海へ。
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海へ。

 

 

 

 

ひとつ伸びをして、閑散としたホームのベンチを3人分くらい占拠する。

次の新宮へ向かう普通列車が来るのはさらに1時間後。

視界には、線路と、青々と茂った畑。

時折吹く風は蒸し暑さをほんの少しだけどやわらげてくれる。

夏休みが始まると同時に一人旅をすることに勝手に決めて、大阪を出発したのが3日前。

こんな計画を立てるやつも馬鹿だけど実行するほうも馬鹿だ。

それって両方僕じゃないか。どうなってるんだ。

昨日の夜に東京から夜行列車で安上がりに名古屋へ上陸。

そこからさらに2時間以上は経過しているのだけれど。

太陽はまだフル稼働を始めていないようで、暑いけれどへばるまではいかない。

列車が来れば車内はクーラーが効いている、と自分に言い聞かせてただ、待つ。

手持ち部沙汰過ぎる僕はホームを眺めたり眼を閉じてみたり首を振ってみたりしている。

小説でも持っていれば…

心の底からそう思っているけれど既に持ってきていた文庫本3冊は読みきっている。

駅の外にはゴースト商店街。さっき見るとコンビニが一件営業していただけだった。

時計を見ても多分後2時間は開かないと思うし。

ホームには僕のほかに中年位と思しきおじさん、おばさん、地元の学生。

さすがにこの時間に観光客は少ない。

僕は人の目にはどんな風に映っているのだろう、とか考えて頭を紛らわす。

 

津へと向かう普通列車が到着し、ホームがにわかに活気付く。

学生が増え、そして減る。

そんな皆々様方に僕自身は含まれず。

皆さん部活頑張ってくださいね、とか投げやりな応援を心の中で行う。

そんな瞬間の活気はすぐにもとの穏やかな空気に戻ってしまう。

徐々に、徐々に気温が上がっていく。夏の太陽本領発揮。しないでください。

これから南に向かうわけですけどね。

後30分に縮まっただけよしとする。

読みきってしまった文庫本を捲って時間の浪費に勤しむ青春真っ盛りの高校生。

青春ってどういうものかいまだに分からないけど。

大人に言わせれば『なんてもったいない!』とか泣き叫びそうな行動を続ける。

風が少なくなってきた。

空気が淀む気がする。

開放感たっぷりなホームで空気が淀むわけがない…はずなんだけどさ。

 

 

 

 

ようやく到着した普通列車新宮行き。

これから4時間くらいかけて三重県縦断を実行していく。

車内からは、途中から海が良く見える。

そんなことを頭の片隅に4日くらい前に叩き込んでいた気がする。

その記憶だけを頼りに、東側のボックスシート4席をひとりで占領。

シートにかばんを置き、靴を脱ぎ、向かいのシートに足を投げ出す。

国鉄車両はシートが柔らかいから好きだ。最近のは硬すぎると思うんだ。

なんて平成生まれの分際で考えている。

車内のクーラーによって僕の体力は2割り増しくらいで戻った気がする。

意味が分からないけど。割り増しって。

まださらに30分くらい発車まで時間があるんだけどさ。

時間が憎い。

 

隣のホームには伊勢への列車が到着し、乗換の客が入ってくる。

車内は座席がかなり埋まってきている。

僕は伸ばしていた足を前の席から下ろし、占領地を返還。

領地は半分になってしまった。

もちろん誰も突っ込んでくれる人は居ないので僕もスルーしよう。

全体にあわせるのって大事だよね。

……ああ、悲し。

心の中で泣くふり。泣きまね、もしくは嘘泣きでも可。

「あー…、その席、いいかな?」

突然領地占領についての話し合いを敢行された。

動揺…はしなかった、かなあ。

「うん、どうぞ。」

(旧)領地に攻め入られる。

戦時中の植民地ってこんな気分なのか(違う)。

革命など起こす気が毛頭ないあたり、僕はリーダー格にはなりえないようだ。

…あの。

なんで、真正面に座っているのでしょうか。

と、僕の右側に鎮座している鞄と同様に前の人の隣にも鞄が。

おそらく、鞄の大きさからしておそらく僕と同じ目的の人なのだろう。

伊勢行きがホームから出たようで、この列車ももうすぐ発車する。

アナウンスが入った。

『この列車は、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲、熊野市方面、普通、新宮行きです。』

『間も無く発車します。車内でお待ちください。』

そういえば、どうやら向こうもこちらを伺っているようで、時折ちら見される。

こちらも同じようなことをしているので特に気にかけることではない。

 

ディーゼル音が響いて、走り出す。

のんびりとローカル線の旅が始まる。

しばらく田舎の風景に沿って走って、宮川と出会ってからは渓谷美、というほどでもないけれども、そんな感じで楽しめる。

海が見え始めるのは紀伊長島のあたりから。

長時間停車が3駅あるから、そのときに改札の外に出ようか。

…詳しいな。

僕は計らずとも前の人と共に車内から観光することになる。

杉林。何かの花。畑。ひまわりも見かける。

あと前の子な。

海はまだ遠いけれど、まあそれはおたのしみおたのしみ。

 

 

 

 

ええい海はまだか。

三瀬谷を過ぎて、ダムを見逃し、山間を縫っていく。

杉林、杉林、杉林、杉林、時々川。

高速道路も少し見えたり。

乗客は少しづつへって、空席もある。

あとは……ちら見されたりちら見したり、くらい。

伊勢柏崎駅に着く。

交換待ちらしいので、ホームに降りる。

…暑。

…暑っつ。

思わず送り仮名に間違いが出てきてしまった。

もう10時廻ってたんだよなあ、しみじみ。

体捻ったり腕回したり。

見ると、前人も車外へ出てきている。

まだ成人になっていない僕や前人は体が鈍ってくるからな。前人は未成年か知らないけど。

後2駅で海が見えるとは思えない山の中。

天気快晴。

ジャンプしたりしていた頃に、踏み切りの音が。

カメラを取り出し、構える。

かしゃり。デジカメだから雰囲気だけ。

うまく撮れたほう、かな。

車内に戻ると、すでに元の席に前っ子は座っていた。

 

梅ヶ谷。荷坂峠へ行きたい人はお降りください。

そのままこの列車も峠越えをする。山間を抜けたら海、念願の。

発車してすぐ、トンネルに入った。

そこで、僕は目の行き場がなくなった。

……。

…………。

………………………………。

……うう、気まず…………。

何か喋ったほうがいいかな、と思ってしまった。

「あの」「ねえ」

……。

ここまで想定してなかった。被るとか。ひどい。

さらに気まずさが上がる。

そちら側も『うわ、やっちゃった』みたいな顔。

「どうぞ…。」僕が先手を打つ。

「あ、えっと…もしかして昨日の夜、東京駅にいた?」

「…いた、けど?」

「あ、やっぱりそうだ。そこで私見なかった?」

「えー…っと――」

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……?

「見た、ような見てないような?」

「うん、私もうろ覚えだしね。」

「じゃあ、旅行中なの?」

「そだね。てことはそちらも?」笑顔で聞いてくる。

「もう4日目。」

一転、驚いた顔。

「うわぁ…大丈夫?」

「まあね、多分。」

ちゃんと寝てるし。

「そっちはどこから?」

「というか代名詞じゃ面倒だから、自己紹介しない?」

それもそうだ。

「どっちから?」

「うーん、じゃあ私から。」

いったん咳払いをして。

「私の名前は、ルーシー=アルベルト。」

「嘘吐くな。」

「何でわかったの?」

「自分の顔を鏡かなんかで見てこい。」

よくこんなタイミングで嘘吐けるな、と少しある意味で感心した。

「うーん…はいっ!」

ぱんっ、とルーシー(仮称)が手を打つ。

「私の名前を青海ユキ。ユが湧くって字でキは希望の希。

和歌山県在住、華の高校2年生。目標は物理学の大学にいくこと。」

「物理学…。」へえ。理系か。しかも物理学か。

「んで趣味は旅行。ちょうど今みたいにね。

あとは……性格とかは今まで、もしくはこれ以降の言動で察して?」

「嘘を平気でつくような性格」といったらノートで叩かれた。

「それが今回の予定。貧乏人旅行だから、夜は全部夜行。」

「僕もそうだけどね。」

いいながら受け取って開く。

房総半島、か。まだ行ってないな、考えとこう。

「それで、君は?」

「あ、そうだね。ん、僕は二見広紀。大阪で大学生活1年目。」

「年上だったんだ。」

「ちっちゃいからね。今162cm。もっと伸びてほしかったんだけど。

あ、敬語じゃなくていいよ。こっちが気使うからね。

専攻は地学。…まだぜんぜん専門的なことはやってないけど、一応。

趣味は旅行とボウリング。ベストスコアは213。それで、」

鞄から紙を引っ張り出して、

「これが僕の予定表。」手渡す。

僕自身も同様に手の中にある予定表に眼を戻す。

で。

これからの予定になんら変わりがないじゃないか。

いやまったく一緒じゃないか。

またトンネルに入ったので耳抜き。

どうやら湧希もそれに気づいたようで、半笑いのような顔になっている。

「一緒じゃん。」

「ねえ。」

まったく、どういう縁だ。

再びトンネルを抜けて、窓から光が差し込む。

僕らはほぼ同時に窓に食い入る。

――海。

森の向こうに映った2色の青。

迷わずシャッターを切る。

束の間の色彩を過ぎると、またトンネル。

「デジカメかー、いいなー。」

「ないの?」

「高いからさ。高校生はそんなの買う余裕なんかないし、家にもないしね。」

「そうなんだ。…僕も3ヶ月くらい必死にバイトして買ったからそうかもな。」

「私はほとんどが携帯に消えてくよー。」

湧希のため息を聞いて、少し笑ってしまった。

「む。何かおかしい?」

「おやじくさい。」やっぱり叩かれた。今度は素手。

またまたトンネルを抜ける。窓の外は移り変わって人家と海。

もう紀伊長島、ってことだ。

 

 

 

 

やっぱり外暑い。

十数分停車するので外に出たのはいいが、外気温30度以上の中では無謀だったなあと思う。

「ふぃー。」湧希が鳴く。

なんとなく二人で改札へ。

売店でよく冷えたコーラを2本買う。

僕のと、湧希の。

「おっ、気が利くねえ。さんきゅ。」

「こら2本ともとるな。」

「はいはい。」

なんて会話をしていたら、店員のおばさんに、

「あなたたち、カップル?」なんて聞かれたので、

「いや、お互い名前を知ってから30分もたってないですよ。」と答えた。

「あらそう。えーと、どちらからいらっしゃったの?」

「大阪です。」「和歌山ー。」

「それで、これから熊野とかへ?」

「そういうことですね。」

「ふーん。あそうだ、なんかお菓子でもいる?」

「はい。」即答したのは僕じゃなくて湧希。

「じゃあ、1こプレゼント。」

「これでいいですか?」手に取ったのはスナック菓子。現代っ子め。

「どうぞ〜。」

「それじゃ、ありがとうございました、いろいろ。」湧希を放置して車内へと向かう。

もう発射する2分前なのだ。

 

 

ぎりぎりに湧希が乗って、列車は駅を離れる。

漁村を離れていく。

リアス式独特の海岸線を望みながら走る。

「ねえ、大学って楽しいの?」

「唐突だな。」笑いながら。

「んー、今のところは退屈、かな。さっきも言ったけど、専門的なことをしてないからさ。始まったら楽しいんじゃないかい?」

「今は、何してるの?」

「基礎学習、後1年半は。本格的な研究は3年になってからだったはず。」

1年の頭に講義された内容を思い出す。

「そか。てことは私はあと3年は今みたいな勉強なわけね。」

「だろうね。」

波打ち際が見えたりする。浜辺が少なく、入り江には小さな港が多い。

またま(中略)トンネルへ。

「ところで、湧希は何で物理学を?」

「いきなり呼び捨てかい。」

「あ、」脳内名称でそのまま呼んでしまった。「ごめん。」

「謝らなくていいのに。私も心の中じゃ呼び捨てだったし。」

なんとなく、やっぱりと思った。口にはしなかったけど。

「で、何で物理学なのか、だったよね?」

「うん。」

「えー…と、何でか、って言われると辛いんだけど、…まあ、目標ってわけでもないかな。

勉強で理科ができた。だから理系にきて、そのなかで一番できたのが物理。」

わかりやすいな。

「それで、今はどこか大学いけたらいいな、ってくらいの軽い気持ち。」

「僕も、高2のときはやりたかったことはなかったかなあ。」

もう1,2年前のことだから不明瞭。

きっかけも、特になかったんじゃなかったっけ。

「それでさ、彼女とか、いるの?」

「それ初対面に対して言うことか…?」

「いいからいいから。」

女って色恋話大好きだよな。

「んむ。いないよ、昔も今も。」

「ふぇー、もったいない。」

どういう意味で言ってるんだろう。

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尾鷲。

駅のホームにて二人で伸びをする。

やっぱり改札へ向かう。

もう暑いとか考えない。考えるまでもない。

時刻は11時を10分と少し過ぎたあたり。

「もう半分かあ。」

「なにがー?」

「新宮まで。後2時間半くらいだからね。」

まあその先もあるんだけど。

「そしてここからはリアス式海岸の本領発揮ですしねえ。」

改札側のホームにセレブ列車(特急)が入ってくる。

写真に撮っておく。

「あー、泳ぎたーいー、うみがー、わたしをーよんで〜いる〜」

どんな歌だそれは。

「水着とか持ってるの?」

「一応、なんとなくね。」

どんななんとなくだ。

車内に戻って、半ば指定席と貸したボックスに座る。涼しい。

「えーっと、ほら。」

「出すな出すな、しまえ。」

 

発車。

尾鷲の市街地を望みながら進路を左に切る。

そして入り江を海岸線に沿って進むと、塔が見えた。

「何だこの煙突。」

「火力発電所。中部電力のね。」

「知ってるの?」

「いやあ、それほどでもー。書いてあっただけ。」

そのまま大曽根浦駅に着く。

カメラがフル活動している。取材でもしている気分だ。

「本当に泳ぎたいんですがどうしたらいいんでしょう。」

「知らんってば。」

またまたまた(中略)トンネルに入る。

このあたりは集落と集落の間をトンネルで走り抜けているような印象がある。

「そういえば、広紀はお昼どうするの?」

「あー…、ん…駅弁じゃないか?」

「ぁそうだこいつ金持ってんのか。いいなー。」

だんだん引き出さなきゃ辛くなってきてるけど。

「湧希は?」と聞いて、心の中で舌打ち。

「にへへー。」

ああ笑顔が憎らしい。

「しゃーねー。安いのな。」

「いっえーい、さんきゅーっ。」

あのここ車内ですから。

 

 

 

 

海岸線を左手に、列車は進む。

気が合うというよりはむしろ馬が合うというほうが正しいような気がしてきた。

僕は今携帯で熊野市駅周辺を見ている。

海が近そうなので。

「ん…5、600メートルくらいかなあ。」

「それなら、走ったら…4分くらいで着くんじゃない?」

「着くか?」

「よし行こー行こー、運動ー。」

「2年でここまで違うのか…」項垂れる。

「ん、どした?」

「体力の違いをひしひしと感じています…。」

確かに足は遅くはない。

けれどもそれは高校時代の話。もう半年は真剣に走っていない。

体力落ちてそうだなあ。

「でも、いいなー。」

「何が?」

「そのケータイ。私のは地図なんか見れないもん。」

「でもこれ3年目だぞ?」

「……」一瞬反応が止まった。それから、

「安いのだから、私の。…お金ほしーい。」

「結局そこに戻るのか。」

苦笑、しつつ。

さっきの間がなぜか気になった。

 

 

 

 

相変わらずの海岸線とトンネル、だった。

トンネルを出ると、左手には民家。

海は遠のいた。

列車は熊野市駅に滑り込む。

日本でも有数の長時間停車。

その40分近い停車時間を使って、海まで行く。

荷物は置きっぱなし。金銭類のみもっていく。

体力足りるかなあ…。

「よー…い、」競争のように。

ドアが開「ドン!」くなり飛び出していく湧希。

僕も後を追い、こせん橋を渡る。

 

「は…はぁ…ぁぁぁ……」

5分42秒。湧希のデジタル時計はそんな時間を示していた。

滅茶苦茶遅くなってる。しかもばててる。

「ほれ、飲め飲め。」

首に冷たさが走る。

「…はぁ、ありが、とう…」

スポーツドリンクを一気飲み。

しそうだったが、途中で止まる。

「ゲ…ホ、ゲホッ」

むせる。

「何で女に負けてるのよ。」

「運動…やって…ないからだ…っての。」

「高校でテニスやってたんでしょ?」

「幽霊だったって。」

「情けねー。」

ようやく顔を上げる。

真っ、青。

久々にこんな海を見た。

息切れなんて忘れてしまった。

「正解。」

唐突に、湧希がそんな言葉を漏らす。

「うん。」

大正解だ。

 

コンクリートに腰掛け、足を投げ出す。

熱を持った足に風が心地よい。

「あー…っつーい。」

同じようにしている湧希が素直すぎる感想を漏らす。

「ところで、」

僕は手の中のペットボトルを見せる。

「あ…、それ、お返し。長島の。」

「ありがとな。」

「うぃー。」

最近の女子高生はこんなにもおっさんくさいものなのだろうか。

口にしたら今度は海に叩き込まれる気がした。そんな無謀に手は出さない。

風が凪ぐと蒸し暑くなる。

「帰りも走るからしっかり休めよー。」

「まじか…」

コンクリートに寝転がる。

熱気が背から感じられた。

 

駅に戻ってくると、連絡待ちの特急がちょうど到着したところだった。

「あぁ…生き返、るー。」

「涼し…。」

二人ともへとへと。

意味もなく1kmくらい走る馬鹿達。

元のボックスに座ると、力が抜けた。

「二度とやりたくないな。」

「そう?私は楽しかったよ。」

「僕はインドア派なんだって。運動部だったけど。」

湧希はくっくっと笑いをかみ殺す。

「まあ、あのスピードなら十二分に文化部レギュラー候補だわ。」

「…ありがたくう受けとっとく。」

「にゃはは。」

 

学生が結構多いのでさらに領地を半減させた。

これで最初の4分の1だ。

戦争敗北国の気分を味わうこともなく、湧希も譲った。

「どうぞ?」

「あ、すいません。」

高校生(鞄で判断した)が2人座る。5人組くらいか。

そうこうしているうちに発車した。

 

「…がね、…!」

「あはははっ!」

うるさいです。ここ車内です。マナーくらいはちゃんと守ってください。

同い年くらいであろう湧希まで苦笑している。

景色を見ようにも海は林に遮られて見えない。

あれは防風林だろうか、なんて考えて気分を紛らわせた。

 

 

 

 

鵜殿までに高校生はみんな降りたようだ。

再支配しようかとも考えたが、次が終点の新宮なのですぐ片付けられるようにしなければいけない。よってこのまま。

「ふぃー、辛かったー。」

「やっぱり?」

「私でもそこまで大笑いはしないからさ。」

いやしてた気もするけど。

「気使うよね。」

「うん。」

列車はゆっくりと新宮川(=熊野川、世界遺産)を渡る。

三重県を抜け、湧希の地元、和歌山県に入る。

『長らくのご乗車お疲れ様でした、まもなく終点、新宮です。』

短いトンネルを抜け、駅に入る。

荷物をまとめ、4時間旅の友となった列車から出る。

 

「さて、到着したわけだけど。」

きゅるるる。

二人同時に腹の虫が鳴いた。

「お昼かな、まず。」

「そだね。」

といっても僕は駅弁として、湧希は何を…。

駅前を見渡してもコンビニらしき店はない。

「で、何食べるの?」

「あ、私は…」

指先が僕に向く。

…少し僕を通り過ぎた上で止まる。

振り返った。駅そば、ということらしい。

僕もそっちでよかった、かなあ。

 

 

 

 

食べ終わってもまだなお1時間ほど時間があると思っていた。

電車に乗せられてしまっている。

4つとなりの那智駅まで。

数分前、湧希が、

「よし決めた、泳ぐ。」

と言った結果だ。本気らしい。

1時間くらいでねえ。

海岸線がすごくくれいだ。

 

新宮から25分ほど。連絡が10分だったので14時を廻ったころになっていた。

ちなみに僕は車内に駅弁の残りを持ち込んだけれど、駅うどんだった湧希は無理やり押し込んでいた。

ホームには人気がない。けれども海側、ビーチには意外に人が多かった。

改札を抜け、海に廻る。

「うわぁ…。」

思わずため息が出た。

人ごみの少ない海岸。けれどもにぎやか。

「じゃ、着替えてくる。」

湧希が走っていく。

僕はしばらくそこに立ったままだったが荷物を持ったままの腕が自己主張し始めたので座る。

日差しが強い。

「お前も着替えろ。」

「着替えるの早くないか?」

「気にしない気にしない。ほら、着替えくらいあるんでしょ?」

「…わかった。」

「先泳いでるよー。」

2日前くらいの服装に着替える。

ふと思ったが、湧希はかなり肌が白い。

その分、ビキニも髪もはっきり見える。

海岸に戻って湧希を探「うぷっ!?」…水をかけられた。

「……」

「へーん、やり返してみろー。」

「…っ」海に落としにかかる。

「おっと。」が、あと少しのところでよけられた上、

「ぬおっ!?」背中に手を添えて、返り討ちにあう。

ざぱーん。

「あはははは、思い通り〜。」

「にゃろっ!」仕返し。

「っしょっ」

ためらいなく飛び込む。もちろん水はあたらない。

「あー、髪まとめればよかった。」

腰まである髪が波面に広がる。

「スキあり!」

「のわぁっ!?」

なんとか避ける。が、そのまま海に突っ伏す。

「ぐぬぅ…」大笑いしている湧希へ報復のため泳いでいった。

 

「疲れ…た…」

「私も…」

駅のホームに潮風が流れ込む。

80分くらい全力で遊び、その後海の家のシャワーを借りて、着替えて戻ってきた。

後2分ほどで田辺行きが来るはずだ。

「そういえば、和歌山のどこに住んでるんだ?」

「…あー、結構駅の近く。駅から徒歩10分くらいかな。」

「いいとこ住んでるね。」

「まあねー、って言いたいところだけど、そうかなあ?で、そっちは?」

「堺。大学からは遠いんだけどさ。」

電車が来たので乗る。

「堺…ねぇ。どういう偶然なんだ私たち。」

「は?」

「うん、私も生まれは堺なのよ。」

「え、マジで?」

「ん。でも懐かしいなー、全然覚えてないけど。」

「それは懐かしいって言わないと思う。」

窓の外には空と海。

ロングシートなのがもったいないくらいだ。

日が傾き始めていて、海からの反射光がまぶしかった。

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懐かしいことを思い出した。

僕が4歳くらいのとき。もう14年前の話だ。

そのころ僕はもちろん実家に住んでいて、幼稚園に通っていた。

ちなみに実家は駅から遠かった。今一人暮らしなのはそのためでもある。

それはおいておいて。

『おーい、ひろき、かくれんぼやろーぜ!』

『うんっ。』

ゆーた。もう16年の付き合いになる。

たかひろ、やす、たいき、りょーこ、忘れた、はる、誰だっけ、…

名前覚えてない人も含めて10人。そのころの仲良しメンバーだった。

『じゃーんけーん…ほいっ!』

『あー。』

負けたのはたいき。それを見て、みんなで逃げる。

『いーち、にーい、さーん、…』

みんなは遊具などへ逃げる。

僕は花壇に隠れることにした。

先客がいた。名前はやっぱり覚えていない。

『きゅーう、じゅう!』

 

 

 

 

視界が歪んでいる。

いや自分自身の体勢が歪んでいるのか。

「…起きた?」

左のほう、天井側から声が聞こえた。

「っわあっ!?」「きゃあっ!」

飛び起きた。ひざまくらされていたから。

「ど、どしたの?」

「…普通にびびった…」

「何がよ。」

「ひざまくらされてたことに…」

「ふぇ?」

よくわからない擬音で返事をする。

それから、少し間があって、

「…あー、お礼、ってことで。」

「何の?」

「昼ごはんだったり、海でだったり、ね。本当、ありがとう。」

なんだ、そんなことで。

「疲れてるんでしょ?4日目って言ってたし。」

「あ…そうだったな。すっかり忘れてた。」

「忘れてたって…」

湧希が苦笑いのようになる。

「あ、でも恥ずかしいなこれ。」

「大丈夫、誰も見てなかった、というか誰も乗ってないから。」

言われて見回すと、車内には誰もいない。隣の車両にはいるようだけど。

「ところで、今、どの辺だ?」

「あ…と、確か次が見老津だったはず。」

「うわ、結構寝てたんだな。」

太陽の傾きが大きくなって、車内が黄色く染まる。

伸びをしてから、窓の外を見やる。

「湧希も寝ていいよ。」

「うぇ?…あ、う、じゃあ、肩貸して?」

「ひざじゃなくていいのか?」

「硬そうだから。」

体の向きを戻すと、すぐに頭を預けられた。

心地良い重みが右肩に加わる。

「…うー、確かに恥ずい…」

車内にいかにもカップルな2人の影が映っていた。

 

 

 

 

周参見に着く手前から寝息が聞こえている。

そういえば、さっき夢を見ていた気がする。

列車は山間部に入っていて、今は海は見えない。

考える時間がある。

どんな夢だったか。

確か、すごく懐かしいことだった気がする。

そんなに幼少期のことを覚えていないので、本当ならすごい快挙だ。

昔っからの友達な長谷雄太とそのころのことを喋っても食い違うくらいだから。

雄太は幼稚園から大学までずっと一緒だ。

学部こそ違うが、いまだに同じ電車で通学している。

引っ越しても近所だ。

「…ぅ、むぅ…」

ワンピースの肩紐が落ちそうだったので戻してやる。

それにしても、青海湧希。

顔立ちが整っていて、僕より背が高そうで…同じくらいだと思いたい。

手足も均整が取れている。肌も白い。胸は戦力外通告だが。

…とまあ客観的に美人であることに間違いはない。

で僕は何を考えていたのか。

思い出すのも面倒になったのでぼんやりと陰を眺めた。

 

 

 

 

白浜を過ぎたので、起こすことにする。

とんとん、とんとん。

「…はむぅー…」

「そろそろ起きろ。」

「…ふぅ、は、や!?」

「おはよ。」

「…あ、うん。…ああ、そうだったそうだったね、うん。」

鞄を探り始める。それから、

「ねー、飲み物、ない?」

「僕が口付けたやつでいいなら。」

「うん別にいいよ。」

熊野で買ってもらったスポーツドリンクを出す。

「さんきゅ、全部飲んでいい?」

「どうぞ。」

言うが早いか、そのまま全部流し込む。

「んっ…くは、今は……どこ?」

「白浜を過ぎたとこ。」

「ふぅ…ん…、そんなに経ってないかな。じゃあ。」

欠伸を噛み殺しながら言う。

「さって、乗り換えの準備でもしますか。」

「早くない?」

「うんにゃっ。次の御坊行きは進行方向左側に座らなきゃいけないから。」

「はぁ?」

「ま、おたのそみ、ってことで。」

 

 

 

 

「っ、はぁ…。」今日だけで息を何度切らせたことか。

ドアが開くと同時に隣の車両に一気に乗り換える。

「本当、だらしないの。」笑われた。

今度はボックス席を朝方のように占領する。

 

「で、おたのしみ、って何だ?」

岩代を出たあたりで、湧希に聞いた。

「ああ、海が見えるの。で、私の見立てが正しければ…」

「ければ?」

「もうしばらくお待ちくださいませっ。」

電車は切目駅に着く。

焦らし過ぎだろこの女は。

と駅を出発してすぐ、湧希は窓を指差した。

つられて、窓のほうを、

 

青。

黄。

赤紫。群青。灰。白。ピンク。黒。オレンジ。

印象派の絵画を思い出すような色彩。

風景画ってそういえば下手だったなあ。昔。

もう4年以上、中学以来絵なんて描いてないなと思い出す。

「…どう?」湧希がささやく。

「…すげえ。」

そのまま子供のように窓の外を眺め続けた。

 

御坊。

日は沈みきり、空は紺色に包まれかけたころ。

やっぱり2本買った水を車内へ持ち帰る。

「さんきゅー。」といって湧希が受け取る。

上手いこと再びボックス席が取れた。

まもなく電車が動き出し、心地良い揺れが体に響く。

「さて、」湧希が言う。

 

「答え合わせをしようか。」

 

 

 

 

「は?なんの?」

「私はあとひとつでパズルが埋まる。広紀は…分かってないかな。」

「だから何?」

「広紀、今、何年?」

全く話がつながってない気がするが、ええと。

「2007年。」携帯を見せながら言う。

「うん、当たってた、かな。」

「それがどうしたんだ?」

「じゃ、今度は生年月日、言って。」

「1988年5月16日。」淀みなく答える。

「じゃあ、私の生年月日を当てて?」

「無理です。」

さすがに365分の1を当てる自信はない。よってあっさり放棄する。

「じゃあ生年だけでいいや。」

「えー……と、1990年?」

「ぶぶー。」

「じゃあ91年?」

「残念、正解は88年。1988年10月22日。」

「あの、誠に尋ねにくいのですが、」

「ん?」

「留年生?」

ガツ。ペットボトルで殴られた。

「私は現役だって言ってるっしょーがっ!」

「じゃ、何で?」

「多分、ずれてるんじゃないかな。2年くらい。」

「そんなSF的なことがあってたまるか。」

「じゃ、私の保険証でも見てみる?」

笑顔で財布を引っ張り出す湧希。

「ほれ、見ろ見ろ、刮目せよー!」

確かに1988年10月22日と、僕と約5ヶ月違いの誕生日が記載されていた。

「それで、私は広紀を昔知ってたんだけど、そっちは覚えてた?」

保険証がしまわれる。

「確か、堺にいたんだっけ。」

「そう、その頃。」

「じゃあ、長谷とかも知ってるんだよな?」

「長谷…雄太だっけ?」

「そう。」

「何か、思い出したくないいやな思い出がだらだらと流れ出しそうなのですが…。」

苦笑する。

「でさ、そのケータイは3年前くらいに買ったんだよね?」

「そう、だな。」

「私はそこで気がついたの。」

あー。

あの妙な間はこういうことだったんだ。

「私の今ではそのケータイは最新、までは行かないけれどかなり新しめのやつなんだ。」

「うん、僕も買ったときは最新だったと思う。」

「まそれはいいや。」

ええんかい。

「…うん、私は大体分かったから、後は広紀が考える番だね。」

「何を?」

「今の状態。」

「…そー…かー…。」

呟いて、そのままシートに体を預ける。

 

 

 

 

何も考え付かないままに電車は和歌山に着く。

ホーム、待合室に座る。

「そーだ、番号教えて?」

言われるがまま教える。

「…と。OK。ありがと。」

「ちょっといいか?」

「うん。何?」

「子供、一緒にいた頃、僕のことをどう思ってた?」

眼を見開かれる。そして、

「自意識過剰ー」

「うるさい、答える。」

と、苦し紛れだったのか、非常に悩んだ顔になった。

それから、

「好き、だよ。たぶん。」

すごく顔を赤らめ、そう答えた。

「何で?」

「あああっもう、恥ずいーっ!……考え方が似てるから?」

「そうだっけ?」

「そう。逃げても隠れてもじゃんけんしても。

「…帰ってもいいぞ…?」

「あんたは感動の再開で相手を追い返すのか…?…ちょっと肩貸して。」

「分かった。」

体を預けてくる。

しばらくして、肩が震えていることに気がついた。

背中に手を回す。

腕を強く握られる。

 

2、3分そうして、次に湧希が顔を上げたときには眼が充血していた。

「…ありがとう、落ち着いた。」

「何が?」

「聞かない方向で。」

目尻をぬぐい、笑顔になる。

「あ…もうそろそろ発車じゃないかな。」

見るともうすでに発車5分前。

目の前に大阪行きの快速が止まっている。

「そうだな…。」

非常に名残惜しい。

けれども、僕はゆっくりと腰を上げる。

 

ドア口に立ち、向かい合う。

あ、背負けてるや。

「あの、さ。」

「…また、会える?」

「…じゃあ、2008年また、今日と同じように旅をしよう。」

くすっと笑われる。

「何で3年後?」

「あー…僕も待ったほうがいいかな、と思ったから。」

「うん、広紀らしいよ。」

「そうか?」

「うん。」

笑顔で答える。

「それに、希望が湧く、んだろ?」

「あ…うん。」

「じゃ、きっと会えるさ。」

「うんっ!」

発車のベルが鳴り、ドアが閉まる。

「それじゃあ、また来年。」

「それじゃあ、また3年後。」

閉じる。

湧希の口が動く。

かすかにその声が耳に届いた。

 

 

 

 

携帯が鳴る。見たことのない番号。

「もしもし。」

『終わった…かな。』

「うん、終わった。」

『そっか。うん、それだけ聞きたかったんだ。』

「うん。」

『じゃ、また来年。』

「うん。それじゃ。」

番号は登録しておく。

また、来年、か。

同じ学校にいるくせに。

 

 

 

 

2008年7月28日。

昨年より1日遅くなったけれど、僕は多気駅にいた。

風が心地良い。少し暑いけど。

時刻は9時を少し過ぎた頃。

ちょうど今新宮行きがホームに入ってきたところだ。

車内のボックスシートをやっぱり占領。

今回は去年と違う車種。新しい。

そこまで去年と同じになるはずはないよな、ともっともなことを脳内再生する。

少しだけ、あれからのことを思い出す。

湧希は僕と同じ大学に進学していた。

僕が知らなかっただけなのだが、かなり人気らしい。

僕らは校内、校外共に出会うことはなかった。

今日のためにメールや携帯でしか交流していない。

僕の意見であり、湧希の意見。

二人とも本当に考えることが似ているというか、なんというか。

積もる話は再会したときに、というのはどちらが言ったんだっけ。

どちらかが言って、それに意気投合して、だった気がする。

隣に伊勢へと向かう普通が入る。

植民地を返還。

 

「あー、その席、いいかな?」

動揺はしない。

「うん、どうぞ。」

 

列車はゆっくりと運び始める。

海へと。

僕らを。

-4ページ-

 

 

 

Epilogue

 

 

「そういえば、最初に話したとき声被ったじゃん。」

「いつ?」

「ほら、紀伊長島のちょっと手前で。」

「ああ、あったなあ。確か。それが?」

「そのとき、なんて言おうとしたの?」

「…えーと、……」

そのこと自体ほとんど覚えてないんですが。

まあ、今作るか。

「うー…ん、理由でいい?」

「まあ、認めましょう。」

 

「僕が旅に出ていて、それで、」

「うん。」

「……わかんないや。」

「ふざけてる?」

「いや特には。」

「殴っていい?」

「いや勘弁してください。」

 

僕と同じように旅をしていたから、かな。

 

 

 

 

あとがき。

 

やっぱり長文になるとだれてくる傾向があるなあ>俺

今回は行数を見ながら書いてみました。

Isiaです。名乗るのも久しぶりです。小説書きあがるのは3年ぶりみたいです。

文章力は前と比べてだいぶ上がってる気はします。

いくらか読みやすくなってたかと思います。

構成力なんかは前回比75%増しくらいじゃないでしょうか。

前のやつは本当に酷かったですからねー。

消してしまえ。

 

さて振り返り。

執筆期間は前回と同じく1ヶ月ちょっと。

題材、構成を考えてからは中盤までとんとん拍子で。

ただそこからが辛かったです。

海シーンとか全く入れるつもりはなかったんです。

あそこは熊野川のシーンとか入れようとか思ってたんだけどなあ。

最後のシーンは中盤あたりに思い描いたものをなるべくそんなイメージで。

あとエピローグ手前の最後の数行は自分でも微妙です。

最初に書いてやったやつが後で見て気に入らなかったので消して、でもうまくまとまらなかったのであんな形になりました。

思いつかなかったんです。

ちなみに打ち込んでいる時に即興で作ったものが採用されてます。

そういうとこが文章力が足りないってことでしょうね。精進しますorz

 

唐突に話は飛びますが、自分は「主人公/ヒロインが死ぬ/殺される」な話はそんなに好きくないです。

ハッピーエンドな話が好きってこともありますが、そういう形は美しくないと思うので。

自分の理想は主人公とヒロインの位置関係が最初よりちょっとだけ上がる、ってのを目指してます。

できてないけどね。今回なんか近づきすぎですからー?

この話は終わっときましょう。

 

キャラ解説。

 

湧希さん。

俺のすごく書きやすいタイプの娘。

こういう感じの娘がいろんな意味で大好きです。

 

広紀。

俺がすごく苦労した人。

まず個性がない。次に個性がない。さらに個性がない。あう。

 

列車 339C→2883M→大阪方面に乗り継ぎ

339Cは実際はワンマンです。本当は車掌はいません。

くらいですかね。

 

それでは、小説書きとしてはさらに二年後とか?それは超職務怠慢かw

イメージイラストとか大歓迎です!書いてやって下サイ。

次回まで!ノシ

 

6月某日 Isia

説明
TINAMIの小説でははじめまして。
この作品は6月半ばに書きあがったはずのものをなぜか今まで熟成させ続けたものです。
2人で海を見る話、とか書いておいたらいいでしょうか。
あと、地名駅名がたくさん出てくるので注意(何を)。
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オリジナル 紀伊半島 電車  放置 

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