きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! #4 スタールビーの指輪(後編)
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<きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! 第4話 スタールビーの指輪(後編)>

 

(1620年12月04日午前9:40・ドイツ・シュツットガルト・ウォルフガング邸近くの商店街)

 

3人はメイコ警部が持っているマップ端末を見ながら、歩いて移動可能な範囲で食事出来るお店を探し、店員に“ウォルフガング”の事を聞き出していた。

 

喫茶の店員:んー、ウチには来てないな

オープンカフェの店員:ああ、見かけたけど、ウチには入らなかったよ。ここを真っ直ぐ歩いていったはずです

売店の店員:ああ、見かけたけど、うちには寄らなかったな。確かこの先を左に曲がったよ

 

いくつかの目撃情報を元に少しずつ追跡をしていたが、未だ“立ち寄ったお店”、“入ったお店”には出くわさなかった。

 

メイコ警部:はぁはぁ・・・なかなか見つからないわね・・・

レン:店員の話と時間から考えて、近くには来ているはずなんだけど・・・

ミク:じゅる・・・・美味しそうなお店ばっかり・・・・

レン:あー、えっと、ミク君? 毎度のことだけど、この時代のお金は持ってないから、買い食い出来ないからね

ミク:みくーん・・・

メイコ警部:しかし、メイドさんの話では“食事に時間を掛ける”って事だし、あの話を聞いた時間の事を考えると、もうそろそろ入っている店か入って出たばかりの店に出くわすはずなんだけど・・・

 

ワーワーワー

 

メイコ警部:ん? あれ、何かしらね?

 

3人は声のする方に向かった。

 

(1620年12月04日午前10:00・ドイツ・シュツットガルト・市民公園)

 

垂れ幕:第20回 ソーセージ大食いコンテスト

 

観客:ウォルフガングさん! 今年も頑張ってよ! あんたに100マルク賭けてるんだぜ!

ウォルフガング:おうさ! 任せとけ!

 

メイコ警部:やっとウォルフガングさん、見つけたわ・・・、って、なんでこんなところに?

レン:どうやら、大食いコンテストらしいですね・・・・・。確かに“時間はかける”けど、朝食がコレとは・・って、ミ、ミク君?

ミク:じゅる・・・・・レンさん、もう我慢できません!

レン:ちょ! ミク君!

 

ミクは駆け足でコンテスト会場の受付に向かい、ちゃっかりエントリーを済ませ、競技エリアに入っていった。

 

司会者:お! 今年は可愛い女の子が飛び入り参加だぞ! えっと、“ミク”さんですね。変わったお名前ですが、これは面白くなってきたぞ!

ウォルフガング:ほほ〜、“やせの大食い”ってか? でも、お嬢ちゃん、やめといたらどうだ? 今年の優勝“も”俺だぜ!?

ミク:ぅ゛〜、早く喰わせろ〜

ウォルフガング:やる気まんまんだよ、この娘・・・。まぁいいや、気にしないで喰うとするか

 

エントリーが終わり、会場の選手の前にお皿山盛りのソーセージが持ってこられた。

 

司会者:では、これから始めま〜す。では!!!! ガン○ムファイト!・・・・・じゃなかった! ソーセージファイト、レディーーーーーーーーゴォ!!!!!!

 

ウォルフガング:ぅおぉおぉぉぉぉぉ!!!!!

 

ウォルフガングは余裕の面もちでソーセージを食べ始めた。それはそれは凄い食べっぷりだった。しかし・・・・・

 

ミク:おかわり!

ウォルフガング:ふごぅおぉぅぉ・・・・た、確か、山盛りソーセージ、皿に盛ってあったよな?・・・・・こ、この娘、出来る!よーし! 俺も本気を出すとするか! うごぉぉ!!!!!!! ハイパーモードォ!!!!!!

 

ウォルフガングは金色に輝きだして、皿のソーセージを一気に胃袋に流し込んだ!

 

ウォルフガング:おかわり!!!!

 

ウォルフガングの前に山盛りのソーセージを乗せた皿が持ってこられた。

 

ウォルフガング:うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!

 

まさに鬼神の如き食べっぷりだった。しかし・・・・・

 

ミク:おかわり・・・ミクぅ、一皿の盛り方が足りないミク。お皿の大きさ、倍にしてよ。

 

ウォルフガング:ふごぉ!????

 

ウォルフガングは鼻からソーセージを出して、驚愕していた。いつしか輝きも消え、ウォルフガングの顔は真っ青だった。そして・・・

 

ウォルフガング:俺の・・・・・負けだ

 

ウォルフガングは椅子ごと後ろ倒れて伸びてしまった。

 

カン!カン!カン!

 

司会者:試合終了! ミクさん以外、全員ギブアップしたので、規定により、この時点までに食べた量が記録されます。えーーーーーーーーえ!? 山盛り12皿完食で、本数1200本・・・・です・・・・・・・・ミクさん優勝!!!

 

ワー!ワー!ワー!

 

ミクの右手は司会者に持たれて高々と上げられた!

 

ミク:なんか、まだ物足りない、ミク

司会者:優勝賞品の一週間商店街飲み食い無料チケットで我慢して下さい・・・・・

 

レンとメイコ警部の二人は観客席で呆れてみていた。

 

レン:・・・・・・・バケモノか、ミク君は・・・・・

メイコ警部:何が凄いって、あれだけのソーセージ食べたのに、腹が膨れて無くて体型維持しているのよね・・・・・・物理法則を完璧に無視しているわね・・・・羨ましい・・・・

レン:それはまあいいとして(いいのか?)、これでウォルフガングさんとコンタクトとれますね

メイコ警部:ええ、今回は怪盗達より先回りできそうね

 

会場を出た二人はミクと合流し、会場横のベンチで横たわっているウォルフガングに会いに行った。

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ウォルフガング:う゛ーーーーーー

ミク:ウォルフガングさん、大丈夫ですか?

ウォルフガング:う゛ーーーー!? ぅお! バケモノ娘!!

レン:大丈夫ですか?

メイコ警部:あの、ちょっといいですか?

ウォルフガング:うぉ!?・・・・女警官に子供探偵!? こいつらどうなってるんだ!? 俺は悪い夢でも見ているのか!?

レン:子供探偵・・・・

メイコ警部:あの・・・・そろそろいいですか? 私たちはあなたがこれからレオンさんに渡す“スタールビーの指輪”を怪盗から守ために会いに来たんです。運良くこの会場で会えたんですよ

ウォルフガング:俺の方は運が悪かったよ。飛び入りがバケモノ娘とは・・・・。さて、よいしょ!

 

ウォルフガングは膨れた腹を抱えて起きあがった。

 

ウォルフガング:はぁ〜・・・で、俺のこの指輪を怪盗が狙っているわけだ。なら、俺とレオンの両方の護衛が必要だな。ほら、あそこ

男:お〜い! 大丈夫か〜!?

ウォルフガング:彼がレオンだ。ここで会う約束だったんだよ

レオン:お!? あのかわいこちゃんに女警官に子供探偵付きとは、今回は豪勢だな!?

ウォルフガング:かわいこちゃんじゃなくて、バケモノ娘だろ。今回、この娘に負けたからな。お前も見てたろ?

レオン:おお! 見ていたさ。俺、喰いっぷりのいい女の子、大好きなんだよ〜、ねえねえ、今度デートしない?

ミク:1回のデートで、ここの名物100人前食べさせてくれるのなら、いいミク

レオン:ぅお・・・・・(サイフの中身を見る)・・・・・ごめん、やっぱいいや

 

ウォルフガング:もういいか? 今回は指輪をお前に渡す用件があったろ! ここの人たちは、これを狙っている怪盗から守ってくれるそうだ

レオン:おお! 綺麗どころ二人に守って貰えるなんて、なんてラッキー! あ、そこの子供探偵君は、お付き?

レン:僕がメインなんですけど・・・・

レオン:え゛、そうなの? 時代は変わったんだねぇ〜。まぁいいや。で、ウォルフガング、例の指輪は?

ウォルフガング:指輪はこのケースに入っている

 

ウォルフガングは白塗りの木製指輪ケースを出した。

 

ウォルフガング:これがそうだ。この指輪の経緯は話したよな? 俺のかみさんの死を予言したルビーの指輪。本当にいいんだな?

レオン:おお! そういう珍品、集めているんだよ! 早く中身!

ウォルフガング:全く変わったやつだな。まぁいいや、これがそれだ

 

ウォルフガングは木箱を開けた。中には綺麗な星形の紋様が浮かんだ赤いルビーの指輪、そして、白い紙が入っていた。

 

ウォルフガング:なんだ? この白い紙・・・・

レン:え? これも内容物じゃないんですか?

ウォルフガング:いいや? こんな物、2日前まで無かったぞ

 

ウォルフガングは慎重に白い紙を手に取り、手で広げた。

 

ウォルフガング:なんだ?、この字は? 暗号か?

レン:ちょっと見せてもらっていいですか?

ウォルフガング:ああ、いいよ

 

ウォルフガングは白い紙をレンに手渡した。そこには、こう書かれてあった。

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ご閲覧頂き、有り難う御座います、ご主人様〜♪

 

本物のスタールビーの指輪(「動力」のきのこオーブ)

 

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そうそう、次に向かう所は、

 

4番目:AD2010年、アメリカ・MIT(マサチューセッツ工科大学)

お宝所持者:アル

お宝:竜の卵

 

だから、また追っかけてきてね〜♪。

 

From 怪盗リン、カイト、Dr.ルカ

 

***

 

メイコ警部:・・・・やられた・・・・・

レン:“ご主人様”・・・・・・! ウォルフガングさん? ご自宅ではメイドさんを雇っておりますか?

ウォルフガング:メイドさん? うちにはそんな余裕はないよ。雇ってないよ

レン:メイドはいないんですか! じゃあ、家を出るとき、その指輪の木箱は?

ウォルフガング:ああ、いつも置いてある所のこの木箱をそのまま持ってきただけだよ。2日前に中は開けて確認したから、そのまま持ってきたんだよ。勿論、こんな紙、入って無かったけどね

 

レン:メイコ警部・・・・、あのメイドが怪盗リン一味の誰かの変装だったんだ・・・。すでにあの時点で物がすり替えられていたんでしょう。そしてメイドの姿で現れ、私たちをウォルフガングさんの所に行くようにし向けた・・・・

メイコ警部:くっ! なんたる策略・・・・

 

ウォルフガング:あの〜、先ほどからなにか深刻な用件をお話されていますが、この指輪、偽物なんでしょうか?

レン:いえいえ、本物ですよ。この紙に書いてあったのは、これを狙っていた怪盗のメッセージで、“間違った物をターゲットにしてしまったから、その“本当の獲物”を護衛してくれ“ってことだそうです

ウォルフガング:はぁ。まぁ物が盗まれてないんだから、そうなんですね。随分律儀な泥棒ですね。まぁいいや。じゃあ、レオンに渡すよ

レン:お願いします

 

ウォルフガングはレオンに木箱と指輪を渡した。

 

レオン:やっほー! またコレクションが増えたぜ!

メイコ警部:では私たちは怪盗が狙っている本当の獲物の方へ向かいますので、色々有り難う御座いました!

ウォルフガング:いやいや、それより、ミクさん、来年も大会に来いよ! 今度こそ勝たせて貰うぜ!

ミク:望むところ、ミクぅ!

レン:(もう、来ないけどね)

 

こうして、レン達は商店街を離れ、路地裏に入った。

 

***

 

メイコ警部:ここなら良いわね。しかし、またやられたわね・・・・

レン:それはもういいです。問題は次の獲物ですよ

ミク:確か、“竜の卵”ミク! 怪盗さん達は“でっかい卵焼き”作るのかも、ミク!

レン:いや、“竜の卵“ってのは、生卵の事じゃなくて、彼らが言っている”きのこオーブ“、つまり”宝珠“ってやつに一番近い形をしている、とんでもない宝ですよ

メイコ警部:とんでもない?

レン:そう、“宇宙”その物って、言われてます。僕達の時代の“宇宙間航行”を可能にしたとも言われている、とんでもなく大事な宝です

ミク:やばい、ミク!

レン:ヤバイのと同時に、1つの疑問がクローズアップされるんです。こんな物まで“同等品扱いでコピーできる”なんて、僕たちの時代ですら、考えられないような技術を彼らは持っているって事ですよ

メイコ警部:そうよね。デュプリケーター(複製機)の再現度なんて、たかが知れているわよね。コレまでの品物はデジタルメディアじゃないし

 

レン:でも、ここで考えていても仕方ありません。とにかく追いかけましょう。ミク君、この紙の通りで、午前9:00にセット。場所は大学の裏でいいところある?

ミク:・・・・・・・・・ありました! この裏門の茂みがいいですね

レン:よし! じゃあ向かいます! 2010年12月04日午前9:00ジャスト、MITの裏門の茂みに行きます!

 

こうして一行は、とんでもない物を狙っているリン達を追い、タイムトラベルしたのだった。

 

(続く)

 

CAST

 

探偵レン:鏡音レン

助手のミク:初音ミク

メイコ警部:MEIKO

 

怪盗リン:鏡音リン

カイト:KAITO

Dr.ルカ:巡音ルカ

 

歴史図書館シャーロックの館長 榊ユウ:???

歴史図書館シャーロックのスタッフ 工藤ナオト=カイト:KAITO

歴史図書館シャーロックのスタッフ 双海アサミ:???

 

法結大学教授 巡音ルカ:???

助手の鏡音リン:???

助手の相州カイト:???

 

メイド:怪盗一味の誰か

 

レオン:LEON

ウォルフガング:フードファイターの方

司会者:元気がいい某リングアナウンサーの人

 

店員など:エキストラの皆さん

 

(ウォルフガング・ガーベルショーヴァーさんは、本当はスタールビーの指輪の実在の所持者です。キャラはオリジナルにしてます)

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第4作目の”きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社!“シリーズの第4話です。
☆探偵モノです!
○時空を越えて捜査する探偵レンの物語です!
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Vocaloid ボカロ小説 鏡音レン 鏡音リン 初音ミク MEIKO KAITO 海外組 

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