きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! #1 賢者の石
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<きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! #1 賢者の石>

 

時は今からずっと未来、イギリスはロンドン市街地、ベーカー街221区画−ポイントBに、その探偵社のオフィスはあった。

 

『鏡音時空探偵社』

 

そこは“今”の案件を扱うのではなく、タイムトラベルが実現化したために起こる、昔の時代に新しく生じた問題、特に“重要品窃盗”を専門で扱う、かなり珍しい探偵社だった。

 

案件を持ってくる依頼人、というか“捜査協力を依頼してくる”のは、なんと警察、この時代では警察は世界で統一されたので、“世界警察ロンドン支部”であるが、そこから直接依頼が来るのである。

 

担当者名は、警察の方は『メイコ警部』。他にも色々案件を扱っているが、この探偵社と繋がりがあるのは“窃盗”の時だけである。そして肝心の探偵社の方は・・・。

 

探偵:バナナフレーバーティーはやっぱり美味しいね〜。気持ちが落ち着くよ

助手:ミクぅ、レンさん〜、メイコ警部からの書類、ちゃんと目を通して下さいよね!

レン:ミク君も一息ついたらどう? 休息も大事な探偵の仕事だよ? “捜査本番で疲れてた“は通用しないからね〜

ミク:レンさんは休息しすぎです! ミクミク! 例の案件に関してのメイコ警部からの書類、こんなに溜まっているんですよ!

レン:大丈夫だよ、休息する前に、その案件の書類には全部目を通して置いたよ。整理してないだけだから

ミク:ミク! そうなんですか、すいませんでした。で、この案件の捜査の方、いつ始めるんですか? 最後の方の書類、なかば殴り書きでしたよ! メイコ警部、かなり怒ってますよ〜

レン:今回の僕の方の捜査は警察の捜査とはちょっと違うんだよ。・・ん? こんな時間か。そろそろかかってくるかな・・・・

 

チリリリリリーーーーン!、チリリリリリーーーン!

 

ガチャ

 

レン:はい、こちら鏡音時空探偵社・・・あ、ユウさんですか、ちょうど良かった。例の案件の目星、なにか付いたんですね。・・・はい・・はい・・そうですか、アサミさんとナオトさんが調べてくれましたか・・・ふんふんなるほど、今度の“時空の歪み”が確認されたのは、1669年、17世紀のイギリス、場所は・・・国家錬金術研究棟付近ですか・・・。って事は私の知識からすると、狙われそうなターゲットは『賢者の石』か・・・。私もこれからすぐ現場へ向かいますので。はい、検索どうも有り難う御座います。では、どうも、はい

ミク:“歴史図書館シャーロック”のユウ館長からですか

レン:そうだよ。今回は僕が検索してもだめそうだったから、専門家の腕を借りる事にしたんだよ。メイコ警部からの書類では、あまりに情報が漠然としていて、僕たちの捜査するポイントがわからなかったんだ。だから“歴史検索の専門家”に頼んだわけ。あ、勿論、これは必要経費ってことで、メイコ警部宛に送るから大丈夫だよ

ミク:ミクぅ〜、またメイコ警部、目くじら立てそう・・・・

 

レン:じゃ、休憩も終わったし、情報も入ったから、ミク君、行くよ!

ミク:ミク〜、今回はコスプレないんですよね〜?

レン:うん。運が良かったのか、17世紀のイギリスだから、このいつもの“シャーロック・ホームズスタイル”でいいだろう。目立たないし

ミク:ミク。では時空時計に、ターゲットタイムとポイントをセットします

レン:ターゲットタイムは時空の歪みが確認されたのと同じだから、1669年4月5日午後9時ジャスト。ターゲットポイントは国家錬金術研究棟の・・・・路地裏でいいや。ターゲット予備検索してくれる?

ミク:ミクっ。・・・・・・・・大丈夫です、誰もいません

レン:んじゃ、捜査開始だ。ミク君、頼むよ!

ミク:ミクッ! 時空転送懐中時計オープン!

 

そうすると、ミクが持っていた懐中時計が巨大化し、盤面が真っ暗になった。ブラックホールのような感じである。

 

レン:んじゃ、先に行くとするか。よいしょっと

 

レンが先に中に入っていった。ミクが後に入って、懐中時計の大きな蓋に手を掛けた。

 

ミク:では、フラグをココに置いて、蓋を閉じます。ミクっ

 

ミクは蓋を閉じて、レンの後を追った。

 

***

 

・・・探偵社側はこういう構成である。社長兼探偵が鏡音レン、助手役であり時空転送担当がミクなのだった。今回も同じように世界警察のメイコ警部から、過去の世界に置いて、タイムトラベラーによる窃盗が相次いでいるので、調べて欲しいとの、依頼を受けていたのだった。

 

しかし、起こってしまった事件の書類ばかりで、“これから起こるような所”の情報が全くなかったのだった。そこでレンはあらかじめ、歴史の検索を専門とする施設“歴史図書館シャーロック”のユウ館長に、レンが事件の予兆と考えている“時空の歪み”の検索を依頼していたのだった。

 

この施設のスタッフは、他に二人、アサミさんとナオトさんで、どちらも歴史のエキスパートである。レンが頼んだ検索の指針は、“これからの歴史に重大な歪みをもたらせてしまうと考えられる「大きな時空の歪み」”であり、その候補の中でも、歴史上の存在するターゲットで窃盗されると重大と考える案件を1つだけ選んで貰う事、だった。その結果が、錬金術研究が盛んだった、1669年、17世紀のイギリスにあった国家錬金術研究棟のうち、“賢者の石”を扱っていた所である。

 

“賢者の石”は、錬金術の集大成のような存在で、アルケミスト分野では最も重要なアイテムとされていた。これが盗まれて他の時代に転送されてしまう事が起きた場合、重大な歴史変更が行われる事になりかねない。

 

レンとミクはこのような歴史上のアイテムをタイムトラベラーが違反を犯して窃盗した物の回収と犯人を拘束する事が主な仕事となっている。最も、今まで扱ったアイテムは“賢者の石”程、重要な物ではなく、解決した後のメイコ警部からの謝礼も大したこと無かったのだが、今回は警察内部でも扱いが違うらしい。メイコ警部のデスクにあった書類の上にはこう書かれていた。

 

機密書類:“きのこオーブの保護、及び、怪盗の逮捕”

 

レン達が追った重要物品は“賢者の石”。では、この“きのこオーブ”とは・・・? そして“怪盗”とは? それはこれから行く1669年・イギリスから開幕するのである。

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(1669年・17世紀のイギリス・国家錬金術研究棟・路地裏)

 

突然空間に丸い穴が空き、レン達が出てきた。

 

レン:ふぅ〜、長かったな〜

 

パシャパシャ

 

レン:イギリスの天気はまた雨だった。いつもの通りか・・・

 

レンは傘をさした。

 

ミクが後ろから出てきて、穴を閉じた。

 

ミク:ミクぅ〜、長かったですね。(キョロキョロ)誰もいませんね

レン:うん。さて、怪盗君はどう出るのかな?

 

ぐぅ〜

 

ミク:ミ、ミクっ!・・・・あ、あの〜レンさん? 何か食べませんか?、お腹空いちゃって・・・・

レン:この時代の通貨を持っていたら、それこそプレミア物で即オークション行きだよ。ちょっと待ってて

 

ごそごそ・・・

 

レンは鞄に手を入れて、何かを探し出し、そして何かを取り出した。

 

レン:はい、これ。捜査中はこれで我慢してくれ

ミク:ミクっ〜。やっぱりアンパンに牛乳ですか〜。ってかその鞄、何でも入っているんですね

レン:この鞄も僕たちの時代と繋がっているからね。でも大げさに出すと目立つから、とりあえずそれを出したよ。帰ったら何か美味しいものでも食べにいこう

ミク:ミクッ! 頑張りますです!

 

パクパクパク

 

レン:やれやれ・・・。さてと、この時代のアポはさすがに取れないから、スタンス的には侵入してパクる怪盗より不利か・・・。変化とかに敏感に対応するしかないのかなぁ。うーむ

 

暫く周囲を見回していると、太ったおばさんが向こうの曲がり角をこちらに曲がって近づいてきた。

 

おばさん:あんた達も警備の人かい?

レン:あ・・ええ、雇われ探偵です

ミク:ミク! 私は助手です!

おばさん:はぁ。しかし、こんな夜中の警備、大変ね。全く人騒がせだよ、怪盗リンは

レン:怪盗リン・・・・そうですよね、全くこんな夜中に、こっちの身にもなってくれって感じですよね

おばさん:全くだよ、『今夜0時に賢者の石を頂く! By 怪盗リン』なんて大げさにビラまで配って・・・。盗むならこっそり盗んでよ。警察から許可を貰った人以外、夜間外出禁止、周囲の厳重警備、所員全員、一部を除いて自宅待機と来たもんだ。所員の客で潤っている酒場の商いやってるこっちの事も考えて欲しいよ、全く、ふぅ

レン:おばさんは許可を貰っているんですか?

おばさん:ああ、そうだよ。お酒は出せないけど、うちは一時的に警備の人の食事場になっているんだ。今はちょっと仕入れで外出してきたんだよ。警備の人、今日の朝から交代制で定時の0時までは少なくてもここにいるからね

レン:お疲れさまです

おばさん:いやいやなんてことないよ

 

その時、反対側から、白衣を着た細身の女性が近づいてきた。

 

女性:おばさん、今の時間、食事取れる?

おばさん:はいよ、食べられるよ。どうだい、あんた達も一緒に?

ミク:ミクっ! いっきまーす!

レン:ミク・・・・。あ、僕たち、財布を自宅に置いてきてしまって、今、お金を持っていないので

女性:あ、警備の探偵さんですか。私が経費でおごりますよ。その、警備状況も聞きたいんで、おばさんの店でちょっと話しましょうか

ミク:ミクっ!!!!! 行こう行こう!

レン:やれやれ。それではお言葉に甘えさせていただきます。私は探偵のレンです

ミク:助手のミクでーすっ!

ミリアム:私はミリアムです。では、行きましょうか

 

そこの全員がおばさんの店に移動したのだった。

 

(おばさんの食事処)

 

ミク:ミクミクミク、ハグハグハグ・・・

レン:おいおい、ミク君、少しは遠慮しなさい・・・

ミリアム:いえいえ、警備でお腹空いている時間ですからね。経費で落ちますので大丈夫です

レン:はぁ、有り難う御座います。えっと、その、警備状況なんですが、私は路地裏担当なんですけど、特に変化はないんです

ミリアム:そうですか。私が作った大切な『賢者の石』、怪盗なんぞに盗まれるわけにはいかないんですよ。なのに警部と来たら、警備のため、0時まで退室して下さいなんて・・・

レン:! あなたが作られたんですか! 警備対象の“賢者の石”!

ミリアム:あれ? 外回りの探偵さんには伝わってないんですか。そうですよね、今やアレ、研究所の国家機密扱いですものね・・・。だからこそ自分で守りたいのに・・・・

レン:国家機密ですから、こういう大衆の場では詳しくお訊きしませんが、怪盗リンが云々じゃなくても、大事な物なんですね、それ

ミリアム:『賢者の石』は、我々『錬金術師』の集大成ですよ。使い方を誤れば“最強の武器”にもなるし、“万病治療の薬”にもなるし、“不老不死”にもなれます。まぁ国家がまともな用途で使うとは思いませんが、それでも国家相手なら発明した私が、使用用途に制限を加える事も不可能では無いはずです。でも盗まれたら、どうしようもないですからね

 

レン:ちなみにミリアムさんは石を何のために使うつもりで発明したんですか?

ミリアム:勿論、“万病治療”です! この世界には原因不明の病気による死亡が相次いでいるし、戦争によってダメージを追っている人がたくさんいます。その人達を救うためですよ!・・・ホンネはね。主張はするつもりですが、国家がどこまで受け入れてくれるか・・・

レン:探偵として訊くのもなんですが、石を狙っている『怪盗リン』について、警察本部はなにか言ってましたか? 探偵の身分だとなかなか詳しい事を教えてくれなくて・・・

ミリアム:ああ、そうですよね。最重要関係者のはずの私にも詳細は教えてくれませんでしたが、この『怪盗リン』、ここ一ヶ月に2回ほどですが、私が知る限り、そこそこ重要な物を狙って盗んでいる泥棒なんです。勿論警察は追ってはいるものの、足取り付かずで、今に至っているわけで、今度はアレに目を付けた訳ですよね。今度はさすがに返してくれないと思うんですよね〜

レン:「返してくれる」?

ミリアム:この怪盗、ちょっと変なんですよ。前の2回、物品を盗んだのに、数日後には元にあった所にちゃんと「返している」んですよ。勿論“窃盗”の罪が消えたわけではないんですが、いったい何がやりたかったんだか・・・

レン:なんらかの“目的”で盗んだはいいが、ちゃんと調べたら違っていた、もしくは、“偽物だった”から、返した、と考えるのが定石ですかね。かなり珍しいケースですが

ミリアム:たぶんそうでしょう。しかし、今度の『賢者の石』は“他に作られたケースがない”事が明らかだから、さすがに返してくれないと思っているわけです

 

レンは紅茶をすすって、なにやら考え込んでいた。

 

レン:(ミリアムさんには悪いけど『賢者の石』は確か史実では、万病治療とか不老不死ではなく、“元素記号P、つまり「燐(リン)」などの特定の元素の発見だけに留まっていた事、“時空の歪み”があった事、歴史上の重要物品が狙われている事等を考えると、“怪盗リンによる窃盗”は史実に無かった事。つまりタイムトラベラーによる窃盗と考えるのが定石・・・)

ミク:ハグハグハグ・・・ミクミクミク・・・

レン:(タイムトラベラーによる窃盗案件は全て、“僕たちの時代のブラックマーケットで『高価取引』されるもの。歴史専門家ならいざ知らず、科学の発達した僕たちにとって、燐などを発見したに過ぎない石が高価で取引されるとは、ちょっと考えられないな・・・)

ミク:モクモクモク・・・・

レン:(だとすると、考えられるのはたった1つだけ。ミリアムさんが作った賢者の石は、「この時代の技術」では元素を発見するに留まっていたが、僕たちの時代の技術を使うと、とんでもない物に変化する、それしか考えられないな。科学者相手の高価取引物品なのか、自分たちのためのものなのかはわからないけど、いずれにしても、“盗まれる”、という事が起きてしまうのだけはどうしても回避しないといけないな。もしもう1つ作る技術がこの時代になかったら、いくつかの重要な元素の発見が無かったことになり、重大な歴史変更が起きてしまうだろう。)

ミク:ハグハグハg

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ゴツン!

 

ミクの頭にレンのゲンコツが落ちてきた。

 

ミク:痛〜、ミクぅ〜

レン:いい加減にしなさいっ!

ミリアム:まあまあお二人とも。で、レンさん、探偵の推理として、怪盗リンの出方とか目星はついたのでしょうか? さっきから無言で色々考えておられたみたいですし

レン:え? あ、ああ、怪盗ね。ええと、その・・・

 

柱時計:ゴーン・・・

 

柱時計は1回、音を立てた。

 

ミリアム:あら、もう11時半!、あと30分で予定の時間ですね。そろそろ賢者の石の所に戻ろうかな

 

そこへ休憩しにきた警官が話しかけてきた。

 

警官:お嬢さん、なかなかの食べっぷりだね!

ミク:ミクっ!? 食べることなら誰にも負けないミク!

警官:ははは。あれ? ミリアムさん、もう戻ってこられたんですか?

ミリアム:え? 私は9時半頃からここに入って、この探偵さんと話していましたが?

警官:ご冗談を。30分前くらいに研究棟の廊下ですれ違った時、「何かやり残したことがある」とか言って、研究室に行かれたではないですか

レン:(!!!)探偵である私が証明します。ミリアムさんとはここでずっと話をしてました。内情も色々聞かせていただきました

警官:(新顔かな?)と、言うことは・・・・そのすれ違ったミリアムさんが、変装した『怪盗リン』!!!

ミリアム:まずい! 研究室と保管室はすぐ近くです! 私も行きます! 探偵さんも一緒にお願いします!

レン:はい! ミク! 行くぞ!

ミク:むぐむぐむぐ・・・ごくん。はい!

ミリアム:おばさん、すいませんが、いつものようにツケといてください!

おばさん:あいよ! 急ぎな!

 

警官とミリアムを先頭に、一行は研究棟に向かった。

 

(午後11時45分・研究棟・ミリアムの研究室)

 

ガチャガチャ

 

ミリアム:鍵はかかったまま。そして1本しかない鍵は私が持っている。一応開けるか

 

ガチャ

 

部屋に他の人によって荒らされた形跡はなかった。

 

ミク:うわー、凄い部屋・・・

ミリアム:いえ、これでいいんです。やっぱり入られてもいないし荒らされてもないです

警官:つまり、私とすれ違った後、すぐに保管室に向かったと言うことですね。急ぎましょう!

 

(午後11時55分・研究棟・保管室)

 

ミリアム:主任のミリアムです。レストレード警部はいますか!

 

奥から太った中年警部がやってきた。

 

レストレード警部:おやおや、ミリアム主任、今回の作戦、素晴らしいではないですか! さすが賢者の石の開発者!

ミリアム:は?

レストレード警部:あなたの「すり替え作戦」ですよ! わざわざ土壇場でフェイク品まで作っていただいて。保管室にちゃんと「偽物」を置いてありますよ〜! で、「本物」の賢者の石は無事なんでしょうな? 自分しか知らない保管場所に厳重に保管しているとのことで安心しておりますぞ!

ミリアム:やられた・・・・・・。警部、その提案をしてきた「ミリアム」こそ、“怪盗リン”です! つまり「偽物」です!!

レストレード警部:え!?

ミリアム:私はそんな提案しませんでしたし、警部が偽物に会っていたとき、私はこの探偵さんと一緒に休憩してました!

警官:私も保証します

レストレード警部:そ・・・・そんな・・・・

 

柱時計:ボーンボーン・・・

 

時計は12回鳴った。

 

ミリアム:予告の時間!

 

どこからか、女の子の声が聞こえてきた!

 

声:ほほほ! 今回は正面切って挨拶付きで石を頂いて、ありがとうね、レストレード警部!

レストレード警部:ぐぬぬぬ・・・・

声:でも、私の作ったソレ、偽物って事で渡したけど、そんな石、全く同じ物とはいかないけど、同等品なら私でも作れるのよ! ほほほ! 欲しかったのはオリジナルのコレなの

ミリアム:な! なんたる侮辱!!!!

声:でもそれね、この時代の人が頑張って分析しても同じ結果になる、ちゃんとした物よ。頑張って“元素「燐」”を見つけてちょーだいな! じゃあ、オリジナルは貰って行くわよ!

レン:ミク君、この発言でわかるよね?、犯人はどこの人?

ミク:私たちの時代の人物。しかもタイムトラベラー! ミクミク!

 

レン:ミリアムさん! 声が聞こえるって事は、まだ遠くに移動していないはず! 泥棒が逃げそうな所を数カ所知ってます! 私はそちらに向かいますので、後のことは宜しく!

ミリアム:わかりました!

レン:あ、でも、取り返す事を期待する前に、あの石、ちゃんと分析した方がいいですよ。怪盗が言っているとおりだと思いますので

ミリアム:え?

レン:じゃあ、行きます!

 

レンとミクは急ぎ足で、棟の裏口に向かった。

 

ミリアム:ど・・・どういうこと・・・? 私じゃなくても、“賢者の石”って作れるの?

 

(国家錬金術研究棟・路地裏)

 

研究棟の窓の明かりに照らされて出来た、二人の人影が2つ、計4人がそこに立っていた。1つはレンとミク、そして・・・

 

レン:タイムトラベラーが後々問題を起こさないように逃げる手口は1つ。来たときと同じように人影がない場所から戻る事

ミク:ミクミク。私たちも“ココ”から来たから、やっぱりと思ったけど

レン:それにしても、怪盗リンは、“怪盗リン一行”だったとはね。私と同じようにタイムトラベル用に“サポート”が一人いたとは

 

???:今晩は、サポートのカイトと申します

???:その通り、怪盗リン“一行”よ。この時間をピンポイントで見つけるとは。やるわね

 

レン:(両名、覆面スーツか・・・)同じ“タイムトラベラー”ながら、そちらはこの時代と元の時代のお騒がせ達、私たちはそれを捕まえる立場

怪盗リン:いえ、あなたは“重要な役柄”の人たちかもよ?

レン:は!?

怪盗リン:とりあえずやっとこ探し出した“オリジナルの賢者の石”は貰って行くわ。これまでのように現物を戻すことはしないけどね。でも、私の作った石は、さっきの放送の通り、「歴史を変えない同等品」よ。この時代の分析ではこれで十分。ここの人達には、『「思考」のきのこオーブ』は、「過ぎる」宝珠よ。じゃあね

レン:まて!

カイト:ほい!

 

ドロン!

 

カイトは煙幕弾を投げつけた! 随分古風だが効果は十分だった。レン達は怪盗リン一行を見失ってしまった。

 

レン:く! 時空の扉も消えたか・・・・

ミク:ミクっ、二人とも声も半分合成音でしたね

レン:僕たちの時代で新規に取り上げられた怪盗だから、正体は僕たちの時代の誰かなんだろうけど、声があれでは。くっ! ボイスレコーダーもばれていたか

 

カチッ

 

レンはボイスレコーダーを止めた。

 

レン:ミク君、とにかく今回はブツを盗まれたけど、奴らの言っていた事はホントかい? 歴史に問題は生じてない?

ミク:サーチします。ミクミク・・・、はい、これ以降の時代で、時空の歪みは生じてないです。あの“代替品”で本当に問題なかったようですね

レン:この後、ちゃんとミリアムさん、分析してくれたんだ。不幸中の幸いだ・・。とにかく僕たちも帰って、メイコ警部に報告しよう、大目玉喰らうと思うけどね・・・

ミク:ミクっ・・・

レン:どうした?

ミク:ミクミク〜、彼らの言っていた『きのこオーブ』ってワード、確かメイコ警部からの依頼書にもちょっとだけ書いてあったはずなんですが

レン:ああ、僕もすぐわかった。どうやら、彼らがタイムトラベルで盗んでいる“物”の正体なんだろう。これもメイコ警部に聞いてみよう

ミク:ミクっ!

 

こうしてレン達は、ミクの作った時空の扉に入り、フラグが付された時間に戻っていったのだった。

 

(続く)

 

CAST

 

探偵レン:鏡音レン

助手のミク:初音ミク

メイコ警部:MEIKO

 

怪盗リン:???

助手のカイト:???

 

歴史図書館シャーロックの館長 ユウ:???

歴史図書館シャーロックのスタッフ ナオト:???

歴史図書館シャーロックのスタッフ アサミ:???

 

ミリアム主任:MIRIAM

レストレード警部、警官、おばさん:エキストラの皆さん

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第4作目の”きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社!“シリーズの第1話です。
☆探偵モノです!
○時空を越えて捜査する探偵レンの物語です
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タグ
Vocaloid ボカロ小説 鏡音レン 初音ミク MEIKO 海外組 

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