ある山中にて

「と、言うわけで、この方が師匠に弟子入りしたいと・・・」

凪と一刀の前には一人の老人がいた。

頭は禿げていて、長い白ヒゲを生やした〇仙人のような姿の老人である。

「ふむ・・・」

凪の師匠は一刀をじろじろ観察する。

「修行は厳しいぞ？」

「構わねえ。俺にはやる事があるからな」

一刀は凪の師匠を真正面から見据える。

・・・・・・・

「その言葉、忘れるでないぞ？」

「おう！」

一刀は頷いた。

「ならばついてくるがいい・・・」

そう言って師匠は歩いて行く。

凪と一刀も後を追う。

こうして一刀は凪の弟弟子となり、修行をする事と相成ったのであった・・・

ドドドドドド！！

「ぎゃあああああ！！」

一刀が悲鳴を上げながら山の中を走り回る。

背中には大きなカメの甲羅を背負い、また、彼の頭には美味しそうに焼けたお肉がヒモで括り付けてあった。

「ガウガウ！！」

その匂いに誘われて、飢えた狼たちが一刀を追いかける。

「あのジジイ！死んだら化けて出てやる！あの一家と協力して絶対に呪い殺してやるからなああああ！！」

怒りの叫びを上げながら、一刀はともかく逃げ回ったのだった・・・

「・・・師匠」

「何じゃ？」

「私はあのような修行、やった覚えがないのですが・・・」

「それはそうじゃ、ワシが新しく考えた修行なんじゃからな」

「・・・は？」

「いやあ、丁度いい実験台が出来てよかったわい。まだまだ試してみたい特訓が山ほどあるからのう。全部試すまで死ななければよいが・・・」

「・・・・・・」

そんな事とは露知らず

一刀は必死に逃げ回る

彼の修行は

まだ始まったばかりである・・・