真恋姫無双〜風の行くまま雲は流れて〜第73話
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はじめに

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です

原作重視、歴史改変反対な方、御注意下さい

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日の光に照らされた大地が夜の渇きを潤すように芽吹いていく

一体どれほどの時間が経過したのだろうか、何の答えも出せず俯く桂花の頭の中は隣に立つ男の事でいっぱいだった

産まれた時からずっと側にいた彼

 

物心ついた時には既に欠かせぬ存在となり

何時しか特別な眼で彼の姿を追っていた

単なる幼なじみにして唯一の存在

 

そして

 

(多分…あたしの)

 

好きな人

 

何時だって『二人』の後をついて回った

(それがあたしにとって当たり前で)

何物にも代え難い幸せだった

何時だって『二人』の声に耳を傾けていた

 

(だってそうしないとあたしは一人になってしまうから)

それでも前を歩く『二人』は

 

(何時だってあたしの事を気にかけてくれた)

 

時にはふてくされて

 

時には泣き喚いて

(そうしてあたしはあんた達を繋ぎ留めていたんだわ)

 

そして『今』を思う

胸につかえるこの思い

『今』なら戻れるかもしれない

 

『今』なら言えるかもしれない

 

何度かの深呼吸の後、桂花はゆっくりと顔を上げた

 

「比呂、あたしね」

…………

………

……

「……あれ?」

 

見上げた先には今し方にあったはずの姿は無く

彼はどこだと辺りを見渡せば神妙…というかむしろ呆れたような顔つきで一刀が桂花の後方を指差していた

 

「いや……声掛けようとはおもったんだけど」

「……」

 

勿論のことながらその先に誰がいるかなどということは解りきっていることであり

プルプルと小刻みに震える身体を向ければ、やはりその男は此方には目もくれず、スタスタと自軍へと向け遠ざかっていく背中だけが見えた

 

「こんのぉ……」

 

普段の彼女におよそ想像のつかない低い声を発し、クラウチングスタートの構えから勢い良く駆け出す

 

「……変態すけこまし野郎がぁ」

 

助走の勢いそのままに踏みつけた大地にもくもくと土煙が上がり、一際高く跳躍すれば空中で一回転し、突き出した右足が比呂の後頭部へと迫る

 

「死んじゃえ馬鹿あぁああぁ!」

 

正に稲妻と流星が重なるかのような軌跡を描いた

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しかしその「稲妻流星キック」は彼に炸裂することはなかった

一点に狙いを定めた彼の後頭部に桂花の右足が到達せんとしたその瞬間、それまで背後に迫る桂花には見向きもしなかった比呂が突然に身を捩り、目標を失った『流星』は虚空を切り裂き

 

「ぐぇ」

 

目標点を通過した『流星』の襟首を比呂の手が掴み上げ、親猫にくわえられた子猫よろしくにそのまま地面からぶらりと引き離される

 

比呂の目線まで持ち上げられた彼女は『流星』から『伸びきった子猫』へと転換を余儀無くされ眼前のそれへ向け「フシャー!」と威嚇の声をあげる

 

「……何の遊びだそれは」

 

首を僅かに傾げ怪訝な表情を浮かべるその面を引っ掻いてやろうと両手をぐるぐると回すも、彼女の爪が届く事はなく、八重歯を剥き出しに唸る桂花

 

「…生憎俺は忙しいんだが」

「このっ…このっ!」

 

一向に届く気配の無い抵抗を今自身の襟首を掴む比呂の右手に向ける余裕もなく、手足を回し続ける

その後方にようやくに追いついた一刀の姿を確認した比呂は

「……ちゃんと食べてさせて貰っているのか?」

 

それまでの無表情が一変、眉をひそめ覗き込むように桂花の目を見る様に彼女は息を呑んだ

 

「……」

 

彼女は知っている

 

一見、無表情に何の感情も出さない人形のようなこの幼なじみはその実、人一倍に感情の起伏が激しいのだと

ただあまりにも表情が乏しく、それが感情の欠如を相手に印象付けてしまうと

「ひろ……」

 

飲み込んだ息を吐く桂花の口から出たのは彼女にも大切な真名

 

「人間腹が減ると怒り易くなるという……」

「殺す!」

 

再びに暴れ出す桂花に一際大きなため息の比呂

離せと喚く彼女を掴む右手を大きく二度縦に回した後、不意に離し

 

「ぎにゃぁあ!」

遠心力に引かれるままに宙を舞い、放物線を描いた先……一刀に抱きとめられた桂花は目をぐるぐると回し足下が覚束ないながらも比呂へとびしりと人差し指を向けた

 

「あんたにずっと言ってやろうと思ってたわ!」

 

あたかも酔っ払いの様にふらつきながらも比呂を睨みつける

「あんたなんか……あんたなんか!ずっとずっとずうぅっと大っ嫌いだったんだから!!」

 

桂花がその双眸を大きく見開き、溢れ出る涙も拭わぬ姿とは対照的に比呂至って普段通りに腰に手を当て仁王立ちに彼女を見据え

 

「…で?」

「あんたなんかあたしがけちょんけちょんにしてギャフンと言わせてやるんだから!」

 

それ負ける三下役が吐く台詞じゃん

桂花の後方

一刀が人知れずため息を吐いた

 

「わざわざそんな事を言うために追いかけて来たのか?」

「そうよ!」

 

比呂の嫌みの質問にすかさず鼻を鳴らす桂花

 

「……ご苦労な事だ」

 

そう言って踵を返す比呂に尚も食い下がろうと踏み出したその時

 

「……俺は死なないからな?」

 

振り返ることはなく

だがそれは紛う事なく彼女に向けたもの

遠ざかる比呂の背中が

歪んでも尚

ぼやけても尚

桂花は唇を噛み絞めて睨み続けた

 

「死んじゃえ……ばか」

 

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あとがき

ここまでお読み頂き有り難う御座います

ねこじゃらしです

え〜

またまたお待たせしてしまいました

なんつうかホントすみません

お願いですから見捨てないで下さいm(_ _)m

さて、まあ例によって相変わらずなこの二人

果たして救いの道はあるのか?

そして次回は間をおかずに更新出来るのか?(¬з¬)

つうかマジでこのエラーなんとかしてよTINAMI

 

それでは次回の講釈で

説明
第73話です

エラーうぜええぇええ!!
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コメント
瓜月様、コメント頂き有り難う御座います。せっかく復活してもらったのですから頑張って落とし穴掘る展開まで引っ張りますよ!(ねこじゃらし)
サラダ様、コメント頂き有り難う御座います。そりゃあもう…ツンですよツンwww(ねこじゃらし)
patishin様、コメント頂き有り難う御座います。なるだけ急ぎます!(ねこじゃらし)
Night様、コメント頂き有り難う御座います。というかあれですわ…桂花から動いてもらわないと接点ができないw(ねこじゃらし)
よしお様、コメント頂き有り難う御座います。頑張ります!(ねこじゃらし)
ああ〜、桂花可愛いよ桂花。グヘヘヘヘ……ごほん、失礼しました。比呂さんは一度退きますか。彼への怒りで我を取り戻した桂花は、はたして彼とどう向き合うのか。楽しみにしています。(R.sarada)
更新おつかれです。とりあえず次がでるまで何回も読みまくってると思うのでお早い更新をおまちしております。(patishin)
更新お疲れ様です。トップを狙う桂花の蹴り、風雲の桂花は随分とアクティブで比呂は相変わらず、この二人実は軍師と将の才が逆のほうが・・・などとふと思ってしまったり。(Night)
楽しみにして待ってまーす♪(よしお)
タグ
真・恋姫†無双 桂花  二次創作 比呂 風の行くまま雲は流れて 

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