真・恋姫†無双~江東の白虎~ 第弐章 18節~巳水関の攻防~
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この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

更に、オリキャラが出ます。

 

その点を踏まえて、お読みください。

 

嫌悪される方は、ブラウザ左上の←または、右上の×をクリックすることをお勧めいたしますっす。

 

それでもOKという方は、ゆっくり楽しんでいってくださいっす。

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~曹操軍~

 

「……」

 

華琳達は、今目の前で起こった現実に、戦慄していた。

 

「秋蘭、もし貴女があの太史慈の場所に居たとして、成功させられる?」

 

何か、確かめるかのように、後ろに控える二人に聞く。

 

「……悔しいですが、無理としか言えません。 私では恐らく、放った矢は弧を描いて、そのまま地に落ちるだけでしょう」

 

その華琳の問いかけに、夏侯淵こと秋蘭は悔しそうな表情をして、そう言った。

 

「いえ、構わないわ。」

 

華琳は、無理だとわかっており、確認の為に彼女にそう聞いただけなので、さして気にした風も無く、そう返した。

残る連合の中で実行できる可能性があるのは、袁術の客将、孫策の下にいる黄蓋だが、あくまで可能性の話だ。

実際に実行して見せよと言って、実行できるのは、実行して見せた太史慈だけだろう。

だが、見ていた感じ、発射するまでにかなりの時間を要した事から、一騎打ちや乱戦状態では使えないのだろう。

 

「ふっ……面白いじゃない」

 

だが、華琳はそう言って、ニヤリと笑ったのだった。

 

 

~凪・真桜・沙和~

 

一方、こちらは一刀の弟子三人が、彼の常識を外した戦闘方法に、驚きを隠せなかった。

 

「私達は、まだ師匠の前にすら、立たせてもらえていないのだな」

 

そして、同時に自分達は足元にも及ばないとか、そんな次元の話じゃないと凪思った。

自分達は、あの英雄の前に、対峙すらさせてもらえて無い事が、是でハッキリしてしまったからだ。

 

「みたいやな。 でも、流石うち等のセンセや、そう簡単に前に立たせてくれんのは、当たり前やんな」

「ホントなの。 これじゃ前に立たせてもらう為に、あと何年掛かるか分かん無いの」

 

久しぶりに見る一刀の戦闘に、三人はそう感想を述べた。

だが、そう言った三人の表情は、どこか嬉しそうでもあった。

 

「ああ、だが、超えよう。 私達三人で、師匠を!」

「おう! あったり前や!!」

「うん! 沙和もコレだけは、頑張るの!!」

 

何れ一刀と戦うことを念頭に置いていた三人は、自身の師を超えると言う目標を再確認したのだった。

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「お疲れさん、劉備」

「あ、孫江さん、この度は、本当にありがとうございました」

 

巳水関侵攻が終わり、一刀は劉備達に労いの言葉をかけに言っていた。

全員に等しく声をかけたあと、一刀は改めて劉備の方を向く。

 

「劉備、ウチの妹からな、上に立つ者のちょっと先輩からの2つの助言を預かってる」

「助言ですか?」

 

一刀の言葉に、劉備は少し首をかしげた。

 

「ああ。 1つは『鵜呑みにする事無かれ、されど信じぬ事無かれ』だ」

「『鵜呑みにする事無かれ、されど信じぬ事無かれ』……ですか?」

 

少し難しいのか、眉を顰めて一刀に聞いて来る。

 

「そう。 ようは、『物事には必ず裏と表があるの。

その裏を読めるようになったら、きっと一人前の太守になれると思う』だそうだぜ」

 

まだ唸っている劉備を見てそう言う。

 

「そして2つ目は、

『理想だけでなく『己の道』是を見つけなさい。そしたら、何が何でもそれを貫き通せ。

たとえ周りに何と言われようとも、武力で押し通す事になっても、絶対にね』だとさ。 これは劉備、君だけじゃない。 君の仲間たちにも言えること、『自身の意思』を揺るがぬ物にするためにな。 上に立つ君にはそれだけで強さになる」

 

余りの真剣な一刀の眼差しに、暫し息を呑んで硬直する劉備。

そして、一刀の助言を出来うる限りで、己の頭の中で理解しようとするが、分からない

 

「私の強さ……。 孫江さん、貴方の『道』って、何ですか?」

 

一刀の助言の後に、劉備は『己の道』にヒントが欲しいのか、そう一刀に聞いて来る。

だが、一刀は、その質問に答えなかった。

 

「俺の『道』か? う~ん、今は秘密だな。 教えて欲しければ、自分の『道』を見つける事だ。

ただし、人に教えてもらうなよ。 それじゃぁ、お前には全く進歩は無いからな」

 

はぐらかされた感じは否めないが、確かに他人の事ばかりでは、自分に進歩は無いと思い、それ以上は質問をしなかった。

 

「……はい、難しいですけど、頑張ります! 孫策さんにもそう伝えてください!」

 

そう言った彼女の顔は、戦前より幾分か輝いていたと思う。

 

「うん。 じゃ、俺はそろそろお暇しよう。 華雄に聞かねばならん事が多いんでな」

 

後ろから、劉備たちの沢山の感謝の声を聞きながら、一刀は自分の陣に戻って行った。

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~天幕~

 

 

「お疲れ、凱。 華雄は起きたか?」

「おう、お帰り一刀。 ご覧の通り、まだ眠ったままだ」

 

陣に戻って、華雄の眠っている天幕まで行くと、

凱が華雄の眠っている隣に座ったまま、居る入り口の方に首だけを向けて言う。

だが、其れが災いしたのか、突然寝ていた華雄が起き上がり、凱の首に腕を回して羽交い絞めにした。

 

「あー、おはよう華雄。 とりあえず、起きたんなら座れや」

 

そう言って一刀が近づこうとする。

 

「動くな! こいつの首が、どうなるか分からんぞ」

「ぐっ……」

 

そう言って凱の首を少し絞めたのか、凱が少し苦しそうに顔をゆがめる。

それを見て、一刀は溜息をついてこう言った。

 

「はぁ。 凱、やって良し」

「はぁ、仕方ない……!」

 

一刀がそう言うと、凱も溜息を吐いて、そう呟いた後、

首に回されている華雄の両腕のツボを指で押し、氣を流し込む。

 

「!? な、なんだっ!? これはっ!?」

 

少々の痛みが腕に走った瞬間、凱の首に回していた両腕がダラリと下がり、全く動かなくなった。

それに驚いた華雄は、距離をとろうと凱に左回し蹴りを繰り出すが、簡単に受け止められ、

 

「無駄だ」

「な!? きゃぁっ!?」

 

凱は、華雄が軸にしている右足のツボを指で突きながら、氣を流し込む。

すると、足にも力が入らなくなり、華雄は後ろに転げ、

突然足から力が抜けて、驚いたのか華雄は、可愛らしい悲鳴を上げた。

是は、五斗米道の技で、元々麻酔の代わりに使われている『亞点』と言う物だ。

ツボを突いた部位の神経伝達を無理やり遮断し、麻痺させかつ触覚のみを残すと言う、

『擬似植物状態』にしてしまう、ある意味恐ろしい技だ。

ただ、無理やり遮断するだけなので、普通の麻酔を使った時より効果は極端に短く、

長く持って一刻、短くて四半刻しか持たないと言うのが玉に瑕だ

 

「さて、じゃあ大人しくなってもらった所で、お話し合いと行きましょうかね。

凱、出来れば雪蓮、冥琳を呼んで来てくれ」

「分かった。 俺もやる事があるから、彼女達だけ向かわせるが、構わんな?」

「ん、了解」

 

一刀が了解の返事をすると、凱は雪蓮達を探しに天幕を出た。

其れと同時に、一刀は大人しくさせられた、華雄を起き上がらせて、彼女の目の前に座る。

だが、華雄は一刀を射殺さんばかりに睨みつけ、喚いた。

 

「貴様等と話すことなど、何一つ無い!! さっさと、私の首を刎ねれば良いだろう!!!」

 

怒りの形相でそう怒鳴りつける。

 

「董卓を助けるかも知んないのに、その将の御前の首を刎ねろと?」

 

だが、一刀がそうもらした瞬間、華雄の表情は怒りから、驚きに変わる。

 

「なに!? 其れは本当か!?」

 

今動くだけの左足で、一刀ににじり寄る。

だが、彼女は今両腕が仕えない状態なので、そんな無理な体制をしてしまえば――。

 

「あ!?」

「おっと……」

 

ぽす。

必然的に体のバランスを崩し、一刀の方に倒れこんだ。

 

「随分と大胆だな」

「う……」

 

恥ずかしかったのか、華雄はほんのり頬を染めて、一刀から視線を逸らす。

そんな華雄の様子に、一刀は少し悪戯心が鎌首もたげる。

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「そんなに、俺に構って欲しかったのか? 可愛いなぁ」

 

そう言って、一刀はできる限り妖艶に笑み、華雄の頬を優しく撫でる。

 

「そ、そんなわけあるかぁ!! た、ただ、わた、わたしは!!」

 

一刀にそうされて、華雄は顔を紅くして狼狽する。

それに気を良くした一刀は、意地の悪い笑みを浮かべて、

 

「その割には、全く嫌そうな顔をしてないぞ? それにがんばれば自分から離れることも可能だろう?

ああ、もしかして、俺にこうして虐められて、悦んでるのか? このへ・ん・た・い」

「そ、そんな、事は……な、い。(無い、はず……だというのに、なんだこの恍惚感は!?)」

 

華雄の泣きそうな様子がおかしくて、一刀はくすっと笑い、華雄を起こしてやる。

 

「悪い悪い。 少し悪戯が過ぎたな」

「くっ……か、からかうな!」

 

一刀にそう叫ぶが、顔が紅いままなので、一刀からしたら可愛く見えるだけなのだが。

一刀が、華雄から離れた時に少しだけ残念そうな顔をしたのは、見えなかったようだ。

 

「じゃ、本題に入ろう」

 

そう言って、一刀は真面目な表情になり、懐から明命に調べさせた調査書を翻訳した巻物を取り出す。

 

「華雄、是に書いてあることは、間違いが無いか? あ、字読めるか?」

「私も将だ。 その位は出来る」

 

そう言って、華雄に見えるように巻物を見せる。

華雄も、見せられた書の内容を読み取っていく。

 

「……うむ、間違い無い。 董卓様は、ほんにお優しい方だ。 洛陽の民をとても慈しんでおられる」

 

思い出すかのような華雄の表情と目に、一刀は本心から出た言葉だと思った。

 

「そうか。 よし、なら俺も頑張って董卓を助けますかね」

 

そう言って、一刀は華雄を見る。

自然体で居るのに、内から零れる一刀の覇気に華雄は、目を奪われていた。

 

「条件があるわ」

 

と、其処に何時の間に入ってきたのか、雪蓮が二人に向かってそう言った。

 

「! 孫策……」

「雪蓮、居たのか? 居たんなら、声をかけてくれれば良いのに」

「仕方ないじゃない。 今、丁度一刀が華雄を説得してる所だったんだから。 邪魔しちゃ悪いでしょ?」

 

そう言って、少しおどけてみせる雪蓮だが、直ぐに表情を引き締めた。

 

「で、条件だけど、董卓達を助けたとしても、私達の下から離れない事。

そして、完全に呉に降る事よ。 勿論、貴女には孫呉の将として働いてもらうわ。」

「……構わん。 もとより私達に、行く当てなど無いし、私の我が侭で、月様を危険な目に遭わせたくは無い」

 

雪蓮の提示した条件を、少し考えた後で、華雄は引き受けた。

 

「へぇ、猪かとも思ったけど、案外考える事ができるのね?」

「……私は将だ。

確かに、自分にそういう癖があるし、我が誇りとも言うべき牙門旗を燃やされた事を、忘れたわけではない。

だが、部下の命と董卓様のお命、その総てを見据えれば其れが良いと思っただけだ」

 

董卓達の命と部下の命が助かるのなら、自分が降る程度で済むのなら、其れに越した事は無い。

雪蓮は華雄の瞳を見て、嘘が無い事を悟る。

 

「其処まで言うのなら、私は貴女に真名を預けましょう」

 

するとそう言って、雪蓮は華雄に真名を告げようとした。

 

「……私には真名が無い。 だから、孫策の真名を受ける事は出来ぬ、すまん」

 

だが、彼女はそう言って、悲しそうに顔を伏せた。

それを見て、少ししまったと言った表情をする雪蓮。

少しの間、沈黙が流れる。

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「華雄、お前が良かったら、俺の名『江』を真名としてやろう」

「え?」

「一刀?」

 

その沈黙の中、一刀が行き成りそう言ったのだ。

 

「真名が欲しいのなら、俺の名、江をやる。

この名だって、我が義母、孫堅から貰った大切な名だ。 本当は、他人にやるべきでは無い」

 

そういう、一刀の表情は真剣。

 

「だが、もし受け取るなら、俺は快くお前に『江』を、お前の真名として授けよう。 如何する?」

「……」

 

その一刀の言葉に、暫く目を瞑って考える素振りを見せる。

そして、少し経つと目を開き、まだ感覚が鈍いのだろうか、ぷるぷると震える両手を胸の前に持って行き、『握拳』の礼をとった。

 

「我が姓は華、名は雄、真名は『江』、只今を持って、呉の、将となる事を此処に誓う!

我が真名、『江』の通り江東の象徴、長江の如く大きな存在となって見せよう!」

 

そう言った。

その華雄――江の目は、歓喜と感謝の念が映っていた。

その証拠に、目尻からは涙が流れていた。

華雄は、生まれて直ぐに親を亡くし、14になると育ての親も亡くし、

字も、真名も付けてくれる相手が居なかったのだ。

其れ故に字と真名、特に自分を表す名前である真名には、最大の憧れを抱いていたのだ。

それが今、自分に授けられた事によって、嬉しさが形となって現れた瞬間だった。

 

「おう、頑張ってくれよ。 俺は、一刀だ」

 

そう言った華雄を、一刀は笑顔で迎えた。

 

「私の真名は雪蓮よ。 よろしくね『江』」

「はっ!!」

 

雪蓮は、そんな義兄を見て、やはり敵わないと笑みを浮かべた。

 

――ガヤガヤ!! ガヤガヤ!!

 

「ん?」

 

そのやり取りをしていて、外の煩さに気がつかなかったが、急に天幕の入り口が開いて、凱が焦った顔で天幕に入ってきた。

 

「はぁはぁ、一刀、雪蓮!! 袁紹が劉備達を連れて、虎牢関に進軍したぞ!!!」

「はぁっ!?」

「……は?」

 

一刀は、凱の発した言葉を理解するのに、数瞬の時を要した。

凱が呼びに来て、事の次第を理解した一刀は、軍義を行う中央の大天幕に居た。

 

「あの阿呆!! 死にに行くなら、一人で行けよ!!」

 

勝手に劉備を連れ出し、虎牢関に進軍した袁紹を追うべく一刀達は、向かっていた。

利害の一致によって華琳たち曹操軍、正義感によって公孫賛軍、馬騰軍、が同行してくれた。

袁紹を基盤としたこの連合で、お飾りとは言え袁紹が討ち取られてしまえば、大打撃は間違い無い。

だが、一刀達が着いた頃にはとんでもない状況だった――。

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~虎牢関~

 

「……来た」

「みたいやな」

「流石、愚か者袁紹。 数だけ集めているのです」

 

彼女達は、虎牢関の上から群がっている蟻を見下していた。

その瞳には、怒りが渦巻いていた。

自分の友を貶めた怒り。

洛陽の民達を危険にさらそうとしている怒り。

だが、その怒りが彼女達を逆に冷静にさせた。

 

「恋殿、張遼、お二人で出来る作戦をお教え致しますのです」

 

そう言った陳宮の言葉に、二人は耳を傾けた。

 

 

~虎牢関・夜~

 

袁紹たちは余りにも急いで虎牢関に来てしまった為、

兵と軍馬は疲れてしまい、流石に休息を取らなければならなかった。

 

ポツ。

ザーッ!!

 

しかも、急な豪雨が襲った。

この豪雨により、袁紹は戦を仕掛ける事は暫くの間出来ない。

そう、"袁紹側"からは――。

 

ドドドドドドドッ!!!!!

 

「な、なんだ!?」

 

陣の警備をしていた関羽と星の耳に、突如地の底から響くような音が聞こえた。

 

「! これは、蹄の嘶き(いななき)だ!!」

 

聞き覚えの有るその音の正体を悟った瞬間、騎兵が自陣に雪崩れ込んで来た。

夜でしかも豪雨の為陣の火は消え、暗雲で月光も届かず、

敵の姿も満足に目視できない状態だったため、数も確認できていない。

 

「れ、麗羽様ぁ! や、夜襲ですっ!!」

「何ですって!? そんなもの、追い散らしてしまいなさい!!!」

「で、でも突然の夜襲に、皆混乱してます!!」

 

この突然の夜襲に、袁紹達の陣は混乱を極めた。

 

 

――先ず、兵の半分を張遼殿が率いて、関からこっそり出て袁紹勢の後方を叩くのです!――

 

 

陳宮からそう策を授かった張遼は、敵陣後方から騎兵のみで襲い掛かった。

 

「深入りすんなやっ!! 合図したら、直ぐひかなならんからなっ!!」

 

そういった彼女の手にあるのは、飛龍偃月刀と火の付いた松明だった。

消えないように、確りと油を浸した物だったので、豪雨の中でも確りと輝いていた。

 

「良し、そろそろ引き上げや」

 

敵の混乱が少しだけ収まりかけた時に、そう言って持っている松明を、反時計回りにまわす。

その合図と供に、来た道を後戻りする。

その敵軍の様子を見て、袁紹は黙っていない。

 

「逃がしてはなりません! 顔良さん、追いなさい!!」

 

兵達の混乱している最中だが、袁紹は兵達に敵を追いかけさせる。

 

「そろそろ、ええな」

 

わざとかなりの距離を追いかけさせた張遼は、また持っている松明を横に振った。

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~虎牢関~

 

「! 恋殿!! 張遼からの合図が来ましたぞ!!」

「……行く!」

 

ギィーー!

ドドドドドドド!!

 

 

――袁紹たちは後方の敵を叩こうとして関に背を向けると――

 

 

袁紹軍が敵兵を追いかける為に、後ろを見た直ぐ後に、関の扉が開き敵兵が出てきた。

 

ピカッ!

ゴゴーンッ!!

 

その瞬間、暗雲から雷が轟き、出てきた敵兵の旗を知らせてしまう。

 

「し、真紅の呂旗だぁっ!!」

「呂布が来たぞぉぉっ!!」

 

 

――恋殿とねねが、関から討って出て袁紹たちの後方を叩くのです!――

 

 

「呂布だと?! 愛紗、鈴々! 呂布には、絶対一対一で当たるな!!

相手は、一刀殿と同等か、それ以上の力量があるぞ!!」

「な、何?! あの江東の白虎と!?」

「虎のお兄ちゃん並なのか?!」

 

星は、呂布が出てきたことが分かると、前に一刀に聞いていた事を思い出し、

仲間と部下達に注意を促し、劉備を一時的に身を隠れさせた程だ。

 

――ぎゃー!!

――た、助けてくれーー!!

 

暗闇の中から、肉を斬る音と味方の断末魔が耳に木霊し、

その断末魔を上げるのが次は我が身かも知れない恐怖から、自軍の兵士の指揮を更に堕とす。

 

ピカッ!

ゴゴーンッ!!

 

「……」

 

そして、稲光によって、飛将軍と謳われる呂布の姿が映し出される。

雨によって大半は洗い流されているが、少なからず敵の返り血を浴びており、

周りには味方の兵士の亡骸が無数に転がっていたが、それでもなお暴れまわっていた。

その姿は、雷雲と供にやって来た紅い龍のようだ。

その状況を見た袁紹は、癇癪を起こす。

 

「キィー!! 文醜さん! 顔良さんを呼び戻しなさい!! しかる後、敵を追い払いなさい!!」

「はーい!!」

 

ジャーンジャーンジャーン!!

 

後ろから襲って来た兵を追わせた、自分の将を戻すべく、銅鑼を鳴らす。

だが、顔良が戻ってくる頃には――。

 

「恋殿! 敵の軍がそろそろ立て直しそうなので、戻るのです!」

「ん……!」

 

すでに、敵兵の姿は無く、敵に食い散らされた仲間の亡骸が転がっているだけだった。

数は確かに袁紹たちが多いが、それが小石が幾ら群がった所で、ダイアモンドを砕く事は出来ない。

陳宮の策は、見事な成功を収めたのだった。

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はい、ということで、今回のお話は終了っす。

 

読んで頂いてありがとうございますっす。

 

一応、恋の強さを示すため今回のような感じにしましたが……いかがだったでしょうか?

 

自分としては、皆さんが今回の戦場をイメージできていたら嬉しく思うっす。

 

ようやっとまた、余裕が出てきましたんで、小説ごとのコメントのお返しもさせていただくっす。

 

皆さんから頂いてます応援メッセージにも、ぼちぼちお返事していきますっす。

 

感想や、誤字報告お待ちしておりますっす。

 

 

次回をお楽しみにっす

 

ではでは~

説明
虎の力を借りて、劉備は試練を乗り切った。
そして、虎は捕らえた獲物に真意を問う。
だが、隙に味方の猿が、とんでもない行動に出る。

ちわっす!
タンデムです!
今回は題名の通り、恋の事を書く……
つもりが、殆ど華雄と陳宮が目立っちゃった感じが……。
一応、恋ちゃんの回なんですよ?
詳しくは、本編をご覧くださいっす。
本編をお楽しみくださいっす。
感想お待ちしておりますっす。


ではでは~
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コメント
執筆お疲れ様。あれ?一刀のドS度が上がっている?変態とか付いてるし・・・怖。 次作期待(クォーツ)
あれ? 一刀の方が兄さんじゃなかったの?(根黒宅)
うん、華雄輝いてるな!! しかし、江東は長江ですよ。中国では黄河を河、長江を江と表すそうで(ロンギヌス)
華雄覚醒か?www(メルクリウス)
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真・恋姫†無双 江東の白虎 一刀転生 オリキャラ 華雄 呂布 

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