!♪」」

 

んな楽しそうに言われても・・・。

 

 

宗平

「あっ、頭!官軍が撤退を始め、賊軍が追走体勢に入りました!!」

 

しかし、そこで戦況が激しく動き始めたため、作者は反論を封じられた。

 

なので、ここからはまたナレーションの立場に戻ろうと思います。

 

・・・いつか仕返ししてやるぞ二人とも。

 

 

一刀

「なにッ!?よぉし、総員駆け足!全速力で官軍と賊軍の間に割り込むぞ!!」

 

 

宗平

「了解ッ!!」

 

そう言うと、それ以降無言で500人の黒装束は、山を駆けおり戦場に乱入した。

 

 

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宗平

「一人も逃がすな。我らの存在を知り、我らに刃を向ける者は一人も生かして戦場から返してはならんぞ」

 

先程とは打って変わって、ぞっとするような低く冷たい声で命令を発する宗平。右耳に装着した長距離通信具『ダンドーの耳』を通すので、小さな声でもすべての隊員に指示がすぐさまいきわたる。

 

猟兵団の団員達は皆、消音銃だけではなく、斧槍や鉤爪、鉄甲、連弩など特徴的な武器で武装している。ここに残っているのは斧槍を主体とする重歩兵と鉄甲を装備する格闘歩兵、そして連弩で武装する重射兵である。特に重射兵が持つのは、影の国が誇る特殊研究機関『十三工房』が開発し、現在はすでに退役しているはずの骨董品、“71式連弩砲”である。用途に合わせて単装から九連装まで存在するこれは、単装形式の場合、滑車を回すと毎分100発の間隔で矢を放つことが出来る優れもので、今回のように少数の兵で大軍を相手取るときには特に威力を発揮する。

 

通常の弩と同じように、弓とはまた違った特殊な矢を使用するため、矢の生産は弓用の物とは別物にしなくてはならないが、それでも初速が早く、比較的弾道が安定しているため、攻城戦や防衛戦にも使うことが出来る。

 

 

賊A

「ヒッなっなんだこいつらはッ!?グハァッ!!」

 

 

賊B

「馬鹿なッ!なんでこいつらこんなに静かなんだぁあがぁッ!!」

 

目の前の賊を、あるものは斧槍でまとめて薙ぎ払い、あるものは鉄甲の一撃で砕き割り、またあるものは連弩砲の一連射で針山のように変える。

 

 

先陣切って刃を振るうのは、無論指揮官である一刀である。

 

本当は双剣使いである彼だが、今は陣頭指揮を執っているため、旧日本軍の伝統にのっとり、指揮官用の軍刀を振って戦っている。

 

しかもただの日本刀ではなく、大陸風の拵えを施した大陸版日本刀、『倭刀』と呼ばれるものである。正式名称を特02式軍刀『虎』型といい、これは刀剣マニアであった十三工房長平井美咲博士の弟で、やはり規格外の頭脳の持ち主である平井雅人教授が、趣味の一環で作った非公式の軍刀である倭刀『虎刃』を基に作られている。正式装備である04式軍刀『影断(かげたち)』型と同様、新型超合金フェザーメタルで構成された刀の切れ味は鋭く、また分厚い要塞の防壁すら一撃で両断しうるほどの強度を併せ持っており、前線に立つ者には非常に心強い存在である。

 

今はリベル=アークの在留部隊臨時司令官を務める、一刀の親友であり右腕でもある及川祐こと羅刹の チ や、リベル=アークの都市機能管制を任せている、彼のもう一人の親友で左腕でもある早坂章仁こと羅刹の キ も、かつては一刀と並んで武を智を振るう魔戦士であった。二人とも一刀と同じく影の国上級幹部の嗜みとして神威流拳法の免許皆伝を持つ他、及川は倭刀術の一つである苗刀術の使い手であり、早坂は近接格闘術最強の流派である、幻想流と呼ばれる破壊と捌きに特化した古流武術の伝承者であり、この三人を称して『破壊衆』と言う通り名が生まれたほどだ。その通り名の表す通り、彼らが現れた戦場には、文字通り無限の荒野しか残っていないという有様であり、それが敵勢力に対して大変な脅し道具の一つとして活用されていた。

 

・・・もっとも、同じようなものがあと30近くあったから彼らだけの功績ではないのだが・・・。

 

 

一刀

「ふぅ、数は多いけど、質は大したことないみたいだなっとッ!!」

 

 

「ズゲバッ!!」

 

一刀からすれば早歩きの気分で戦場を駆けながら、彼は目につく賊を片端から斬り捨てていった。

 

 

一刀

「爺ちゃんの方が俺の万倍強いからなぁ・・・神威流やら北郷流やらを片端からものにしても全然歯が立たなかったし」

 

しかし、そんな彼の脳裏に浮かぶのは、半年前、第三次大戦の煽りを受けて命を落とした、彼の恩師ともいうべき祖父との思い出であった。

 

彼が魔人として通用するほどの力を手にするに至った、その基盤を築いた希代の武人。北郷顕刀(あきと)の名は、今も彼の中では超えるべき目標として輝き続けているのである。

 

 

宗平

「 ムゥ よ。あらかた掃討は終わったぞ」

 

 

一刀

「そうか。では、次はあの未だ官軍との抗争を続ける、無知無能なる外道どもに引導を渡しに行くとしよう」

 

 

宗平

「御意」

 

そう言うと彼らは、最後に残った賊勢力を重射兵が掃討し、それを見届けたうえで全速力で陣中を突っ切った。

 

それは奇しくも、張文遠将軍が華雄将軍の部隊へ単騎駆けを始めた直後のことであった。

 

 

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もうどれくらい殺しただろう

 

無限に現れるとも錯覚しかねないほどに沸いて出てくる賊兵を斬って斬って斬りまくって、彼女が到達したのは、自分の隊と反対側の陣を指揮していた戦友の部隊だった。

 

 

張遼

「華雄!華雄はどこやッ!?」

 

 

華雄

「私ならここにいるぞッ!張遼!貴様いったい何しに来たッ!?」

 

張遼の呼び声に答えたのは、これまた珍妙な、蝶が乱舞しているような模様が描かれた、紫色のチャイナドレスを着た女性だった。手には巨大な血塗られた斧槍が握られている。

 

 

張遼

「撤退や!本隊が後ろに下がりよるけん、もううちらが踏ん張っとる意味が無くなったんや!」

 

 

華雄

「なっなんだとっ!?」

 

 

張遼

「やけん、あんたもさっさと部隊を下げぇ!これ以上粘っても百害あって一利なしやで!!」

 

 

華雄

「むぐぐ、だっだが・・・」

 

張遼の気迫に押されながらも、彼女自身のプライドが彼女の判断を鈍らせる。

 

 

張遼

「だがもくそもあるかい!!ここで死んだら、あんたはもうあの姫さん達に再戦する機会すらなくなるんやで!?」

 

 

華雄

「ッ!!?・・・」

 

張遼のもたらした事実と提案に反発し続けていた華雄だったが、張遼のその一声で一瞬表情を強張らせ、それから少しの沈黙を経て、決断を下した。

 

 

華雄

「・・・わかった。軍を引こう」

 

 

張遼

「よっしゃ!あとはどんだけ追撃部隊を削り取れるか「伝令ーー!!」やな――ってどうしたッ!?」

 

 

涼州兵C

「あっ張遼将軍もおられましたかッ!」

 

 

華雄

「随分慌てているが、いったい何があった?」

 

張遼の思考を遮って現れた兵士に、張遼と華雄はそう聞き返した。

 

 

涼州兵C

「はっ!張遼隊が後退したのを見て追走に移ろうとしていた賊軍が、突如出現した正体不明の部隊によって、瞬く間に殲滅されました!!」

 

 

華雄

「なっなんだと!?」

 

 

張遼

「なんやてッ!?」

 

その兵士がもたらした報告に、二人は揃って驚愕した。

 

しかも、報告にはまだ続きがあった。

 

 

涼州兵C

「なお、その部隊は左翼の賊軍殲滅後、目を見張るような高速でこちらに向かっております!両将軍、ご指示を!!」

 

 

華雄

「こちらに向かっているだとッ!?」

 

 

張遼

「少なくとも敵やないみたいやな。なら、その正体不明の部隊っちゅうのが到着するまで、ここで堪えるで!一遍その面拝ませてもらおうやない『ドガアアアァァァァンッッッ!!』かッていきなりなんやぁッ!?」

 

追加の報告に華雄は驚いたが、張遼は冷静だった。だが、またしてもそんな彼女のセリフを遮り、今度は耳を劈く轟音が周囲に響き渡った。

 

 

張遼

「なっなんやあれはッ!?」

 

 

華雄

「おいッ!貴様の言っていた正体不明の部隊とは、彼奴らのことかッ!?」

 

 

涼州兵C

「はッはいッ!!間違いありません!!」

 

 

華雄

「・・・なるほど、賊が滅ぶわけだ」

 

その轟音の正体を見止めた涼州軍は、将兵を問わず騒然とした。何故なら彼らの目の前には、巨大な噴煙がいくつも立ち上っていたからだ。

 

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一刀

「・・・なんとか、間に合ったようだな」

 

そう言いながら周囲を見渡すのは、言うまでもなく一刀である。

 

今彼の周辺で繰り広げられているのは、戦闘と呼ぶにはあまりにも一方的に過ぎる戦いだった。

 

いかに官軍を圧倒する人数を誇るとはいえ、所詮は戦に素人なゴロツキどもの集団に過ぎない。元の世界でも超一流と言われ、世界最強と言われたアメリカ特殊作戦軍最強の白兵集団ブラッドベレー――グリーンベレーから発展した組織。十人もいれば中規模途上国一つを壊滅させることも出来ると言われている。――をたった一人で壊滅させる“兵士”が集まった軍団である。ブラッドベレーの足の爪先にも及ばぬ小者どもが敵う相手ではなかった。

 

 

宗平

「やることはさっきと大差ない。徹底的に殺しつくせ」

 

 

兵士達

『御意!!』

 

一言そう言うと、黒衣の兵士達はてんでバラバラに賊軍の中に突っ込んでいった。

 

 

それからは一方的な蹂躙劇だった。

 

突如涼州軍と黄巾党の戦闘に乱入してきた、正体不明の黒装束の一団は、総数わずか500名と少なかったものの将兵の質でその劣勢は補って余りあるものであり、数十万はいようかという黄巾党は瞬く間にその数を減らしていった。

 

 

張遼

「・・・(唖然)」

 

 

涼州兵たち

『・・・(呆然)』

 

 

華雄

「圧倒的だな・・・」

 

張遼・華雄以下、涼州軍将兵全員が、その光景に我を忘れて見入っていた。

 

500人の黒装束は、時に個人に分かれ、時に一団にまとまって敵の攻撃を捌きつつ、信じられないような戦闘能力を発揮して逃げ惑う賊徒を根絶やしにしていく。

 

しかも幾人かの、将と思われる者達の戦果は目覚ましいものがあり、中には賊が繰り出した刀や槍を見慣れぬ剣で諸共両断する者や、飛んできた矢を素手で叩き落としたり、あるいは投げ返して賊を殺傷するような者まであった。

 

そして、戦闘開始からわずか1時間後、地平線を埋め尽くさんばかりに展開していた黄巾党は、その8割が骸と化し、残りも全員が重軽傷を負って、正気を取り戻した涼州軍によって拘束された。

 

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黄巾党の生き残りを連行する部下達を尻目に、張遼・華雄両将軍は、数人の伴を引き連れて、今まさに身を翻して戦場を去らんとしている黒装束の集団に向かって駆けて行った。

 

一方の黒装束達も、こちらの行動から相手が官軍の高官らしいと分かったらしく、他とは一風変わった格好の人物が前に進み出てきた。

 

 

一刀

「・・・」

 

 

華雄

「貴殿が、この部隊の長か?」

 

 

一刀

「そうですが・・・あなた方は一体、どなた様ですか?」

 

華雄の問いかけに、一応出向きはしたが不信感を拭えないと言った態度でその男は尋ね返してきた。

 

 

華雄

「これは失礼した。自分は涼州の将軍、華雄と言う。貴殿の名を、うかがってもよろしいかな?」

 

 

一刀

「なんと、官軍の将軍さまでしたか。これはとんだご無礼を(っておい、華雄と言えば孫文台に敗れたとかいうあの剛将華雄のことか?なんで女体化してんだよ・・・)」

 

彼女の名を聞き、一刀は一見平静を装っていたが、内心ではものすごい勢いで“?”が乱舞していた。

 

しかし、相手がれっきとした官軍の将であるのは確かなようであり、即座に彼は頭を下げて謝罪し、名乗った。

 

 

一刀

「自分は、この義勇軍『黒の猟兵団』を率いている者で、 ムゥ と申します。申し訳ありませんが、これ以上名乗るのは我が部族の禁忌に触れることになりますゆえ、ご承知くださいますよう」

 

そう言うと一刀は頭を下げた。

 

それに対して華雄は、気にするなといい、一刀が口にした部隊名について考えていた。

 

 

張遼

「しかし、黒の猟兵団か・・・聞いたことないな」

 

顎に手を当てながら、張遼が言った。

 

 

一刀

「まだ立ち上げたばかりですので。ところで、あなた様は?」

 

それに答えながら一刀は、彼女に名を尋ねた。

 

 

張遼

「おっと、すまんかったな。うちは姓は張、名は遼、字は文遠。華雄と同じ涼州董卓軍の将や」

 

 

一刀

「ほぅ、あなたがあの“神速”と名高い張文遠将軍ですか(おいおいおいおいッ!張文遠と言えば『張来来』の掛け声で有名な、あの張文遠かよ!なんでこっちも女体化してんのさッ!?・・・でも、もし本物なら凄ぇことだよな・・・ふひょッ!!)」

 

そうして名乗った張遼に対し、一刀は冷静な口調で応じながらも、内心では驚愕と興奮を爆発させていた。

 

 

張遼

「へぇ、あんたうちのこと知っとるんかいな?」

 

 

一刀

「無論です。涼州の張将軍と言えば、大陸最強の騎兵の一人とまで言われるほどの名将と聞き及んでおります(そりゃそうだ!“神速の張遼”と言えば、その名を聞いただけで味方は奮い立ち、敵は士気を喪失するとまで言われるほどの猛者だぞ!知らないはずないだろう!!)」

 

 

張遼

「うひょ!うちってばそんな有名なんッ!?」

 

 

一刀

「ええ。涼州軍でも一、二を争うほどの実力者だと聞いております」

 

これでもかというくらい褒めちぎられ、張遼はこれ以上ないというくらい顔を綻ばせた。

 

 

華雄

「・・・」

 

そんな張遼を、華雄は複雑な表情で見つめている。

 

同僚ばかり褒められて、自分には一切見向きもしないとい彼らの態度が、不満でならないのだ。

 

しかし、そんな彼女の不満などどこ吹く風。一刀は張遼と瞬く間に親交を深め、遂には真名と言うものまで預かってしまった。

 

だが、一刀はその真名と言うものを知らなかったので、思わず聞き返した。

 

 

張遼

「えぇッ!?あんた真名のこと知らんのかいッ!!?」

 

上のように張遼にものすごく驚かれたが、それでも彼女は真名についてきちんと説明してくれた。

 

曰く、真名とはその者の本質を表す神聖な名であり、本人の許可なく真名を口にした場合、最悪その場で殺されても文句の言えぬという、言うなれば、この世界の人間にとっての信頼と誇りの象徴ともいうべきものなのだそうだ。

 

 

一刀

「なんと・・・そのような大切なものを自分に?」

 

 

張遼

「おぅ!久しぶりに面白そうなやつに会えたからな!と言うわけで、うちの真名は“霞(しあ)”や!よろしゅう!」

 

 

一刀

「ふむ・・・ならば、こちらも相応の礼を示さねばなりますまい。我が一門の掟に従い、私の本名を、あなたに明かしましょう。・・・私の本名は、姓は北郷、名は一刀。改めて、よろしくお願いします」

 

 

「へぇ、あんた、字がないんかいな?」

 

 

一刀

「ええ。自分の故郷には、字と言う風習がないので。ついでに真名も初めて知りました」

 

そういうと、霞は二度驚いたようだが、一刀が故郷のことを一通り話すと(都合の悪い部分は適当にごまかしたが)、納得したように大きくうなずいた。

 

 

「ほんなら、うちは一刀って、呼ばせてもらうけど、ええ?」

 

 

一刀

「ええ、構いませんよ霞殿」

 

 

「そんな堅苦しい言葉使いなんかせんでもええがな!タメ口で呼び捨てでええよ!」

 

 

一刀

「いや、それはさすがに「嫌か?」いや、嫌か嫌じゃないか以前に・・・わかったわかったわかりましたよ。そんな捨てられそうな子犬の目で見つめられたら断れませんて・・・で、これでいいかい?霞」

 

 

「おう!ええで!」

 

そういうと、二人は固い握手を交わした。

 

そして一刀は、部下達と共に、成り行きで華雄と霞の主君である、董卓と面談することになったのであった。

 

 

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こんばんわ。前回からだいぶ間が開いてしまった海平?と申す者です。

 

さすがに第一回から第三回までのものは、内容が雑すぎる上に短すぎるだろうと考え、今回は内容を多めにしてみました。

 

少し書き方を変えてみたのですが、いかがだったでしょうか?もっとこうした方がいい、ここはおかしいからやめた方がいい、などというご意見がございましたら、お知らせください。

 

あと、あとがきで設定資料などを公開するのも、熟考した挙句止めることにしました。でないと、自分が掲げるご都合主義万歳な展開に支障をきたす恐れがあるかもしれないからです。

 

これからもこんな駄作を書き続けていきますが、これからもどうぞご支援、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

 

短いですが、これで今回のあとがきを締めさせていただきます。

 

次話投稿はもっと遅くなると思います。ご了承ください。何分作者も学生身分なもので。

 

では、今日はこの辺で失礼します。

説明
作者の実力不足につき、拠点パートや時代背景、人物同士のつながり方などがかなり無茶苦茶にまとめられています。また、作者自身が人真似万歳主義者兼キャラ崩壊至上主義者兼御都合主義者なため、ストーリーもかなりひどいです。それでもいいという方はお読みください。そうでない方は即、戻るボタンをクリックすることを推奨します。あと、作者の実力向上のために、是非ともご意見ご感想等、よろしくお願いいたします

なお、本作品には実在する武術や武具、兵器などが登場しますが、現実のものとは一切関係ないため、実物と違っていてもどうか黙認していただけると幸いです。
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