GROW2 第一章 神の天敵
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 GROW2 第一章 神の天敵

 

 1

 

 「始めよう」

 一言齦聖はそう告げた。恐怖で未だ動けないでいる神父に、エイミーは

焦りの表情で問いかけた。

 「あの男は何者なんです?」

 神父は齦聖をにらみつけながら言った。

 「神の天敵・・・」

 神の天敵。それの意味する言葉を理解できないエイミー。

 しかし、ひとつだけ感じ取ったことがある。

 こいつには手を出したいけない、と。

 しばしの沈黙の後、齦聖はこう告げた。

 「その子を返してもらおうか・・・

 うちの倅(せがれ)が廃人みたいになったらしくてな」

 齦聖はそう告げると攻撃態勢に入る。

 「バカ言えェい!!あと少しなんだ、あと少しですべてが変わる!!

こんなところで貴様なんぞに邪魔されてたまるかぁっ!!!」

 神父は首に下げている十字架に唱える。

 「我が神聖なる神よ、我に祝福を与え給え」

 神父の身体がうす紫色に光りだす。

 「本気で俺と戦うつもりか、レスター?俺の能力(チカラ)を忘れた

んじゃないだろうな?」

 「手を貸せエイミー!奴を牽制しろぃっ!」

 神父は手を振り上げエイミーに言う。エイミーはすぐさま飛んで齦聖の左に回り込む。

 神父もそれと同時に右へ動く。

 「おいおいガキにまで戦わせる気かよ。まったく・・・

取り囲め、15本の聖剣(リネンジェスタ・フィフスボーン)」

 突然あらわれた十五の刀が円卓上に二人を囲む。

 「ちっ。まずいな」

 動きを止められる神父。飛んでくる刀を障壁でかわしていく。

しかし長くは持たなかった。

 「ぐああああああああああああっ」

 刀が腹部に刺さる。刺さる瞬間身体を反らし急所は守ったものの、傷は深い。

 続けざまに、両手、両足が貫かれ神父は膝を付く。

 「残念だったな、レスター」

 「それはどうかな?」

 神父はニヤリと笑う。

 シャッ・・・・・・

 突然視界に現れたエイミーに驚く齦聖。

 飛んでくる右拳を首を右に傾けてかわす。

 「どうやって剣舞をかわして来たかわからないがこれで終わりだ」

 齦聖は身体を90度回転させ、エイミーの脇腹に回し蹴りを放つ。

 しかし攻撃は当たらない。

 「なっ?」

 とらえたはずだった獲物を逃したかのような感覚。

 しかし少女はそこに存在していた。

 はずだった?

 齦聖の視界が真っ暗になる。

 エイミーの左ストレートが顔面に直撃したのだ。

 「ちっ、小娘が」

 右手で目を抑える齦聖。その表情には怒りが溢れていた・・・

 

 

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 2

 

 しばらくの沈黙ののち、齦聖は答えた。

 「なるほど幻覚(ミラージュ)か。はっ

レスターの野郎自分に術式を使ったんじゃなくて、小娘にかけていたのか

バカな奴だな。この俺に一撃当てるためだけに自らを犠牲にするとは」

 右目の痛みが引いたのか、齦聖は右手を降ろす。

 右目は大きくはれ上がっていた。

 「まったくお譲ちゃんにも困ったもんだぜ。この俺にここまでやらせるんだからよぉ」

 アリスのことを言っているのだろうか。齦聖はため息交じりに言うと

 

 「もう終りにしようや。これ以上は無意味だぜ嬢ちゃん」

俺に攻撃したことは忘れてやるからさっさと手ぇ、引きな」

 齦聖はもう戦う意思がないのか。煙草に火をつけながら言った。

 しかし、エイミーは

 「ふざけるなぁ!!マスターをやられて黙ってられるかぁっ!!!」

 怒りに我を忘れるエイミーに対し、齦聖は煙を吐きながら言った。

 「ふぅぅぅーーー。バカだねお譲ちゃん。俺ぁね、

見逃してやるって言ってるんだよ、わかるかいお譲ちゃん。

だからね。はやくその子どもを渡すんだ」

 

 このまま手を出さなかったほうがよかったんだろうか・・・

 エイミーは齦聖に攻撃をしかけた。

 

 「ああああああああああああああああああああああああ」

 「残念だ・・・」

 真っすぐ突っ込んでくるエイミーに対し齦聖は言った。

 「取り囲め、29本の聖剣(リネンジェスタ・トゥナイトボーン)」

 「くっ」

 エイミーはそれに対しジグザグに動く。

 だが、とてもよけきれるものではない。

 ひゅひゅっ

 どどどっ

 「あああああああああああああああああっ」

 両肩と心臓を貫かれる。しかし一向に止まる気配を見せないエイミー。

 齦聖の周りを走り回る。

 「おいおいまだ動くのか。しゃーないな

 雷鉄剣!!」

 齦聖は飛んでいる刀を一本つかんだ。

 するとその刀は雷の如き形の黄金の形に変化した。

 「本来ここまでするこたぁねーんだが・・・」

 齦聖はその巨大な剣を片手で振り上げると、エイミーに向けて斬りつけた。

 「雷天斬区」

 ピシャァァァァァッッ・・・

 ゴロゴロゴロゴロっ・・・

 雷鳴が轟きエイミーの身体はチリになった。

 「さて、と。終了かな」

 一息つきアリスの回収に向かう齦聖の周りに、取り囲むかのような

魔法陣が無数に出現した。

 「バカな?いつの間に?」

 突然の事態に少し焦る齦聖。

 (まさかあの娘。適当に動き回ってたと思ったらこんなものを)

 いくら齦聖といえど、これほど重複した魔法陣をすぐに消すことはできない。

 「あの小娘がぁ!!!あしなマネを」

 怒り狂う齦聖にその少女が言った。

 「迷惑だったかしら?」

 「き、貴様!?」

 復活したエイミーに驚く齦聖。

 「ふん、おまえとあろうもんが随分なざまじゃないか・・・」

 「レスター貴様」

 刀で貫かれたままた胡坐(あぐら)をかいて座っているレスター。

 どうやらここまでがふたりの作戦だったらしい。

 

 二人のことを完全になめていた齦聖のまさかの誤算である。

 本来勝てるべき相手に勝てなかった。

 

 

 「いいざまだな齦聖・・・

 正直貴様が来た時には終わったかと思ったがな。

 ゆっくりその術式を解いていな。それまでには完成する。

 我々の新しい世界が・・・」

 

 

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 3

 

 齦聖を閉じ込めたのち、再び術式の再構成を始める二人。

 拘束魔法陣を解いていく齦聖だったがとても間に合いそうにない。

 (ちっ、あの小娘吸血鬼だったのか。なにか手はないのか?)

 「完成しました、マスター」 

 「ふん!」

 

 術式の中でうずくまる齦聖に対して神父は言った。

 「残念だったな。チェックメイトだ」

 終わった・・・ 

 「案外そうでもなさそうだぞ」

 「なっ?」

 負け惜しみとはおもえない齦聖のセリフに一瞬驚く神父。

 「なにがおわりじゃないんだ?」

 神父の質問に答えたのは、齦聖ではなかった。

 片手に杖を持って歩いてくる。    

 

 「道に迷ってしまってのう。登場が遅れてしもうたよ

 でものうギン、敵が生きとるのはお前のお情けかのう・・・」

 ハゲの作業服姿のおっさんが現れた。

 「何なんだオヤジ?」

 歩み寄ってくるオヤジ。エイミーが完成させた魔法陣の上に立つと、

杖でそれを軽く突いた。

 ふわっ

 「ばかな?術式が?」

 驚く神父。あまりの突然の行動に何もできなかった二人。

 「こんなもんで世界をのう・・・」

 過ぎてしまっているものをみているジジイに対し神父はいった。

 「何者なんだ?」

 じじいは答える。

 「治郎右衛門じゃ。」

 紹介終わりww

 「名前はどうでもいいんだ!何者なんだ!」

 叫ぶ神父に一言言った。

 「真の神の天敵かのう?まあいいか・・・

 わしが三秒数えるまでにお譲ちゃんを渡すんじゃ。

 そしたら半分だけたすけてやる・・・」

 もちろんそんな意見聞くはずもなく、神父は

 「エイミー、このジジイは見かけ倒しだ!殺せ!」

 「はい!」

 治郎右衛門のそばにいたエイミーはそのまま攻撃をした。

 治郎の懐にうまく潜り込むと、左足をすくい一度地面に落とす。

 その際に、エイミーは腹部に気をのせて殴りつけた。

 治郎は地面にめり込んだ。

 

 「生きのいい小娘じゃのう・・・」

 何事もなかったように立ち上がる治郎。

 攻撃が聞かないはずがない。

 エイミーは再度懐に飛び込む。

 「芸がないのう」

 エイミーは右手首をつかまれそのまま一回転させられる。

 空中で逆様になったエイミーに治郎は言う。

 「吸血鬼じゃからといって攻撃がきかんと思っておらんか?残念じゃのう・・・

死ぬぞいあんた。

神の進撃(ゴッデス・レザルド)」

 「な?」

 治郎から一撃攻撃を受けて吹き飛ばされた。

 立ち上がったエイミーは違和感を覚える・・・

 (身体が再生しない?)

 治郎は言う・・・

 「今身体が再生せんと思うとるじゃろ。そりゃそうじゃ、

吸血鬼ゆうたて再生速度がある

それを超える速度で攻撃すればいいだけじゃ・・・

おまえさん気づいとらんやろ

今わしはおまえさんの再生速度とおんなじスピードで攻撃し続けてるんじゃ・・・」

 

 「な?そんなばかなことが・・・」

 エイミーは思った。そんなばかなことできるばずないだろうと。

 「じゃあすこしスピードをあげてみるか?」

 治郎が少し手をかざす。すると・・・

 「あああああああああああああああああああああ」

 エイミーが急に血だらけになって倒れた。

 「これでわかったじゃろ」

 身体が再生してエイミーは震えだした。

 「吸血鬼の譲ちゃんはもう戦意喪失のようじゃのう

神父さんも動けんみたいじゃし帰るかのう」

 治郎は言った。

 

 

 

 

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 4

 

 アリスを保護した二人は、学校に戻ってきていた。

 

 顧問室にて・・・

 

 治郎は真剣な表情で言う。

 「おまえさん、もう少し息子を可愛がったらいいんじゃないかのう。

顧問とは名ばかりでほとんどは学校におらんじゃないか。

今回の件はおまえさんの未熟な判断が起こしたことだ。

ましてや生徒会メンバー二名を廃人にした挙句返り討ちにあいよって。

この子のことはこれからどうするつもりじゃ?」

 

 「わかっているさ。これからのことは・・・

この子はこれからもあいつが面倒をみる。許可も申請済みだ。

俺は間違っていたのかもしれないな。そうすれば変われたんだ・・・あいつらは」

 「奥さんと娘さんのことか?まったくのう。

今回の件で懲りたんならもう何もなくさんでいいようにするんじゃな。

はやく行って二人をなぐさめてこい。

どっかいくのはその後じゃ」

 

 「すまない、治郎さん・・・」

 

 

 (大きな傷が残ってしまったが、ここから得るものは大きい

 得るものをしっかりと見つけるのじゃ、齦聖・・・)

 

 

 

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 次回予告

 おとうさん

 

 

 ではでは

 

 

 

 かぞくはたいせつにしてやってください

 親孝行は家族がいるうちにしかできませんから

 

 すいませーーんなんかorz

 

 

 ではではノシ

説明
完全にバトルルートです

1では酷かったバトルシーンを頑張りました
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タグ
GROW 神父 齦聖 治郎右衛門 吸血鬼 アリス 

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