カラリと笑う空
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「普通、こういうトコって最後に来るもんじゃねーの…」

 

 

そんな呟きなんて目の前のぬいぐるみに全てを持ってかれてるクリスには届かないと解りながらも、呟かずにはいられなかった様子のゴールド。動物園の醍醐味である生きた姿の動物じゃなく動物園の策略と言わんばかりのお菓子や写真といった土産物に興味津々のクリスは、あれよあれよと言う間にぬいぐるみに心奪われていた。

ため息をバレない様に慎重に吐き出す。そうでもしないとぬいぐるみに群がる女子達に負けて、土産物屋を抜け出してしまいそうだった。そう思っても結局彼は、クリスを置いて行くなんて行為は出来ないと渋々自覚しているのだった。

 

ふと、息抜きに外の様子を見たら信じられない光景が広がっていた。あんぐりと口を開けるしかない光景に思わずクリスの邪魔に入る。

 

 

「…おい」

 

「なぁに?」

 

「あれ」

 

「ん?何よ…」

 

 

そうしてクリスも外を見れば、ゴールドと同じく口をあんぐりとさせた。外は土砂降りの雨。来た時あれだけ晴れていたのに、と二人とも思っている様子で思わず見合わせた。

 

 

「…うわぁ」

 

「凄い降りね…」

 

 

呆然と立ち尽くすしかない二人。見れば見るほど雨足が増してるような降りに感心し始めていた。

あまりにも凄い雨っぷりにクリスはまじまじと見つめている中、ゴールドはあるものを発見しそそくさとレジへと向う。その手際の良さに迷いは感じられなかった。

 

 

「雨の動物園ってのもいいんじゃねーの?」

 

 

そう言ってクリスの肩に先程買った動物の柄が入ったマフラータオルをそっとかけると大きな音を立てて傘を開く。軽いステップを踏みながら雨の中に出るとからりと笑い手を差し出した。

 

 

「ご一緒にいかが?おじょーさん」

 

 

 

 

耐え切れず吹き出すクリスに耳まで真っ赤なゴールド。彼らが一歩踏み出すと雨足は不思議と弱くなり、気付くとカラリと彼の笑顔の様に晴れていた。

 

 

fin.

説明
サイトの再録。最後のセリフを言わせたかっただけw
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