ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎 #3 本編推理開始!
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<問題部分>

 

遺言

 

温泉郷の皆、これまでよく頑張ってくれた。その最後の感謝の意を表す意味で、以下に示すとおりに、私の財産を分与する。

 

但し、以下の内容を完全に説明でき理解した者が現れるまでは、私の遺産には一切、公私共に手を着けてはならないものとする。

 

きのこ温泉郷 領主    咲音 望日郎

 

内容

 

いつもは右から左へ眺めていたが、今日は、左から右へ大地を眺めてみる。“花 又や 朝 変わらん”

いつもは上から下に目線を動かすが、今日は下から上へ空を見上げてみる。“青い上”だ

 

をンウワインイご ねむるもせンウ えワインイい゛へえ るむワイここ ろンウワエへ ワイみ

 

ねれ゛ヤエら゛さ よンウらす ワエへい゛へさンウく

 

みれワエへす まりい゛へさンウく

 

むへワエへす るちンイい゛へさンウく

 

るちンイい゛へさンウくな あれさワウ゛ちへワウたンインエへさゆせご るへかンイす ねろみ

 

るちンイい゛へさンウくな くちンイれむたンイむて げンウワエへろ゛へ お るいワイみ

 

ンウれさゆをす ワウ゛ちンイえくい゛へさンウくワイ゛き るいワイみ

 

るちンイろンウワウ゛た かんそ

 

ゆてろ゛やさて ンエみ

 

ろ゛ンオヤイて えりめり

 

さらきけえワインイえ あ゛るへえ゛らす ンウもた

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<ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎 第3話 本編推理開始!>

 

(ミクの部屋)

 

遺言の説明が終わってから、ミクは自分の宿泊部屋で難題に挑戦していた。

 

ミク:ミクミクミク・・・さっぱりわかんないわね〜・・・ミクミク・・・

 

ミクは謎解きに取りかかってから、どんどん鉛筆回しの回数とミクミクの口癖が多くなっていた。

 

ミク:ミクミク・・・ん〜、まぁ最初に切り崩すなら、遺言の最初の説明部分からかな〜。『温泉郷の皆、これまでよく頑張ってくれた。その最後の感謝の意を表す意味で、以下に示すとおりに、私の財産を分与する。』、か。これは明らかに日本語だし、謎掛けがあるようには思えないのよね。いわゆる“財産分与しますよ”って告知だし。これはいいか

 

ミクはこの箇所に軽く鉛筆で取消線を引いた。

 

ミク:次は、『但し、以下の内容を完全に説明でき理解した者が現れるまでは、私の遺産には一切、公私共に手を着けてはならないものとする。』、か。これも遺言とか遺産相続の注意書きよね。“以下の内容を完全に説明でき理解した者”って書いてあるし、謎掛けには関係なしか。これも取消線ね

 

同じくこの箇所にも線を引いた。

 

ミク:次は、役職と署名ね。『きのこ温泉郷 領主    咲音 望日郎』。これはそのまんまだし。パスかな。しかし、このおじいさん、なんで素直に孫のメイコさんや、親戚のルカさん、リンさん、レンさん、もし事情があるなら温泉郷の人に遺産相続とか寄付とかしなかったのかな〜。温泉郷の人たちの話じゃ、仲が悪かったようには思えないのよね。それとも単なる“パズル好き”だっただけなのかな〜。・・・・まぁいいや、謎解き続けよ

 

ミクは次の文に目を移した。

 

ミク:謎解きのキモはやっぱりここから下よね。まず、第1文、『いつもは右から左へ眺めていたが、今日は、左から右へ大地を眺めてみる。“花 又や 朝 変わらん”』、か〜。これも“花 又や 朝 変わらん”部分以外は、まぁ普通の日本語の文章よね。たぶん景色とか見ているんだと思うけど。“大地”とか大げさな表現使っているけど。ミクミク・・・“景色”ねえ

 

ミクは部屋の窓から風景を右から左、そして、左から右へ眺めてみた。巡咲庵は非常に立地が良く、特にミクの部屋は景色が良かった。

 

ミク:ミクぅ〜、普通の良い景色よね、やっぱり。綺麗な山々なのはわかるけど、その後の文、『“花 又や 朝 変わらん”』に繋がるような物は、別に無いのよね〜

 

ミクは頭をひねった。

 

ミク:やっぱり、『花 又や 』で、『朝 変わらん』、だから、朝の事なのかな・・・。ちょっと訊いてみようかな

 

煮詰まったミクはとりあえず、この温泉郷の朝とか花とかの特別な情報があるか、宿の人に訊いてみることにした。

 

(スタッフルーム)

 

ミク:あの〜ちょっと訊きたいことがあるんですが〜

 

そこにいたのはパソコンで経理の帳簿を付けていたレンだけだった。

 

レン:? ミクさん、なにかご用でしょうか? もし、何かありましたら、お部屋のお電話をお使い頂ければスタッフが参りますが

ミク:あ、いえ、謎解きのヒントがまだまだ足りないと感じたので、直接自分の足で移動してお聞きしたいと思いまして

レン:はぁ。で、お聞きしたい事とはなんでしょうか?

ミク:あの、この温泉郷で、特に珍しい“花”、それも“朝”に関係するようなものってあるんでしょうか?

レン:あー、あの遺言の箇所ですか。温泉郷内限定ですけど、私も一応関係者なので、あの文のちゃんと日本語になっている所だけは覚えてるんですけどね。さすがにあの変な所だけは日本語とは言いづらいので覚えてませんが

ミク:そうですよね

レン:ん〜、特に“珍しい花“とかないですね。勿論朝顔とかはありますけど、それは珍しくないですよね。それと朝に咲く、朝しぼむ、朝変化する、とかそういうのもないです。あと、朝に特別な事があるってのもないですね。一年中、普通に朝を迎えてますよ

 

ミク:じゃあ“景色”でなにか変わったことは? 『いつもは右から左へ眺めていたが、今日は、左から右へ大地を眺めてみる』って部分なんですけど

レン:う〜ん、ここ、景色はいいけど、でも普通の景色なんですよね。例えば“男体山”とか“女体山”みたいに見方でそうみえる、みたいな物がないみたいに

ミク:ミクミク〜。こういう路線じゃないのか・・・。あ、お仕事中すみませんでした。また部屋に戻ってちょっと考えてきますね

レン:いえいえ、こちらこそお役に立てずに恐縮です

 

ミクは部屋に戻った。

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(ミクの部屋)

 

ミク:ミクミクミク・・・情報無し。早くも『捜査は難航』か。あーもー、次の文へ行こう。『いつもは上から下に目線を動かすが、今日は下から上へ空を見上げてみる。“青い上”だ』、か。これだけはちょっと違和感あるのよね。『いつもは上から下に目線を動かす』ってのは、まあ首の動きだからいいとして、『下から上へ空を見上げてみる』って書いているのに、見えたものが何故か“青い上”って表現なのよね。普通、空を見上げて見える物の表現は『青い空』よね。確かに上には違いないけど、『上』って言葉は使わないのよね・・・ミクミク

 

ミクは鉛筆をくるっと廻した。

 

ミク:ミクミク・・・ここから切り崩すのかな。『青い上』ね・・・ミクミク・・・『あおいじょう』・・違うわね・・『あおいうえ』・・・ミクミク・・・

 

ミクは、なんとなくだがメモに、“ひらがなの読み”を書いてみた。

 

ミク:ミクミクミク・・・『あおいうえ』ね〜。なーんか、『あいうえお』って間違えて読んじゃいそうな言葉ね・・・え?・・・間違えて読みそう・・・ミクミクミク・・・。

 

ミクの頭に“何か引っかかる事”がまた浮かんできた。そこで別のメモ用紙に、これまで引っかかっていた情報を列挙してみることにした。

 

<咲音 望日郎>

1)軍で暗号解読担当

2)パズルが好き

3)パソコンが出来る

4)表計算ソフトを使えた

5)子供の教育には厳しく、幼稚園で既に“50音表”を覚えさせた

6)基本的には子供が好き

 

<遺言の謎でわかったこと>

1) 青い上→文章的に違和感があり、読み方“あおいうえ”が“あいうえお”と間違えそう

 

ミク:まぁ、こんな感じよね。ミクミク・・・あ! そうだ! 一応“50音表”の正確なのをネットで調べなくちゃ

 

ミクはノートPCを無線LANに繋ぎ、ネットで“50音表”を調べた。

 

ミク:なるほど、“あ”から“ん”までの普通のって、こうなんだ、あ、これ“表”で作ってあるんだ。面倒だから表計算ソフトにコピペしよ

 

***

 

<50音表>(“あ”から“ん”)

 

んわらやまはなたさかあ 

 

んわらやまはなたさかあ あ

  り みひにちしきい い

  るゆむふぬつすくう う

  れ めへねてせけえ え

 をろよもほのとそこお お

 

***

 

ミク:ミクミクミク! いやー懐かしいわー! これ子供の頃、声に出して読みまくって覚えたわねー。“あいうえお!”、“かきくけこ!”、横だったら“あかさたなはまやらわん”よね・・・はぁ、まあメモもしておこうかな、それと保存も

 

ミクはメモに書き留め、データを保存しておいた。

 

ミク:でも、これだけじゃ、やっぱり、さっぱりよね・・・ミクミク。『あおいうえ』が『あいうえお』と読み違えそう・・・か・・・えっと時間・・・え! もうお昼!。確かお昼は自分で食べに行くんだったわね。じゃあ、気分転換がてら、温泉街にでも出ようかな

 

ミクは身支度をして部屋を出て、スタッフルームに声を掛けた。スタッフルームでは、まだレンが経理ソフトで帳簿を付けていた。今日は日曜日で、学校はお休みらしい。

 

ミク:あの〜、これからお昼食べに行くんですが、どこか美味しい所知りませんか?

レン:あ、お昼ですか・・・あ! 今日、説明会やるから、関係者の所、全部“臨時休業“にしていたんだった!

ミク:えっと、それじゃ、ちょっと遠目の散歩がてら、駅前当たりまで行って食べます

レン:いえいえ大丈夫です! “中華“は大丈夫ですか?

ミク:あ、ええ、大好きですけど

レン:あの件の関係者が働いているお店で、“大三軒”って中華料理店があるんです。こっちで電話しておきますので、今からなら店を開けてくれます。えっと、ここから歩いてすぐの・・・ここです

 

レンはメモに手書きで地図を書いて店の印を付けた。

 

ミク:あー、こんなに近いんですか

レン:もう向こうもミクさんの事を知ってますから、かなりサービスしてくれますよ

ミク:やった! じゃあ、行ってきますね

レン:行ってらっしゃいませ

 

ミクは地図を頼りに、大三軒に向かった。

 

(大三軒前)

 

店構えは普通の中華料理店だった。だが、ここの人たちがしょっちゅう利用するのか、店は繁盛しているためか綺麗だった。店の扉にかかっていた札は“営業中”だった。

 

ミク:臨時休業じゃなくなっているわね。レンさんが電話してくれたから、営業してくれたんだ。じゃ、入ろう

 

(店内)

 

カランコロン♪

 

赤いチャイナドレスのアン:いらっしゃいませ〜!

緑のチャイナドレスのプリマ:ミクさん、お待ちしておりました〜!

白のチャイナドレスのローラ:こちらのお席にどうぞ〜!

 

ミク:は、はい(ははは、陽気な店員さん達だな〜)

 

ミクは案内された席に座った。

 

アン:こちらがメニューになります〜♪

 

アンはミクにメニューを渡した。

 

プリマ:今日のお客さんはミクさんなので、餃子と麻婆豆腐をサービスしちゃいます byてんちょー♪

ローラ:ですから、ラーメン系かチャーハン系を1品だけ、ご注文くださいませ〜♪

 

ミク:♪♪♪ミクぅ! ラッキー! じゃあ、ネギラーメンを1つくださいませ〜♪

プリマ:ミクさん、ノリいいですね〜♪ かしこまりました〜♪

ローラ:てんちょー! オーダー入ります! ネギラーメン1つと、サービスの2品お願いしまーす!

店長:アイヨー、ワカッタアル!

ミク:(うっわ〜、店長までノリノリなんだ〜)

 

ジュウジュウジュウー、ジャンジャンジャン!

 

十分後

 

店長:出来たよー、持っていってネー!

アン:はーい!

 

チャイナドレスの3人娘が、ミクのテーブルにメニューを運んできた。

 

ネギ大盛りのネギラーメン

肉厚餃子

葱たっぷりの麻婆豆腐

 

ミク:うっわーーーーーおいしそーーーー♪ っていうかサービスの2つ、本当にいいんですか?

アン:あの件を手伝ってくれるんですし〜♪

プリマ:こんな片田舎の中華料理店に入ってくれる〜♪

ローラ:都会の可愛い女性なんてそうはいないから、特別なんですって〜♪ by てんちょー♪

店長:こら! おまえら! ・・・あ、すいませんアル。でも私からのサービスアルので、どんどん食べちゃってくださいアル

ミク:うふふ、店長さん、ありがとうです! じゃあ、遠慮なく頂きますね

 

パクパクパクパクパク

 

相変わらずの大食漢(?)であるミクさんだった。15分程度で完食してしまった。

 

アン:アイヤー、ミクさん、凄いアルね!

ミク:フフフ! マイ ストマック イズ ベリー ストロング! それに長ネギが美味しかったしね

プリマ:この長ネギ、ここの地物なんですよ

ローラ:でも、食いっぷりがいい女性って、なんか凄く可愛いですね

ミク:あら、さっきも仰っていたけど、あなた達3人も十分可愛いじゃないですか! その色別のチャイナドレス、素敵ですよ!

アン:きゃー! ミクさんに言ってもらっちゃったー!

プリマ:てんちょー! 私たちからのサービスで、杏仁豆腐、ミクさんに追加アルねー!

ローラ:ミクさん、食べてってください

ミク:あらまぁ! 嬉しい! じゃ、遠慮なく頂きますね

 

ローラがデザートの杏仁豆腐を持ってきたので、早速ミクは食べることにした。

 

パクパク

 

ミク:ミクミクぅ! おいしー!

アン:これ、うちの名物なんです。“トロっと杏仁豆腐”。牛乳で作ってあるの

 

ミクは30秒で食べ終わってしまった。

 

ミク:色々サービスしてもらって有り難う御座います。ここって、ホント、お料理美味しいですよね。昨日の宿の夕食も地物の野菜中心のヘルシーメニューで凄く美味しかったし

 

アン:ここって野菜とか牛乳とか、豊富なんです。この上の牧場とかここの畑でやっているんですが、土壌がいいのか、いい野菜が取れて、草も栄養があるから、いい牛乳が取れてね

プリマ:亡くなった望日郎様がネットとかで色々調べてくれたり、手配の指示とかしてくれたり、色々やってくれたので・・・

ローラ:でも、亡くなっちゃったから、私たちでそれを引き継いで頑張っていこうと思っているんです。スピリットだけは誰にも負けませんよ!

 

ミク:うん! 私も感じたよ! だから頑張るね! 謎解き!

プリマ:有り難う御座います! 頑張って下さい!

 

こうしてミクは清算して、宿に戻った。

 

(ミクの部屋)

 

ミク:おっし! 食べてエネルギーも入ったし、気合い入れてやるぞ〜!

 

ミクは気合い十分だった。

 

(続く)

 

***

 

CAST

 

<雑誌“ゆけむり”編集部>

温泉雑誌の記者・初音ミク(ミク):初音ミク

 

<温泉宿“巡咲庵”(じゅんしょうあん>

大女将・咲音 女威子(メイコ):MEIKO

女将・巡音 瑠香(ルカ):巡音ルカ

若女将・鏡音 鈴(リン):鏡音リン

板長・神威 学歩(がくぽ):神威がくぽ

経理担当・鏡音 蓮(レン):鏡音レン

パティシエ・工藤 海斗(カイト):KAITO

その他のスタッフ:全部、はちゅねさん

 

<きのこ温泉郷>

休憩所“透音”の主・透音ミリアム(ミリアム):MIRIAM

土産物屋“亜瑠”の主人・大場 亜瑠(アル):BIG・AL

射的&コリントゲーム屋“迫楽”の主・迫楽レオン(レオン):LEON

中華料理屋“大三軒”の3人娘・赤の服アン、緑の服プリマ、白の服ローラ:Sweet・Ann、Prima、LOLA

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第3作目の” ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎“シリーズの第3話です。  ☆本編の謎解きが開始します
○雑誌記者ミクが取材で訪れた温泉郷で起こる謎解きミステリー!
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Vocaloid ボカロ小説 初音ミク 鏡音リン 鏡音レン 巡音ルカ KAITO MEIKO 神威がくぽ 海外組 

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