鳳雛年代史放浪伝 導入
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 紀元前2世紀。黄砂渦巻く広大な中国大陸の空は荒んでいた。

 相次ぐ幼帝の即位。彼らを傀儡とした宦官と外威の奢侈と権力争い。

 搾取の果てに民は疲弊し、追い詰められた暴動と反乱の嵐が吹き荒れようとしていた。

 

 

 

 

 

「高祖劉邦が成し、光武帝が復興させた漢王朝も、今や見る影がないねぇ」

 

 砂塵舞う荒野に誰にいうわけでもない呟きが落ちる。

 漢帝の権威は地に落ち、ひとたび都の外を出れば、食いっぱぐれの者たちが奪い合う修羅の地。

 明日生きる糧を求め、暴虐の徒と化した者たちの波。

 彼らから逃げ惑う人々の雑踏に逆らい歩く男がいた。

 男にしては小柄な外見で纏うは白と緑を基調とした衣服と羽織。鍋蓋のような鉄笠。襟で口元まで隠し、さらに鼻梁を覆う白布も相まって相貌は辛うじて目元が見える程度だった。

 隈取りを施した目と、嗄れた声が男の年齢を察する唯一の情報である。

 手に持つ錫杖の遊環が歩調にあわせて鳴り響く。

 

 

 地平線から近づく黄色の波濤。

 飢えた餓狼と化し、全てを蹂躙し飲み込まんとするその人波を前に、男は悠然と身を晒す。

 名は?統。字は士元。荊州の陰士、司馬徽より「鳳雛」と呼ばれた策謀家。

 冴えない風体を隠し、乱世を放浪する道士である。

 

「一人旅も楽じゃないねぇ。まったく、どうしたもんか」

 

 地を揺るがす暴徒の群れを前に、錫杖で背中を掻く。緊張感はまるでない。

 本来逃げ出すべきなのだろうが、そうもいかない事情があった。

 目的地はあの津波をかき分けた向こうにあるのだから。

 

「ま、しょうがないね」

 

 黄砂を錫杖の尾で突くとシャランと硬質な音が一際大きく鳴り響く。そのまま身じろぎ一つせず待ち構える。

 賊徒の最前線は凶刃を構え、小柄な男めがけて跳躍した。

 ?統の視界を影が埋める。

 そして――

 

 

 

 鳳凰の赤い翼が、黄の海を引き裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁれやれ。げんこつ勝負は苦手だっていうのにね」

 

 戦渦を切り抜けた?統は、肩を落として息を吐いた。

 歩き詰めて、ようやく眼前に幽州にある城塞都市、その城壁が見え始める。

 故郷である荊州の襄陽より旅立ってもう随分経つ。

 師である司馬徽殿のように隠遁する生活も考えなかったわけではないが、その前に一通り大陸を巡ろうと思い立ち、北端である幽州へと足を運んだのだが。

 

「これだけ遠いと、ちょいとしんどかったね」

 

 大きく伸びをして、普段猫背の背中を伸ばした。

 日は傾いている。今日は地べたではないところで眠れるだろうか。

 

「さぁて、これからどうするかね」

 

 大陸全土を見回すにしても、東北で突出しているこの地からでは、結局逆戻りする事になるだろう。

 その前にこの地を見回すのもいいかもしれない。路銀も心もとないし、働き口もあれば万々歳だ。

 

「ま、これからのことは後々考えようか」

 

 長下駄を鳴らして入り口へ足を向ける。

 鉄笠から覗く蒼天は高く、野鳥が影を作っていた。

 抜け落ちた羽は虚空を舞って、地へ向かう。

 ?統が城門前にたどり着く頃、日の光を浴びて輝く羽が足跡の上へ脈々と落ちていった。

説明
三国無双6のクロニクルモードを好きキャラ?統先生を使ってフラフラしていろんなキャラと話したり戦ってみたりする。
そんなシリーズ。ビバ俺得。とりあえず導入。
細かいことは考えてません。ノリとインスピレーションの低時間クオリティで上げていこうかと思います。
まぁ実際ゲームでは初っ端のステージだって黄巾党とか全く関係ないしね。

先生は実際どんな人とも仲良くなれるイメージです。
蜀に仕える前は呉にいたし。OROCHIでは曹丕の下に身を寄せてたし。史実でも社交的な感じだよね。
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コメント
ko-ji@GM様:三ムソ6をプレイしてみたらわかりますが、時代背景や勢力などは全く関係ありません。プレイキャラ以外を戦友として連れてったり、戦地で救出したり、敵対したりとした作業ゲーなので。三ムソssと捉えていただければ早いです。恋姫っ娘も出ないですし(牙無し)
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