にんぎょう
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 チクチクチク。

「……っ」

 チクチクチクチクチク。

「………………」

 チク。

 

「――で、出来た♪ えへ、えへへっ♪ ついに一夏人形が完成したよ」

 この一夏人形を相手にアプローチの練習をして、本番に備えるんだ。

 ちょっとだけ恥ずかしいけど、試しに何かやってみよう。

「え、えっと……一夏。その、今度僕と……で、でで、デートをしてくれないかな?」

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!

 は、恥ずかしい! 人形相手なのに、この恥ずかしさは何なの!?

 ただの練習で恥ずかしいのに、一夏本人を前にしたら僕どうなっちゃうんだろ?

 うぅ……でもだからこそ、練習をする意味があるんだよね。

 よし! もっと練習を……

「い、一夏。あのね、僕……一夏のことがす、好き……なんだよ」

 きゃ〜〜〜〜っ! 言っちゃった! 人形相手だけど好きって言っちゃったよ。

 う〜顔が熱い。恥ずかしさでもの凄く顔が熱くなってるよ。

「か、顔を洗おう」

 水で顔を洗って冷やそう。冷やして少し心を落ち着かせよう。

 こんな状態を見られたら言い訳なんて出来ないし――――っ!?

 

「――い、一夏……?」

「お、おう……」

 え? な、何で!? 何で一夏が僕の部屋に居るの!?

 いや、そんなことよりさっきの聞かれた!? もし聞かれてたりしたら僕は――

「あ、あの……シャル?」

「ひゃ、ひゃいっ!?」

「さっきの言葉って……」

「――――っ!?」

 や、やっぱり聞かれてたよ! ど、どうしよ。ここはなんて言うのが正解なの!?

「い、一夏。あのね、あれはその……」

 こ、言葉が出ないよ。なんて言えばいいのか全然分からない。

「――ごめん!」

 情けないけど、今は逃げよう。本来ならここで告白とか出来たらよかったんだろうけど、

残念ながら僕にそんな勇気は無い。

 もし一夏に振られて、今の関係が崩れるのが恐いから。

 だから今は逃げよう。

「しゃ、シャル! 待ってくれ」

「――い、一夏?」

 逃げ出す僕の腕を一夏が掴む。

「その、俺の聞き間違いじゃなかったら、俺のこと好きって……」

「あうぅ……」

 あれはその、違うんだよ! 確かに一夏のことは大好きだけど、まだそれを言うつもり

はなくて……うぅ、えっとなんて言えばいいのかな? うーあー。

「冗談じゃなく、本気で想ってくれてるのなら、もう一度聞かせてくれないか?」

「え……?」

「あーその、あまりこういうタイミングで言うのはズルイかもしれないけど、俺もシャル

のことが好きだから……」

 ええ〜〜〜〜〜っ!? い、一夏が僕のことを好きって!?

「そ、その……友達的な意味じゃなくて?」

「ああ。異性として好きだ」

 〜〜〜〜〜〜〜〜っ! こ、これって夢じゃないよね? ほ、本当に一夏が僕のことを!?

「あ、あぅ……うぅ……」

「シャル。俺はシャルが好きだ」

 一夏の告白。他の誰でもなく一夏が僕に向けて言った言葉。

「ぼ、僕は――」

 だったら、僕からの言葉は決まっている。

 ただ一言。人形相手じゃなく、一夏本人へ――

 

「一夏。大好きだよ♪」

 

説明
ほわぁぁあ!
シャルです!シャルなのです!ああ、シャルだ!
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コメント
こっちが恥ずかしくなってくる(samidare)
という夢オチでした。ってなったらおもしろい(VVV計画の被験者)
タグ
インフィニット・ストラトス 織斑一夏 シャルロット・デュノア 

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