形見
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【形見】

 

 

風に吹かれて散った綿毛は どこに根を下ろすのだろう

 

そこがどんな場所であれ 花を咲かせてくれるだろうか

 

そんな願いにももはや意味はなく

 

あるのはやり場のない時間だけ

 

遠い幻の夢と時間だけ

 

無限の時間に取り残された 孤独な私

 

形見を抱えて 永遠を生きる

 

暗い洞穴の中で 常闇に抱かれて

 

孤独な私は永遠を生きる

 

 

 

思い出すのは眩く輝く花 あれはいつのことだったろう

 

この洞穴を出れば まだそこにあるのだろうか

 

光によって生まれる影が これからの私の家

 

あの日の光は二度と戻ってはこない

 

無限の闇に閉じ篭った 孤独な私

 

形見を抱えて 常闇を生きる

 

幻の幸せを想い 罪を抱いて

 

孤独な私は永遠を生きる

 

 

 

お前は許すだろうか 愚かな私を

 

愛する者の 永遠の幸せを願う私の心を

 

私は祈った お前の永遠の幸せを

 

私は約束した お前の永遠の幸せを

 

その幸せが壊れること 私は耐えられなかった

 

残された形見を抱えて 永遠に繋ぎ止めてしまった

 

お前は許すだろうか 愚かな私を

 

愛する者を 永遠に縛り付けた私の愛を

 

 

 

 

このまま朽ちてゆきたい 常闇に抱かれ

 

お前が傍にいてくれること それが私の幸せ

 

けれどお前は離れてゆくだろう 綿毛のように

 

どこか知らない場所で 健気に根を下ろすために

 

お前の物語が幸せに彩られるよう 私は祈る

 

お前の物語が幸せに彩られるよう 私たちは祈る

 

永遠を生きる私の形見

 

永遠をさまようお前の形見

 

永遠を生きる私の形見

 

永遠をさまよう 私たちの形見

 

 

 

光なんかいらない ただ眩い花を

 

眩い花を 私に見せてほしい

 

光なんかいらない ただ眩い花を

 

眩い花を 私に見せてほしい

 

風に吹かれて散った綿毛は どこに根を下ろすのだろう

 

そこがどんな場所であれ 花を咲かせてくれるだろうか

 

そんな願いにももはや意味はなく

 

あるのはやり場のない時間だけ

 

遠い幻の夢と時間だけ

 

無限の時間に取り残された 孤独な私

 

 

説明
形見を永遠に縛りつけようとした、孤独な天才のお話です。
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