バカの日常
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「どう、雄二。そっちの方は」

 

「大丈夫だ。こっちには見当たらねぇ。明久、そっちは」

 

「うん、こっちも大丈夫だよ」

 

「そうか、なら無事にまいたってことだな」

 

「そうみたいだね」

 

「しっかし、今日の鉄人はしつこかったな」

 

「そうだね、廊下で雑巾と箒を使って野球してたらその間を偶然学園長が通って顔に雄二が投げた雑巾と僕がフルスイングした箒が直撃して倒れただけなのにね」

 

「全くだ」

 

「まあ無事逃げ切れたし、ほとぼりが冷めるまでFクラスにでもいようか」

 

「そうだな、しかし、さすがにあれだけ走り回った後だと暑いな」

 

「うん……、冷たい飲み物がほしいよね」

 

「……あ、あの、明久君」

 

「ん、姫路さん。どうしたの? 」

 

「その、いまのどが渇いたとおっしゃっていましたか?」

 

「うん、そうだけど……それがどうかしたの」

 

「あのですね、私、明久君のためにジュースを作ってみたのですが、よかったら飲みますか? 」

 

「ほんとっ? いや〜助かるよ姫路さん。鉄人のせいで喉がカラッカラでさ」

 

「じゃあすぐ用意しますね」

 

「いや〜、ホント姫路さんは気が利くよね、雄二」

 

「………………ああ、そうだな」

 

 

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「どうしたのさ、雄二。うかない顔しちゃって。あ、もしかして雄二も姫路さんのジュースほしかったの? 大丈夫だよ、姫路さんのことだからきっと雄二の分も用意してくれるよ」

 

「いや、むしろ用意しそうだから困るんだが」

 

「なんでさ?」

 

「おまえ、姫路の料理といったらいままでなにが起こってきた」

 

「…………っ」(ダラダラダラッ)

 

「それをふまえてこのあとなにが起こると予想できる」

 

「いやでも、いくらなんでもジュースくらいで、そんな……」

 

「このまえはそれで熊が倒れたがな」

 

「……………………よし、いまのうちに逃げ――」

 

「おまたせしました〜。はい、明久君、どうぞ」

 

「………………………………………」

 

「ふぅ、見たところ俺の分はなさそうだな。よかったな、明久っ。姫路の手作りジュースが飲めるなんて、おまえは幸せものだな〜。見た目ただの白い液体だし、ひょっとしたら死なずにすむかもしれんぞ」

 

「くっ、雄二め、自分が安全圏にいると思って好き勝っていって……ねえ、姫路さん。そのジュース、雄二の分もないかな。こいつもすっごいのど乾いて、姫路さんのジュースが飲みたいって言ってるんだけど」

 

「明久、テメッ、よけいなこと言うんじゃねえ」

 

「ごめんなさい、今日はこれだけしかなくて」

 

「いやいや、姫路も大変だろうし、気にしなくていいぞ。これからも明久のためだけに作ってくれ」

 

「……ちっ」

 

「と、ところで姫路さん、これはなんて言う飲み物なの?」

 

「はい、フレイバージュースって言って、アーモンドとミルクのジュースです」

 

「ん〜、言われて見ればそんな感じの匂いがする、かな? アーモンドってこんな匂いだったかな?」

 

「体にも良いそうなので、明久君、食生活偏っていますしちょうどいいかなって思って」

 

「ふむ、明久。これならマジで飲めるんじゃないか」

 

「そうだね、姫路さんだっていつも命の危険のあるもの作る訳じゃないよね。それじゃ、いただきまーす」

 

 

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「ただ、うちにアーモンドがなかったんですよね」

 

「……姫路、おまえ今なんて言った?」

 

「ですから、うちにアーモンドがおいてなくて困っちゃったんですよ。でも、アーモンド入れないとただのミルクですし」

 

「……じゃあ、あいつはいったい何の匂いをアーモンドと勘違いしてるんだ」

 

「とりあえず二酸化炭素と反応するとアーモンドの匂いのするっていう粉があったから入れてみたので、たぶんそれじゃないでしょうか」

 

「ふ〜ん、しかし、それじゃあ体に良いって部分は再現できてないんじゃないか? ちなみにそれ、なんて奴なんだ?」

 

「え〜と、確かラベルには、KCNって書いてあったような」

 

「っ!? 明久っ、そのジュース――」

 

「ぐはぁああああああああっ!!」

 

「――ちっ、遅かったか」

 

「明久君、どうしたんでしょうか?」

 

「いや、たぶん姫路の手作りジュースが効きすぎて興奮したんじゃないか」

 

「そうですか、良かった。それじゃあ、私木下さんたちに呼ばれてたのでAクラスに行ってきますね」

 

「おお、明久のことはこっちに任せとけ」

 

「はいっ――――あ、そうだ。確か翔子ちゃんが坂本君のためにジュース作ってましたし、のど乾いているなら翔子ちゃんに持ってくるよう伝えておきますね」

 

「待て姫路、俺は別に良いから翔子の奴は――って、もう行っちまいやがった。しかたねぇ、とりあえずここで寝てるバカの方を先に対処しておくか。…………。おい、明久。死んでるか? 死んでたら返事しろ」

 

「……死んでたら返事できないよ」

 

「突っ込みができるってことは大丈夫だな」

 

「もっと真剣に心配してよ。今回はマジヤバいって。飲んだ瞬間舌に激痛が走ったんだけど」

 

「ああ、安心しろ。大丈夫だ」

 

「そうなの? わりとヤバそうな気がしたけど、雄二がそう言うなら――」

 

「ああ、単に青酸カリ飲んだだけだからな」

 

「ちょっ、純然たる毒物じゃない、か……」

 

「お、意識失ったか。さすがに救急車呼ばないとヤバいか、これは。えっと、携帯は……」

 

「……雄二」

 

「うおっ、いきなり現れやがったな。ちょっと待て、さすがに今ヤバそうだからちょっと待ってろ。くそっ、ポケットに引っかかってうまくでてこねぇ」

 

「……雄二、焦るのは良くない。これでも飲んで落ち着いて」

 

「おっ、悪いな。ちょうどのど乾いてたんだが、まあ姫路の作ったやつを飲むわけにはいかねえしな」

 

「……そう、ならちょうど良かった」

 

「おう、じゃもらうとするか……がぁっ、ちょっ、おまっ。これ」

 

「……瑞希に材料もらって作ったフレイバージュース。元気が出たみたいで良かった」

 

「ちがっ、これマジ、ヤバ、い。救急車……」

 

「……じゃあ私は瑞希たちのところに戻るから」

 

 

 

……

 

…………

 

……………………

 

 

 

 

「……あ、じ〜ちゃ〜ん、そっち花がいっぱい咲いていて綺麗だね〜。今そっちいくよ〜」

 

「……おい、明久。あそこに渡し船があるみたいだぞ。あれで渡ろう」

 

 

 

 

「…………寝言がリンクした」

 

「まずいのう、早く救急車を呼ばねば」

 

 

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あとがき

 

 

 自分の拙作を読んでくださった上、意味があるのかわからないあとがきもどきコーナーにまで目を通してくださってありがとうございます。どうもnaoです。ふと思いついたネタだったのですがいかがだったでしょうか。

 

 前回更新から二月くらい経ってる上まだ葉月ちゃんの話も終わってないのに何やってるんだと思いもしますが。一応葉月ちゃんの方は進んではいるのでいずれは更新いたします。言い訳させてもらうと、社会人になって人間関係やら生活リズムやらがガラッと変わっちゃったのでなかなか時間が取れなくて……。いや頑張ります、頑張りますよ、俺は!

 

 さて、今回の作品ですが初めて会話オンリーでやってみましたがどうでしたか。あまり細かい描写もしなかったので書いている側としては楽だったと言えなくもないですが……。内容はまあ瑞希の殺人料理です。作中で出てきたフレイバージュースは、とりあえずアーモンド使うジュースってことで取り上げただけで正直詳しくはよく知りませんので。出てきた薬品についても同様です。自分理系ですが化学は知りません。なんで瑞希の家にあるんだよとか突っ込みどころも多いです。思いつきでやるもんじゃないなと思いました。

 

 次は葉月の話を進めるはずです。よかったら次の作品も見てください。

説明
どうもnaoです。
今回はふと思いついたものを書き殴ってみました。会話文オンリーです。短いです。ただでさえ拙い文章力なのに考えてないのでさらにひどいです。
どれだけひどいか見てやろうという奇特な方がいらっしゃったらどうぞご覧になってください。
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コメント
KCNか……私は絶対飲みませんw(十狼佐)
三途の川は渡っちゃダメダヨ(VVV計画の被験者)
タグ
バカとテストと召喚獣 明久 雄二 瑞樹 殺人料理 

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