双子物語-31話-(姉編)
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【春花(幼馴染)視点】

 

 最近、彩菜の様子がおかしい。いや、まぁ。いつも人よりも軽くて何をしでかすか

わからない状況ではあったが。仮にも恋人の私のデートをしていて、常に上の空とか

いままでこんなことなかったのに・・・。そんな思いの中で私の胸にふと過ぎる不安。

 

もしかして、私。飽きられた・・・!?

 

 学校のクラスで私をそっちのけでクラスメイトと仲良く談話をしていて、楽しく

している彩菜。その太陽のような晴れやかな笑顔を私にも向けて欲しいのに。

今日一日は挨拶すら叶うことはなかったのだ。

 

 いくらなんでも、急激に変化しすぎる。でも、落ち着け私。気分やの彩菜の

ことだから、私と話ししたくない、という気持ちではなく。単なる偶然に過ぎない

可能性もあるはずだ。でもそれはそれで、私という存在が特別ではないということが

確定してしまうので、切ないことには変わらないのだが。

 

「ぐぬぅ・・・」

「どうしたの、東海林さん」

「なんでもない・・・」

 

 

 気になる私は放課後までの間、もやもやが溜まり、いざ彩菜が教室を飛び出すように

出て行くのを目撃すると、彩菜に気づかれない程度の距離間を保ちつつ、尾行を始めた。

いけないことだと知りつつも、自分がこうしていることを相手に気づかれずにいるという

ことは何だか少しドキドキとわくわくという感情を覚える。

 

 やがて、階段を昇っていくのを確認すると私は一度、その場で立ち止まり考える。

この先にあるのは3年の教室と美術室がある。この学校はさほど広くはないが、一方通行な場所は多いため、東と西に2箇所ずつ階段が設置してある。ここは東の2階。彩菜が

あがっていった場所は東の3階で、そこには今言ったように3年の教室と美術室しか

めぼしい場所はない。

 

 だけど、彩菜に3年生の知り合いがいるという情報は持っていない。隠れ

彩菜ファンクラブ会長の私でさえ、そこまでの情報は入っていないのだ。

・・・ちなみにこれは非公式のものであって、彩菜はその存在に気づいていないので

あった。

 

 そんなことを考えている内に彩菜を見失いかけたが、そこはそれ。ほぼ一通のこの

学校で見失うということはかなりの確立でありえない。私は気配を消しながら

階段をそっと昇っていって通路に顔をそっと出して左右を確認する。誰もいないこと

を確かめると今度は廊下に出てキョロキョロと辺りを見渡すが彩菜の姿がどこにも

見当たらない。3年の知り合いなんて聞いたこともなければ、わざわざ3年の女子トイレ

に向かうとも思えないとすれば、もう一番奥にある美術室しかないではないか。

 

 私は音をなるべく立てずに早足気味に美術室の前まで歩いていき、そっとドアを

開いて隙間から中を窺ってみる。すると、姿を確認する前に彩菜の声が耳に入ってきた。

声は美術室から聞こえているのがわかる。誰かと話しているようで、普段はあまり

聞きなれない、ちょっとした敬語を使って楽しそうに喋っているように聞こえる。

 

 が、肝心の相手の声が聞こえてこないではないか。まるで独り言のように話す彩菜が

気になってちょっとずつ開けて見ようとすると、不意に体勢が崩れて音を立ててしまい、

その拍子にドアが開き、頭一個分美術室に私が入ったのを驚いた顔をした彩菜と

無表情で色素の薄そうな女が虚ろな瞳を向けて私を見ていた。

 

「あいたたた・・・」

「どうしたの、春花」

「どうしたのじゃないよ。最近、彩菜が構ってくれないから気になって」

「あ、ああ〜」

 

 見つかったら仕方ない。目の前の女のことは気になるが、万が一でも彩菜を取られては

いけないと、私が彼女ということを盛大にアピールをしていたが、彼女の方は全くと

言っていいほど反応がない。というより、やや余裕さえ感じる。

 

「先輩。これは春花っていって、私の幼馴染」

「ちょっ、コレってなに、コレって・・・!それに・・・」

 

 言おうとして、私は言い出しそうになった言葉を飲み込んで口を閉じた。

ただでさえ、彩菜は人気があり、恋愛方向では大っぴらにできない分とそれまでやった

悪さから生徒会や教師から警戒されてるのと、同性ということがあり、以前に約束した

ことがあったっけ・・・。隠れながらするつもりはないけど、オープンすぎることは

やめておこうって・・・。

 

「ふ〜ん・・・」

 

 その女は私を見て興味がなさそうに溜息を吐くように呟く。こっちだってあんたのこと

なんか、ふ〜んって言ってやりたいよ・・・!一番私が愉悦に浸りたいはずだったのに

いつの間にか私が一番パニックになってるっていうか、動揺している。

おかしい、これっておかしいよ・・・!

 

「・・・!もういい!」

「え、春花?」

「私帰る・・・!」

 

 頭に血が上って考えることができなくて、手を握っていた彩菜の手を振りほどいて

私はズカズカと音を立てて廊下へ早足で向かっていた。そうして何になるのか。

そんなことを考えてる気分じゃなかった。それに、こうして出れば、もしかしたら

彩菜が追っかけてきてくれるんじゃないかって、ちょっと期待していたのだけれど。

 

 荷物をまとめて校庭を出ても、通学路を歩いていても、彩菜の気配を感じることは

なかった。私は悔しくて、寂しくて、両親から禁止されていた一人での寄り道をしない

という約束を破って行動に出た。どうせ、何をしたって本人達に見えるわけがないし。

両親共遠いとこにいるし・・・。まぁ、見張り役に一人ついてるかもしれないけど。

姿が見えないだけだし・・・。

 

 だけど、時々気配だけは感じるので、少しだけ気分転換にゲームセンターに寄って

から帰ると背筋に感じた悪寒は消え去った。そう、ちょうどマンションの私が住んでいる

場所の前まで来た辺りで。

 

「本当に見張り役がいそうだし・・・」

 

 プライベートもくそもない。まぁ、本来ならずっと外国にいる可能性高かったし、

ついでにここでの素行とか成績が落ちなければ、好きにしていいという約束まで

もらったから・・・。しかし、ドアに入ると閑散としていて部屋は真っ暗。

 

 暖かい家庭とは無縁の我が家庭ですよ〜。と拗ねながら靴を脱いでから、奥に行き

パソコンの前にある椅子にかばんを放って、服を着替えて制服をハンガーにかけてから

クローゼットにしまい、ベッドの上に倒れるようにして私は沈んだ。

 

 何だかどっと疲れがこみ上げてきたような気がする。目を閉じて今日のことを

思い出していたときに、ふとある言葉として浮かんだのが「先輩」だった。

そうだよ。彩菜、確か彼女のこと先輩って呼んでた。ってことはあれか。

私は先輩に向かって怒っていたということになる。そうなるな・・・。

 

 うわー、やだよ。ここまで波を立てずに学校生活過ごしてたってのに、先輩に

生意気な口叩いたら、変ないざこざができちゃうじゃない。

 

「ううううううう、全部彩菜のせいだぁ・・・」

 

 自分のせいなのを彩菜のせいにして、私は最低だとは思いつつもそう言わないと

やっていられない、ということもある。精神的に追い詰められている私はご飯も

食べずに悶々としながら目を瞑っているうちに眠りに就いた。

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 チュンチュンッ・・・

 

 何の夢も見ることもなく起床。かなり熟睡していたようだ。しかも目覚ましの用意も

しないで、いつもの一時間前起床である。健康生活ってのも案外悪くはない。

天気も良いし、これでよいことでもあれば最高だったのだが、昨日の今日で学校に

行きたくないという気持ちが強くなり、さぼろうかなとも思ったが、これがきっかけで

また両親の元に戻されるのかもと思うとそういうわけにもいかなかった。

 

「しょうがないなぁ・・・」

 

 誰かに言うように、溜息を吐きながら独り言を呟く。だが、その言葉は今の私自身

に指摘するようでもあった。本当にしょうがない、しょうがない私。前から付き合うため

の前約束みたいなのを彩菜としていたではないか。

 お互いくっつきすぎずに依存し合わない様にほどほどに付き合おうって。

彩菜にはもう、好きな人に対する揺ぎ無い心を持っているから。だからそれ以外の人に

本気で好きになることはない、私はホッとしていた。仕方ないのだ、雪乃を好きに

なることは。私だって、彼女に敵うとは思っていないし、私も一友人として雪乃のこと

を好きだから。

 そう、付き合ってから私は自らの欲望が徐々に強くなり始めて、その最初の約束事を

忘れかけていたのかもしれない。胸がズキッと痛み、着替える動きが一瞬止まった。

鏡に映る今日の私の顔はひどく陰鬱な表情をしていた。

 それはあくまで私が一方的に彩菜のことを深く愛してしまっているということを

表しているかのようだった。

 

 

 すごく足が重たい。気が進まない。でも、そんな身勝手な理由で学校を休む理由には

なっているわけもなく、私は気がついたらいつもの見覚えのある学校に来ていた。

 

 好きな人に啖呵を切って出ていって先輩と思われる人に嫌な場面を見せてしまった。

もうこれ以上酷いことはないだろうってくらい、今の私は落ち込んでいるわけさ。

 

「おはよ、春花」

 

 沈んだ気持ちで教室に入ると何事もなかったかのように明るく私に向かって手を

振って声をかけてくる彩菜。たまたま、クラスで彩菜の隣になれて浮かれていたことを

思い出した私は彩菜のいつもの明るさに助けられ、自然と軽い笑みを浮かべて私も

彩菜にいつものように挨拶を交わしてから隣の席につく。

 

「昨日はごめんね」

 

 と、珍しく彩菜の方から謝ってきたから、私の心の中での気持ちが少し軽くなったかと

思ったらその後「何で怒っていたかはしらないけど」って。そこは余計なんだよ。

言わなくていい部分なんだよ・・・!

 

「もう、彩菜ったら」

 

 呆れて溜息をつく私の横で反省の色がない笑いをしながら後頭部に手をあてる彩菜。

そんなやりとりをしている間に最初のHRが始まって、生徒全員の気が引き締まった。

ここのクラスの担任は私達には毎度のように、県先生であるため、あまりに

気が緩んでると県先生からのありがたい喝が飛ぶのである。

 

「全員、席についたか〜?」

 

 髪から衣装まで全てが黒尽くめの夏が辛そうに見える先生はキリッとした目つきで

周囲を見渡して、青春ドラマの先生のようにさわやかな笑顔を浮かべて出席を

取り始めたのだった。

 

 今日は先輩の姿はなく、平穏無事に授業は進み昼休みを終えて残りの授業もこなす。

その辺りまでは順調だったのだが・・・。帰りに彩菜が用事があると私に告げて

一人で帰っていった後、私は気になって昨日先輩と彩菜が話をしていた美術室に

足を向けていた。ほぼ、無意識で。

 

 美術室の前に辿り着いた私はそっと入り口のドアを開けて中を覗いてみると、

シンッとしていて、誰もいないように感じた。先輩らしき人がいた場所は画板が

立てかけてあった。少しの間、ぼ〜っとしていたら、ふと肩の辺りに何かがのる

感触がするのと同時に。

 

「ねえ」

「ひ、ひぎやあああああああ!!!」

 

 肝まで冷えそうな冷たい声が私の耳から首筋・背筋にかけてぞわぞわと寒気がして、

つい変な、しかも大声をあげてしまった。振り返るように動いた後、腰が抜けたように

ぺたんっと私は床に尻餅をついてしまった。ちょうど目の前にその幽霊のような声で

挨拶をしてきた人は昨日、彩菜が話していた先輩にそっくりだった。

 

 というか、本人だろうか。彩菜と同じくらいの身長でやや猫背だろうか、気にならない

程度のだが。そして髪の毛が長く。そう、そこで私はあることに気がついた。

 

 幽霊っぽく見えたのは白い肌と囁くような冷たい声にその髪の毛の色素の薄さにある。

それだけではない、気配を全く感じさせないことも一つの要因になっているだろう。

某ビデオを見てたらテレビから出てくる女性を彷彿とさせるその先輩は私の大声で

驚いたのか、両手で両耳を人差し指でふさいで目を瞑っていた。

 

「びっくりした・・・」

「ご、ごめんなさい・・・」

 

 ちらっと私を片目で確認をすると残りの塞いでいた箇所もそっと開放して私の目を

ジッと見ていた。何だろう、昨日のことで怒っているのだろうか。

 しかし、私に向けられているその目は怒りのものとは何か違う。すると、彼女の口元が

開いて言葉を発した。

 

「貴女・・・誰?」

「がくん・・・」

 

 あまりに拍子抜けしてしまったものだから、思わず言葉にしてしまったが、この人は

冗談で言っているのではなく本気で知らないといった顔をしていた。まぁ、確かに

ちょっとした顔見てないし、それまで会ったことすらないですからね・・・!

 

「えと、昨日の彩菜を追っていた者です」

 

 別に説明することもないのだが、本人が懸命に考えているのを見て黙るのも何だから

ヒントを与えたら、目の前の人は「あぁ」と小さく頷いて無表情で私の顔を再び見つめた。

ちょっと、いや、かなり近い距離から目を細めてみていた。

 

「あぁ・・・。たしか・・・はる・・・ハルオ」

「私、男じゃねえですよ!! 春花です、東海林春花です」

「そう・・・」

 

 若干ケンカ腰の敬語という変な言葉を使ってしまったが先輩はそれに対して気にする

素振りは見せなかったが。私が自己紹介をしたのかと思ったか、徐々に私に近づいて

きながら、自分の名前を語ってきた。

 

「わたし・・・眞凍・・・時雨っていうの・・・」

「まとう先輩・・・?」

「うん」

「っていうか、近い近い・・・!」

 

 もう、ほぼ密着というか、腰抜けたまま座っていた私の上から覆い被さるようにして

睨み付けながら私の顔にギリギリまで近づいていた。その近寄り方のすごい迫力に

胸の鳴り方が半端なかった。心臓に悪いよぅ・・・。

 

「あの子には近づかないで・・・」

「えっ・・・!?」

 

 あの子ってもしかして・・・。

 

「彼女は・・・私のなんだから・・・」

「えぇっ・・・!?」

 

 脈絡もなくいきなりの発言に一瞬、戸惑った私は何も考えずに目の前の先輩に反論を

した。

 

「冗談じゃない。彩菜は貴女のものじゃないし、私の・・・いや。

とにかく、そんな勝手なことを言われても困ります・・・!」

 

 私の言葉を聞くや否や、先輩は手を私に伸ばしてきた。余りの怖さに目を瞑るが

その手の気配は私の首元の隣を過ぎてその先にある何かを掴んで腕を引き戻していた。

 

 彼女の手には眼鏡が握られていて、それを先輩はすぐにかけると、細めていた目が

少し開いて多少は怖さがなくなったが、それでもあまり生気を感じさせない瞳を

見ていると、嫌な寒気を感じるのだ。なんだろう、どこかで覚えのある感覚だ。

 

「そう・・・じゃあ、それなりの覚悟はしてもらうわね・・・」

「えっ、ちょっと・・・!」

「じゃあね」

 

 意味深な言葉を残し、私が呼び止めようとしたことも無視したのか、聞こえなかった

のか、彼女はあっという間にその場から去っていった。眼鏡をかけていても、けっこうな

美人さんだったが・・・。

 

「あれは残念な美人だなぁ・・・」

 

 そう、思わず呟いていたのだった。

 

 何かしら被害を被るかと思ったが、何にもなかったのは幸いだが、

彩菜が付け狙われてることを思い出したのは、しばらくの間、先輩と接していた余韻

というか後遺症というか、そんなでぼ〜っとしてから気づいた私はすぐに彩菜が住む

澤田家へ向かって走っていったのだった。

 

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「というわけなの!」

 

 もうすっかり顔なじみになって、親戚のような気持ちで喋っていた相手は彩菜の

お母さんである、澤田菜々子さんであった。おでこが出て前髪はカチューシャで

留めてあり、外見が2人の女子高生の娘がいるとは思えないほどの若さである。

 

 喋り方もだいぶ軽くて人当たりがいいので、時々同年代の人間なんじゃないかと

錯覚するときもしばしば。

 

「へぇ〜、なんか面白そうな子ね」

「面白そうとか言ってる場合ですか・・・!」

「あはは」

「何がおかしいんですか・・・」

 

 半ば呆れて言うと菜々子さんは笑いながら私のほっぺをふにふに弄って遊びながら

声だけさっきとは違う真剣な感じで聞こえてきた。

 

「心配するのは彩菜じゃなくて自分自身じゃないの?」

「え・・・」

「話を聞く限りじゃあ、害が及ぶのは彩菜じゃなくて、春花ちゃんでしょう」

「あっ・・・」

 

 言われてみれば脅されていたのは私自身で彩菜ではなかった。だけど、被害が飛び火

したら彩菜にも降りかかってしまうかもしれない。私が頬を弄られながらも気分が

落ち込んでしょげていたら、菜々子さんは何も心配はいらない、と言いたげに笑っている。

 

「気にすることはないわ。そういう輩は大抵、口ほど大きな動きには出ないって

相場は決まっているわ。何も後のことを考えない子供じゃない限りはね」

「それはどういう」

 

「まぁ、何かしら行動を起こしても、死ぬほどのことはしないって意味よ」

「あ、当たり前じゃないですか!そ、そんなことをしたら狂ってますよ!」

 

「そうね。だから、さほど気にすることなんてないわ。ねっ、昔の貴女より過激な

人なんてそうはいないわ」

「うぐぅ・・・」

 

「春花ちゃんもそういう修羅場を味わってるんだから、怯える道理がないでしょ?」

「そうかもしれないですけどね・・・」

 

 二人でこうやっておしゃべりしている理由は、彩菜が買い物に出かけて、暇している

菜々子さんに話を持ちかけていたら、心配とかより別に面白そうという顔をして私の

話を聞いていた。だけど、菜々子さんの言うとおりかもしれない。

 

 何も起きていない、もしくはそんな兆候を感じることさえないのに今から心配を

していても、無駄に神経をすり減らすだけだと思った。だけど・・・。

 

「よく、そんな得体の知れない人のことがわかりますね?」

「そういう人を沢山見てきたってのもあるけど、彩菜や雪乃に心惹かれる人っていうのに

悪い子はいないって、そう思えるのよ」

 

「まったく証拠とかないんですね」

「親バカかしらね」

 

「確かにそうかもしれないけど・・・。でも菜々子さんの言いたいことはわかります」

 

 根拠も何もないけれど、今まで菜々子さんや県先生が間違っていることはなかったし、

妙に説得力があったから、私は菜々子さんの言葉を信頼することにした。

 そして、その夜に菜々子さんや彩菜たちに夕飯の誘いを受けて私はその言葉に

甘えることにした。家にいても寂しく一人で食べるだけだし、けっこう慣れ親しんでるし

断る理由も見つからなかったから。

 

 だけど、雪乃がいなくなってからのここの食卓は初めてかもしれない。

努めて明るく振舞う菜々子さんと、旦那さんに彩菜だけど。どこか少し寂しそうに見えた。

気のせいかもしれないけど。

 でも、私もなんだか一人いないだけで違和感を覚えていたから。

それだけ、雪乃の存在は大きいのだなと思えた。そこで私もテレビで面白かった話を

明るく振って少しでも場を和まそうとしたのだった。

 

 

 それから1週間ほど、眞凍先輩が私を脅してからは何も起こることはなく、

普通の学校生活を送っていたが。彩菜と一緒に登校をしていた、本日ついに、

 その意味深な言葉を思い出す出来事に私は遭遇するのであった。

 

 

説明
高校に入るまでにごたごたがあった双子は別の高校に。姉は妹に振られて拗ねて問題を起こすが、幼馴染が懸命に接してくれたおかげで更生して普通の学校生活に戻る。その幼馴染が現在彼女になっている、というちょっとしたあらすじ。
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双子 百合 ドタバタコメディ 女子高生 幼馴染 

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