これが私のメイドさん 2
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中村義ヲはとりあえず、ドアを開けた。

「近くまで来たので、どうしているのかなと思ってよってみたの」

彼はまだ少し、寝ぼけていてどう答えてよいのやら、思いつかなかったので、寝癖頭をかきながら、

「まっ、入れよ」

彼は、女性と話をするのが苦手だ。しかし、唯だけは、女性だということを意識せずに話をすることができた。彼女は玄関で靴を脱ぎ、きちんと靴の向きを変え、きちんとそろえた。彼はその仕草を見て、「へー女の子らしくなったもんだ」と思った。

 彼は彼女を客間に通して、

「とりあえず少し待ってて、俺はこんな格好だし、顔を洗ってくるから、あと、お茶でも入れるから、」

「あっお構いなく」

「コーヒーでいい?、それとも紅茶? どっちらにしてもインスタントだけれど」

「ありがとうございます。じゃあ、紅茶をお願いしようかな」

「じゃっ、少し待ってて」

そういって、彼は客間を出た。客間には唯だけがソファーに座っていた。部屋の中は、一応、掃除がしてあり、一人住まいとしては良いほうだろう、部屋の感じはシンプルな感じでいくつか絵画や置物が飾ってあったが、生活感のない部屋だった。アンティーク調の置時計の音がカチカチ微かな音を立てていた。

中村義ヲは、まず洗面所で顔を洗い次に寝癖の頭を整え、服は着替えずキッチンに向かった。彼は家にいるときは寝るときも含めていつも灰色のスエットを着ていた。キッチンに着くと食器棚からお客用のカップを出し、自分のはシンク脇の水切りカゴからマグカップを出し電気ボットの前においた。テーバックをいれお湯を注いだのち、やっと回転を始めた頭で、なぜ今頃、唯は訪ねてきたのだろうかと考えてみた。遊びに着たいのならば、彼女の通う学校は東京で自分の家からそう遠くないので、今年の四月に入学したのだからもっと早くに来ても良かっただろうし、もしかして、今は九州にいるはずの彼女の両親、つまり彼の叔父・叔母夫婦に様子を見に行くように言われたのだろうか、

 紅茶を入れたカップを片手に一つづつ持ち客間に向かった。客間のドアの前まで来て彼は自分の両手がふさがっていてドアを開けられないことに気づいた。ドアにはガラスが入っていたので中にいる唯と目が合った。彼女はすぐに気がついて、立ち上がり、ドアのところまで来て、ドアを開けた。そして、いたずらっぽく笑い、

 「もうっお兄ちゃんったら、本当に昔と変わってないんだから」

 「ちぃ、うるさいなぁ、まだ起きたばっかりで、ぼうっとしているんだよ、ほら」

といってカップを差し出した。彼女はなんだか嬉しそうにそれを受け取って、

 「ありがとう、お兄ちゃん」

といって、ソファーに戻った。彼も彼女の正面のソファーに腰を下ろした。

 

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